4115.米雇用法案は無理、バンカメ・リストラ



オバマ米大統領は9月8日、雇用創出策と景気刺激策についての重
要演説を行い、減税や公共事業を通じて、今後約3年で4470億
ドル(約35兆円)を投入する雇用対策を打ち出したが、この財源
は、どうするのかという当然の疑問が浮かんでいた。

この財源は、9割近くに当たる4000億ドルについては、世帯当たりの
年収が25万ドル(約1935万円)を超える高所得層に対する税制面で
の控除の一部打ち切りで今後10年かけて捻出。残りは石油業界や自
家用機を保有する大企業、投資ファンド運営者などへの実質的な増
税措置で確保していく方針だということが12日にわかった。

このため、増税反対を掲げる野党共和党との全面対決が不可避とな
りそうだ。オバマ米大統領は12日午前、雇用対策について再び演
説し、「今日(12日)、議会に法案を送る。米議会側はすぐに可
決すべきだ」と訴えたが、それは無理である。

このような状況で、ガイトナー米財務長官が16日に開かれる欧州
の財務相の会合である「エコフィン」に出席し、欧州危機への断固
たる対応を、直接要請するものとみられる。米国の雇用法が成立せ
ずに、かつ欧州危機が起きたら、世界経済に大きなダメージが来る
ことは確実である。

この中で、米同時多発テロから10年の11日、オバマ米大統領は
ワシントンで演説し、「戦争そのものは輝かしくはない」と指摘し
、「米国の強さは、平和の未来へ向かうことで生まれる」とし、戦
争の早期終結を示したが、これにより、軍事費の大幅な削減を目指
している。この一部を利用して雇用対策を打つしかないと見ている
ようだ。

12日午前の演説でも、大統領は米国の財政赤字削減策について、
新たな提案を「来週出す」と述べたが、この中に大幅な軍事費の削
減が含まれるはず。

米国の中核産業である金融業にかげりが出ている。米金融大手バン
ク・オブ・アメリカ(バンカメ)は12日、今後数年間で約3万人
の人員を削減するリストラ案を発表した。これは、住宅ローン証券
の販売で損失を被った投資家に対する和解金支払いの影響で11年
4〜6月期決算が赤字に転落するなど、低迷が続いているが、これ
はバンカメだけではなく、景気後退で他の銀行でもリストラが起き
ることになる。

米国は、さあ、どうなりますか?
==============================
バンカメが3万人削減へ リストラ案発表
 【ニューヨーク共同】米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バン
カメ)は12日、今後数年間で約3万人の人員を削減するリストラ
案を発表した。非中核的事業の売却なども併せて実施し、2014
年までに年間50億ドル(約3800億円)の支出を削減するとし
ている。

 同社の従業員約28万8千人(昨年末)の約1割が削減される計
算だ。

 バンカメは、住宅ローン証券の販売で損失を被った投資家に対す
る和解金支払いの影響で11年4〜6月期決算が赤字に転落するな
ど、低迷が続いており、大規模なリストラで経営体力を強化する狙
いがあるとみられる。

2011/09/13 06:27 【共同通信
==============================
米雇用法案、増税で財源確保へ=共和党の反発不可避
時事通信 9月13日(火)7時34分配信

 【ワシントン時事】オバマ米大統領が、先週発表した4470億ドル
(約35兆円)の景気・雇用対策である「米雇用法案」の財源を富裕
層や大企業などへの増税措置で賄おうとしていることが、12日明ら
かになった。米行政管理予算局(OMB)のルー長官が記者会見で財源
の内訳を初めて説明した。大統領は同日、米議会に同法案を正式提
案し早期通過を目指すが、増税反対を掲げる野党共和党との全面対
決が不可避となりそうだ。

 9%を超える失業率の高止まりと景気減速を受けて大統領が8日に
発表した雇用法案は、勤労者や中小企業向けの減税措置と、道路や
橋、学校整備などのインフラ投資が柱。
 ルー長官によると、同法案の財源の9割近くに当たる4000億ドルに
ついては、世帯当たりの年収が25万ドル(約1935万円)を超える高
所得層に対する税制面での控除の一部打ち切りで今後10年かけて捻
出。残りは石油業界や自家用機を保有する大企業、投資ファンド運
営者などへの実質的な増税措置で確保していく方針。これら増税に
よる今後10年間の歳入増は、対策の規模を超える4670億ドルと見積
もっている。 
==============================
「雇用対策、米議会はすぐ可決を」オバマ大統領、再演説
2011年9月13日3時2分

