4143.日本の期待と難しい外交



日本も中国の攻勢に巻き込まれている。米国は日本に期待し、中国
は日本をけん制している。     Fより

米パネッタ国防長官は、議会で国防費の削減を求める声が強まって
いることを受け、今後アメリカ軍の規模縮小は避けられないとして
、日本など同盟国に対し、自国の防衛について今以上の役割を求め
ていくとした。また、グアム移転費を節減する方向で検討するとし
た。防衛費をGDPの3%程度に拡大してほしいという。

これを受け、米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は、
国防費削減に伴う米軍の任務や役割の戦略見直しを進めている中で
、米軍普天間飛行場移設とセットになっている在沖縄海兵隊グアム
移転についても、移転部隊の構成を検討するとした。

沖縄の海兵隊を米本土に撤退させて、戦闘部隊を米本土から約6カ
月のローテーションでグアムに駐留させる案も検討されているとい
う。ワシントンで言った沖縄県の仲井真知事の案が、実現すること
になりそうである。戦闘部隊がいないので、普天間は必要がない。

しかし、沖縄の軍事力は少なくなり、抑止力は大きく失われる。
このように米国の軍事力が少なくなる事態を受け、野田首相は、原
則としてすべての武器と関連技術の輸出を禁じる政府の武器輸出3
原則を緩和する意向を固め、11月に行われる見通しの日米首脳会
談で、オバマ大統領に表明する調整に入った。

この緩和により、戦闘機や艦船、ミサイル防衛など重要装備の国際
共同開発に日本企業が参加できるようになる。また、人道支援のた
めの装備品輸出も可能になる。資源外交やインフラ輸出で、そのセ
ットと求められる軍備を輸出できることになる。

これは中国との戦争を意識し始めた東南アジアには大きなカードに
なるし、日本の役割が明確になる。「パッケージ型インフラ海外展
開関係大臣会合」にも大きなカードが与えられる。

香港紙・東方日報は、中国サイドから「日本は南海(南シナ海の中
国側呼称)問題に多少絡むだけでは満足できなくなり、事態をシス
テム化、常態化、軍事化の方向に発展させ、米国やインドとともに
南シナ海をかきまわし、龍(中国)を封印することを企図している」
という。その上で、中国にとって有効な反撃は日本に対して、経済
カードを切ることと論じた。

日本の「価値観外交」とは、自由とか、民主主義といった日本と共
通の価値観を有する国々を増やしていこう、こうした国々と互いに
手を取り合っていこうという外交で、中国を敵視しているという。

中国は米国と敵視せずに、日本を敵視している。
日本をいじめ、米国と手を結ぶ方向である。日本は、非常に難しい
外交を求められている。中国とも戦略的な互恵関係を結びながら、
ベトナムなどにも軍事的な友好関係を築く必要がある。このような
外交を日本はするしかない。

さあ、どうなるか?

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米 同盟国自身が防衛負担増を
10月12日 10時51分 NHK
アメリカのパネッタ国防長官は、議会で国防費の削減を求める声が
強まっていることを受け、今後アメリカ軍の規模縮小は避けられな
いとして、日本など同盟国に対し、自国の防衛について今以上の役
割を求めていく考えを示しました。
アメリカのパネッタ国防長官は11日、ワシントンで講演し、「ア
メリカ軍の規模は今後縮小されるが、脅威に対応する能力は必要だ
」と述べ、軍事力を維持するための新たな対策の必要性を強調しま
した。そして、迅速な展開を可能にする柔軟性の高い部隊を作るこ
とや、無人偵察機や誘導ミサイルなどハイテク兵器を駆使して軍の
効率を高めることを検討していると明らかにしました。そのうえで
「同盟国には、アメリカによる軍事的な支援を引き続き保障する一
方で、自国の防衛に今以上の責任を担ってもらう」と述べ、今後、
日本などの同盟国に対しより大きな役割を求めていく考えを示しま
した。アメリカでは、今後10年間で4500億ドル(日本円にし
ておよそ35兆円)の国防費が削減されることが決まっています。
議会では国防費の削減を求める声が強まっており、来月行われる協
議の行方によっては削減額が2倍以上の80兆円近くに上る可能性
もあり、アジア太平洋地域でのアメリカ軍の活動にも影響が出る可
能性が指摘されています。
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グアム移転費、節減が課題=日米合意は堅持―米国防長官
時事通信 10月14日(金)1時34分配信
 【ワシントン時事】パネッタ米国防長官は13日の下院軍事委員会
で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設とセットになって
いる在沖縄海兵隊のグアム移転について、日米の合意を堅持すると
強調する一方で、米側が負担するグアム移転費が当初の見積額を超
えないよう、節減する必要性があるとの考えを示した。
 グアム移転について、日米は総額約102億7000万ドルのうち、日本
が60億9000万ドル、米側は41億8000万ドルをそれぞれ負担すること
で合意している。しかし、米政府監査院(GAO)は、米側負担は約146
億ドルになると見積もっている。
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グアム移転部隊の構成検討=在沖海兵隊、コスト削減で−米統参議長

