4118.中印対決モードに



ベトナムがインドと組んで、南シナ海の自国領土を守る選択をした。
そして、インド洋を取り囲むように中国海軍基地建設で危機感があ
り、それへの対抗処置が必要になり、インドもベトナムとの同盟を
志向し始めた。

ベトナムのミン外相は、16日、ベトナムの首都ハノイを訪れてい
る、インドのクリシュナ外相と会談し、両国が国防や安全保障の分
野で戦略的パートナーシップを強化していくことで一致した。まず
、ベトナム沖の南シナ海の海底の油田開発を合同で行うという。

この方針に基づき、インドの石油・天然ガス公社(ONGC)が南
シナ海の2カ所で、ガス油田を開発するが、中国側は正式に反対の
意向を示したが、同公社はベトナムの許可を得たとして、計画を進
めるようだ。

中国は、国際海洋条約を支持するが、南シナ海については「周辺国
が曲解している。中国が歴史的に主権を保持しつづけてきた事実を
無視している。」と、自国に権利があると主張している。中国は、
清帝国の最大時領土と清の属国地域はすべて中国の領土というのだ。
これを他国は、受け入れがたい。

もう1つが、中国は、中東・アフリカへのシーレーン防衛であり、
中国海軍が全地域・航路を統制するという。中国を突き動かしてい
るのは、民衆の生活レベルの持続的改善を支えていくのに必要な、
エネルギー資源、金属、戦略的鉱物資源を確保し、それを中国へ持
ってくるルートの防衛である。

中国の影響圏の拡大は、他国との摩擦を起こすが、それを乗り越え
て海軍力を引き上げるようである。

中国への反発する国々の中、インドは反中国陣営の中心になってき
た。これに対して中国は、急速にパキスタンに接近し、軍備を援助
している。インドとパキスタンの関係はよくなっていたが、つい最
近、カシミールで両軍が衝突して死者が出ている。

米国は、オフシェア・バランシングの政策で、西半球地域を押さえ
て、東半球を放棄する方向である。この東半球の覇権をインドと中
国が取り合いになる構図が見え始めている。

どこからどこまでは、西半球かというと、太平洋から米国本土経て
欧州地域までである。日本とフィリピンは東半球と西半球の境にい
る。アフリカも東半球と西半球の境にいる。この範囲を米海軍が統
制し、東半球からは撤退する方向である。

この東半球の大国がロシア、インド、中国であり、ロシアとインド
が手を組み、中国に対応する。中国は中央アジア・アフリカに進出
して、そこを中国の影響圏とした。中国との摩擦は、米国との間の
境とインドとの間の境で起こっている。

中国はイラン、シリアなどを取り、リビアにも大量の援助をして石
油利権を確保したが、それを欧米連合が取り返した。インドとの境
では、中国はインド包囲網を完成させようとしていた。これに対し
て、インドは、現在、中国包囲網の形成をしているように感じる。
ロシア、インド、ベトナム、中央アジア諸国などと日本、韓国など
の親米国群である。

インドは、バングラデシュと「飛び地」の交換によって国境線を画
定させ、自国周辺での中国の影響圏を縮小させ、インド同盟国を増
やし始めている。インドの武器は民主主義と政権を担当している国
民会議派の総裁ソニア・ガンジー氏である。このソニア・ガンジー
氏はイタリア人で、欧米首脳との関係が良好である。

「日本とインドは民主主義、法の支配、市場経済といった普遍的価
値を共有している。アジアの二大民主主義国家として、関係を強化
していく決意だ」と野田首相が述べ、インドとの関係強化に意欲を
示したように日本も中国よりインドとの関係強化をしていくことに
なる。

また、日本はフィリピンとの海洋の安全保障に関する実務者協議を
定期的に開くことで合意した。フィリピンのアキノ大統領は、「日
本が輸入する石油の多くは、南シナ海を通り、航行の自由は日本に
も重要だ」といい、しかし、中国と領有権を争う南シナ海の問題に
ついて「我々は中国に勝ち目はない」が、「日本の役割に期待する
」との期待感を表明した。

このように、中国・インドが東半球を米国が西半球をそれぞれ統制
する方向になるようである。もう、米国は世界の警察を勤めないし
、その軍事費を捻出できない。

このような中国とインドの対立状態で、日本はどうするかを問われ
ている。まず、中東からのシーレーンを安全に航行できない事態を
想定する必要になってきている。南シナ海、インド洋の安全な航行
が保証されない事態が想定される。

