4084.中国軍との対決はどうなるか?



米軍衰退でアジアに緊張が走り、米国の財政赤字縮小のために国防
費が大きく削減されることが、ほぼ共和党、民主党の合意である。
「オフショア・バランシング」で米国はイラクからもアフガンから
も撤退して、今後アジアへの軍事介入は基本的にはなくなる。

日本の新聞などが中印緊張というが、インドと直接中国が対応する
のはインドのアルナーチャル・プラデーシュ州と中国チベット自治
区の国境だけであり、アンダマン諸島はインド領であり、海での警
戒感がまだあまりない。それより南シナ海での中越、東シナ海での
日中のほうが緊張感がある。

インドは露製の最新鋭武器を買っている。中国は自国製のコピー武
器で置き換えている。露が最新鋭武器を売らないことと、イスラエ
ル製の武器設計図と技術者を買い、技術を習得したことで、中国の
電子部品は発展し、それが通信機器で中国が優秀なわけだ。インド
に武器を売りたい米国は米印協定を結ぶ。

イスラエルは露にもレーダなどを技術ごと提供して、露製武器の性
能も飛躍的に向上した。中国へもイスラエルのラビ戦闘機の設計者
を送り込んだ。クファル戦闘機の開発中止で、設計者がいらなくな
り、イスラエルとしても開発物件を必要としたためである。このた
め、中国のレーダや電子的な兵器は進んだ。

日本は中国の前面に位置している緊張感をもう少し持つべきである。
それを技術的な面でイスラエルの技術が導入され、その技術が最新
鋭の武器を優秀にしていることを知るべきである。しかし、イスラ
エルの弱点は重工業がないことである。このため性能のよいエンジ
ンがないこと。このため、これを中国は露のコピーで得るしかない。

日本は米国衰退で一番影響を受ける国家の1つである。日本は米国
の安全保障の多くを頼ってきた。台湾も米国衰退で大きな影響を受
けるが、昔から中国と対応することが宿命であり、武器や訓練を繰
り返しているし、戦闘にもなっている。これに比べて、日本は平和
ボケして、対応する能力ができていない。

そして米国も横須賀を捨てて、豪州に基地を移す動きがある。この
ように、米国も中国との衝突を避ける。日本は前面にいるので避け
ることができない。越もそうだ。前面にいるために避けることがで
きない。印も直接的な衝突を避けることができる。日本とベトナム
が危ないことになる。

鎌倉時代の元の侵攻は、日本とベトナムに中国の船団が押し寄せた。
しかし、この両国が同時期に元軍を押しとどめている。このため、
両国は中国の支配を免れる。これと同じような状態になったと認識
する必要がある。中国とインドをぶつけたいという思いはわかるが
、それより前に日越である。

チャイナ膨張の限界線が日越あたりというのは変わらんのかという
質問には、東風15、16、21などのミサイルでの攻撃は領土的
な野心からではなく、米国から攻撃を受けないためのガード。尖閣
列島、南沙諸島は領土的な主張ですから質が違う。グアムまで取る
には、まず台湾、そして日越を征服した後でしょうね。

朝鮮半島はどうかというと、朝鮮半島は中国が力を持つと、すぐに
中国に付き添ってきた歴史があり、韓国も同様な行動をとることに
なる。日本は中国に対抗してきたので、そのような行動を取れない。
日越にはフライドがある。台湾は同族であるから、優遇してくれる
という条件が揃えば、1つの国なる。

すべては歴史的な国民感情が決定しているように感じる。日本は比
較的早く平安時代に、中国文明から離脱して、日本文明を築いた。
これで中国とは違うという意識ができたようだ。朝鮮は中国の属国
が長く、中国文明を容易に受容できる。

そこで、中国は空母を持つ。大量物資を運ぶには船が必要。また、
東シナ海を挟んで中国のミサイルの物量が効いている。ミサイルは
、飛ぶ距離ごとに、種類が違うために大量に持つ必要があるが、そ
れを質量ともに持っているのが中国である。このため、それに対応
するために日本もMDの量をそろえる必要がある。

米国は、中国のICBMを打ち落とすために、GBIインターセプ
ターを開発したが、命中率が低く、高出力レーザーによる弾道ミサ
イル破壊に変更している。この高出力レーザーが2010年2月に
成功して、この方向で研究開発を進めている。

日本は、SRBMとMRBM、IRBMなど短距離、中距離ミサイ
ルの防衛であり、この打ち落としのために、SM3ブロック2Aを
日米で共同開発した。元は日本のSMミサイルであり、日本が中心
で開発したのだ。これが命中率が高く有効であり、同盟国がほしが
っている兵器である。

MD(ミサイル防衛)には、監視用の衛星と海上でのイージスでの
監視用レーダが必要である。これと短中距離ミサイルでは、イージ
ス艦から発射するSM3ブロック2Aが必要である。しかし、多数
のミサイルが飛んできたときには、間に合わないことになる。レー
ザーが欲しいわけはここにある。

パトリオットが最終段階での打ち落とし策であるが、これで打ち落
とすと、防衛地域以外に落ちることになる。被害は出ることになる。
台湾は、独自で開発しているが、元は米国の技術であろう。台湾は
ミサイル監視用に複数代の衛星を打ち上げている。これは日本にも
有効である。

中国の戦略は海陸和合論と言われたが、そろそろその戦略理論が変
更になるような気がする。中国の生存権の保証が必要であるという
ような理論である。こうなると、皆が身構えるので、今までは海国
家も陸国家もそれぞれ認めて平和にいきましょう。とした。

