4139.アジアで米代理人の日本



米国のアジアからの撤退が、どの程度かでアジア情勢は大きく変化
する。それをアジア諸国の政治家は皆見ようとしている。それで、
アジア情勢は大きく変化するからである。  津田より

0.財政支出で米軍削減
2011会計年度(10年10月〜11年9月)の米財政赤字が、
過去2番目の大きさだった10年度とほぼ同水準の1兆3千億ドル
(約100兆円)となる見通しだと発表した。このため、財政支出
削減が待ったなしである。

まず、2014年末にアフガニスタンの駐留米軍が撤退することは
決まっている。同国が再び内戦に突入したり、反政府武装勢力タリ
バンが支配したりする恐れがあるとの報告書を英国政府が出した。
しかし、これにより、米陸軍は、10個旅団の削減や5万人削減計画
が検討されている。その結果は、ユーラシア大陸への派兵はしない
ことになる。そのような余裕がない。

それだけの削減では足りなく、米海軍が、抑止力の要の原子力空母
もリストラ対象として検討していることが分かった。莫大な費用が
掛かる原子炉の核燃料交換を中止して、現在の空母「ジョージ・ワ
シントン」を廃船にするというのだ。

米空母現行の11隻体制を10隻に減らすという案が検討されてい
るようだ。このリストラでは乗組員約3000人も削減対象である。空
母「ジョージ・ワシントン」の原子炉交換をしないとすると2016年
から2021年の間に運行を停止することになる。

ツイッターでは、この空母を日本が買取、日本が運用すればよいと
いう意見と空母の名前をどうするかという議論が巻き起こっている
が、それは経費的には大変なことになる。それよりは22DDHを
軽空母にして、カタパルトを装備したほうがよいと思う。その軽空
母に、FB18またはF35Bを搭載していくことだ。

米空軍は、F35Bの発注数の大幅削減を検討している。F35Bの欧
州への配備を計画されていないという。全体的には無人機化の方向
であるようだ。

海兵隊は、約半分になるが、それ以上の削減、または全廃も検討さ
れているようである。沖縄駐留の海兵隊もどうなるのか分からない。

このように米軍の削減計画が決まるまでは、沖縄問題は検討ができ
ないことになる。しかし、クリントン国務長官が言うように、沖縄
からの米軍撤退は、大きなインパクトをアジア諸国に与えることに
なる。オバマ政権としては、沖縄からの撤退は考えていない。

しかし、議会筋では真剣な議論がされている。米下院の孤立主義的
な保守のロン・ポール議員(共和党)とリベラル派のデニス・クシ
ニッチ議員(民主党)は、日本駐留を含む米軍の前方展開戦略が「
財政上の問題になっている」とポール議員、在日米軍を維持する「
余裕はない」とクシニッチ議員と両者ともに、米財政赤字が最悪規
模に膨らむ中、在日米軍は撤収すべきだとの考えを示している。

この予算の削減規模が民主党、共和党の協議で決まるので、議会筋
の意向が反映される可能性もあるのだ。このため、いろいろな削減
パターンにおける軍事戦略を構築しているようにも見える。

また、オバマ米大統領は来年11月の大統領選で共和党候補らに対
して、「勝ち目が薄い」と劣勢に立たされていることを認めている
ので、国民世論が撤退となると、大胆な手に出る可能性がある。

このような情勢で、軍事評論家がオフシェア・バランシングなどの
戦略を議論し、米軍は統合エアシーバトルなどの戦術を提案してい
る。しかし、政府方針が決まっていない。その中、米海軍、陸軍、
空軍の予算削減のバトルが始まろうとしているようである。

1.TPPの位置づけ
今までは、TPPの位置づけが曖昧であったが、ここに来て、この
TPPの位置づけが変化した。中国は自国優位なFTAを結ぶ方向
であり、中国として不利なTPPには入らないことが確定している
。このため、逆に米豪などを中心とした自由主義国経済圏となるよ
うな経済圏の性格が付けられて、中国影響圏と明確な違いが出てい
る。