 【ワシントン時事】米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部
議長は13日の下院軍事委員会で、国防費削減に伴う米軍の任務や
役割の戦略見直しを進めている中で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜
野湾市)移設とセットになっている在沖縄海兵隊グアム移転につい
ても、移転部隊の構成を検討する考えを示した。
 沖縄からグアムへの移転部隊は司令部要員から戦闘部隊中心に見
直される可能性もある。
 デンプシー議長は、パネッタ国防長官が普天間移設とグアム移転
の日米合意を堅持する一方で、「コストと効率性の良い方法を見い
だすことが課題となる」と、米側が負担するグアム移転費節減の必
要性を指摘したことを受けて、証言した。 
 同議長は「解決すべき問題の一つは、どのように部隊を前方展開
(駐留)させておくかだ」と主張し、展開部隊の規模とともに戦力
投入の効率性や手法にも言及。有事に米本土から派遣する方法や、
一時的にローテーションで駐留する選択肢を挙げ、「協議されるこ
とになる」と述べた。
 日米両政府は2006年、普天間飛行場を同県名護市辺野古に移
設し、在沖海兵隊の司令部要員を中心に兵士約8000人とその家
族をグアムに移転することで合意した。
 しかし、家族を同伴する司令部要員の移転は住宅整備などグアム
のインフラ整備のコストがかさむため、国防総省内では、独身者が
大半を占める戦闘部隊を米本土から約6カ月のローテーションでグ
アムに駐留させる案も検討されている。日本側からは抑止力が低下
すると懸念する意見も出ている。(2011/10/14-07:52)
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武器輸出3原則を緩和、米大統領に表明へ

 野田首相は、原則としてすべての武器と関連技術の輸出を禁じる
政府の武器輸出3原則を緩和する意向を固め、11月に行われる見
通しの日米首脳会談で、オバマ大統領に表明する調整に入った。

 複数の政府筋が13日、明らかにした。緩和は、世界的な潮流で
ある武器の国際共同開発・生産への参加に道を開くもので、巨額の
財源が必要な防衛装備品調達のコストダウンにもつながる。米国は
、日本の高い技術力を共同開発に生かすことを以前から求めており
、首相は、日米同盟の強化にも資すると判断した。

 武器輸出3原則は、冷戦時代の1967年、佐藤内閣が共産圏諸
国や紛争当事国などに武器や関連技術の輸出を認めない方針を打ち
出したのが源流で、三木内閣が76年、対象をすべての国に広げる
見解を出した。

 今回の緩和は、輸出を禁じる対象国を限定し、国連決議など国際
的な武器の輸出管理規制に参加する国に限って共同開発・生産を行
うことなどが柱。緩和により、戦闘機や艦船、ミサイル防衛など重
要装備の国際共同開発に日本企業が参加できるようになる。また、
人道支援のための装備品輸出も可能になる。

(2011年10月14日03時08分 読売新聞)
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資源外交「戦略会議」設置へ 野田政権、民間企業も加え
2011年10月14日5時0分

 野田政権が本格的な資源外交戦略を策定する。東京電力福島第一
原発事故でエネルギー政策の見直しが急務となり、中長期の資源確
保策を練り直す必要があるためだ。近く民間企業も加わる「資源外
交戦略会議」(仮称)を設置し、具体的な資源や産出国を絞り込ん
で5年単位の計画をまとめる方針だ。

 戦略会議は「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」(議
長・藤村修官房長官)の下に新設。外務省や経済産業省、石油天然
ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などに加え、自動車や家
電大手などの民間企業が参加。次世代自動車や新型家電の開発に必
要な資源を把握し、効率的な戦略づくりを狙う。

