4119.ユーロ崩壊か政治統合か?



また、ユーロ崩壊の危機がギリシャから始まった。2010年5月
に欧州中央銀行は、危機国の国債買い入れとEUは「欧州金融安定
基金」5000億ユーロ(約59兆円)基金で危機を乗り越えたと
思われていた。しかし、2011年3月にはキリシャの債務不履行の懸
念が再度高まり、7月に第2次支援を行うことになっていた。そこ
から緊張した時期が続いた。やっと、一つの方向が見えて安定した
ようだ。それを見よう。     津田より

0.はじめに
なぜ、2011年3月に債務不履行が懸念されるようになったかという
と、ギリシャの財政赤字が減らないことが明確化したことによる。
去年の危機で、財政支出を大幅にカットしたが、それにより景気が
悪化、税収が減り、そのため財政赤字は大幅には減っていないこと
がわかる。それでユーロ危機が再燃したのだ。

ギリシャ国債を持っているには、ドイツの銀行が339億ドル、フ
ランスの銀行が530億ドル、英国の銀行が131億ドルであり、
米国の銀行は74億ドル、日本の銀行は14億ドルというように、
ギリシャの債務不履行で欧州の銀行の被害は大きくなる。このため
、欧州の銀行の株価は急落している。

このような状況で、ギリシャ議会の専門家委員会は8月31日に公表
した月次報告で、「債務の急増と高水準の基礎的財政赤字は債務力
学を限界まで悪化させ、制御不能な状態にした」との見方を示した。
欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)との支援合意に含まれ
る措置がすべて適切な時期に実施されても、財政赤字削減目標を達
成することはできないとした。

これを受けて、ドイツのショイブレ財務相は9月8日、オランダの
ルッテ首相も7日、「EUの財政規律を守れない加盟国はユーロ圏
からの離脱を選択する権利がある」と、ギリシャに財政規律の強化
を求めた。

また、ドイツのショイブレ財務相は、解決方法として、「強力な民
主主義に裏打ちされた中央集権化が進められるべきだ。ただ、ユー
ロ圏の構造強化には時間がかかり、抜本的な条約改正が必要になる
可能性があり、一夜では実現しない」と、政治統合への道を進むべ
きという考えを示した。

この延長上で、メルケル首相は9日、「国家統合機構としては変わ
りゆく世界の状況に合わせ、いつでも必要な変化を実現できるよう
準備しておく必要がある」とし、「さらなる条約改正が避けられな
くなるのはこのためだ。共通通貨ユーロはこの欧州を保証するもの
なので、統合の深化や一層の信頼性がある場合にのみ、この共通通
貨を維持できる。」と語った。

これは、ジョージ・ソロス氏の「欧州財務省」の創設を含む抜本的
な措置を講じない限り、債務危機が大恐慌を引き起こす恐れがある
と警告したように、同様な意見である。

と同時に、ドイツのメルケル政権は、ギリシャが金融支援を受ける
条件を満たせずデフォルト(債務不履行)に陥った場合に備え、ド
イツの銀行を支援する計画を準備しているとした。

このようなユーロの混乱から、8月18日に公表された世論調査では
ドイツ国民の37%がドイツにとってマルク復活がより良いと考えて
いることが示された。

このような状況で、欧州中央銀行(ECB)は8日理事会を開き、
政策金利を現行の年1.5%に据え置くことを決めた。やっと、イ
ンフレから景気への視点に変えたようである。

また、政策決定後の記者会見で、トリシェECB総裁(68)は暫時
、冷静さを失った。ドイツがユーロを捨ててマルクに回帰するべき
ではないかとのある記者の問いに声を荒げた。トリシェ総裁は「13
年近くにわたりドイツに物価安定をもたらしてきたECBをたたえ
る言葉を聞きたいものだと強く思う」と、同総裁らしからぬ大きな
声で答えた。「われわれは責務を果たしている。それは容易な仕事
ではない」と続けた。

同じ日に、ドイツのシュタルクECB専務理事が辞任した。国債買
い入れをめぐる対立が原因である。このECB内での対立から、欧
州リスクが意識されて、3カ月物欧州銀行間取引金利(EURIB
OR)とユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)のスプレッ
ドが拡大し、2009年初め以来の水準をつけた。欧州の銀行への
貸し出しリスクを意識された。欧州銀行の流動性の危機に陥ったこ
とになる。

このため、ECB、FRB、日本銀行など5主要中央銀行は15日、
欧州の新たな資金調達危機に協調対応し、年末に向け3回のドル資
金供給入札を実施するとした。欧州銀行でドルの調達危機を回避す
るためである。

ドイツのレスラー副首相兼経済技術相は、10日ギリシャの秩序あ
る破綻をタブー視すべきではないとの見解を示した。12日、金融
市場で想定されるギリシャが今後5年間でデフォルト(債務不履行
)に陥る確率が98%に急上昇した。また、ギリシャのサキニディス
財務次官は12日、同国は10月に資金が底をつくとの見通しを示
した。

元イングランド銀行(英中央銀行)副総裁のハワード・デービーズ
氏は、ドイツをはじめとする「強い政府」が「ユーロ圏全体の面倒
を見る準備はしない」と決めれば、ギリシャは直ちにデフォルト(
債務不履行)に陥るだろうと述べた。

欧州委員会のレーン委員は14日、ギリシャがデフォルト(債務不履
行)するかユーロ圏から離脱する、あるいはその両方が起きた場合、
ギリシャだけでなく他のユーロ導入国すべてに劇的な経済、社会、
政治面でのコストが発生することになるのは間違いない」とした。
まさに、ギリシャ以外のポルトガル、スペイン、イタリアなどに危
機が広がるので、ユーロ自体の存続もできないことになるというこ
とである。