もう1つ、中国の侵略戦争を意識したことで、反中国同盟という性
格も帯びてきた。このため、野田首相は、11月にハワイで開かれ
るアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、環太平洋経
済連携協定(TPP)への交渉参加を表明する意向を固め、関係省
庁に参加表明に向けた準備に着手するよう指示した。

戦争を意識した時点で敵とは交易を持たないことになる。ブロック
経済圏での交易しかできない。ここが分からない経済学者や評論家
がいる。損得の問題ではなく、生死の問題で考えることが重要な時
代になったことをまだ分からないようだ。

そして、音痴な企業は、これから中国へ進出するという。あまりに
も安全保障に無関心過ぎる企業が多い。サービス業はそれでも損害
が少ないが、製造業は新規に中国への進出はおかしいし、大きな損
害を蒙ることになる。

その証拠に、米国防総省は、レアアース(希土類)金属に対する米
軍の依存度の高さを挙げ、中国の供給に対する代替源を探るよう勧
告した報告書を作った。中国との交易が途絶える可能性を考え始め
ている。

また、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に「変化するシン
ガポールの対中姿勢」という論説が掲載されいる。台頭する中国に
対するシンガポールの態度には微妙な変化みられ、最近は細心の注
意を払って玉虫色の態度を取るようになっている。

一歩進んで、対米関係の重要性を強調するのがこの国の主流となっ
ているように見える。政府は公に「アメリカ人はアジア太平洋地域
から出て行く必要はない」と言い始めている。対中政策にアメリカ
の軍事力が必要だからだ。

2.中国の動向
新幹線事故、地下鉄事故など、中国の近代化推進を急ぎすぎて、質
の面で劣っている状態が徐々に、明らかになっている。機械部分は
コピーできるが、ソフトや高度部品はそう簡単にはコピーができな
い。

このような状況を示す事件があった。陝西省西安市で、試験飛行中
の戦闘機「殲滅10B(J−10B)」が墜落した。J−10Bは改良型
で、J−10Aと比べて性能が相当に向上させ、F−15、F−16に対
抗する戦闘機として開発された。このエンジンは、ロシア製であり
、このロシア製のジェット・エンジンに問題があるようだ。

空母「ワリヤーグ」も、タービンエンジンではなく、ディーゼルエ
ンジンのために、速力が出ないという。このように中国は相当に背
伸びをしているのが実情である。技術者は、その現実を知っている
が、政治家や軍人は文系の人たちで、あまり実態を知らないことで
、大きく現実とは違う形で、中国の技術を礼賛している。もう米国
の技術は吸収した。これからは、米国を打ち負かすという。

定遠、鎮遠などは、清国海軍がドイツのフルカン造船所に発注して
建造した甲鉄砲塔艦で、建造当時東洋一の堅艦と呼ばれた。李鴻章
が率いていたが、その乗組員は訓練もされていない水兵であり、昔
から、見栄えがよいが中身がない。そして、言うことはデカイ。
「空き樽は音が高い」を思い出す。

3.自衛隊の活動範囲が拡大
日米豪3カ国による防衛協力を強化し、東南アジア各国を支援する
方向である。海上自衛隊と米豪の海軍は今年7月にはブルネイ沖で
共同訓練を行い、南シナ海の領有権問題で強硬姿勢を見せる中国を
けん制した。

また、F35戦闘機を主に開発した米ロッキード・マーチン社が、
日本の防衛産業にF35の製造技術を一定程度開示し、主要部品の
製造やエンジン組み立てなどを認めることを防衛省に提案した。

同社関係者は「米政府が日本に対し、広範囲の技術開示を行うこと
を了承した」と。米国がF35を少量しか発注しないので、日本の
大量発注が米国でも必要になっているのだ。一定の技術開示が認め
られたことで、選定でF35が有利になる可能性が出てきた。

また、日本の航空自衛隊の空中給油機が、米軍戦闘機に空中給油で
きる覚書(MOU)を交わした。この延長上で、自衛隊は米軍以外
のNATO軍機とも将来、物品役務相互提供協定(ACSA)や覚書などを
締結すれば、国際貢献活動などで給油することが可能になる。