 そのうえで戦略会議では(1)当面必要とする資源と産出国に優
先順位をつける(2)産出国の情報を収集し、政府の途上国援助(
ODA)やインフラ輸出を組み込んだ協力策をつくる(3)首脳や
閣僚の訪問を集中させ、官民一体で環境整備を目指す。枝野幸男経
産相は7日の記者会見で「日本にとって重要度の高い資源分野に対
して、積極的に投資していきたい」と強調した。
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日本が南シナ海問題に介入、中国は経済カード切れ…香港紙
2011/10/13(木) 15:43サーチナ 

  香港紙・東方日報は12日付で、中国と一部東南アジア諸国で対
立が続く南シナ海の領有問題で、日本が手を伸ばしつつあると主張
し、対抗のために中国は「経済カード」を切るべきだとする論説を
発表した。

  東方日報は香港の中国語新聞で発行部数が最大。3月19日には「
中国が釣魚島(尖閣諸島の中国語通称)を奪回するには、日本が東
日本大震災で混乱している今が絶好のチャンスだ」と主張する記事
を掲載した。

  12日付の記事は、野田首相とフィリピンのアキノ首相が9月27日
、南シナ海問題を巡る両国の協力強化を強調した共同声明を発表し
、日本の海上保安庁がフィリピンの沿岸警備隊の訓練に協力するこ
とを決めたことを取り上げ、「日本は南海(南シナ海の中国側呼称
)問題に多少絡むだけでは満足できなくなり、事態をシステム化、
常態化、軍事化の方向に発展させ、米国やインドとともに南シナ海
をかきまわし、龍(中国)を封印することを企図している」と主張
した。

  日本が東南アジアと連携して中国に対抗しようとしている理由
は、中国の力を東シナ海と南シナ海に分散して、尖閣諸島の問題で
も有利な状況を作り出すことと分析。さらに、東南アジアと中国の
間に「くさび」を打ち込んで、東南アジアを自らの勢力範囲に組み
込もうとしているとの考えを示した。

  日本が南シナ海の問題に手を伸ばそうとした場合、中国に「直
接の反撃能力はない。口からつばきを飛ばして(批判して)もむだ
だ」と指摘。ただし、東シナ海でガス・油田の開発を加速したり、
巡視艇を尖閣諸島から12カイリ以内に接近させるなどの反撃はすべ
きであり、南千島群島(北方四島を指す)問題でロシアを支持する
こともできるとの見方を示した。

  さらに、中国にとって有効な反撃は経済カードを切ることと論
じた。日本経済の中国への依存度は、中国経済の日本に対する依存
度よりもはるかに大きく、貿易戦争になっても「日本は絶対に中国
に勝てない」と主張。中国は希土類(レアアース)の輸出制限をさ
らに強化する、日本への観光旅行を制限する、日本からの輸入を引
き締めるなどすれば「日本に思いあがった行為をする度胸はない」
と論じた。(編集担当:如月隼人)
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北朝鮮軍 南の基地に兵器移動
2011年10月13日 東京新聞朝刊
 
 【ソウル=辻渕智之】韓国の聯合ニュースは十二日夜、北朝鮮軍
に昨年十一月の延坪島(ヨンピョンド)砲撃直前と類似した動きが
あり、韓国軍が警戒態勢を強化したと伝えた。
 同ニュースによると、政府当局者が「北朝鮮軍が最近、戦闘機を
(韓国が黄海上の軍事境界線と主張する)北方限界線(NLL)に
近い基地に移した」と述べた。地対空ミサイルを移動させたほか、
地対艦ミサイル基地で移動発射台の動きもとらえたという。
 延坪島を昨年砲撃した砲部隊の放射砲(多連装ロケット砲)が最
近、移動されたとの情報もつかんだ。
 米韓首脳会談のため訪米中の李明博(イミョンバク)大統領は、
訪米前の十一日に「首脳会談時期に北朝鮮が挑発したら国際問題に
なる。強力に懲らしめなければならない」と韓国軍に指示していた
という。
 米韓首脳会談に合わせ、北朝鮮が南北の緊張状態を印象づけ、核
問題をめぐる六カ国協議再開や制裁解除などの譲歩を狙った動きの
可能性もある。
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アジア太平洋地域における米国の新たな挑戦
13.10.2011, 16:09ロシアの声

