4081.円の事実上、基軸通貨への反論



円の事実上、基軸通貨への反論

4076.円の事実上、基軸通貨への反論という程ではないですが
、本件検討不足の感があるので、添削させて戴きましょう。 

>1.経済は安定して、経常黒字であること。 
日本経済は十分疲弊しており、貿易収支も赤字ラインを行き来して
いるので、条件には合致しません。 
「基軸通貨としての条件」には当てはまらない条件でしょう。 
世界が相互に貿易に依存している現状で、他が悪くても1国だけ経
済が安定する事は原理的に無いです。 

>2.国内政治が安定して、民主主義国家であり、暴動などが起こり 
>  えないこと。 
この30年は暴動こそ無いですが、政治が長年に渡って機能不全に
陥っているので、条件には合致しません。 
「基軸通貨としての条件」には当てはまらない条件でしょう。 

>3.周辺諸国と戦争などの危険が無いこと。 
どんな理不尽をかまされても「戦争する気がない」と言えば、当て
はまるかも知れませんが、「基軸通貨としての条件」には当てはま
らない条件でしょう。 

>4.景気変動を受けて、通貨価値が変動しないこと。 
円は高くなり過ぎなので、条件には合致しません。 
「基軸通貨としての条件」には当てはまらない条件でしょう。 

>5.通貨供給量が多く、国際通貨としての位置があり、認知されて 
  いること。 
通貨供給量と言うよりは、「貿易額や国際的投資額が多いこと」が
条件となるでしょう。 

>6.国債の安定性が高いこと。CDSが低いこと、格付けが高いこ 
>  と。 
日本国債は、先日下がったとは言えアメリカ国債よりも2つ下です
から、条件には合致しません。 
「基軸通貨としての条件」には当てはまらない条件でしょう。 

仮に「円が基軸通貨である」と仮定して、1ー6の中で当てはまる
のは、5だけという結果になりましたが、如何に? 

先日、アメリカの経済人が日本国債のリスク(信用の低さ)につい
て論評してましたが、日本側の反応は冷ややかですね。 
その無反応ぶりが円高保持に繋がっていることを認識すべきでしょ
う。どんな汚い手を使ってでも、円高を阻止すべき。 
日本の悪評が広まれば、円安になる。 
それもまた良し。背に腹は代えられない。 
日本は余りにも紳士的(言い替えれば、お人好し)過ぎる。 

勘助 
==============================
(Fのコメント)
すべては、相対問題であり、日本円と米国ドル、英国ポンド、EU
ユーロまたは中国人民元、インドルピー、韓国ウォン、資源国通貨
と比較して評論するべき問題であり、それと比較していただければ
、一目瞭然のはずです。

1.の経常黒字国は、日本と中国、インド、韓国、資源国であり、
EUは評論できない。米英は、経常赤字国である。

2.の国内安定は、中国は民主国ではない。英国も暴動を起こして
いる。政治は機能不全を起こしても、クーデターもテロも起こらな
いのが、日本と米国で、EUは評論できず。

3.戦争の可能性がある韓国のウォンやインドルピー、イスラエル
のシェケルとは違う。

4.景気動向で、日本の円は、景気が悪くなると円高になる。普通
の資源国通貨は景気が悪いと安くなるので、円は逆相関関係にある。
このような通貨は、少し前では円とドル、ユーロであったが、現在
円しかなくなくなっている。

5.の通貨供給量と国際通貨ではないのが、中国人民元など資源国
・新興国通貨。

6.国債の安定性は、米英が上であるが、資源国や新興国より日本
のほうが上。中国とは同等である。

というように、現時点、この条件を網羅して高い点数がつくのが円
であるので、円高になるのですよ。

相対的な問題を、絶対的な観点で見てはいけない。これが戦略家の
基本中の基本ですよ。


コラム目次に戻る
トップページに戻る