また、南スーダンへのPKOも行くというように、自衛隊が世界に
出て行くことになる。米軍が縮小すると、日本はその穴を埋めるた
めに、活動範囲が広がることになる。

4.今後の世界はどうなるか?
このように、アジア地域での戦争を意識されたことで、ロシアも手
を伸ばしてきている。2012年に大統領に復帰することが確実なプー
チン首相が、ユーラシア同盟と呼ぶ旧ソ連諸国との経済統合構想を
発表した。

中央アジアやウクライナなどを意識していると見るが、北朝鮮にも
手を出すことが確実である。また、日本の中東からの石油ルートが
不安になることが明らかであり、ロシアの石油と天然ガスを売り込
むチャンスである。

日本も日本周辺からの天然ガスは、非常にありがたい。このため、
北方領土返還とは別次元でエネルギーの供給を受けることになるが
、やはり、北方領土問題も解決するべきである。ロシアとインド、
そして、日本は組むべきであると私は思っている。

しかし、ここでも国粋主義者は反対をしている。世界の情勢を見な
いで騒ぐのもいい加減にしてほしいものである。アジアでの戦争を
控えているこの時期、反中同盟のほうを優先していくしかない。

また、武器3原則をなるべく早く撤廃して、同盟国に日本の優秀な
武器を供給するべきである。

さあ、どうなりますか??

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アフガン再び内戦の恐れ 14年末以降と英政府報告書
2011年10月9日 10時41分東京新聞

 【カブール共同】英紙デーリー・テレグラフ(電子版)は9日ま
でに、アフガニスタンの駐留国際部隊が2014年末に撤退した後
に、同国が再び内戦に突入したり、反政府武装勢力タリバンが支配
したりする恐れがあるとの報告書を英国政府がまとめたと報じた。
 カルザイ大統領も7日放送の英BBCとのインタビューで、アフ
ガンの治安が確保できていないことを認めており、同国の治安情勢
に悲観的な見方が広がっている。
 報告書は、アフガンとパキスタンの国境のパシュトゥン人が多く
住む地域に武装勢力が集まり、欧米諸国の安全を脅かす可能性があ
るとも指摘したという。
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中国の戦闘機J−10Bが墜落…大量配備「期待」の型式
2011/10/09(日) 12:37サーチナ
    

  香港メディアなどによると、陝西省西安市で最近になり、試験
飛行中の戦闘機「殲滅10B(J−10B)」が墜落した。操縦士は死
亡した。J−10Bは米国のF−16に匹敵する戦闘機で、一部性能は
さらに上回るとして、中国は大量生産と配備を目指しているとの見
方がある。

  墜落場所は西安市東北郊外の閻良区とされる。操縦士は最後ま
で機を救おうとして、脱出のチャンスを逸して死亡したとされる。
同機はロシア製のエンジンを装備しており、墜落の原因はエンジン
のトラブルとの見方ある。

  J−10シリーズでは、初期タイプ(J−10A)が1998年に初飛
行を行い、2005年に配備が始まった。パキスタン軍も同戦闘機を採
用した。J−10Aは、第4世代米戦闘機などと呼ばれる国のF−15、
F−16に対抗する戦闘機として開発された。

  J−10Bは改良型で、J−10Aと比べて性能が相当に向上して
おり、中国は生産ピッチを早めて、大量に配備することを期待して
いるとの見方がある。J−10シリーズを開発したのは成都飛機工業
公司(四川省)で、生産も同社が行っている。

◆解説◆
  米国などによる中国やロシアの軍用機に対する「高い評価」に
は、危機感を演出して開発・配備のための予算を獲得しようとの思
惑があるため、“額面”通りには受け取れない場合があるとされる。
(編集担当:如月隼人)
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首相、TPP交渉参加の意向…表明へ準備指示

 野田首相は、11月にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会
議(APEC)首脳会議で、環太平洋経済連携協定(TPP)への
交渉参加を表明する意向を固め、関係省庁に参加表明に向けた準備
に着手するよう指示した。

 複数の政府関係者が8日、明らかにした。APECの加盟国のう
ち、米国など9か国がTPPの大枠合意を目指して交渉を進めてお
り、首相は、ルール策定段階から日本が関与することが必要だと判
断したとみられる。