 米国は、アジア太平洋地域における自国の政治的および軍事的存
在感を強める意向だ。これは、米国のクリントン国務長官が米誌「
フォーリン・ポリシー」に寄稿した「米国の太平洋時代」と題した
論文の中で指摘されている。
 論文の中では、米国が過去10年間で、アフガニスタンとイラク
の2つの軍事行動に膨大な資源を費やしたと指摘されている。クリ
ントン国務長官は、今後10年間はアフガニスタンとイラクではな
く、アジア太平洋地域が米国の政策で中心的な位置を占めるだろう
との見解を示した。

 論文では、日本、韓国、フィリピン、タイとの軍事同盟も近代化
する必要があると述べられている。世界の変化に合わせた形で同盟
関係を構築していく必要があるからだ。そのような代表的な例とし
て、中国の台頭が上げられる。興味深いことに、クリントン長官が
挙げた同盟国リストに含まれる国々を地図で見ると、中国を取り囲
んでおり、これは中国に圧力をかけているようにも思われる。

 ロシア科学アカデミー極東研究所のヤコフ・ベルゲラ専門家は、
次のような見解を示している。

「このドクトリンの目的は何よりも、中国の経済成長、中国の地政
学的影響への対抗だ。経済力の変化は軍事力にも関係するが、これ
は、何らかの軍事目的に関するものだけではない。米国は、自国が
アジアでの立場を強化しなくてはならないと一度ならず述べており
、中国はその動きを注視している。米国はアジアで立場を強化する
ために、同盟国ならびに中国の増大する影響力に懸念を示す国々と
、軍事およびそれとは別の同盟関係を強化しようとしている。米国
はまず第一に、南シナ海と東シナ海での領土問題を利用しながら、
中国とこれらの国々を対立させようとしている。中国の経済、政治
、そして軍事力の成長テンポは、米国が自国のポテンシャルを維持
する速度に勝っている。米国と中国の争いは、特にこれと関連して
先鋭化した。」

 米国防総省は一年前、米議会で地域における中国の軍事野心の増
大が、米国の安全保障を脅かしていると認識させることに成功した
。その結果、太平洋のグアムにある軍事基地の近代化が始まった。
日本と韓国の基地には米国の新たな戦闘機が誕生し、朝鮮半島には
、近いうちにも米国の次世代無人機が配備される。

 これらの国々と米国の軍事演習では、装備レベルが上げられた。
軍事演習は、南北朝鮮関係の悪化および日本と中国の東シナ海を巡
る論争が先鋭化した時期に実施された。これらは中国を刺激し、中
国では、第5世代戦闘機の製造促進、潜水艦の積極的な近代化、空
母の建造という野心的なプログラムが始まった。

  緊張感の高まり、それに伴う軍事費の増大によって各国の政治エ
リートが懸念を示していることは十分に理解できる。そう考えてみ
ればアジアは今日、各国の利害が渦巻く、世界でも有数の対立地域
となっていると言えるだろう。
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兵力削減へ調達見直し=対中国、西太平洋は戦力重視−米国防長官
 【ワシントン時事】パネッタ米国防長官は11日、財政赤字対策
を受けた国防費削減方針についてワシントンで演説し、米軍兵力を
削減するとともに、武器調達の在り方を見直す考えを示した。
 ただ、アフガニスタンやイラク戦争といった2正面の紛争に同時
に対処する能力は保持。また、小規模な精強部隊による即応展開能
力を高めるとともに、軍拡著しい中国の台頭を踏まえ、西太平洋の
米軍の戦力を重視することを強調した。(2011/10/12-12:33)
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北方領土に対空ミサイル配備=戦車大隊、軍施設も−ロシア
 【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ロシア国防省高
官は12日、北方領土を含む千島列島(クリール諸島)の軍部隊に
、自走式の対空ミサイル発射装置「ブク(ブナ)M1」の配備を終
えたことを明らかにした。
 同高官によると、T80戦車大隊も配置されたほか、国後、択捉
両島で新たな軍事施設の建設を開始。軍備強化は「今後も継続され
る」という。 
 マカロフ参謀総長は5月、2014〜15年までに北方領土の軍
備を近代化すると表明。対艦ミサイル発射装置「バスチオン(とり
で)」を配備する計画も明らかにしている。(2011/10/12-22:31)
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「価値観外交」とソフト・パワー
2011年10月13日22時38分BLOGOS凜