このような状態の中、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ
大統領、ギリシャのパパンドレウ首相は急遽14日夜、電話会談し
、独仏両首脳は「ギリシャの将来はユーロ圏にある」として、支援
継続を確認。ギリシャのユーロ圏からの離脱といった金融市場に広
がる観測を否定した。

欧州委員会のバローゾ委員長は14日、ユーロ圏共同債の導入を提
出することを明らかにしたが、ドイツのメルケル首相はすぐに、ユ
ーロ圏共同債は「完全に間違い」だと述べて共同債発行構想を拒否
するとともに、ユーロ圏の安定回復には段階を踏んだ長期的なアプ
ローチが必要との考えを示した。共同債では問題が解決しないと。

米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは14
日、フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリ
コルの長期債格付けをそれぞれ1段階引き下げた。ギリシャ国債を
一番持つ両銀行の評価を下げた。

ここで、EUのユーロ圏財務省会談が開かれた。

1.EUのユーロ圏財務相会談で
欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は16日、ポーラン
ドのウロツワフで会合を開き、7月に決めたギリシャの追加支援策
をすべて早期に実行することで一致した。ギリシャに対しても、現
在進めている財政再建を完全に実行することを求めた。

また、EUの財政規律を定めた「財政安定成長協定」を改定し、規
律に違反した加盟国に対し「ほぼ自動的」に制裁を科すことで最終
合意した。欧州議会の可決、EU首脳会議の承認を経て、来年初め
にも発効する見通しになった。

この他、不測の事態に備えた欧州大手銀への予防的な公的資本注入
を議論した。しかし、EU当局者によると、連鎖危機回避の重要性
では一致したが、ユーロ圏の危機国支援制度「欧州金融安定基金
(EFSF)」を利用した資本注入などの実行では結論が見送られ
た。

ガイトナー米財務長官は16日、欧州連合(EU)財務相非公式理
事会で、ユーロ圏解体についての「安易な発言」を慎むよう苦言を
呈するとともに、欧州中央銀行(ECB)とより緊密に連携して危
機対応に取り組むよう求めた。

これが今までの時系列情報であるが、結論としてはメルケル独首相
やソロス氏のEU統合強化案しか、現時点、ユーロを救う道はない
ようだ。ギリシャをデフォルトに追い込むと、ポルトガル、イタリ
アなどに信用不安が波及して、ユーロ崩壊になる可能性が高い。

安易にギリシャを見捨てるわけにもいかないという結論のようであ
る。ギリシャ危機が他国に波及しないようにするためには、ギリシ
ャを救済するしかないということである。このようにEU内で意見
の統一が図れたようである。このため、落ち着きを取り戻したが、
しかし、問題はギリシャ国内である。

次に、これを見よう。

3.ギリシャ国内の情勢は
ギリシャのパパンドレウ首相は10日、同国の変革という仕事には若
者が必要だと述べ、若者に同国を見捨てて他国に移住しないよう訴
えた。そのくらい、若者は海外に出て行っている。ほとんどは、ギ
リシャがEUの加盟国であるので、独仏英などのEU内発展国であ
るが、米国にも多いようである。

また、9月末までに民営化予定の国有資産などの売却で17億ユー
ロ(23億ドル)を調達する必要がある。ただ、この目標を達成す
るのは困難との見方が広がっている。現時点でギリシャが資産売却
により調達した資金は、通信会社OTE株10%のドイツ・テレコ
ムへの売却による4億ユーロのみ。

ここに救世主として現れたのが、アラブ・ギリシャ商業会議所会頭
のクリストス・フォリアス氏で、かれは「アラブ資本は大規模かつ
速やかにギリシャ投資が可能な資本としては最大だ。アラブの投資
家らはギリシャの成長見通しを固く信じ、危機から脱却できると確
信している」とした。

事実、EFGユーロバンク・エルガシアスとアルファ銀行が合併し
、国内最大の銀行が誕生する運びだが、カタールが支援するパラマ
ウント・サービシズ・ホールディングが新銀行の最大株主となる見
通しだ。

ギリシャは、東半球と西半球の境にあり、欧州陣営であるが、近接
するアラブが欧州に足場を作るには丁度よいのかもしれない。また
、中国がアテネの港湾を買収している。このように東半球が欧州へ
の足場としてギリシャを利用するようである。

この上に、大量の公務員が退職を希望する事態となっている。現地
報道によると、15、16日の2日間で辞表を出したのは1万人以
上。政府が財政緊縮策の一環として公務員の退職金や年金のカット
などを打ち出しているためで、もらえるうちにできるだけ多く受け
取ろうという算段のようだ。

ギリシャでは、観光産業が国内総生産(GDP)に占める割合は
17%(日本は約5%)にのぼり、欧州全域の平均値のほぼ2倍と
いう高さである。財政危機に直面し、本来なら、通貨を切り下げて
外国からの観光客をいっそう呼び込むというのが経済を勢いづかせ
る常套(じょうとう)手段だが、ユーロ圏に属するため、為替は一
国の裁量ではいじれない。そこで今、ギリシャは、政府の主導によ
って「純粋値下げ」を断行。利幅は薄くとも、とにかく大勢の観光
客を呼び込もうと必死なのだ。経済を活性化するには、当面観光し
かないようである。

3.今後のユーロ圏の動きは
ユーロ圏の問題は、経済大国と経済弱小国が、対等の立場であり、
通貨レートの調整が各国ごとに出来ないことと、公定金利もユーロ
全体で決定していることで、経済政策で各国の自由がない。しかし
、財政は各国ごとである。

