4121.中国高速鉄道事故の原因



中国高速鉄道事故の原因―急ぎ過ぎた信号保安設備開発

                    平成23年(2011)9月17日(土) 
                  「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治 
                        協力  同副代表 鎌倉 国年

 去る7月23日発生した中国の浙江省温州市で発生した高速鉄道列車追突事故は、
鉄道部当局の発表によれば、40人もの犠牲者を出しました。停止している列車へ
の追突速度が時速200キロであれば、あんな程度では済まなかったでしょう。時速
118キロと推定されるとの続報があり、世界中の鉄道事故の記録例を観た経験から
一応納得が行きました。
ATC(Automatic Train Control=列車自動制御装置)を装備している日本の新
幹線ではありえない事故です。私はテレビで事故の追突場面を見た瞬間に、こ
れは信号保安設備に根本的な欠陥があったなと思いました。

 その後、元鉄道技術者として他山の石とするべく、内外の報道に注視しており
ます。外国からのニュースは主に大陸中国、台湾そして香港のものです。インタ
ーネットを覗けば、色んな情報に接することができます。香港と特に台湾からの
大陸に関する報道は、以前から中国発のものより信憑性が高いと伺っています。
そうこうしている内にこれだと思う記事に出会いました。2011年08月29日鉅亨
網新聞中心(鉅亨ウエブニュースセンター 台湾系)発 の下記の見出しの記
事です。11ページにもなる長大レポートでした。 

信號奔命:軟件存致命錯誤 高鉄早?必然要出事

大学時代からの親友で中国語に詳しい鎌倉 国年氏に照会しましたところ、
「信号開発に奔走;信号ソフトに致命的欠陥 高鉄事故はいずれ起り得た事故」
との訳を頂きました。
 以下、彼の協力を得て、私自身の元鉄道技術者の知識も踏まえ、記事の概要を
私なりの言葉でお伝えします。専門用語もあり、判り難いと思いますが、大意を
掴んで戴ければ有り難いです。長文になります。お付き合い下さい。

以下記事をベースに
7月23日、D301 号列車がD3115列車に追突した温州高鉄事故はどういう信号
不良で起きたのか。日本でも報じられた、ある信号機器メーカーの社長の死が
それを解くカギである。
事故区間の信号設備を含め、中国鉄道部に信号系統を独占的に供給していた
企業は、中国鉄路通信信号グループであった。社長の馬 騁氏は信号開発・
納入に奔走し、過労の極みに達していたとのこと。事故の1ケ月後の8月22日。
深?での国務院高鉄安全検査計画大会の席上で倒れ、急死した。従来彼には
心臓病の病歴はなかった。事故は、信号保安ソフトの致命的な欠陥から起こ
ったので、世論は同通信信号グループを一斉に批難、その重圧に耐えきれな
かったのである。

だが致命的な設計ミスは何故発生したのか?まだ他にも隠された問題点があ
るのではないか?誰にもわからない。高鉄大躍進の責任は誰にあるのか?
わずか7年の間になしとげた高鉄建設の成果は輝かしいが、その裏にあった
技術者たちの疲労は無視できない。技術開発のあるべき規範と常識を無視し
た拙速主義がこの惨劇を招いたのだ。

全国の高鉄網の信号システムの大半は中国鉄路通信信号グループのもので
あるから,
高鉄の運営、検査及び保守等どの行なえるのか?新しく作り直すことなど
できるのだろうか?
9月1日からは各高鉄路線は一斉に速度を落として運転することになった。
武漢--広州、鄭州〜西安などはもう時速300キロで運転できない。国務院が
乗り出して安全総点検を行なう局面に入ったからである。
(筆者注 しかし信号保安システムに根本的な欠陥があるままでは、速度ダウンは本
質的な安全向上策ではありません)。

