4136.日本の東アジアへの貢献を問われる?



新世紀を定義づける地政学的なドラマは、恐らく、中国と米国が軍
事力と影響力を競い合う戦いだろう。この新たな争いは既に、両大
国にはさまれたアジア諸国に厄介な選択を迫りつつある。

ベトナムは中国と米国、ロシアを見比べているが、中国に着くと南
沙諸島の多くを手放すことになる。ロシアはユーラシア同盟を結成
して、自国の生存権を確保する意向である。というように米国、中
国、ロシアがアジア諸国を自国勢力圏にする競争になる。

日本の位置づけは、米国の代理人として、アジア諸国を取り込むこ
とであるが、出過ぎると中国との戦争に巻き込まれるので、注意し
て、行くことが必要であり、米豪との連携でのプレーとなる。

この日本の出番が、東アジア首脳会議(EAS)での海上安全保障
問題を協議する「東アジア海洋フォーラム」であるが、これはある
程度の軍事的な備えがないと、中心的な役割を担えない。

F18を米国は勧めてきている。F18は海軍の艦載機であり、空母と一
緒に行動する機種である。日本は22DDHという軽空母を建造す
る計画で、それにカタパルトを設置すると、F18はもっとも適した機
種となる。日本もそれなりの準備を進めている。

ここで、米国は中国と対決ムードになっている。米中間の「通商戦
争」になる上院での制裁法案を審議することになったが、ベイナー
共和下院議長は、他国に通貨価値への対処を迫る法案を議会で通す
ことは「非常に危険だと思う」と発言した。戦争の臭いがする状態
で、そのようなことをすると、よりきな臭くなると言うことのよう
である。

米国内でもアジアでの戦争を嫌う人たちが居るので、まだ日本が出
すぎると、米国は引く可能性もあり、日本も、米国の動向を見なが
ら東アジア諸国との対応をする必要がある。いやな時代になったよ
うだ。

韓国の通貨ウォン暴落も戦争を起こすから朝鮮という連想で、暴落
している。戦争を世界が意識し始めている。これを一切、記事にし
ないのが日本で、だから日本国民は状況が見えないことになってい
る。

ここのコラムを見ている人しかわからない。

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東アジア 海洋保安会議 中国をけん制、日本提案へ 
(9/28 読売朝刊)

 政府は27日、11月中旬にインドネシアで開かれる東アジア首
脳会議(EAS)で、海上安全保障問題を協議する「東アジア海洋
フォーラム」(仮称)の新設を目指す方針を固めた。
 EAS参加国に理解を求め、首脳会議で採択する共同声明にフォ
ーラム新設を明記したい考えだ。海洋活動の拡大を続ける中国と周
辺国の摩擦が続く南シナ海や、尖閣諸島のある東シナ海などを念頭
に、中国をけん制する狙いがある。
 野田首相は27日、フィリピンのアキノ大統領と首相官邸で会談
し、海上安全確保を「共通の戦略的利益」と位置づけることで一致
した。新フォーラムを念頭に「あり得べきルール作成に資する、ネ
ットワークの育成に向けて協力する」ことでも合意した。
 EASは日中韓、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、
豪州などが参加。今回、米露首脳が初出席することで、国際的な影
響力が高まると見られている。外務省によると、新組織はEASの
下部組織として設け、政府高官や専門家で構成。〈1〉国際法規順
守〈2〉航行の自由――など海上安全保障に関する原則を協議し、
中国の自制的行動を求める。
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プーチン首相、旧ソ連経済圏を提案「効率的な統合で繁栄」
2011.10.5 08:43サンケイ
 【モスクワ=遠藤良介】来春の大統領復職が確実視されるロシア
のプーチン首相は4日付の露紙「イズベスチヤ」に寄稿し、旧ソ連
諸国を単一経済圏「ユーラシア連合」に再統合する構想を打ち出し
た。プーチン氏は露、ベラルーシ、カザフスタンで形成する「関税
同盟」が「ユーラシア連合」の基礎になるとし、「効率的な統合」
こそが旧ソ連諸国の繁栄を約束すると記している。