このため、弱小国の経済が弱くなったとき、通貨レートと金利で調
整できないことになり、不景気の状態を修正する方法がない。財政
縮小すると、経済は弱くなり、益々財政は赤字化して国債発行が必
要になる。このように、弱小国が経済復活への方法がない。

よって、EUの「財政安定成長協定」の中で、財政赤字の幅を厳格
に規律している。この規律に違反した加盟国に対し「ほぼ自動的」
に制裁を科す改定が重要になる。より財政支出での自由度はなくな
る。弱小国経済での財政赤字は認めないということになった。

このように財政の自由がないということは、政治の自由がないこと
同様であり、徐々に、メルケル首相が言うように統合の深化を高め
て、EU全体での政策を統一することになるようだ。

それしかユーロ通貨を持った地域では危機に陥らない方法しかがで
きず、離脱などの混乱で経済危機を起こさずに平穏な経済でいるし
かないことになる。

このようにユーロ通貨圏成立は、不可逆的な変化をしてしまったこ
とが、今回のギリシャ危機で明確になったようである。前に進むし
かないということをユーロ圏の首脳たちは、思い知らされたようで
ある。

さあ、どうなりますか??

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連鎖破綻対策先送り=EU財務相理事会が閉幕
 【ウロツワフ(ポーランド)時事】欧州連合(EU)の非公式財
務相理事会が17日、2日の日程を終え閉幕した。ギリシャ危機の
再燃に伴う銀行の連鎖破綻など金融システム不安への対応を協議し
たが、具体策で結論は出なかった。
 市場ではギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念を背景に、イ
タリアやスペインに信用不安が波及。ユーロ圏主要国の国債価値が
下落すれば、欧州の銀行の資産内容も劣化し、金融システム不安に
つながるとの観測が広がりつつある。
 このため理事会では、不測の事態に備えた欧州大手銀への予防的
な公的資本注入を議論。EU当局者によると、連鎖危機回避の重要
性では一致したが、ユーロ圏の危機国支援制度「欧州金融安定基金
(EFSF)」を利用した資本注入などの実行では結論が見送られ
た。(2011/09/17-21:06)
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ギリシャの公務員、2日間で1万人辞表 退職金カット恐れ
2011.9.17 09:12サンケイ

 深刻な財政危機に陥っているギリシャで大量の公務員が退職を希
望する事態となっている。現地報道によると、15、16日の2日
間で辞表を出したのは1万人以上。政府が財政緊縮策の一環として
公務員の退職金や年金のカットなどを打ち出しているためで、もら
えるうちにできるだけ多く受け取ろうという算段のようだ。

 退職金や年金の受給資格を既に得たベテラン職員が多いため、行
政機能に支障が出るのでは、と懸念する声がある。

 地元メディアによると、15、16の両日で全国の地方公務員や
税務署員、公立病院の職員など1万人以上が辞表を提出。特に希望
者が多かったのが社会保険公社で、約8400人の職員のうち約
1000人が退職を願い出た。

 同国が欧州連合(EU)などの金融支援を打ち切られ、デフォル
ト(債務不履行)に陥るのではないかとの臆測がこうした動きに拍
車を掛けている。2013年末までに定年を迎える国家公務員約15
万人のうち、半数以上が今年中に早期退職するとの予測もあるとい
う。(共同)
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財政規律違反国は「自動的に制裁」 EU財務相合意
2011.9.17 08:57サンケイbiz

 欧州連合(EU)27カ国は16日午後、ポーランド南西部ウロ
ツワフで財務相会合を開き、EUの財政規律を定めた「財政安定成
長協定」を改定し、規律に違反した加盟国に対し「ほぼ自動的」に
制裁を科すことで最終合意した。欧州議会の可決、EU首脳会議の
承認を経て、来年初めにも発効する見通し。

 ギリシャで起きたような財政危機の再発防止に向けた制裁強化策
が、欧州委員会により昨年9月に提案されて以来、ようやくまとま
った。

 財政赤字を国内総生産(GDP)の3%未満に抑えるなど協定の
義務に違反したユーロ導入国には、欧州委の勧告で預託金を積み立
てさせ、違反が解消されなければ罰金として徴収する。欧州委の勧
告は、EU閣僚理事会が加盟国の賛成多数で覆さない限り、ほぼ自
動的に発効するのがポイント。欧州委が加盟国の経常収支などを監
視する制度も新たに導入する。

 財政安定成長協定には罰則規定があるが、手続きが複雑でこれま
で制裁が実施された例はない。(共同)
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EUはECBとの連携強化すべき、対立の影響は深刻=米財務長官
2011年 09月 17日 02:22 JST

 [ウロツワフ(ポーランド) 16日 ロイター] ガイトナー
米財務長官は16日、欧州連合(EU)財務相非公式理事会で、ユ
ーロ圏解体についての「安易な発言」を慎むよう苦言を呈するとと
もに、欧州中央銀行(ECB)とより緊密に連携して危機対応に取
り組むよう求めた。

 長官は会合後、「欧州にとって非常に悪影響なのは、議論全般や
戦略に関する域内の不協和音ではなく、現在も続いている政府と中
央銀行の対立だ。双方は危機脱却に向け、協力して必要な措置を講
じる必要がある」と主張した。

 「米国は、長引く危機で欧州が弱体化することを望んでいない。
欧州が強固であることが米国にとっても望ましい」とし、2009
年の金融危機の最中に見られたような世界的な協調対応が再現され
ることはない見通しだが、米政府は欧州支援に向け、できる限りの
ことを行うと表明した。
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ギリシャ追加支援、早期実施で一致 ユーロ圏財務相会合
2011年9月16日22時11分
   
 欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は16日、ポーラ
ンドのウロツワフで会合を開き、7月に決めたギリシャの追加支援
策をすべて早期に実行することで一致した。ギリシャに対しても、
現在進めている財政再建を完全に実行することを求めた。 

