4069.世界はどうなるのか?



米経済二番底の兆し、ユーロ危機が見えて、NYダウが連日大幅下落
をしていたが、やっと下げ止まりで取引を終えた。しかし、米国債
の格付けは下がり、混迷は続くことになる。 Fより

この経済的な苦悩は、2008年9月のリーマン・ブラザーズ倒産
から始まる。米国から始まる金融危機は、瞬く間に世界に波及して
、世界的な大不況になった。この切り抜けのために、米国は最初、
財政支出拡大を進める。

しかし、米国債は発行額が巨大になっても、オバマ大統領の経済政
策でも雇用は拡大せずに、財政政策だけでは限界に来る。もちろん
、これにより金融機関が安定化し、GMも立ち直った。しかし、経
済の拡大にはならず、空洞化が進む。

このため、経済環境をイコールフィッティングにするために、中国
の元の切り上げを米国は志向したが、それを中国に拒否されたので、
米国は、ドル切り下げのために金融緩和政策を採る。

なにしろ、中国は、過小評価の人民元を背景に、安価な製品の輸出
で、中国からの製品の輸入は、消費者物価水準を押し下げてデフレ
を世界に助長することになる。

また、米国は、金融緩和でドルを商品市況や新興国に流れ込み、新
興国市場や物価水準を押し上げ、世界的にインフレを促進する。し
かし、金融緩和では、米国の実体経済は、ほとんど変わらない。金
融業界、特にヘッジファンドだけを潤す結果になっている。

ゼロ金利政策やQEが、需要や雇用の拡大にほとんど役立たないの
は周知の事実になった。日本のバブル崩壊後、バーナンキは、円札
を増刷して、空からばら撒くことを提唱したが、米国でやっても、
効果がなったことを証明した。

ドルを金融緩和しても、中国は為替介入をしてドルと元の関係を維
持していくために、金融緩和処置では空洞化が収まらない。また、
ドル下落に対応して、中国以外の新興国も為替介入を行った。

財政拡大は、メディケア(社会保険制度)を構築したことでもある
が、共和党茶会派から増税になるとして、増税を伴わない2.5兆
ドルの財政削減を求められ、米国債のデフォルトになるために、オ
バマ大統領も認めるしかなかった。

しかし、この財政削減(支出削減)では、景気回復はしないことに
なり、米景気の先行きを投資家は読み、株価の暴落に結びつくこと
になる。米経済が下降すると、税収不足が加速して償還懸念から米
国債も持続不可能になり、格付けは下がることになった。

欧州では、ギリシャなどのPIIG諸国の国債がデフォルトになる
可能性があり、ユーロ懸念が出ている。ドルとユーロという通貨の
危機で、円とスイスフランに退避してくるために、円とスイスフラ
ンが高くなってきている。

このため、円とスイスフランは共同して、日本は4.5兆円規模の
為替介入に踏み切ったが、そのタイミングで、ユーロ危機とドル危
機を起こされて、失敗しそうである。しかし、今後も必要に応じ円
売りの為替介入を継続する考えを示唆した。

このように、1930年代の大恐慌後の世界的な通貨切り下げ競争
の様相になってきている。それと気になるのが、中国の軍事拡張と
、南シナ海の領土拡張の意欲である。1930年代のナチス・ドイ
ツが領土拡張に目指して、第2次世界大戦になったことを思うと、
非常に心配な国際情勢になっている。

参考資料:
4044.米国も低成長へ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L3/230716.htm
3816.米国が率先して保護主義へ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/221120.htm
3781.世界的な通貨戦争に
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/221017.htm
3724.米景気下降で米中関係破綻
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/220821.htm
3666.ユーロ危機解決へのEUの動き
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/220619.htm
3498.米国の財政危機、世界へ
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L1/211219.htm
3410.米経済戦略の変更
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L1/210926.htm
3050.リーマン・ブラザーズ倒産
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L0/200916.htm
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米国を「AA+」に格下げ、見通しネガティブ−S&P 

 8月5日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド
・プアーズ(S&P)は、米国の長期債務格付けを「AAA」から
1段階引き下げ、「AA+」とした。見通しは「ネガティブ」に据
え置いた。 
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NY株反発、60ドル高の1万1444ドル

 【ニューヨーク=小谷野太郎】5日のニューヨーク株式市場で、
ダウ平均株価(30種)は前日比60・93ドル高の1万1444・61
ドルと反発して取引を終えた。

 債務危機の懸念が高まるイタリアが、財政再建に前倒しで取り組
むと伝わったほか、独仏首脳などが欧州諸国の財政問題を電話で協
議したと報じられた。世界株安の震源となった欧州の財政不安が和
らぎ、買いが優勢となった。

(2011年8月6日06時02分 読売新聞)
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米雇用統計:失業率は9.1% 4カ月ぶり改善
 【ワシントン斉藤信宏】米労働省が5日発表した7月の雇用統計
(速報値)によると、失業率は9・1%(市場予想平均9・2%)
と前月比で0・1ポイント改善した。失業率の改善は4カ月ぶり。
また、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数も、季節調
整済みで前月比11万7000人増(市場予想平均8万5000人
増)と、前月の4万6000人増から増加幅を拡大した。

