4098.円高の現状と対応策について



米国は覇権国家を徐々に降りようとしているが、その代わりがいな
い。米国は中国とG2として、責任の半分を肩代わりしてと言って
いるが、中国はヤクザがよいと、自分の島を増やすことに精を出し
て、世界の民衆や国のことを考える余裕がないと言う。

米国の衰退が始まっているが、覇権国になる国がないので、当然の
ごとくドルの基軸通貨に変われる通貨は、当分出ないことになる。
        津田より

0.はじめに
FRBのバーナンキ議長も、QE1、QE2でドル札を大量にばら
撒いても、ドルの安め誘導はできたが、産業を新興国から取り戻す
ことはできなかった。雇用も増えず、金融業への規制で金融業も振
るわない。それは新興国は、ドル安にならないように自国通貨で為
替介入して、ドルとのバランスをとったことによる。為替介入で自
国通貨を大量にばら撒いたのである。

このため、ドルは、基本的に介入が困難な国際通貨に対してだけは
安くなるはずであった。しかし、ユーロはギリシャの国債不安で、
下がり、ホンドは英国の暴動で下がり、国際通貨では円に対してだ
け安くなったのである。

このため、新興国通貨はドルと連動しているので、円に対して大幅
に安くなっている。人民元はドルに対しては少し上昇させたが、円
に対しては下落のポジションである。

このため、円だけが独歩高になっている。起点はバーナンキFRB
議長のドルばら撒きのリフレ政策である。しかし、それに対抗する
ために、各国が為替介入というリフレ策をとった結果が、リフレ策
を採らない日本の円だけが通貨高になる。しかし、この円高は異常
である。この詳細は後(有料版の部分)で見る。

しかし、石油や食糧の値上がりがドルベースではすごいことになっ
ているが、円高で相殺されているのだ。通貨政策としては日銀の方
が正解であるが、それでは輸出企業にとっては、採算が取れなくな
ってしまうことになる。空洞化から真空化に向かっていくことにな
る。新興国企業や新興国で生産している日本企業に負けるのである。

このため、日本国内に残る中小企業などは倒産し、大手企業の工場
はなくなっていく。製造業が日本から無くなっていくことになる。
日本企業は生産をすべて海外で行うことになる。このため、製造業
の雇用数は、激減している。全体的な正規労働者数も、大きく減少
することになる。今まではサービス業での雇用数が伸びていたが、
この雇用数も減少になってきた。生産人口が大幅に減少してきて、
老人人口が増えて、ものを買わず、外食をしなくなってきたことに
よる。

ということで、数年前までは工業からサービス業へ労働がシフトし
ていると言えたが、現状では、それもありえない。全体的な雇用数
が減少してきて、単純な労働も少なくなってきている。このため、
高卒の就職率も大幅に落ちているのだ。

このため、今、購買力があるのは若者ではなく、年金生活を始めた
団塊の世代であるという結果も出ている。若者の賃金がどんどん減
少してきているのだ。日本全体が急速に貧困化してきている。生活
保護所帯が300万件になり、若者も生活保護を受けている人が増
えたという。

しかし、日本は15兆円の復興予算があり、今後景気が回復するこ
とは見えている。しかし、その復興が終わると、増税や内需がなく
なり、その上に景気回復した分、円が強っているために、製造業で
の輸出が益々ダメになることで景気が最悪になる。このため、今か
ら円高を阻止しておく必要があるのだ。

景気がよくなるので、本当に日本が衰退をすることが見えない、こ
のため危機感を持てないようである。民主党代表選挙で円高対策を
述べたのは、野田さんと鹿野さんしかいないし、具体的な対応策を
述べているのは野田さんしかいない。

1.異常な円高の原因
この衰退を起こしている原因が円高である。しかし、円高が異常過
ぎる印象も受ける。この原因は、一般投資家が関与するために、実
態以上に変動して、オーバーシュートしているようである。これを
見ておこう。