 予想以上の景気悪化でギリシャの財政赤字の削減が進まないこと
から、金融市場では、EUなどの支援が滞り、ギリシャ国債が約束
通りにお金を返せない「債務不履行(デフォルト)」となる懸念が
高まっていた。今回、ユーロ圏各国が支援継続で足並みをそろえた
ことで、ひとまず債務不履行は回避されそうだ。 

 また、昨春決まった第1次支援策に基づく80億ユーロ(約8500
億円)の融資についても、現在、EUの欧州委員会などの検討チー
ムがギリシャの財政状態を査定中。会合後に記者会見したユンケル
議長(ルクセンブルク首相)は「10月にも融資が実行される」と
の見方を示した。 
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世界5中銀がドル資金供給で協調―欧州銀のドル不足解消狙い
2011年 9月 16日  6:24 JST
WSJ
 【フランクフルト】欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会
(FRB)、日本銀行など世界の5主要中央銀行は15日、欧州の新た
な資金調達危機に協調対応し、年末に向け3回のドル資金供給入札を
実施すると発表した。

 この協調体制には、他にイングランド銀行とスイス国立銀行が参
加する。

 ドル資金供給オペレーションは、米国の民間金融機関が欧州債務
危機のヨーロッパの金融システムへの影響を懸念し、同地域からド
ル資金を引き揚げていることに対抗した措置だ。欧州銀行の一部は
、ここ数カ月に及ぶ引き揚げの結果、ドル資金の借り換えが難しく
なっていた。
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アラブ資本がギリシャ「最後の貸し手」か−商業会議所が救済期待

  9月15日(ブルームバーグ):アラブマネーが巨額債務を抱える
ギリシャに救済の手を差し伸べる可能性がある。アラブ・ギリシャ
商業会議所会頭のクリストス・フォリアス氏がインタビューで明ら
かにした。
  フォリアス氏は、国有資産の売却を通じて2015年末までに500億
ユーロ(約5兆2600億円)を調達するギリシャの計画について、中
東の投資家は詳細が明らかになるのを待っていると語った。国有資
産の売却はギリシャ支援の条件の一つとなっている。ギリシャの今
年1−6月(上期)のアラブ世界への輸出額は148億ドルと49%増加
した。
  フォリアス氏は9日のアテネのオフィスでのインタビューで、
「アラブ資本は大規模かつ速やかにギリシャ投資が可能な資本とし
ては最大だ。アラブの投資家らはギリシャの成長見通しを固く信じ
、危機から脱却できると確信している」と強調した。
  デフォルト(債務不履行)回避に躍起となるギリシャは、政府
予想を上回る景気後退に見舞われる中で、アラブ諸国との通商関係
の構築に努力している。一方、投資家の側はギリシャの資産を安値
で取得する機会をうかがっている。
  ギリシャでは、EFGユーロバンク・エルガシアスとアルファ
銀行が合併し、国内最大の銀行が誕生する運びだが、カタールが支
援するパラマウント・サービシズ・ホールディングが新銀行の最大
株主となる見通しだ。
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ユーロ圏共同債は完全に間違い=メルケル独首相
2011年 09月 15日 18:41 JST 
			
 [フランクフルト 15日 ロイター] ドイツのメルケル首相
は15日、ユーロ圏共同債は「完全に間違い」だと述べて共同債発
行構想を拒否するとともに、ユーロ圏の安定回復には段階を踏んだ
長期的なアプローチが必要との考えを示した。

 フランクフルト自動車ショーで演説した同首相は「われわれは債
務同盟から脱皮し、持続可能な安定同盟を目指さなければならない
。これは教訓だ。簡単ではないが、正しいことだ」と述べた。

 また、「ある種の1回限りのビッグバン的解決策で、一夜にして
成し遂げることはできない。コントロールされた段階的なプロセス
によってのみ成し遂げられる」と強調。「ユーロ圏共同債は完全に
間違っている。共通の金利にするためには同じような水準の競争力
、同じような財政状況が必要だ。債務の集産化によって達成するこ
とはできない」と語った。
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欧州債務危機が大恐慌引き起こす恐れ=ソロス氏
2011年 09月 15日 14:42 JST

 [15日 ロイター] 著名投資家のジョージ・ソロス氏は、ユ
ーロ圏首脳が欧州の債務危機解決に向けて「欧州財務省」の創設を
含む抜本的な措置を講じない限り、債務危機が大恐慌を引き起こす
恐れがあると警告した。

 ソロス氏は、ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスとロイタ
ー・ドットコムに寄稿し、政策当局者はギリシャ、ポルトガル、そ
しておそらくアイルランドがデフォルト(債務不履行)に陥り、ユ
ーロ圏離脱に追い込まれる可能性に備えなければならないと指摘。
「たとえ破滅を回避できたとしても、赤字削減の必要性がユーロ圏
を長期的なリセッション(景気後退)に導くことは間違いない。そ
れは計り知れない政治的結末をもたらすだろう」と述べた。

 ソロス氏はそのうえで、1)弱小国家の銀行破たんを防ぐため、
銀行預金を保護する必要がある、2)デフォルトした国の経済を支
えるため、一部の銀行の機能を維持する必要がある、3)欧州の銀
行システムの資本再編を実施し、国家でなく「欧州」の監督下に置
く、4)赤字を抱えた他の国の政府債を保護する必要がある──と
する4つの大胆な政策措置を提言。「それらはすべてコストがかか
るが、課税権限を持ち、借り入れもできる『欧州財務省』を創設す
る以外に選択肢はない」と述べた。
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独仏首脳、ギリシャのユーロ離脱否定 支援継続を確認
2011年9月15日10時26分

 ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領、ギリシャの
パパンドレウ首相は14日夜、電話会談した。独仏両首脳は「ギリ
シャの将来はユーロ圏にある」として、支援継続を確認。ギリシャ
のユーロ圏からの離脱といった金融市場に広がる観測を否定した。

 仏政府が同日発表した声明によると、独仏両首脳は7月21日に
ユーロ圏首脳会議で決めたギリシャ支援策について、「完全に実行
に移すことが今まで以上に必要不可欠だ」と強調。支援継続のため
ギリシャの構造改革を厳しく実行するよう求めた。パパンドレウ首
相も必要な手段はすべて採ることを約束した。 

 金融市場では、ギリシャのユーロ圏からの離脱懸念や債務不履行
の恐れが急速に高まっている。ギリシャの財政赤字削減が予定通り
に進まず、ドイツやオランダなどの政治家から「ギリシャの破綻(
はたん)」の可能性を否定しない発言も飛び出すなど、支援の足並
みが乱れているためだ。 
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仏大手2行を格下げ ムーディーズ
2011年9月14日23時22分
  
 米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは14
日、フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルとクレディ・アグリ
コルの長期債格付けをそれぞれ1段階引き下げ、「Aa3」(ダブ
ルAマイナスに相当)、「Aa2」(ダブルAに相当)とした。 

 格下げの理由についてムーディーズは、ギリシャ向けの債権に損
失が出るおそれに加え、「資金調達や流動性に対する構造的な問題
が大きくなっていることを懸念している」と述べ、市場からの資金
調達が難しくなる可能性を指摘した。6月15日に両行とともに格
付けを見直すとしたBNPパリバの格付けは据え置いた。
(ロンドン=有田哲文) 
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ユーロ圏共同債導入の選択肢を近く提出へ=欧州委員長
2011年 09月 14日 19:59 JST

 [ストラスブール(フランス) 14日 ロイター] 欧州委員
会のバローゾ委員長は14日、ユーロ圏共同債の導入に関する選択
肢を近く提出することを明らかにした。

 ただ、共同債の導入が実現しても、すぐに危機が解決できるわけ
ではないとの認識も示した。

 委員長は、ユーロ圏が現世代で最も重大な課題に直面していると
述べ、ユーロ圏債務危機の深刻さを強調。「すべての加盟国の一般
世帯の雇用と繁栄のための闘いであり、欧州の経済ならびに政治の
将来をかけた闘いだ。世界における欧州の意味を問う闘いであり、
欧州の統合のための闘いだ」と指摘した。

 委員長はまた欧州議会で「(欧州委員会が)近くユーロ圏共同債
の導入に関する選択肢を提出することを確認したい」と発言。

 委員長は、ユーロ圏の統合深化が必要だと強調。ユーロ圏がそう
した取り組みを実現できて初めて、金融市場は債務危機の解決を信
じることができると述べた。

 委員長の発言を受けてユーロは対ドルで上昇し、欧州株もプラス
圏に転じた。一方、安全な逃避先とされるドイツ連邦債は上昇幅を
削っている。
==============================
レーン欧州委員:ギリシャがデフォルトすれば、劇的な結末を伴う

  9月14日(ブルームバーグ):欧州連合(EU)の行政執行機
関、欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は14日、ギリシャ
がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、「劇的な」結末を伴う
ことになるとの見解を示した。
  同委員はストラスブールの欧州議会で、「ギリシャがデフォル
トするかユーロ圏から離脱する、あるいはその両方が起きた場合、
ギリシャだけでなく他のユーロ導入国すべてに劇的な経済、社会、
政治面でのコストが発生することになるのは間違いない」と発言し
た。
==============================
ギリシャの資産売却、市場環境の悪化で難航
2011年 09月 14日 13:01 JST

 [アテネ 13日 ロイター] ギリシャは国際通貨基金(IM
F)と欧州連合(EU)から金融支援を受ける条件として、9月末
までに民営化予定の国有資産などの売却で17億ユーロ(23億ド
ル)を調達する必要がある。ただ、この目標を達成するのは困難と
の見方が広がっている。

 ギリシャ支援の条件として、IMFは年末までに総額50億ユー
ロ、2015年までに500億ユーロの、財源確保を目標とした民
営化(国有資産売却)をギリシャに求めている。

 現時点でギリシャが資産売却により調達した資金は、通信会社O
TE株10%のドイツ・テレコムへの売却による4億ユーロのみ。

 IMF、EU、および欧州中央銀行(ECB)の3者(トロイカ
体制)によるギリシャ調査団は、資産売却による資金調達目標をギ
リシャが達成することはおそらく不可能、と考えている。 

 IHSグローバル・インサイトのディエゴ・イスカロ氏は「資金
調達が進まなければ、債権者との間で合意された条件をギリシャは
なかなか満たすことができないとの印象を与えるだろう」との見方
を示した。
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ギリシャは「もはや終わり」、デフォルトは不可避
                 −元英中銀副総裁

  9月13日(ブルームバーグ):元イングランド銀行(英中央銀
行)副総裁のハワード・デービーズ氏は、ドイツをはじめとする「
強い政府」が「ユーロ圏全体の面倒を見る準備はしない」と決めれ
ば、ギリシャは直ちにデフォルト(債務不履行)に陥るだろうと述
べた。
  デービーズ氏は13日放送されたBBCラジオ4とのインタビュ
ーで、「ギリシャはもはや終わりだ」と言明、「ギリシャがデフォ
ルトを免れるという結果を私は予想できない。ギリシャがユーロ圏
にとどまるとみるのは困難だ」と語った。
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ギリシャの資金繰りメドは10月まで、新不動産税には国内の反発
2011年 09月 13日 09:09 JST
[アテネ 12日 ロイター] ギリシャ国内では12日、今年の
財政赤字穴埋めに向け政府が導入を決めた不動産増税策に対する抗
議デモが発生した。