 TPP参加を巡っては、関税が下がることで国内市場が外国産品
に席巻されることを懸念し農業団体などが反発している。与党内で
は農業関係議員らが議員連盟を結成し参加反対を求める署名活動を
行っている。政府内でも、鹿野農相らが交渉参加に慎重な構えを崩
していない。首相が今後、政府・与党や関係団体をどう調整するか
が焦点になる。

(2011年10月9日06時33分  読売新聞)
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防衛省:東南アジア軍能力支援 米豪軍と共同で、中国けん制狙い

 防衛省は、自衛隊が培った地雷処理や海賊対処などのノウハウを
東南アジア諸国の軍隊に伝える「能力構築支援事業」を来年度から
始め、そのなかで米軍、オーストラリア軍との共同作業を検討して
いることが8日、明らかになった。日米豪3カ国による防衛協力を
強化し、東南アジア各国を支援することで、軍備増強を図る中国を
けん制する狙いがある。

 海上自衛隊と米豪の海軍は今年7月にはブルネイ沖で共同訓練を
行い、南シナ海の領有権問題で強硬姿勢を見せる中国をけん制した
ばかり。

 防衛省は、12年度予算の概算要求で能力構築支援事業に5億円
を計上した。国連平和維持活動(PKO)などで実績を重ねた自衛
隊の技術力を、東南アジア諸国の軍隊の人材育成や能力向上につな
げたい考えだ。

 具体的には、カンボジアやラオスでの地雷や不発弾処理の技術支
援、ソマリア沖・アデン湾で自衛隊が行っている海賊対処のノウハ
ウを生かしたインドネシアやフィリピンへの助言、東ティモールへ
の災害対処支援が候補にあがっている。将来的には太平洋島しょ国
も対象に含めることを検討している。

 自衛官を現地に派遣するだけでなく、来日した各国担当者を自衛
隊施設で指導することも想定。さらに、防衛省は米豪両軍にも協力
を呼びかけた。両軍とも参加意向を示している。月内にも3カ国で
具体的協議を始める。

 9月28日に東京都内で開かれた日本と東南アジア諸国連合
(ASEAN)との防衛次官級協議でも、自衛隊のPKO活動のノ
ウハウや地雷・不発弾処理技術、東日本大震災での医療活動を踏ま
えた支援を求める声が相次いでいた。【坂口裕彦】

毎日新聞 2011年10月9日 東京朝刊
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虎の子空母もリストラ検討=「ジョージ・ワシントン」対象−財政
赤字で逆風・米海軍

 【ワシントン時事】財政赤字対策で経費削減を強いられる米海軍
が、抑止力の要の原子力空母もリストラ対象として検討しているこ
とが8日、分かった。莫大(ばくだい)な費用が掛かる原子炉の核
燃料交換時期の延期や、現在の空母11隻体制を10隻に減らす案
が浮上。横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする「ジョージ
・ワシントン」(約10万トン、乗組員6000人)もリストラの
検討対象になっているという。
 パネッタ国防長官は少なくとも国防費を今後10年間で計4500
億ドル(約34兆5000億円)削減するために、陸海空の各制服
組トップにリストラ案をまとめるよう指示している。
 軍事力の象徴の空母運用は北朝鮮へのけん制や中国などに対する
政治的メッセージとしても利用されている。海軍はジョージ・ワシ
ントンを廃船にしても後継空母を横須賀に回すが、中国が空母建造
を推進する中で空母をリストラすれば、日本を含む東アジア諸国に
心理的影響を与えかねない。(2011/10/08-14:19)
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米財政赤字100兆円に 11年度、前年度と同水準

 【ワシントン共同】米議会予算局(CBO)は7日、2011会
計年度(10年10月〜11年9月)の米財政赤字が、過去2番目
の大きさだった10年度とほぼ同水準の1兆3千億ドル(約100
兆円)となる見通しだと発表した。8月時点の予想を100億ドル
超上回った。自然災害の影響で9月の歳入が想定より減ったことな
どが原因。

 財政赤字のGDPに占める割合は、10年度の8・9%から11
年度は8・6%に低下。8月に成立した債務上限引き上げ法の施行
で、12年度は4年ぶりに1兆ドルの大台を下回る見通しだが、米
景気不安の拡大で、財政赤字が今後予想以上に膨らむ可能性もあり
そうだ。