エネルギーを中東に90%も依存している現状は、非常に危険な状
態で、西半球からのエネルギー調達をする必要がある。このため、
米国からの液化天然ガス(LNG)年200万〜300万トン輸入
が2015年にも始まる見通しとなった。豪州からもLNGを輸入する
など、西半球のエネルギーに転換する必要が出て、エネルギー問題
を安全保障の観点で考えることである。

中国との境界線での摩擦を他地域で起こしているので、それに日本
も関与して、中国の横暴な要求を共同で抑制するしかない。一度、
中国の横暴を認めると、拡大してくる。中国軍部の挑戦的な行動が
それを暗示している。

しかし、中国との戦争はしないことである。徐々に経済的な関係で
戦争抑止はしないと、日本は前面にいるので、被害が大きくなる。
このため、中国とも関係を強化する必要がある。難しい状態になっ
たようだ。

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アキノ・フィリピン大統領:南シナ海問題で「日本の役割に期待」
 【マニラ矢野純一】25日から4日間の日程で訪日するフィリピ
ンのアキノ大統領が16日、毎日新聞などと会見した。中国と領有
権を争う南シナ海の問題について「我々は大国(中国)に勝ち目は
ない」と語る一方、「日本の役割に期待する」との期待感を表明し
た。

 アキノ氏は「日本が輸入する石油の多くは、南シナ海を通り、航
行の自由は日本にも重要だ」とし、「日本は関係国として国際法に
のっとった解決に協力してほしい」と求めた。

 先月下旬の訪中で、130億ドルの新たな直接投資を取り付ける
など経済関係を強化したことについては、「領土問題は(経済問題
とは)別」との認識を示し、「フィリピンの主張は変わっていない
」とも話した。

 4日間の訪日では、宮城県石巻市を訪問。フィリピン人被災者と
も対話するという。

毎日新聞 2011年9月17日 東京朝刊
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ベトナム インドと協力を強化
9月17日 8時54分NHK
南シナ海の島々の領有権を巡り、中国と対立しているベトナムは、
インドと安全保障上の協力を強化するとともに、南シナ海の油田開
発などを合同で行うことで合意し、中国をけん制するねらいがある
ものとみられます。

ベトナムのミン外相は、16日、ベトナムの首都ハノイを訪れてい
る、インドのクリシュナ外相と会談し、両国が国防や安全保障の分
野で戦略的パートナーシップを強化していくことで一致しました。

さらに、ベトナム沖の南シナ海の海底の油田開発を合同で行うなど
、エネルギー分野でも協力を深めていくことで合意しました。会談
ではまた、ベトナムが南シナ海の島々の領有権を巡って、中国と対
立している問題も取り上げられ、両外相は「南シナ海での船舶の航
行の自由を保障し、国際法に基づいた交渉による問題の解決を目指
すべきで、武力の行使や威嚇行為は控えるべきだ」という考えを確
認しました。

ベトナムとしては、軍事面でも経済面でもインドとの連携を強める
ことで、南シナ海の領有権を巡る問題で、中国側をけん制するねら
いがあるものとみられます。
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日本が南シナ海問題に介入で尖閣諸島の交渉カードに=中国
2011/09/15(木) 11:35サーチナ
    
  日本、フィリピン両政府はこのほど、アジア地域の海洋安全保
障に関する初の海洋協議を開いた。東シナ海、南シナ海での中国の
領有権主張にいかに対応するかが主要議題となる。中国網日本語版
(チャイナネット)が報じた。

◇高官が出席

  日本、フィリピン両政府は9日、アジア地域の海洋安全保障に関
する初の海洋協議を開いた。日本からは外務省、防衛省、海上保安
庁の担当者が、フィリピンからは海洋当局、沿岸警備隊関係者らが
出席し、両国とも同協議を非常に重視していることを伺わせた。日
本メディアは、日本、フィリピン両国は今回の協議の目的を特に隠
していないと伝えている。

  中国は南シナ海の南沙諸島の領有権問題でフィリピンと対立。
南シナ海は日本にとっても重要な海上ルートで、東シナ海では尖閣
諸島(中国名:釣魚島)問題で日中間の緊張が続いている。東シナ
海、南シナ海での中国の領有権主張に対応するため、日本とフィリ
ピンは定期的に政府間で協議を行い、協力の在り方について検討す
るとともに、南シナ海海域における日本の航行の自由と船舶の安全
を確保する考えだ。