 政府は不動産税導入で2011年に20億ユーロ程度の歳入増を
見込み、国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)が融資条件と
して求める財政赤字削減目標の達成に取り組んでいるが、国内での
反発を受け、目標が達成できるかどうかは不透明となっている。 

 ギリシャがデフォルト(債務不履行)を回避するためには、IM
F・EUによる第1次支援の次回融資(80億ユーロ)が実行され
る必要がある。

 政府は11日、不動産税の増税を発表。ベニゼロス財務相は、
20億ユーロ程度の歳入増となる増税を閣議は了承したと発表した。
不動産税は1平方メートルあたり0.5―10ユーロで2年にわた
り課税される。

 欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は、財政目標達
成には程遠いとしながらも「ギリシャ政府の目標達成に向けた努力
表明は歓迎する」とし、合意した財政目標達成の必要性を強調した。

 政府は今回の不動産税について、迅速に徴収するため、電力料金
とともに集められる通常とは違う徴税法とした。これに対して電力
会社PPCの労働者は抗議デモを展開。労組は、国民に負担を与え
る税金の徴収を国のために行う保安官のような役を演じるつもりは
ない、と反対。請求書の発行を阻止し、納税しなかった世帯の電力
供給を止めるようなことはしない、と表明した。 

 サキニディス財務次官は12日、同国は10月に資金が底をつく
との見通しを示した。財務次官のコメントは、ギリシャはあと数週
間分の資金しか保有していないとする匿名の政府当局者の発言を裏
付ける形となった。 財務次官は、政府はいつまで賃金や年金を支払
うことができるかとの質問に対し「10月中は間違いなくやりくり
できる」と回答。 そのうえで「われわれは問題を起こさずに国家運
営を続けることができるよう努力している」と述べた。  

 ギリシャ財務省が12日に発表した1―8月の赤字は、181億
0100万ユーロ(248億2000万ドル)となり、前年同期の
148億1300万ユーロから22%拡大した。

 中銀が発表したデータによると、7月の企業と家計の預金は前月
から0.5%減少し、1872億ユーロ(2560億ドル)となっ
た。

 中銀はさらに、欧州中央銀行(ECB)のギリシャの銀行に対す
る資金供給額が、7月末時点で962億9000万ユーロと、6月
の1030億4000万ユーロから6.5%減少したと発表した。
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ギリシャ国債のデフォルト確率98%、保証コストが記録更新−CMA

  9月12日(ブルームバーグ):金融市場で想定されるギリシャ
が今後5年間でデフォルト(債務不履行)に陥る確率が98%に急上
昇した。同国はユーロ圏危機を乗り切れるとパパンドレウ首相は主
張するが、海外投資家を確信させるに至っていない。
  ヘッジファンド運用会社、TFマーケット・アドバイザーズ(
ニューヨーク)の創業者、ピーター・チール氏は「市場は非常に短
期のうちにデフォルトが起きることを織り込んでいる。非常に厳し
い事態になろう」とし、「明らかに、今の緊縮財政策はうまくいっ
ていない」と述べた。
  CMAによれば、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS
)市場で1000万ドル(約7億7000万円)相当のギリシャ5年債を保
証するコストは、580万ドルの前払い保証料と年間10万ドルの保証料
となっており、過去最高。9日時点の前払い保証料は550万ドルだっ
た。
  パパンドレウ首相は、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IM
F)から救済金を受ける条件である財政赤字目標を固守するとした
が、1−8月期の財政赤字は前年同期で22%拡大。同国の2年債利
回りは70%近くに上昇し、株式相場は過去7週間で約3割下落した
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イタリア政府、中国に「大量」の国債売却などを打診−FT紙 

  9月12日(ブルームバーグ):イタリア政府は中国に対し、「
大量」のイタリア国債の売却などを打診している。英紙フィナンシ
ャル・タイムズが報じた。 
  FT紙が複数のイタリア当局者の話として伝えたところによる
と、中国の政府系ファンド(SWF)、中国投資(CIC)の楼継
偉会長は先週、ローマを訪問。トレモンティ財務相らと協議した。 
  同紙によれば、イタリア当局者は2週間前に北京でCICや国
家外為管理局(SAFE)と会談。イタリア国庫総局長のビットリ
オ・グリッリ氏は8月に北京で中国人投資家らと協議したという。 
  FT紙は追加協議が近く開催される可能性が高いと報じている。
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独与党からギリシャのユーロ圏離脱の声、「もはやタブーない」

 [ベルリン 11日 ロイター] ドイツのレスラー副首相兼経
済技術相は、ギリシャの秩序ある破綻をタブー視すべきではないと
の見解を示した。

 連立与党の一角を占める自由民主党(FDP)党首でもある同相
は、ウェルト紙に対し「ユーロ安定に向け、もはやタブーはない。
これには必要とされる方策が可能な場合のギリシャの秩序ある破綻
も含む」と述べた。また、多大な財政赤字に陥った祖国には、欧州
連合(EU)での投票権はく奪などの制裁を科すべきとの見方を示
した。

 同じく連立与党のキリスト教社会同盟(CSU)のゼーホーファ
ー党首は11日、ギリシャがユーロを離脱する可能性を否定できな
いとの見解をあらためて示した。
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ギリシャ首相:若者は母国に残留を、他国に移住しないで−演説で訴え