7月23日19時44分
温州南駅の報告では、駅の連動設備表示システム(筆者;駅の構内線路と近接
区間を表示する設備で列車の在線状況を表示し、進路制御も可能な設備と思われま
す)には「三接近」の赤色表示が出たが、上海の中央列車制御所(CTC=
Centralized Traffic Control)の表示には何も反映されなかった。
軌道回路式の鉄道の信号制御システムは、電気導体であるレールに信号電
流を流し、列車の車輪が短絡すると、その区間から先には信号電流は行か
ないので、同区間に列車が在線しているものとして、その後方区間には赤
色表示で表すようになっている。ただし、絶縁破壊や雷などで信号機器が
損傷した場合は、列車が在線しないにもかかわらず短絡状態が生まれたり、
信号系統そのものの故障で赤色が表示されたり、赤色点滅が現れることもあ
る。赤色表示が出る原因はいろいろあるが、その場合の処置は「前方に列
車がある」という前提で処理するのである。


いわゆる「三接近」とは、隣接する三つの閉塞区間に列車が接近すること
をいう。駅間をいくつかに区分して閉塞区間と呼ぶ。この区間の前方と後
方には信号装置があって赤と緑等の表示がついている。一閉塞区間は同時に
一個列車だけ在線できる。「永嘉-温州間の閉塞区間は1.4km毎に区切られ
ており、後続列車の進入を阻むようになっているのだ。後ろの信号は赤、
次の区間は黄色、その次は黄緑、さらにその次が緑になる」と管理する駅
の運転係は語っている。

駅連動表示設備は温州駅の信号現示を反映していたので、運転係は列車の
在線を確認することができたが、上海の中央制御所=CTCでは表示されて
いなかった。CTCでは、各駅の制御設備からの信号情報を収集しているし、
駅の信号情報は駅連動設備と駅間制御所の信号と列車在線状況の情報を集
めているのである。従って在線状況とそれに基づく当時の信号は駅と中央
で本来一致すべきところ、一致していなかったのだ。駅連動表示設備は赤
色を示していたのに、中央CTCでは赤が表示されなかった。何も出なかっ
た。意味するところは、「CTC=コントロールセンターがリアルタイムに
信号情報を集めていなかった」ということになる。

19時57分
そこで非常の措置として手動に切り変えて列車群を処理しようとしたので
ある。その際
中央指令員は、雷撃により信号収集機能が喪失したことを発見している。
消息筋はいう。「もし異常表示が出れば、安全原則にのっとり異常表示を
消して、赤表示と赤信号(但し列車の運転台へ)を出して後続のD301
列車に目視による時速20キロ運転を命じるはずが、その表示が出なかった
と推定される。もしこの解釈が成立するならば、雷撃は外部要因でしかな
い。本当の原因はソフトの設計そのものにあるのだ。

(筆者;列車の運転台にも停止を命ずるゼロ信号がでていなかったと思われます。時
速200キロともなれば、停止距離は2,500メートルを超えます。そんな先の信号機など
運転士に確認させるのは困難なので、新幹線等高速鉄道では車内に上限速度を
明示し、それを超えると上限速度まで下げさせる自動的にブレーキが掛るようになって
います。この仕組みをATC=Automatic  Train  Control、列車自動制御装置と呼んで
います)。

ここで注意すべきは上海CTCの異常はD3115列車が永嘉駅に停車している
段階で既に発見されていたことだ。消息筋はヒューマンエラーを起したと
している。

しかるに7月23日の19時27分以降、温州と永嘉駅間では3度にわたり非常
制御「非常站控」が発生している。情報が錯綜し、CTCの列車指令員、
駅の運転当直、運転士の三者は列車の位置を把握できずにいた。そして
未だD3115列車が当該区間を通過していないのに、後続列車を進入させる
規則違反を行なってしまったのである。
(筆者;情報が二種類以上あれば、厳しい方、つまり前方区間に列車がいる前提で
何時でもすぐに止まれる時速20キロ以下の走行をCTCの指令員は、運転士に指示
すべきだったのです。訓練不足の結果でしょう。日本の新幹線では非常運転は時速
30キロ以下)。