2011/10/08 10:06 【共同通信】
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F35の主要部、国内企業も参加…米社提案

 航空自衛隊の次期戦闘機(FX)の機種選定で、有力候補とされ
ているF35戦闘機を主に開発した米ロッキード・マーチン社が、
日本の防衛産業にF35の製造技術を一定程度開示し、主要部品の
製造やエンジン組み立てなどを認めることを防衛省に提案していた
ことが7日、わかった。

 共同開発に参加した米英など9か国以外に製造過程への参加を認
めるのは初めて。同社関係者は「米政府が日本に対し、広範囲の技
術開示を行うことを了承した」と説明している。

 F35はレーダーにとらえられにくい最新のステルス性が盛り込
まれ、最先端の「第5世代機」に位置づけられているが、機密部分
が多く国内産業が最終的な組み立て以外は関与できないことが問題
視されていた。一定の技術開示が認められたことで、選定でF35
が有利になる可能性が出てきた。

 ロ社は7日、F35のタッチパネル式コックピットを公開、先進
性をアピールした。

(2011年10月8日03時06分  読売新聞)
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レコードチャイナ:やはりアメリカの傘が必要?シンガポールの対
中姿勢に変化―英紙

2011年10月6日の環球網によれば、英紙フィナンシャル・タイムズ
(電子版)に今月1日付で「変化するシンガポールの対中姿勢」とい
う論説が掲載された。独立以来、人民行動党(PAP)が政権を維持し
、食や買い物が最大の楽しみであるシンガポール。新シンガポール
の父であるリー・クアンユーを敬い続けるシンガポール。街頭に塵
ひとつ落ちていないシンガポール。過去15年ほどにわたって変わら
ない一面とは対照的に、台頭する中国に対するシンガポールの態度
には微妙な変化みられ、最近は細心の注意を払って玉虫色の態度を
取るようになっている。

1990年代中ごろ、リー・クアンユー上級大臣(当時)は主に「アジア
的価値観」を提唱していた。アジア人は勤労・規律・秩序・家庭を
重んじる。これによってアジアは発展し、西洋は衰退していくとい
う思想だ。シンガポールは依然として、シンガポール国立大学リー
・クアンユー公共政策学院のキショール・マブバニ院長に代表され
る「アジア必勝主義」を掲げている。だが現在、対米関係の重要性
を強調するのがこの国の主流となっているように見える。政府は公
に「アメリカ人はアジア太平洋地域から出て行く必要はない」と言
い始めている。対中政策にアメリカの軍事力が必要だからだ。

こうした態度の変化は大衆の意見を反映している。北京からシンガ
ポールは飛行機で6時間の距離だが、中国の影響力は身近だ。シンガ
ポールの不動産高騰の原因の一つは、同国の高級不動産市場に中国
大陸から湯水のように投機の資金が流れ込んでいることにある。安
い中国の労働者がやってきて、賃金水準は下がる。こうした不満が
シンガポールの官僚の中国台頭に対する姿勢となって表れているの
だろう。(翻訳・編集/渡邊英子)2011月10月7日
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NATO軍マニュアルを使用=空自給油機、相互運用で―湾岸戦争教訓
に・米国防総省
時事通信 10月6日(木)2時31分配信
 【ワシントン時事】日本の航空自衛隊が空中給油機KC767を運用す
るに当たり、北大西洋条約機構(NATO)軍の給油手順マニュアルを
使用していることが5日、国防総省筋の話で分かった。自衛隊は米軍
以外のNATO軍機とも将来、物品役務相互提供協定(ACSA)や覚書な
どを締結すれば、国際貢献活動などで給油することが可能になる。
 自衛隊とNATO軍との相互運用性は高まるが、先に判明した米国と
の空中給油の覚書締結と同様、制服組レベルで決められていた。自
衛隊機から米軍などNATO軍機への空中給油は憲法解釈上禁じられて
いる集団的自衛権の行使に当たるとの懸念もあり、国会の審議を経
ずに覚書を交したことは今後議論を呼びそうだ。
 空自が使用しているのは、NATO軍間で空中給油をやりとりする際
にも用いられる「ATP56」と呼ばれる給油手順書。米軍が湾岸戦争や
アフガニスタン戦争などで空中給油をNATO軍機や軍事作戦参加国と
行う際に、共通の手順がなく、運用に支障が出たことを教訓に作成
された。
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高度兵器の中国産レアアース依存脱却を─米国防総省が警告
2011年 10月 6日  13:09 JST