 プーチン氏が大統領選出馬を表明して以降、長期的な外交目標を
明確に示したのは初めて。氏は最長で2期12年間、大統領を務め
る可能性が出ている。

 寄稿でプーチン氏は、3国の関税同盟が来年1月に人、商品、資
本の移動を自由化する単一経済圏に移行することを「歴史的な道標
だ」と指摘、これに他国も加えた「より高度な統合」が次の課題だ
としている。

 かつてソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的悲劇」と評したプー
チン氏だが、「ユーラシア連合」は「ソ連の復活ではない」とも主
張。新しい価値観に基づき、「経済・通貨政策の緊密な協調」を伴
った「完全な経済連合」を想定していることを明らかにした。

 プーチン氏は、欧州との統合路線を理由に関税同盟参加を拒むウ
クライナを暗に批判。将来的に欧州連合(EU)との対話相手にな
るのはユーラシア連合だとし、同連合への参加によって「迅速かつ
強い立場での欧州との統合が可能になる」と訴えた。
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対中為替制裁法案の審議は「危険」=ベイナー共和下院議長
2011年 10月 5日 08:43 JS

 [ワシントン 4日 ロイター] 米共和党幹部で下院議長を務
めるベイナー議員は4日、中国に人民元切り上げ圧力を掛ける対中
為替制裁法案(為替相場監視改革法案)に反対すると表明した。

 ベイナー議長が強い懸念を示したことで、同法案が立ち消えとな
る可能性が初めて明確になった。

 議長は記者団に対し、他国に通貨価値への対処を迫る法案を議会
で通すことは「非常に危険だと思う」と発言。「わたしは中国の人
民元への対応に懸念を抱いているが、この法案が解決策となるかど
うかは確信が持てない」と語った。

 上院本会議は3日、対中為替制裁法案の審議入りを決定。自国通
貨を故意に過小評価する国からの輸入品に米国が課税する同法案に
、中国側は強い怒りを表明した。中国人民銀行(中央銀行)と商務
省および外務省は4日、米国政府が為替問題を「政治利用して」お
り、世界経済を貿易戦争のリスクにさらしている、との批判を展開
した。

 下院議長は通常、法案について議会の意思を尊重するが、ベイナ
ー議長は今回、自らの共和党内でも広がりつつある対中制裁法案支
持の機運と立ち向かうことを迫られている。

 民主党はベイナー議長に対し、議長就任時の公約通り、議会の意
思を尊重するよう要求。対中制裁法案の提案者の1人である民主党
のシューマー上院議員は「不可解な理由で共和党の下院指導部は中
国政府に味方している。中国政府に寛大になる時ではない」と語り
、多国間協議を求める他の上院議員の要求をはねつけている。

 一方、ホワイトハウスのカーニー報道官は、米政権は対中為替制
裁法案を検討中だとし、「われわれは、人民元の価値と切り上げの
必要性をめぐる(議会)メンバーの懸念を共有している」と語った。
また、政権は、いかなる措置も米国の「国際的責務」を確実に果た
すものであることを望む、と述べた。
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米中「通商戦争」勃発の懸念 上院、制裁法案審議 中国は猛反発 
2011.10.5 05:00サンケイ

 米上院が人民元相場の上昇を抑制する中国に対する制裁法案の審
議入りを決めたことに関して、中国当局が反発を強めている。米議
員の間で財政赤字と高失業率を改善する切り札としての期待が高ま
る同法案だが、一方で米中間の「通商戦争」を危惧する声が実業界
から上がるなど、波乱含みの審議入りとなりそうだ。

 中国人民銀行(中央銀行)は4日、米上院の対中制裁法案審議入
りについて「遺憾だ」とする声明文をウェブサイトに掲載。法案の
成立は「両国にとって望ましくない通商戦争を引き起こす恐れがあ
り、中国の為替改革にも深刻な影響を与えかねない」との懸念を表
明した。また同法案を成立させても、貿易赤字や高失業率といった
米国の抱える「難題」の解決にはつながらないとする見解を示した。