  9月10日(ブルームバーグ):ギリシャのパパンドレウ首相は
10日、同国北部セサロニキで演説し、同国の変革という仕事には若
者が必要だと述べ、若者に同国を見捨てて他国に移住しないよう訴
えた。
  同相は「ギリシャを変革する努力を放棄しないよう若者に求め
る。若者には国にとどまり、一緒に闘って欲しい」と強調した。
  同相はまた、農業強化のために若い農業従事者に土地を貸与す
る計画を発表した。
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欧州金融市場の緊張高まる、ECB専務理事退任でリスク回避加速
2011年 09月 10日 04:22 JST

 [ロンドン 9日 ロイター] 9日の欧州金融市場では、ユー
ロ圏債務危機をめぐる懸念を背景に緊張が高まっている。シュタル
ク欧州中央銀行(ECB)専務理事の退任は債券買い入れをめぐる
対立が原因とのニュースで、リスク回避の動きが強まった。

 また日米欧7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で、市場の
不安沈静化に向け大胆な措置が発表される見込みが薄いことも重し
となっている。

 カウンターパーティーリスクを測る指標となる3カ月物欧州銀行
間取引金利(EURIBOR)とユーロ圏無担保翌日物平均金利(
EONIA)のスプレッドはおよそ80ベーシスポイント(bp)
に拡大し、2009年初め以来の水準をつけた。
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ドイツ政府、ギリシャのデフォルトに備え銀行支援計画を準備−関係者 

  9月9日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル政権は、ギリ
シャが金融支援を受ける条件を満たせずデフォルト(債務不履行)
に陥った場合に備え、ドイツの銀行を支援する計画を準備中だ。連
立政権の当局者3人が明らかにした。

  協議は非公式に行われているとして匿名で語った同当局者によ
るとこの緊急対策には、ギリシャ向け次回融資が見送られた場合に
保有ギリシャ債で50%の損失が想定される銀行や保険会社を支援す
る措置が含まれている。関係者の1人によれば、2008年に導入され
たドイツ政府の銀行救済ファンドを引き継ぐ基金を活用し、銀行の
資本増強を助ける可能性がある。

  またドイツ政府の報道官は匿名を条件に、同政府はギリシャの
財政プログラムに関する評価報告を待っており、その結果を見てか
ら政府としてどのような行動を取るかを決めると語った。
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独首相:EUの条約改正は必至
−ユーロ圏の債務危機阻止で 

  9月9日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は債務危
機からユーロを守るため、欧州連合(EU)は条約を改正し、より
共通した経済政策の実現に向けて変革を進めることが必要だと呼び
掛けた。

  メルケル首相は9日、ベルリンでの政策フォーラムで「国家統
合機構としては変わりゆく世界の状況に合わせ、いつでも必要な変
化を実現できるよう準備しておく必要がある」と指摘。「さらなる
条約改正が避けられなくなるのはこのためだ。どのような改正にな
り得るかを議論する必要が出てくる」と続けた。

  またフォーラムでの質疑応答で、「共通通貨ユーロはこの欧州
を保証するものだ」とし、「統合の深化や一層の信頼性がある場合
にのみ、この共通通貨を維持できるのはこのためだ」と語った。

  ただ具体的な提案や必要な措置には言及せず、変化のプロセス
にはEU内での「深く、幅広い議論」が必要であり、たやすいこと
ではないと述べた。
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「ユーロに残りたければ財政緊縮を」ドイツ、オランダがギリシャ
に“最後通告”
2011.9.9 21:51サンケイ

 【ロンドン=木村正人】欧州単一通貨ユーロ圏の“優等生”ドイ
ツとオランダが、債務危機の発源地ギリシャに「財政規律を守れな
いならユーロ圏から離脱する選択肢もある」と“最後通告”を突き
つけた。ギリシャでは景気後退入りの懸念が強まり、ドイツなどが
求める財政赤字削減の目標達成は困難。ユーロの先行きはますます
見通せなくなってきた。

 ギリシャは今年の財政赤字を国内総生産(GDP)の7・6%に
抑える目標を掲げていたが、8・2%に修正した。しかし、欧州連
合(EU)や国際通貨基金(IMF)は8・8%に膨らむと指摘、
ギリシャ政府との協議を中断した。

 今月中にはギリシャにユーロ圏やIMFから80億ユーロ
(約8600億円)の融資が行われる予定だが、ドイツのショイブ
レ財務相は8日、「ギリシャが合意事項を実施しない限り融資は行
わない。通貨同盟にとどまるか否かは、ギリシャ次第だ」と同国の
パパンドレウ政権に圧力をかけた。

 オランダのルッテ首相も7日、「EUの財政規律を守れない加盟
国はユーロ圏からの離脱を選択する権利がある」と、財政規律の強
化を求めた。

 ギリシャがユーロを離脱すれば債務危機がスペインやイタリアに
拡大、欧州の金融システムが揺らぐ最悪の事態を招きかねない。こ
のため、パパンドレウ首相は緊縮策の強化を約束しているが、ギリ
シャ国民の反発を招いて早期解散に追い込まれる恐れもある。
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「キレた」トリシェ総裁、ドイツ・マルク復活説に冷静でいられず