 【ワシントン】米国防総省は議会に対し、レアアース(希土類)
金属に対する米軍の依存度の高さを挙げ、中国の供給に対する代替
源を探るよう勧告した報告書を送った。

 同報告書は、米軍の使う武器製造ベースの健全性に関する年次審
査報告で、米軍にとって潜在的な「アキレス腱」として、高度な武
器製造のために必要なレアアース依存を挙げた。

 問題となっているのはレアアース17元素で、特異な磁性を持ち、
スマートフォン(高機能携帯電話)からハイブリッド乗用車用電池
に至るまで21世紀の民生用ハイテク技術に不可欠なものだ。

 またレアアースは現代兵器にも不可欠で、誘導爆弾(PGB)や
高性能戦闘機などのハイテク武器は軽量のレアアース磁石を用いた
部品に依存している。夜間明視装置やレーザー探知機も同様だ。

 中国は世界のレアアース酸化物(REO)の95%以上を生産して
いる。中国がこの採掘と加工で独占に近い形になっており、とりわ
け中国が昨年、輸出割当制を導入したのを受けて、ワシントンでは
警鐘を鳴らす向きが一気に増えた。

 4日公表された国防総省の報告書は、「レアアース酸化物について
、中国以外の安定した供給源を確立することが不可欠で、それによ
って米国のレアアースサプライチェーンが中国の輸出に全面依存し
ないようにすべきだ」としている。

 昨年、国防総省は、米国のレアアース依存が安全保障面にもたら
す潜在的な脆弱性を審査する包括的な調査に乗り出していた。この
調査結果は公表されなかったが、今回の報告は、レアアース酸化物
を加工してレアアースを取り出せる米国企業を特定する努力を同省
が既に開始したことを示している。同報告書はまた、潜在的な供給
遮断のリスクについても研究している。 

記者: Nathan Hodge  
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【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 すぐに中国宇宙軍の時代が来
る
2011/10/06 03:05
 中国が、初の宇宙ステーション建設に向けた無人実験機、「天宮
1号」の打ち上げに成功した。

 ≪宇宙ステーションが拠点に≫

 宇宙ステーションは、2020年の建設を目指して計画が進んで
いる。「天宮1号」はそのひな型で、今後、3回打ち上げられる宇
宙船とのドッキング技術を確立する目的だとされる。13年には、
中国初の女性宇宙飛行士が「天宮1号」に移動し、宇宙での植物成
長の観察など各種科学実験を実施する予定だという。中国はこれま
でも宇宙での各種種子・苗の育成を実験している。宇宙には鉱物、
太陽エネルギーなどの資源が無尽蔵にあるから、新素材の開発・加
工・製造なども行われるだろう。

 だが、今回の打ち上げには、宇宙ステーションの軍事利用という
重大な意図も込められていることを見落としてはならない。宇宙ス
テーションは単なる科学実験室ではなく、宇宙軍が行動する舞台の
一つにもなるとみるべきである。

 1980年代中葉のことだ。中国軍内で「国防発展戦略」と呼ば
れる高度な戦略論が戦わされた。中国軍では当時、85年から3年
間にわたりトウ小平が断行した「百万人の兵員削減」を機に、全面
的な改革・再編成が進行していた。この戦略論議は、それに伴う軍
の新しいあり方を検討したものだ。中に次のようなくだりがあった。

 将来の戦争は「地上での争奪を目的とした平面戦争」から、「空
間の争奪を目的とした立体戦争」へと発展し、その「空間の争奪」
の一つの焦点が宇宙空間であり、「宇宙空間で優勢になった者が空
間争奪戦を優位に展開することになる」。「空間争奪」という観点
から、「今後の陸軍、海軍、空軍は一体運用されるようになり」、
今後の武装部隊は、大気圏外における単独の「宇宙軍」と、大気圏
内で高度に統合化された「陸海空軍」に二分されるようになる。