8月11日、国務院は温州で第三会全体会議を開いたが、国家安全局長は問
題点として「ソフトの欠陥と管理の二点を指摘した。8月22日安全局スポ
ークスマンは「このような事故を防ぐ責任も重大事項だが、事故後の
トラブルはリスク管理と安全管理の粗漏さから発生している」と指摘。
8月10日の事故調査委員会は鉄道関係者を排除して、全部外部の人員で開催
された。その結果、あまりにも事を急ぎすぎたことによる様々な問題が見
えてきたのである。LKD2-T1(中国鉄路通信信号グループの列車制御
システムのソフト。(筆者;記録のため略式表示もそのまま残します。以下同じ)
なども十分な検証やテストを経ていなかったのである。
C2(CTCS2の略。筆者;信号保安&列車制御システムのレベルを指していると思わ
れます)は、試験に簡単にはパスしなかったのだが、この事故区間の高鉄に
使われたLKD2-T1システムは2008年度の鉄道学会で科学技術一等賞を
受賞しているのだ。
C2、C3などの高鉄の中枢を制御するシステム名称は、あの事故がなかっ
たらだれも知らない言葉である。CはCTCS,中国列車コントロールシ
ステム(China Train Control System)の頭文字から取っており、地上
設備と車載設備で構成されている。

鉄道部は2004年にCTCSの技術標準を策定し、第6次高速化(第6次鉄道
高速化、2007年4月18日 成都―広州間で高速鉄道開業)においてC2を
採用した。同時にC0からC4までの等級を定めた。第6次高速化以前の
ものにはCTS0(以下C0)とし、運行記録装置(LKJ),地上設
備軌道回路、信号機と駅間の通信系統を包含するC0は、時速120km
以下の路線に適用する。同じく120〜160km、200km以上などを等級
に分けてCTCS1(C1)、CTCS2(C2)と定めた。C2の開発には鉄道
部、通信信号院、フィリップス(オランダに本拠を置く電機・家電製品
メーカー)、鉄道科学院、北方交通大学が当たった。上述のCTCSは欧州
のETCS=European Train Control System(欧州鉄道制御システム)
を参考にして制定したものである。ETCSはE0、E1,E2、E3の4等
級に区分されている。C3はE2と基本的に一致しており、C2は自主的
に作ったものでE1より等級は上になる。

地上の制御システムは自主開発だが、急を要していたので、車上の列
車保安システムATP(筆者;ATP=Automatic Train Protection 日本のATC
に近いシステム)は、共同開発方式を採用することとした。
2005年6月、国際入札で鉄道部は個別に、フィリップス、日立と鉄道科
学院、中国南車株州所(中国の車輛メーカー系会社)、CSEE(フラン
スの電気通信会社)と契約した。共同開発する車載設備の技術は合弁
期間を15年とし、満了後は中国が作ることになった。同年10月、個別に
自動列車制動装置に関して通信信号院、アルストーム(フランスの総
合鉄道メーカー)、フィリップス、CSEE,西安ジーメンス(ドイツ 
ジーメンスの現地法人)と購入並びに技術移転に関する契約を結んだ。

2005年11月鉄道部はC2技術標準を策定した。しかし2006年初めには
列車制御ソフトの不具合が発生、緊急停止が多く発生している。7月
には膠済線で試験走行中にATPソフトのトラブルがあり、軌道信号系
統は安定していなかった。ところが同年9月29日に鉄道部は、C2は
基本的に条件を満たしたとして第6次高速化に邁進して行ったのである。
鉄道部は当初列車制御用車載設備の対応速度を時速200キロとしていた。
ところが、第6次高速化の会議後2006年11月にはさらに速め、時速250
キロとしたのである。2006年12月地上設備と時速250キロに対応する車
載設備開発の第二次追加契約を結んだ。