 9月8日(ブルームバーグ):共通通貨ユーロに道を譲ってから13
年近くたっても、ドイツ・マルクはいまだに、トリシェ欧州中央銀
行(ECB)総裁退任までの最後の日々を曇らせるだけの力を持っ
ている。
  トリシェ総裁(68)は8日、政策決定後の記者会見で暫時、冷
静さを失った。ドイツがユーロを捨ててマルクに回帰するべきでは
ないかとのある記者の問いに声を荒げた。
  トリシェ総裁は「13年近くにわたりドイツに物価安定をもたら
してきたECBをたたえる言葉を聞きたいものだと強く思う」と、
同総裁らしからぬ大きな声で答えた。「われわれは責務を果たして
いる。それは容易な仕事ではない」と続けた。
  ECB総裁としての8年間の任期は10月31日に満了する。過去
最低水準への利下げから市中銀行への流動性無制限供給、前代未聞
の各国国債購入などを、トリシェ総裁は決断してきた。危機対応で
ECBの役割が重くなるにつれて、各国政府の不十分な行動に苦言
を呈した。
       「あんなに怒ったのを見たことがない」
  ABNアムロのマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏は「ト
リシェ総裁があんなに怒ったのを見たことがない」と言う。「EC
Bが信頼できるという認識への疑問が雨霰(あられ)と降り注ぐ中
で、総裁は今もそれは変わらないということをドイツ国民に対して
強調したかったのだろう」と同氏は話した。
  ECBは1999年以来、物価安定の維持にほぼ成功してきたもの
の、8月18日に公表された世論調査ではドイツ国民の37%がドイツ
にとってマルク復活がより良いと考えていることが示された。調査
機関エムニッドが「N24」放送の委託で実施した同調査でユーロの
方が良いという回答も37%。どちらでも変わらないとの回答は19%
だった。
  トリシェ総裁は、ドイツ・マルクに関する質問に対して6分間
にわたって熱弁をふるい、最後は微笑とともにこう締めくくった。
  「素晴らしい質問をありがとう。非常に刺激になった」
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欧州中銀、金利据え置き決定 
2011年9月8日21時4分

 欧州中央銀行(ECB)は8日理事会を開き、政策金利を現行の
年1.5%に据え置くことを決めた。2011年4〜6月期のユー
ロ圏17カ国の実質域内総生産(GDP)の伸びが前期比0.2%
増にとどまるなど景気拡大が鈍化傾向にあることをふまえ、景気の
動向を見極めるべきだと判断した。 
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ユーロ圏改革、抜本的な条約改正の必要も=独財務相
2011年 09月 6日 07:02 JST
 [ベルリン 5日 ロイター] ドイツのショイブレ財務相は、
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版に5日掲載された寄
稿で、ユーロ圏の構造強化には時間がかかる見通しで条約の大幅な
修正が必要になる可能性があるとの見解を示し、ユーロ圏の財政統
合と共同責任に向けた「急な飛躍」を求める声に警戒感を示した。

 同財務相は「緊縮財政がユーロ圏にとり唯一の解決策となる理由
」と題する寄稿文で、ユーロ圏共同債の概念に対する反対の立場を
示し、こうした債券の発行で、困難に直面している国の改革意欲が
そがれ、危機が悪化する恐れがあると警告。

 「欧州は常に一歩ずつ前進してきた。今後もそれを続けるべきだ
」とした上で、「ユーロ圏の財政政策を徐々に中央集権化すること
への反対を意味するものではない」と指摘。その過程が強力な民主
主義に裏打ちされている場合は、中央集権化が進められるべきだ。
ただ、ユーロ圏の構造強化には時間がかかり、抜本的な条約改正が
必要になる可能性があり、一夜では実現しない」との見方を示した。

 また、金融市場の規制強化が必要という点で、おおむね見解の一
致が見られるものの、20カ国・地域(G20)の間では規制強化
に向けた機運が「後退しているようだ」と指摘。
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ポルトガル、緊縮財政強化の方針
2011年 9月 1日 9:03 JST
WSJ
 【リスボン】ポルトガル政府は8月31日、2012年の新たな緊縮財政
措置を発表した。既に縮小しつつある同国経済をさらに圧迫するこ
とになるが、財政収支は15年には均衡に近づくという。

 ガスパル財務相は記者会見で、「財政健全化と対外依存の削減は
不可避だ」と強調。12年は売上税を含む増税を覚悟しなければなら
ないと述べたが、詳細は示さなかった。高所得者の所得税が引き上
げられ、高利益の企業に対する課税も強化される。政府は公務員削
減、リストラなどで支出を大幅に減らす方針だ。

 10年の財政赤字の対GDP(国内総生産)比率は9.1%だったが、
同国はこれを15年にはゼロ近くにまで引き下げることを目指す。同
国が5月に受けた780億ユーロ(8兆6000億円)の国際支援では、この
比率を今年は5.9%、12年に4.5%、13年には3%に引き下げることが
条件になっている。

 同財務相は、今年のGDPはマイナス2.3%、12年は同1.7%とな
るとの見通しをあらためて示した。GDPはその後13年に1.2%のプ
ラスに転じるという。失業率は12年に13.2%のピークに達すると予
想されている。
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ギリシャ債務は制御不能、政府対応は奏功せず=議会委員会
2011年 09月 1日 08:04 JST

 [アテネ 31日 ロイター] ギリシャ議会の専門家委員会は
31日に公表した月次報告で、同国の債務は制御不能な状態にあり
、政府の対応は財政健全化に奏功していないとの見方を示した。

 財務省が指名した専門家で構成する同委員会は「債務の急増と高
水準の基礎的財政赤字は債務力学を限界まで悪化させ、制御不能な
状態にした」との見方を示した。

 また、ギリシャの問題が公的債務の規模だけでなく、財政管理を
強化できていない点にもあることは明白とし、財政健全化に向けた
取り組みにもかかわらず、基礎的財政収支の黒字化を達成できてい
ないどころか、赤字が拡大していると指摘した。

 委員会は、欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)との支援
合意に含まれる措置がすべて適切な時期に実施されても、財政赤字
削減目標を達成することはできないとの見方を示した。

 その上でリセッション(景気後退)が予想よりも深刻との見通し
を踏まえ、脱税防止および基礎的財政赤字の削減に向けた努力を強
化するよう求めた。



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