 中国軍が、それまでの前近代的な軍隊からようやく近代的な軍隊
に転換しようとしていた時期に早くも、宇宙ステーションを軍事拠
点にすることを前提にしたような宇宙軍の創設構想を論じていたこ
とは、長らく中国軍を観察してきた筆者にとっても衝撃だった。

 ≪すでに20年以上前からの着想≫

 当時、わが国では全く話題にもならず、防衛庁や自衛隊内で筆者
が口にしても笑い飛ばされるのがおちだった。だが、これは中国軍
の全面的で大胆な変革への烽火(のろし)にほかならなかったとみ
ていい。

 それから20年余、中国はその方向へ着実に発展している。99
年11月に、無人宇宙船「神舟1号」を打ち上げて回収し、以後、
2001年1月、02年3月、同12月と、立て続けに打ち上げ・
回収を成し遂げた。これを受けて、03年10月には有人宇宙船「
神舟5号」を打ち上げて回収し、05年10月、08年9月と計3
回打ち上げ・回収を重ねている。今回の「天宮1号」は20年まで
に打ち上げ予定の「神舟8号」、9号、10号と、それぞれドッキ
ングして、宇宙基地を建設する計画だ。そこに宇宙軍が駐屯する可
能性は排除できない。

 宇宙船は1日に十数回地球を周回でき、搭載された高感度カメラ
で、米国、日本、台湾などの軍事施設に対する精密な偵察情報を収
集できる。しかも、搭乗する飛行士を通して情報通信できるから、
地上に対する指揮命令の伝達、コントロールも可能になるという事
態を想定しておいた方がいい。

 他方、中国はレーザー兵器で米軍事衛星を攻撃して無力化するこ
とを意図して数回にわたり実験したものの、予期した成果を上げな
かったようで、数年前にはミサイルで自国衛星を破壊する実験を行
い、衛星の無数の破片を宇宙空間に飛散させる危険な行為である、
と国際的非難を浴びた。有事には米偵察衛星を破壊して、米国の軍
事力を無力化することを目的とした実験だったのは間違いない。

 ≪宇宙空間に米国の弱点見出す≫

 中国がこのように宇宙を軍事利用しようとしているのは、米国と
戦って負けないためには何が必要かとの発想を起点としている。

 中国は、米国に対してがっぷり四つの戦いを挑むことなど考えて
はいない。どうすれば、米国の弱点を突いて打ち破ることができる
か日夜、懸命に考え抜いている。たどり着いた結論のひとつが、米
軍事力は宇宙経由の情報や指示によって動いているから、軍事衛星
を破壊すれば機能不全になる、という考え方だったのであろう。

 中国軍に宇宙兵器が装備され、関連した技術を有する軍人・専門
家から成る宇宙軍が創設され、宇宙に軍事拠点が築かれて、中国が
それを足がかりに動く日は、それほど遠い将来のことではない。

 わが国も、宇宙開発には多額の国民の血税を注ぎ込んでいるわけ
だから、中国が宇宙を軍事利用する近未来への備えを、例えば米国
などと共同で検討し始めるときに来ているのではないだろうか。

 中国が台頭し進出するに連れ、わが国の安全保障を支えてくれて
いる米軍のアジア・太平洋地域での存在は、相対的には低下してく
るという長期的傾向に、わが国は正面から向き合う必要がある。
(ひらまつ しげお)
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周辺国統合、米欧中に対抗 プーチン氏、ロの針路示す

 【モスクワ共同】来春のロシア大統領復帰が確実視されるプーチ
ン首相が4日、ユーラシア同盟と呼ぶ旧ソ連諸国との経済統合構想
を発表した。ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と公言
するプーチン氏にとって、ロシアと周辺国を束ねて米欧や中国との
対抗軸にするのは悲願。大統領復帰後のロシアの針路を示した形だ。

 構想の背景には、ロシアとカザフスタン、ベラルーシとの「関税
同盟」実現や、3カ国の経済統合を進める「統一経済圏」の来年1
月発足がある。

2011/10/05 18:47 【共同通信】
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米大統領選、オバマ氏「勝ち目薄い」 米テレビで
2011年10月4日17時13分