鉄道部は、受注会社にはC2開発のスピード達成を義務付けし、テスト
中のあらゆる問題を極めて短期間に解決するよう要求した。2006年末、
列車の走行試験中 走行試験中に自動列車制動装置が引き起こした緊
急停止は26回にもなり、通常制動は25回に過ぎなかったのである。2007
年4月16日第6次高速化以後、列車保安システムは、車載設備のソフト
と自動列車制動装置の間のトラブルを頻発していた。
C2の開発担当は、中国鉄路通信信号グループの下部組織である通信
信号院だが、研究開発中のCTCと地上設備間をつなぐ通信システムなど、
いずれも鉄道部の審査と技術認定を経ている開示された資料によれば、
2008年1月21日には基本的には満足できると評価され、2008年度の
科学技術部門の最優秀賞に輝いた。2008年7月末、新しいC2は合肥〜
寧波線上で設備されて、以後順次各路線で採用された。この間の様子
をある内部事情に詳しい鉄道部官僚が「とにかく急げ急げで、ろくに
テストもできなかった」と語っている。
 (筆者;ここでC2は、列車保安システムと制御システムの組み合わせのシステ
ムで、あるレベルのものを指し、列車保安システムとしては日本の在来線に使用さ
れているATS-P(Automatic Train Stop ―Pattern)程度のものであることが判っ
てきました。単に赤信号で自動非常停止するATS(Automatic Train Stop)では
なく、曲線区間に速度制限を超えて列車が進入しようとすると自動的に通常ブレーキ
が掛り、制限速度以下になるとブレーキが自動緩解する保安システムです。かなり
保安度の高いシステムです。)

C3の難しさ レベル3の信号保安システム
鉄道部の急進主義に追い立てられて、技術者には運行しながら問題を
解決するという苦肉の策しかなかった。C2に引き続きC3(時速300
km以上の線区に適用)を開発しなければならなかったが、このよう
な拙速主義が無理やり技術を高める面もあって、ある関係者は北京〜
上海間の高速新線(1318km)において開業時時速350kmから300
kmに落とした時に「千載一遇のチャンスを失った。時速486kmの
次は、時速500kmの世界記録が見えていたのに」(筆者;世界記録はフ
ランス国鉄の時速574.8キロ)と嘆いたものである。
(筆者;北京〜上海間の高速新線は本年6月30日、中国共産党の記念日に
合わせ開業。当初最高時速400キロを目指し、北京〜上海間を4時間以下で
結ぶ構想でした。停車時間も含めた表定速度は何と時速330キロを超えます)。
2007年末鉄道部はC3開発に際してRBC(Radio Block Center=無線
閉塞センター)とGSN-R通信基地を加えた。

(筆者;これらは無線で列車を検知し、中央に情報を送るシステムと思われます。
列車がある区間に在線すること無線で検知し、中央指令所=CTCに知らせる
システムのようです。軌道回路方式よりさらにハイレベルと言えましょう。しかし
今回の事故からして中国ではまだ安定した技術なのか大いに疑問です)。

高鉄のあまりの急進的開発には国外から危惧する声があった。通信
設備、信号設備、変電設備、架線設備 の4電気系統をまとめるに当
たり、ジーメンスに協力を求めたが拒否された。「異なる国の、そ
れぞれに違う会社のシステムを集めて良いものができる訳がない」。
とジーメンスは回答している。
ジーメンスの技術者が言ったことがある。「こんなに短時間でこの
ようなシステム系統の統合集成することは不可能だ」。またフィリッ
プスの軌道事業部長は「工期短縮の為に、規定を満たしたことにし
て開発し、施工する。こんなことは!」
C3開発担当の通信信号院は多くの問題に直面した。もともと通号院
は地上設備には強かった。ZPW-2000A(通信信号院が作っている
絶縁軌道回路システム)がその代表例だ。しかし、列車制御システム
は地上設備と車載設備の技術から成り立つのであって、C3の開発に当
たっては地上設備から車載設備へと重点を移さざるを得なくなった。
そこで、中国鉄路通信信号グループの通信信号院はその開発に専念す
る列車自動制御研究所を設立したのである。

C3の複雑さは3つの面がある。
その1は、C3システム系統は地上のRBC無線閉塞センター(無線によ
る列車検知発信設備)によって、車載ATPなど十数個のサブシステムを
組み込み、サブシステムはまた多くのシステムによって構成されており、
総計100サブシステム以上に達すること。
その2は、制御対象が多いこと。北京〜上海間の高鉄(1318km)は移動
体部分以外の地上部分だけでも万を超えること。
その3は、C3は各サブシステムの単純な積層でなく、各サブシステム
間の接続、連携がうまくいってこそ機能するものとあること。
(筆者;私は鉄道技術者ですが、信号通信関係が専門ではありません。しかし、
C3は無線で検知した列車を無線塔で情報を集約し、中央のCTCへ送り、列車群を
制御するシステムだと思われます)