 ブログの標題が「政治学に関係するものらしきもの」でありなが
ら、どうもここのところ、あまり政治に関係の薄いネタばかりだっ
たような気がするので、今日は外交ネタなどを少し。

1 「価値観外交」
 『環球網』に「日本推行“价??外交”疑似“新瓶装旧酒”」(日
本は”価値観外交”を推し進めているが、まるで、新しいビンに古
い酒をつめているようだ)という記事が掲載されており、日本の「
価値観外交」が批判されておりました。
 
 「価値観外交」と言われてもあまりピンとこない方が多いのでは
ないでしょうか。ウィキペディアにも項目がありますが、一言で言
えば自由とか、民主主義といった日本と共通の価値観を有する国々
を増やしていこう、こうした国々と互いに手を取り合っていこうと
いう外交です。
 
 『環球網』では市場経済をとり、法制などで同じような価値観を
有した国家の協力関係を強めることとしております。そして、玄葉
光一郎外相の説明を引用して「日米同盟を中心として、アジア・太
平洋地域で、民主主義の価値観を基礎とし、安定した多様な社会の
秩序を構築する」こととも述べています。
 
2 日本外交まとめ
 また、この記事では日本外交についてなかなか面白い分析をして
おりましたので、簡単に以下にまとめておきます。
 7・80年代には自民党政府はODA(政府海外援助)により「援助
外交」を推し進め、アメリカから完全な独立を果たし「普通の国」
になることを目指していた。

 しかし、バブルが崩壊し「失われた20年」と言われる状態とな
ると、「援助外交」を続けることが困難となった。そのため日本は
経済援助を行うにあたりそれ相応の見返りを求めるようになった。
 
 具体的には日本企業の海外市場や資源の安定的な確保などである
。そのためアジア、中南米などが日本技術の販売の場となっており
、日本企業のための市場の基礎となりつつある。

3 「価値観外交」の目的? 
 そして日本が「価値観外交」を推進する理由として、中国がある
としております。野田首相は「日中友好」を掲げながら、実際はア
メリカと共に中国に対抗(中国包囲網を形成)するためにこうした
ことをしていると続きます。 

 その上でこれは冷戦思考の産物であり、反共意識の表れで、国内
経済が共にうまくいっていない日本とアメリカが「価値観外交」で
国際政治で主導権をにぎろうと考えているようだが、うまくいくは
ずがないという結論を導きだしています。
 
 4 「価値観外交」とソフト・パワー
 「価値観外交」は確かに、野田政権内で議論されておりますし、
玄葉大臣も言及しております(外務省「外務大臣会見記録」)。た
だ、この発言を見てもわかるとおり、日本にしてみれば、「民主主
義的価値観というものをしっかり、特に東アジアとかアジア太平洋
で守っていく。」と当たり前の話にしか過ぎないとしています。
 
 また、冷戦は多くの側面を有しており、価値観の衝突という面も
あったことは間違いなく、そのため「冷戦思考」という批判が一見
あてはまるようにも思えなくはありません。しかし、当時は「鉄の
カーテン」と呼ばれるほど互いに意思疎通のないまま価値観の衝突
を迎えたのが問題だったにすぎません。
 
 現在のように、互いにこれだけ自由に交流できる状態においては
、むしろジョセフ・ナイの提唱した「ソフト・パワー」(簡単に言
ってしまえば、その国の文化的影響力、日本ならアニメ文化か)の
一環という方がより実際に近いのではないかと思います。
 
 つまり、日本の文化を広めることによって、日本の影響力を強め
ようとしているに過ぎないのではないかということです。実際、玄
葉大臣も共同通信の記者から価値観外交は「(北朝鮮、中国といっ
た)国々を排除する論理になるのかどうか」という質問を受けて、
今一わかりにくい日本語ですが、このような趣旨のことを述べてい
るのではないかと考えます(外務省「外務大臣会見」)。

 実際、中国も孔子学院などを通じて、他国に中国語や中国文化の
教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的とした様々な活動を行
っております。他にも、国営の新華社が外国語放送に力を入れて、
中国の宣伝をこれだけ派手に行っているわけですから、そういう意
味ではあまり変わらないように思うのですが、どうでしょう。

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