◇それぞれの思惑

  両国のアジア地域の海洋安全保障に関する海洋協議について、
日本には3つの思惑があるとアナリストはみる。

  ■フィリピンとの協力・友好を強化し、東南アジア諸国連合(
ASEAN)との関係を固め、日本の東アジアにおける発言権を拡
大する。

  ■南シナ海の問題に介入することで、中国をけん制、中国に対
抗し、尖閣諸島問題をめぐる対中交渉のカードにするとともに、国
際社会において中国を抑える世論をつくる。

  ■同じ領土問題でも、韓国とロシアの強硬な態度に対しては日
本はなすすべがない。最近ではロシアが公海海域で頻繁(ひんぱん
)に軍事活動を行っていることからプレッシャーが増している。そ
のため東シナ海と南シナ海問題で何か収穫を得て、国内の政治圧力
を軽減したい。

  一方、フィリピンは中国、日本、米国といった国の間をとりも
ち、各国の間に存在する争いを利用することで、自らが各国のカー
ドとなり、利用されることで価値を見いだし、自らの利益の最大化
しようとしている。

  南シナ海問題に関しては、中国は両国間の友好的協議を通じて
問題を解決すると主張し、問題の国際化には反対している。一方、
フィリピン側は国際海洋法裁判所への訴訟を主張しており、問題を
複雑化、拡大化しようとしている。今回、日本、フィリピン両国が
行った南シナ海に関する政府間協議は、同問題をさらに複雑にする
だろう。(編集担当:米原裕子)
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インド公社が南シナ海で資源探査「ベトナムが許可」…中国で反発
2011/09/15(木) 17:22 サーチナ

  インドの石油・天然ガス公社(ONGC)が南シナ海の2カ所で
ガス油田を開発する方針だ。中国側は正式に反対の意向を示したが
、同公社はベトナムの許可を得たとして、計画を進める方針だ。中
国では、反発が高まり始めた。

  インドメディアが15日付で報じたとして、中国の環球網が紹介
したところ、抗議のコメントが集まり始めた。「よし。(インドと
ベトナム)2つをまとめてやっつけてやる。わが軍はうずうずしてい
る」、「中国政府はインド洋で石油資源の探査をせよ」、「インド
が来るなら、爆弾をくれてやる」、「インドには下水油でもくれて
やる」などの書き込みがある。

  インド外務省によると、ベトナムが1982年の国際海洋条約にも
とづいて主権を主張している127号、128号ガス油田について、ON
GCが資源探査の許可を得たという。

  中国は、国際海洋条約を「全面的であり広く支持されている」
として支持しているが、南シナ海については「周辺国が曲解してい
る。中国が歴史的に主権を保持しつづけてきた事実を無視している
。」と、自国に権利があると主張している。(編集担当:如月隼人)
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米から天然ガス調達、原発代替、安定的に――政府、米に要請へ 
2011/09/14 日本経済新聞  

年200万〜300万トン 

 米国からの液化天然ガス(LNG)輸入が2015年にも始まる
見通しとなった。日本政府が14日、米政府に対して日本向け輸出
の許可を要請し、米側も前向きに検討する。米で生産が増えている
新型ガス「シェールガス」を液化して運ぶ計画で、日本の電力、ガ
ス会社が当初年200万〜300万トン輸入する公算。日本は原子
力発電所の再稼働にメドが立たず、代替燃料として天然ガスの需要
が急拡大する。同盟国の米からの輸入で安定調達と価格上昇の抑制
を狙う。 

 牧野聖修経済産業副大臣がサンフランシスコで13日(日本時間
14日)に米エネルギー省のスティーブン・チュー長官と会談。民
間企業が申請する日本への輸出事業を許可するよう求める。米では
日本のように自由貿易協定を結んでいない国へのLNGや原油の輸
出の際、同省の許可が要る。 

 日本は10年にマレーシアなどから7000万トンのLNGを輸
入した。アラスカからも50万トンを購入したが、ガス田が枯渇し
、足元での米からの輸入実績はほぼゼロとなっていた。シェールガ
スはメキシコ湾岸のテキサス州やルイジアナ州で液化し、パナマ運
河を経由して日本に運ぶ。経産省は将来、米国産が輸入の約1割を
占める可能性があり、購入相手の分散による安定調達につながると
みている。 

 政府は日本企業によるシェールガスの権益確保も支援する。企業
が権益を買う場合、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGME
C)が民間と同額を出資する。経産省は今年度第3次補正予算案で
、JOGMECの出資枠拡大に200億円強を要求した。 

 LNGの調達価格が下がる可能性もある。日本向けLNGのスポ
ット(随時調達)価格は100万BTU(英国熱量単位)当たり16
ドル台と高水準にある一方で、米国の天然ガスは同4ドル弱と4倍
もの価格差があるからだ。従来の日本向けLNGは高止まりする原
油価格に連動し、天然ガス値下がりの恩恵を受けにくかった。 