 オバマ米大統領は3日、米ABCテレビとのインタビューで、来
年11月の大統領選で共和党候補らに対して、「勝ち目が薄い」と
劣勢に立たされていることを認めた。

 ABCが行った最新の世論調査で、オバマ氏が「1期限りの大統
領になる」と答えた人が55%にのぼったことを示され、「勝ち目
が薄いか」と問われ、オバマ氏は「その通りだ」と回答。「私は勝
ち目が薄いことには慣れている」とも述べた。

 オバマ氏は、劣勢の最大の要因となっている経済状況についても
、「4年前より人々の暮らしがよくなっているとは思わない。失業
率はいまだに高い」などと語り、現在、米議会で審議されている雇
用対策法案の成立が必要だとの立場を強調した。
(ワシントン=伊藤宏)  
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訓練時、米軍に空中給油 自衛隊が覚書締結
2011年10月3日14時2分

 日本の航空自衛隊の空中給油機が、共同訓練などの際に米軍戦闘
機に空中給油できる覚書(MOU)を交わしていたことがわかった。
自衛隊と米軍が昨年10月に結んだもので、藤村修官房長官が3日
の記者会見で明らかにした。憲法解釈で認められていない集団的自
衛権の行使の可能性をめぐり、運用のあり方が論議を呼びそうだ。

 藤村長官は3日の会見で「過去、(米軍からの)一方通行だった
給油を、日米共同訓練では自衛隊から可能になる覚書を締結した」
と説明した。日米両国は共同訓練や周辺事態、武力攻撃事態などの
際に、相互に燃料などを融通できる物品役務相互提供協定(ACSA
)を結んでいる。今回の覚書も、この協定に基づくというものだ。
これまでの共同訓練では米軍の給油機が自衛隊機に給油していたが
、自衛隊の給油機は米軍機に給油していなかった。

 自衛隊の空中給油機は2008年に初めて配備され、現在は航空
自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)で4機が運用されている。ただ、
空中給油機は戦闘機の航続距離・時間を延ばすことができ、海外で
の攻撃が物理的に可能になることから、「専守防衛の枠を超える」
という批判もあった。

 米軍の軍事作戦として展開する米軍戦闘機への給油は、憲法解釈
で禁じた集団的自衛権の行使につながる恐れがあるが、藤村長官は
「そのレベルの話ではないと判断している」と言及。憲法解釈上、
問題となるような運用はしないという考えを示した。
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米議員「在日米軍は撤収すべき」 財政赤字で

 【ワシントン共同】米下院のロン・ポール議員(共和党)とデニ
ス・クシニッチ議員(民主党)は15日までにそれぞれ共同通信と
の単独会見に応じ、日本駐留を含む米軍の前方展開戦略が「財政上
の問題になっている」(ポール氏)と述べ、米財政赤字が最悪規模
に膨らむ中、在日米軍は撤収すべきだとの考えを示した。

 孤立主義外交を唱えるポール氏は保守層に人気があり、クシニッ
チ氏は民主党内で最もリベラル派の一人として支持を集める。いず
れも過去に大統領選に挑戦した経験を持つベテラン議員で、在日米
軍を維持する「余裕はない」(クシニッチ氏)と共通認識を訴えた。

 米軍は、8日発表した指針「国家軍事戦略」で「北東アジアの戦
力を今後数十年間堅持する」と明記。米議会内にも台頭する中国や
核問題を抱える北朝鮮を念頭に、在日米軍の重要性を説く声が依然
としてある。

 しかし、ポール氏は「日本がすべての責任を自ら負う時だ」とし
、平和と安全を確保する上で米軍依存をやめるべきだと主張。在日
米軍は抑止力だとする議論は軍事的プレゼンスを維持するための「
口実だ」と一蹴した。

 クシニッチ氏も「米国に世界の警察を務める金はない」と強調。
在日米軍を「過去の遺物」と呼んだ上で「移転して軍事優先政策か
ら脱却すべきだ」と述べた。

2011/02/15 18:19   【共同通信】

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