このような攻撃的な中国に対応するためには、専守防衛を捨てると
きがきた。憲法を改正するべきである。

中国の艦艇は950隻あり、日本の150隻、米国の509隻より
多い。世界の海に出現しているが、単独航海が多く、まだ脅威とい
うほどでもなった。しかし、空母という巨大な艦船は、6万トンも
の大きさで、街が動くような感じで威圧感がある。このため、脅威
と感じることになる。

空母というのは、平和時に威圧感をもつ存在であり、もつかもたな
いかで外交的な意味合いが違う。しかし、中国の空母の質が問題で
あるが、ソ連旧式空母ではあまり脅威にならないが、その外交的な
威圧感を相殺させる必要がある。このため、日本の国家予算では軽
空母で十分、F-35の垂直離陸機を12機程度でしょうね。これも、
絶対基準はなく、中国との相対問題ですよ。中国が空母を複数台持
つという。

カプランは米太平洋艦隊は、増強していく。大型艦の移動ができる
ように、パナマ運河を拡張している。大西洋から太平洋へ米海軍艦
艇を移動させる計画があり、太平洋〜インド洋では、北朝鮮・中国
・イランなど多くの仮想敵国がいるが、大西洋では仮想敵国がいな
く、平穏だという。

中国の艦艇を見ると、ソヴレメンヌイ級駆逐艦を2隻、ロシアから
購入している。防空艦としては広州級、旅大級駆逐艦がある。これ
らは同時代の駆逐艦である。その後、蘭州級駆逐艦は、米AN/SPY-1
のイージス艦の図面を盗み、それを元に作ったコピー艦である。2
隻、瀋陽級駆逐艦は、蘭州級の後につくり、6隻建造予定。

中国軍の陣容は、陸軍178万、海軍23万、空軍28万で230
万人である。しかし、陸軍の装備は、旧式な自動小銃であり、この
近代化をするためには、陸軍の兵員数をもう少し絞り込む必要があ
る。軍の構成は防衛大学等の大卒が12%である。短大卒が23%
とここまでは職業軍人でしょうね。

中国との戦争を意識する必要あり。安全保障が最大の国家の役割だ
と政治家も認識して対応することだ。中国は戦前の日本と同じで軍
部が2012年政権交代で台頭する。このため、準備が必要である。

核戦争に勝者はない。核保有国は認識が甘い。というご意見がある
が、核を使う時は核ミサイル防衛ができた時点でしかできない。こ
れは中国も同じ。しかし、通常戦争が起こりえる。日本の関東軍を
みればわかる。

中国も地方軍管区の暴走が起こりえる。特に東風16(DF-16)だ。
DF-10番台は、台湾を狙うミサイルで、700発程度の量産モデルで
、その派生系である可能性が高い。狙いは沖縄の米空軍基地でパト
リオットを無効化するために大量に量産してくるはず。

ついでに、日本を狙っているのは、東風21(DF-21)で日本のほぼ
すべてが射程距離にある。この潜水艦バージョンがJY-1であり、ど
ちらもグアム、日本の米軍基地がターゲット。基数は80〜100基程度
と言われている。

中国のミサイルの戦略的な目的は、接近阻止・領域拒否(A2AD)戦
略であり、DF-16の目的も空母や米艦艇の台湾接近を阻止する目的で
あり、その目標の1つとして、沖縄を狙うことになる。

しかし、カプランも私も日本より先に中国とベトナムとの対決にな
ると見ている。南シナ海での戦闘が先に起こる。米軍は南シナ海域
での配備になるはず。日本近海には米艦艇数は、少なくなる。空母
ワシントン、強襲艦エセックスなどは南シナ海へ移動している。日
本には沖縄のF-22など航空勢力+日本艦艇だ。

しかし、中対越比米との南沙諸島での衝突が起こり、それに対応し
て、日本、台湾が東シナ海で第2戦線を作るように米国から求めら
れることになる可能性が高い。この条件として、高出力レーザー兵
器の技術の提供を求めることであろう。基本的な戦略とは複数のシ
ナリオを用意して、それに備える必要がある。

もう1つの可能性として、北朝鮮と中国の連合軍が38度線の国境線
を越える。第2戦線を中国が構築し、米軍を分散させる。中国は陸
軍が主流で海軍の分散が起こらない。

元寇時も、越が元を押さえ、日本も同時期に元を押さえたことで、
分散されて最後には日本への攻撃をあきらめることになる。このよ
うな過去のシナリオが参考になる。共産中国は世界戦が初めてで、
欧米日などの連合の強さを知らない。そこが中国の問題点であり、
また狂信的な軍人が登場する理由でもある。

最後になるが、中国の政治体制を知っていて欲しい。戦前の日本と
同じで、軍の統帥権は総書記と軍事委員会は持っている。軍事委員
会メンバーは総書記、副総書記以外はすべて軍人であり、政府要人
はいない。政府には国防相がいるが、軍と政府の連絡役でしかない。
政府は軍の行動を止めることができない。もう1つ、軍は銀行を持
つ。

戦前の朝鮮銀行と同様に軍人が自由になる銀行があり、政府や中央
銀行の意向を無視できるのが、今の中国軍である。その軍の大学校
長である将少将が米国との戦争も辞さないと騒いでいるが、それを
止める者も居ない。中学から軍事教育が中国はあり、広範な軍事教
育がされている。あたかも戦前の日本を見ているようである。

非常に心配な状況にある。

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