 さらに中国外務省の馬朝旭報道局長も同日付けのウェブサイト上
で、中国からの輸入品に対する制裁関税の適用を可能にする同法案
の内容について、世界貿易機関(WTO)の協定に違反するとの批
判を展開した。

 今回の対中制裁法案は、ともに民主党のチャールズ・シューマー
上院議員(ニューヨーク州)とシェロッド・ブラウン上院議員(オ
ハイオ州)が、共和党議員を含む19人の共同提案者とともに提出
したもので、3日に行われた超党派での投票の結果、79対19で
上院での審議入りが認められた。

 米国製造業同盟の理事を務めるスコット・ポール氏は声明を発表
し、投票結果について「政府や下院の共和党議員のみならず、中国
に対しても強烈なメッセージとなったはずだ。米国の有権者は国内
の雇用並びに公平なビジネス環境を確保するための対策を強く求め
ている」と述べた。

 これに対し、米商工会議所を初めとする多くの業界団体は、制裁
法案が中国側の報復措置を引き起こすとの懸念を表明。米中経済協
議会のジョン・フリスビー会長は、4日までにブルームバーグ・テ
レビのインタビューに答え「米国企業の対中輸出に間違いなく影響
が出るだろう。雇用の改善を図るなら中国側との政府レベルでの協
議を進めるべきで、制裁関税は逆効果だ」と主張した。

 さらに、今回の保護主義的な動きが欧州債務危機などですでに停
滞著しい世界経済の回復を一段と遅らせるとみる専門家もいる。バ
ンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのエコノミスト、陸
挺氏(香港在勤)は「景気が世界的に低迷する中でこうした問題が
持ち上がったのは間が悪い。通商戦争に発展すれば、各国が打撃を
被るだろう」と予測した。
(ブルームバーグ Sophie Leung、William 
McQuillen)
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米国と中国、どちらを選ぶか
jpress
(2011年10月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
新世紀を定義づける地政学的なドラマは、恐らく、中国と米国が軍
事力と影響力を競い合う戦いだろう。この新たな争いは既に、両大
国にはさまれたアジア諸国に厄介な選択を迫りつつある。

 米国連邦議会上院では3日、中国から輸入される製品に関税を課す
ことを容認する法案が可決されると見られていた。

 仮に、米国の保護主義の勢いがこれでしばらく止まるとしても、
米国内に漂う対決ムードは中国の隣人たちにジレンマを突きつける。

経済的な利益と戦略的な利益のズレ

 日本やインド、オーストラリア、韓国、そして大半の東南アジア
諸国にとって、中国は今や最大の貿易相手国だ。ところが、これら
の国々はまだ、軍事面で最も重要な関係を米国と結んでいる。経済
的な利益と戦略的な利益が互いに異なる方向を指しているこの状況
を、各国は果たしていつまで続けられるだろうか?

 人民日報に先週掲載された社説から判断する限り、そう長くは続
けられないだろう。中国共産党の機関紙である同紙は、「米国の軍
事力という助力と中国とのバランスが取れている限り何でも好きな
ことができると思っている特定の国々」に狙いを定めていたからだ。

 この記事は恐らく、掲載の前日に日本とフィリピンが発表した声
明に触発されたものだ。両国はこの中で海洋分野における2国間協力
の強化を約束し、中国が南シナ海の広い範囲で領有権を主張してい
ることへの異議をほのめかしていた。

 しかし、中国の警告はベトナムやインド、韓国、オーストラリア
、あるいは台湾などに向けられる可能性も同じくらいあった。これ
らの国々は皆、ここ1年間で米国との軍事的なつながりを強めている
からだ。

 もちろん、これは皮肉な話である。隣人たちが大慌てで米国の軍
事力に頼ろうとしているのは、この人民日報の記事が体現している
ように、中国が武力をちらつかせて威嚇してくるためにほかならな
いからだ。

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