円高の原因をもう少し、詳細に見る必要がある。
円高の要因は、1つ目に購買力平価であり、円がデフレを起こし、
ドルがインフレであり、徐々に円の価値が上がっていることによる。
2つ目に、金融政策でドルは大量に発行してドル価値を薄めている。
3つ目に、金利差で円は金利ゼロであり、金利差がある通貨に出て
行く傾向にある。4つ目に、経常収支と資本収支など資金の流れで
ある。5つ目に、投機的な動きでしょうね。

このような要因で円相場の動きは、起きている。
一番の原因は、円の価値が相対的に上がり、ドルの価値が下がって
いることである。これを防止するためには、円の価値を下落させて
いくことで、円札を増やして需給のバランスを変えることである。

しかし、異常な円高の原因は、投機的な動きである。ミセス・ワタ
ナベの動きを研究されて、それを狙うヘッジファンドが円高を仕掛
けた。円がゼロ金利で、円で持つより資源国・新興国通貨など金利
が高い通貨で持つほうが資金が増える。このため、徐々に円から資
源国・新興国通貨に出て行く。これをキャリー・トレードというが
、団塊の世代が多くしている。このため平時は円安に振れる。これ
をミセス・ワタナベは円が高いときに仕入れて、円安で売るという
シンプルな動きを追っている。

しかし、一度危機的な状況となると、キャリー・トレードの巻き戻
しがいっせいに起きる。資源国通貨から円に戻す動きである。この
とき、ヘッジファンドも一緒に円買いに走り、円高にしてしまう。
円高にすると、ミセス・ワタナベは持ち高調整になり、強制的な売
りを誘う。損切りである。このときに、円を借りて一気に円を売る
行動に出る。これが今である。75円〜76円の円高にした理由で
ある。

この一時的な動きに合わせて、円売り資源国・新興国通貨買いを仕
掛ける動きが有効なのである。野田財務相が提案している1000
億ドルの基金で、海外展開の企業にドルを貸し出すという動きは、
利にかなっている。しかし、もう少し早く実行しないと円高後にし
ても、円水準が定着してしまうので、それはそれ以上の円高を止め
ることしかできない。

しかし、根本的な対応策は、円の増刷しかない。リスク資産や国債
を日銀が積極的に買い、円札を増量するしかない。また停滞する円
を市場に出すために、日銀の当座預金にマイナス金利をかけるなど
、円の価値を下げる動きをとるしかないのである。

経常収支は黒字でしょうがないが、資本収支を赤字にして、積極的
に海外に投資することは、フォローとしては効く。これらの合わせ
業しかない。

2.円高後の円安で
円高に当分、政治の怠慢でしてしまい、海外に工場を移した企業が
円安になったということで、日本に戻るかというと、それは無理に
なる。熟練工が日本にはいなくなり、工場を日本に戻せなくなる。
米国がそれをやっているが、戻らないし、戻れない。このため、ド
ル安政策は失敗している。

熟練工が日本にいる間に円安にして、工場を戻すしかないのである
。もし、円高が続くとなれば、日本の空洞化を起こさない日本の次
の産業を興す必要がある。これは、このサイトで特集している植生
文明への研究投資して、次の産業として育てるしかない。

加工業から農工業への転換が必要になる。どちらにしても日本の将
来構想が必要である。日本の将来構想をどの候補者も述べない異常
な代表選挙である。日本の明日はないと見えてしまう。悲しいこと
である。

3.参考資料
広木隆さんのレポートが優れているので、それをリンクしておきま
す。

リスク回避の円高1
https://www.monex.co.jp/static/jpmorgan/strategy/strategy_20110715_1.pdf
リスク回避の円高2
https://www.monex.co.jp/static/jpmorgan/strategy/strategy_20110802_1.pdf
リスク回避の円高3
http://www.monex.co.jp/static/jpmorgan/strategy/strategy_20110802_1.pdf
リスク回避の円高4
http://www.monex.co.jp/static/jpmorgan/strategy/strategy_20110825_1.pdf?

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