 オバマ米大統領は12日午前、8日に打ち出した総額4470億
ドル(約35兆円)の雇用対策について再び演説し、「今日(12
日)、議会に法案を送る。米議会側はすぐに可決すべきだ」と訴え
た。一方、大統領は米国の財政赤字削減策について、新たな提案を
「来週出す」と述べた。 

 オバマ大統領は「世界経済に多くの不確実性が存在するが、これ
は我々が回避できる不確実性だ」と述べ、雇用対策の実現が景気の
先行きへの不安を和らげることになると強調した。 

 オバマ大統領は、雇用対策の恩恵を受ける教師や警官、建設労働
者らを背に演説に臨み、「この法案が、人々を職場に戻していくこ
とにつながる」とアピール。ただ、12日の演説は、8日に打ち出
した内容を再度強調するもので、新たな雇用対策はなかった。 
==============================
米財務長官、欧州財務相会合に異例の出席へ
2011年9月13日5時15分

 米財務省は12日午後、ガイトナー米財務長官が16日にポーラ
ンドで開かれる欧州の財務相の会合である「エコフィン」に出席す
ると発表した。欧州の財務相会合に、米財務長官が出席するのは極
めて異例。欧州危機への断固たる対応を、直接要請するものとみら
れる。 

 エコフィンは、欧州の財務大臣が集まって、欧州の金融や財政問
題を話し合うる会議だ。域外の米国の財務相が出席した例はほとん
どないとみられる。米財務省は「ポーランド政府の招待により、ガ
イトナー長官が会議に出席する」と発表。同省は「欧州側と、世界
経済の回復に対する欧州の貢献などについて話し合う」としている。 

 ガイトナー財務相は9日に仏マルセイユで開かれた主要7カ国
(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席し、欧州主要国の財務相
に会ったばかりだ。しかし、週明けになっても欧州株価が急落を続
けるなど、欧州危機が収まっていないことから、欧州側に、打開策
の打ち出しを強く求めるものとみられる。(ワシントン=尾形聡彦)
==============================
10年戦争終結急ぐ考え強調 オバマ大統領9・11演説
2011年9月12日11時32分

 米同時多発テロから10年の11日、オバマ米大統領はワシント
ンで演説し、米中枢を襲った「痛烈な打撃」から立ち直った米国の
強さを訴えた。一方で「戦争の10年」に疲れた国民感情に配慮し
、テロを機に始めたイラクとアフガニスタンでの戦争に区切りをつ
ける意向を強調した。

 大統領はテロが起きた当時を「我々の世界に邪悪なものが近づき
、未来は不透明さにおおわれていた」と回顧。さらに、米国がこの
10年に戦争と経済不況、政治的な対立などに直面してきたことを
指摘した。

 一方で、自由や平等といった理想を追い求める米国民の本質は変
わっていないと強調。「夜通し泣き明かすことがあろうと、朝には
喜びが訪れる」という聖書の一節を引用し、「(10年後の米国人
は)米国は痛烈な打撃を受けたが、より強くなったと語るだろう」
と述べた。

 イラクとアフガンでの戦争については、派兵された米兵200万
人をたたえる一方で、「戦争そのものは輝かしくはない」と指摘。
「米国の強さは、平和の未来へ向かうことで生まれる」とし、早期
終結を目指す考えを示した。
==============================
米、3年で35兆円の雇用対策 オバマ大統領演説 
2011年9月9日8時46分

 オバマ米大統領は8日、雇用創出策と景気刺激策についての重要
演説を行い、減税や公共事業を通じて、今後約3年で4470億ド
ル(約35兆円)を投入する雇用対策を打ち出した。給与税の半減
などの減税で約2500億ドル、道路補修などの公共事業で約1000
億ドルを投入するのが特徴だ。米議会の協力をどの程度得られるか
が今後のカギを握る。(ワシントン=尾形聡彦) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る