鉄道部が高鉄技術を開発する方式は、いわゆる「肥水外人の田に流さ
ず」(栄養のある水を外国人にやることはない)というものである。
この方針にそって国内企業の育成を図り、通号院はその期待に応えて
実力をつけていった。C0からC1に至る過程で外国企業をふるいにかけ、
C2で更に絞り込み、ボンバルディア(カナダの鉄道総合システムメー
カー)もカスカ(Casca信号有限公司 中国の信号メーカー)も日系も
いなくなり、C3の開発製作段階では通号院とフィリップスの2社だけ
になった。

華為技術=中国の通信機器メーカーは、フィリップスがC3の開発途上
で深?〜-香港線、鄭州〜西安線への参入するのを見て途中から加わっ
てきた。華為技術はベルリンの国際鉄道技術展でHRC(High Speed 
Railway Communication  高速鉄道通信)の全体構成を詳細に展示し、
最新のLTE(Long Term Evolution 高速データ通信仕様(第3世代移
動通信の進化したシステムの由)との組み合わせ通信技術を提案した
が、中国鉄道部のOKは取れていない。

政府の育成方針は通号グループに多大なメリットをもたらした。
1998年利益が1459万元(1人民元=12円 2011/9/17)に過ぎなかった
通号グループは2007年からは急成長、2007〜2009年で純資産は18.6億元
から33.8億元になった。年率成長率=44.7%、収益率=22.5%という数字
が並んでいる。2010年にはこのグループは上場。収入は121億元&利益
12.5億元に達した。通号院はグループの中核企業として発展を遂げたの
である。政府の規制と指導のもとでC2段階では競争も必要だったが
、C3ではフィリップスと完全寡占に至った。高鉄事故の後でさえ投資家
は自信にあふれている。「いったいどこが取って代われるというのか?」
「成るも高鉄、ならぬも高鉄さ」 

通号院が受けた数々の表彰は社員たちのプライドも育てたが、正式開業
後に初めてまともなテストを行なうという拙速主義の陰に、はたして
他にどれだけの欠陥が隠されていることか?

過労死した馬 騁社長は大学入試復活後の二期生で北京交通大卒の初めて
のテクノクラートであるが、高鉄大躍進の最中、上層部の理不尽な追い
立てに従わざるを得ず、多くの同情を集めている。
当時の空気は、「やれ!君ができないというなら、できるという他の者
に代わってもらう」だったから、誰も反論できなかった。
 2011年8月22日 馬 騁社長の葬儀は2011年8月24日深?で行なわれ、 
200人が参列した。

以上が記事の概要です。また続報があることでしょう。

 私は、中国鉄道部が事故後に取った処置、例として列車の先頭部を壊した
こと、車体を一旦埋めたこと、犠牲者の搬出や生存者の救出より自己復旧を
急いだこと、原因究明もせず、信号保安設備に致命的な欠陥を抱えたまま、
事故の一日半後に運転を再開したことなどは、鉄道人として信じがたい気持
であります。現場保存は原因を究明し事故防止に繋げるイロハのイだからです。

 環境問題にも影響が出始めています。高速鉄道事故後、航空機、高速バス
の需要が増大し、バスメーカーの業績が好調とのことです。また富裕層が2
億人に達する中国ではマイカー利用も事故後、伸びていることでしょう。
これらは炭酸ガスの排出を促し、中国大陸の排気ガスは日本列島に必ずやっ
て来ます。
 中国鉄道当局が事故の原因を徹底的に究明し、安全システムを構築し、
鉄道への信頼を取り戻すことを、環境問題の視点からも願うものです。
共産党が報道規制をする国なので、果たしてという気持ちもありますが。
日本でも拙速主義は避けなければなりませんね。
 
     以上、長い一文にお付き合い有難うございました。

                                 以上

「地球に謙虚に運動」代表


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