 米国のガス価格は原油と関係なく需給で決まるため、日本がアジ
アや中東からの調達価格を見直す好機にもなる。 

 米はLNG輸入国だが、シェールガスの生産拡大で状況が一変、
輸出国に転じる見通し。米国内の需給は緩み、ガス価格低下に悩む
開発業者も出始めている。メキシコ湾岸に建設した中東からのLNG
輸入のための基地が無駄になる恐れがあり、日本向け輸出基地に転
用する利点もある。 
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大中国圏の形成と中国の海軍力増強 
―― 中国は東半球での覇権を確立しつつある 
ロバート・カプラン/アトランティック誌記者
フォーリン・アフェアーズ リポート 2010年10月号

陸上の国境線を安定化させ、画定しつつある中国は、いまや次第に
外に目を向け始めている。中国を突き動かしているのは、民衆の生
活レベルの持続的改善を支えていくのに必要な、エネルギー資源、
金属、戦略的鉱物資源を確保することだ。だが、その結果、モンゴ
ルや極東ロシアに始まり、東南アジア、朝鮮半島までもが中国の影
響圏に組み込まれ、いまや大中国圏が形成され始めている。

そして、影響圏形成の鍵を握っているのが中国の海軍力だ。北京は
、米海軍が東シナ海その他の中国沿海に入るのを阻止するための非
対称戦略を遂行するための能力を整備しようとしている。北京は海
軍力を用いて、国益を擁護するのに軍事力を使用する必要がないほ
どに、圧倒的に有利なパワーバランスを作り出したいと考えている
ようだ。

しかし、中国の影響圏の拡大は、インドやロシアとの境界、そして
米軍の活動圏と不安定な形で接触するようになる。現状に対するバ
ランスをとっていく上で、今後、「米海軍力の拠点としてのオセア
ニア」がますます重要になってくるだろう。
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日比が初の海洋協議 中国念頭に定例化へ 国際ルールに従った解
決が必要と認識一致
2011.9.9 21:23サンケイ
 日本、フィリピン両政府は9日、外務省で海洋の安全保障に関す
る初の実務者協議を開いた。南シナ海や東シナ海で海洋活動を活発
化させている中国を念頭に、海洋をめぐる問題は国連海洋法条約な
どの国際ルールに従った解決が必要との認識で一致。今後両国間で
実務者協議を定期的に開催し、連携を強化することで合意した。

 フィリピンは南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島の領
有権をめぐり中国と対立。中国は沖縄・尖閣諸島を含む東シナ海で
も活動を強化している。実務者協議の定例化で中国に共同で対抗す
る狙いがあるとみられる。

 協議には日本側から外務省や防衛省、海上保安庁などの担当者、
フィリピン側は外務省や沿岸警備隊関係者が出席した。
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中国、インド両海軍に衝突の危険、印艦艇の南シナ海航行で緊張
2011/09/08(木) 19:03サーチナ 

  中国の空母が2週間の初試験航行を実施するのに先駆け、インド
海軍の軍艦1隻がすでに南シナ海海域に入り、南シナ海全体の主権を
主張する中国への対抗意識をはっきり示した。英国のメディアは、
南シナ近海で中印両国の海軍が衝突する可能性が高まったとの見方
を伝えた。多維新聞網が伝えた。

  6日付ロイター電によると、インド軍の強襲揚陸艦「エイラバッ
ト(INS Airavat)」が7月、ベトナム・ニャチャン港を
訪問した帰り、南シナ海カムラン湾(Cam Ranh Bay)
沖を航行中に中国軍から警告を受けた。

  インド外交部によると、中国海軍関係者と名乗る人が、エイラ
バットが中国領海に侵入したと公開無線を通じて警告したという。
両国とも、この事件を問題視するつもりはないようで、インド側は
「両国間でいさかいが起こった訳ではない」とコメント、中国側は
「事実を裏づける根拠がない」とした。

  しかし、この事件によって、増強を続けるアジア主要国の海軍
力に対する注目が高まった。中印両国がどちらも、海上貿易ルート
の安全保護を模索するのと同時に、両国海軍が衝突する可能性が高
まっているという見方もある。

  中国のシーパワーに包囲されることが懸念事項であり続けたイ
ンドは、長期にわたるパートナー・ベトナムと防衛提携を強化し、
南シナ海での存在感を慎重に強めてきた。インドのシンクタンク・
ORFのProbal Ghosh上級研究員(元海軍 司令官)
は、「中国は、インド洋がインドのものだとは思っておらず、イン
ドにとっての戦略的海域とも思っていない。また、南シナ海と東シ
ナ海の領有権は中国にあると認識している」と分析している。

