4130.現代という芸術アラカワ 第9回



何を見なかったのかを考えよ  現代という芸術アラカワ
From: tokumaru

皆様、

現代という芸術アラカワ、今月は、現代音楽と現代美術の違いにつ
いて考えてみました。ジ・エキセントリック・オペラの「あなたの
とりこ」、すごく素敵です。

現代音楽は、人類史・世界史を踏まえたうえで、今を生きる僕たち
に現代的なメッセージをおくってくれます。

http://www.youtube.com/watch?v=Ih1V6QmjOmo

一方で、現代美術は、「何を見なかったのかを考えよ」という禅問
答をしかけてくる、というお話です。

ではでは

とくまる



現代という芸術アラカワ 第9回    

何を見なかったかを考えよ

 言葉の意味とは記憶である.記憶は経験によってつくられる.だと
すると,日々どう生きるのか,目の前の世界とどうつきあうのかが,
人生の意味の深さをきめることになる.

 イギリスの詩人ウィスタン・オーデンに「耳は怠け癖をもち,慣れ
親しんだものを求め,予想外のものには不快になる.一方,目はせっ
かちで,目新しいものを求め,繰り返しにうんざりする.」という言
葉がある.現代芸術は絵画やインスタレーションが盛況で,現代作曲
家は冷や飯を食う.音楽ファンは,同じ曲を繰り返し聴くが,絵画フ
ァンが同じ作品を何度も繰り返し鑑賞するという話はあまりきかない.

 この耳と目の性向は,耳の受動性と目の能動性にも由来するのだろ
う.だがそれは,敵の接近を少しでも早く察知し,獲物の跡を追う必
要のある野生動物にとっては重要だろうが,人類史の最前線にいる僕
たちにとっては邪魔かもしれない.

 現代音楽は,もっともわかりやすい形で人類と現代の接点を提示す
る.小さなイヤホンから流れ出す音のつながりのなかに,原始時代か
ら現代までを通観し,世界各地で行なわれてきたさまざまな音楽的実
験を踏まえた新しい思想が展開されている.目新しさだけで勝負する
現代絵画やインスタレーションは子供だましだ.僕たちはもっと耳を
挑戦的にしなければならない.

 目は逆に,一見単調な絵画の前にじっと腰を落ち着けて,飽きるこ
となく無心に眺める根気づよさと発見をもとめる好奇心をもたなけれ
ばならない.

「意味のエネルギー」と名づけられた図の中央に「見逃しを示唆する
経験の図式」と赤字で書かれている.フリーハンドで描かれた無数の
矢印が渦まいていて,各所に,「光,音,熱,平衡,振動量,放射,
拡散,溶解,押す,引く,結合,分離,線形性,密度,弾力性,陽孔
,陽極,陰極,電子なだれ,制約強制,搬送波,乱流,流速,水圧,
量子,場,イオン,エネルギー帯,跳躍,角運動量,等速円運動,角
回転,加速,惑星運動,重力,衝突,停滞,こすり,摩擦,明滅,イ
ンパルス,落下,葉緑素/光合成」などニュートン力学から量子力学に
およぶ物理現象を引き起こす要因が散りばめられている.

 君はいったい何を見たんだい.君の経験の背後には,これだけたく
さんの物理的要因が渦まいている.何を見たかよりも,何を見なかっ
たかを,よく考えなさい.経験を整理するのはその後だ.

 見たものに満足するのでなく,見落としはないかとじっと見つづけ
ると,少しずつ姿を現してくるものがある.それを発見する喜びを味
わいなさいとアラカワが言っている.

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アラカワの図式絵画
From: tokumaru  

みなさま

現代という芸術アラカワ 「意味のメカニズム」の図式絵画といっ
しょにアップしました

絵があったほうが理解しやすいかと思います

とくまる

http://www.milestone-art.com/MILESTONES/issue127/htm/p17tokumaru.html

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教皇庁科学アカデミー
From: tokumaru

みなさま、

さて、グーグルで、たまたま「バチカン 科学」をキーワードに検
索すると、教皇庁科学アカデミーというのがでてきます。なんと、
ガリレオの時代からあって、科学によって神の存在を証明するため
の組織らしいです。

日本人では、理化学研究所の野依良治さんと、進化研究の五條堀孝
さんが、会員だそうです。

五條堀さんのインタヴューちょっと面白いインタヴューだと思うの
で、ご紹介します。

http://www.jbic.or.jp/bio/c/files/jrnl0901.pdf


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