  インドと中国は長い間、表面上は友好関係を保ってきた。しか
し、両国間では1962年、国境紛争が起きたことがある。中国は、イ
ンドの強敵・パキスタンと極めて親密な関係を保ちつつ、ベトナム
との結びつきを強めるインドに対し、警戒の目を向け続けている。
(編集担当:松本夏穂)   
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中国 「平和白書」を公表

 中国政府は6日、「平和発展白書」を公表し、防御のための国防
力を堅持するが覇権は求めないという立場を改めて強調した。軍備
について白書は、これまで大国が取ってきた「国が強くなれば必ず
覇権を唱える」という伝統的発展モデルを中国は打破すると主張。
「核心的利益」は「国家主権、国家の安全、領土の保全、国家統一
、国家政治制度と社会の安定、経済・社会の持続発展」の六つと定
義した。【北京】

毎日新聞 2011年9月8日 東京朝刊
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インドとバングラデシュ、国境線画定 領土問題解決へ
2011年9月8日0時12分

 インドのシン首相は6日、バングラデシュの首都ダッカでハシナ
首相と会談し、「飛び地」の交換によって国境線を画定させること
で合意した。長年の懸案だった領土問題が解決に向かうことになる。
インド首相のバングラデシュ訪問は12年ぶりだ。

 インドとしては、バングラデシュなど周辺国で影響力を増す中国
に対して巻き返しをはかる狙いがある。

 インド紙の報道によると、両首相が交換に合意した主な飛び地は
、インドがバングラデシュに持つ111カ所と、バングラデシュが
インドに持つ51カ所の計162カ所。それぞれの飛び地の住民は
いずれかの国籍を選べるという。
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「アジアの2大民主国家」=日印関係強化へ決意−首相
 野田佳彦首相は6日夜、都内で開催されている「日印グローバル
・パートナーシップ・サミット2011」であいさつし「日本とイ
ンドは民主主義、法の支配、市場経済といった普遍的価値を共有し
ている。アジアの二大民主主義国家として、関係を強化していく決
意だ」と述べ、インドとの関係強化に意欲を示した。
 「日印サミット」は、幅広い分野で関係強化を図る「日印グロー
バル・パートナーシップ」締結から10年が経過したのを記念して
開かれ、安倍晋三、鳩山由紀夫両元首相らが共同議長を務めている。
首相は「私の好きな言葉に10年続けば偉大なり、20年続けば恐
るべし、30年続けば歴史になると言う言葉がある」と述べ、日印
関係の重要性を強調した。 (2011/09/06-22:42)
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中国の真意はどこに 
――人民元、南シナ海、領有権論争 
スティーブン・デュナウェイ、エバン・フェイゲンバーム、
エリザベス・エコノミー、 ジョシュア・クランジック、アダム・
シーガル 
(2010年10月号FAJ)
中国は領有権論争のある南シナ海(のパラセル諸島、スプラトリー
諸島)をめぐって東南アジア諸国と対立したのに続いて、今度は東
シナ海をめぐって日本とも対立している。「一体中国は何を考えて
いるのか」という疑問をもってもおかしくはない。・・・この数ヶ
月で、中国は近隣諸国における穏やかな対中イメージを傷つけ、
10年をかけて慎重に育んできた近隣国における中国への好感情を
一気に破壊するような行動をとっている。・・・(J・クランジック) 

中国は領有権論争をめぐって自国の主権ばかりを主張し、一方のア
メリカは国際的な権利と慣習を尊重するように一貫して求めてきた。
海洋における主権(領有権)とは別に、中国は自由航行権、航行の
自由、国際慣習をどうとらえているのか。このバランスが、中国の
影響力行使のスタイルに今後大きな影響を与えるはずだ。・・・ア
メリカはアジアおよびその他の海洋でのシーレーンを国際公共財と
して防衛し、船舶の安全航行を保障し、中国もアメリカのシーレー
ン防衛からかなりの恩恵を得てきた。だが、皮肉なことに、いまや
中国は、自国の沿海に近い国際海域における米海軍の活動に大きな
不満を抱いている。・・・・結局のところ、中国外交は他のいかな
るものよりも主権を優先させる。だが国際社会の責任ある利害共有
者であれば、主権とそうした主権の主張がかかわってくる国際公共
財を明確に区別することはできないはずだ。(E・フェイゲンバーム) 

中国は長期的なゲームに向けた中国側の基準を示そうとしている。
望むものをいまは手に入れられないかもしれないが、少なくともア
ジェンダを設定できる。これによって、日本、インド、東南アジア
諸国連合のすべては、中国の設定した条件で議論をするようになる。
(A・シーガル)



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