毎日新聞 2011年8月6日 東京朝刊
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為替介入:円売り介入規模、過去最大4.5兆円
 政府・日銀が4日実施した円売り・ドル買いの為替介入が、約
4・5兆円規模だった可能性が高いことが5日分かった。1日の円
売り介入額としては、10年9月15日の2兆1249億円を抜き
過去最大となりそうだ。日銀が公表した「当座預金増減要因と金融
調節」によると、介入の取引が実行される8日について、政府の支
出や国債発行・償還などの資金の動きを示す「財政等要因」の資金
変動が、事前の見通しに比べ4・5兆円程度膨らんでおり、この大
部分が介入によるものとみられる。【小倉祥徳】

毎日新聞 2011年8月6日 東京朝刊
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危機の安全網、一段の拡充を=EU欧州委高官
 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会のレーン委員
(経済・通貨担当)は5日、記者会見し、ユーロ圏諸国が財政危機
に陥った場合の安全網として昨年設けた緊急融資制度を一段と拡充
する必要があるとの認識を示した。ただ、信用不安が広がっている
イタリアやスペインが緊急融資を必要とするとは思わないとも述べ
た。
 同委員は、危機対策は状況に即して柔軟に改める必要があるとし
た上で、欧州委は緊急融資制度「欧州金融安定基金(EFSF)」
の融資能力を強化する必要があるとの立場だと語った。具体的な拡
充の規模や時期については言及を避けた。
 イタリアやスペインが万一危機に陥り、EUに支援要請した場合
、最大4400億ユーロの融資能力を備えたEFSFを中心とする
現在の危機対策だけでは支え切れない公算が大きい。
(2011/08/06-00:08)
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ECBがイタリアとスペイン国債買い入れで大筋合意、改革促進が
条件
2011年 08月 6日 05:15 JST

 [パリ 5日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は、イタリ
アとスペインが主要な構造改革を前倒しして推し進めることを条件
に、両国の国債を買い入れることで4日に大筋で合意していた。関
係筋が5日、明らかにした。

 同筋によると、ECBは国債買い入れを実施するにあたりイタリ
ア政府に対しては、財政規律に関する憲法改正と福祉関連の改革に
コミットすることを求めている。

 スペインについては、提示されている要件の詳細は不明だが、同
国政府は構造改革の加速を確約するもよう。

 関係筋の1人は「イタリアがすぐにでも何らかの発表を行えば、
(ECB)理事会の反対派を押し切り、市場での買い入れが実現し
やすくなる」と指摘。市場を安定させるにはECBの買い入れ以外
にないとの見方を示した。

 ユーロ圏高官は「イタリアとスペインが財政や構造改革に向けて
取り組みを強化すれば、ECBは両国債の買い入れを開始する可能
性があると言っていいだろう」と語った。

 関係筋によると、ECBが来週明けにも買い入れを開始できるよ
う、欧州連合(EU)首脳は、協調してベルルスコーニ伊首相に週
末までに何らかの発表を行うよう迫っている。

 関係筋の1人は「ECBは行動を起こす意思をすでに示していた
。市場関係者は、ECBはイタリア国債の価格について問い合わせ
を始めたが、実際の買い入れはまだ行っていないとしている」と述
べた。

 また同筋によると、ECBは国債買い入れに関する交渉を直接行
っておらず、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会とファ
ンロンパイEU大統領が、イタリアとスペイン両国政府と進めた。
独仏両国が政治的な圧力をかけたという。  
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バーナンキ議長も酔うしかない?米経済二番底の兆し
2011年 8月 5日 15:44 JST
WSJ
 米国の財政赤字上限引き上げ問題は、8月2日の期限ぎりぎりでど
うにか決着をみたが、景気減速が止まらない。

 4日のニューヨーク株式市場では、世界経済の先行きや米景気二番
底への不安、スペインやイタリアをはじめとする欧州のソブリンリ
スク危機などに対する懸念から、ダウ工業株30種平均が約4.3%の下
げ幅を記録。5月の直近高値から10%以上の暴落という、昨年12月以
来の安値で取引を終え、主要メディアが一斉に速報メールを流した。
5日に発表される米労働省の雇用統計や米国債格下げに対する懸念も
、投資家心理を冷え込ませている。

3日、米オンラインメディア「ザ・オニオン・ドットコム」に、同議
長が地元のバーで酩酊し、飲み客を相手に、債務上限をめぐる政治
家の身勝手な議論や景気浮揚策の行き詰まりを声高に嘆いたという
ジョークの“スクープ”記事が載った。

記事には、同議長が、「自分のことしか考えていない議会」による
削減策が財政赤字をさらに悪化させ、あと3〜4回の景気刺激策が必
要になるかもしれないとある。9.2%という6月の失業率は、実際に
は16%前後とみるのが妥当で、ラッキーでも、今年の経済成長は年
率0.7%がせいぜいだという。

FRBの使命は、物価安定と雇用の最大化だが、2度にわたる大規模
な量的緩和策(QE)でインフレ効果は起こせたものの、雇用改善
にはほとんど効果が上がっていない。バーテンダーを前に金融緩和
策の重要性を説きながらも、「ゼロ金利政策やQEが、需要や雇用
の拡大にほとんど役立たないのは周知の事実だ」と本音を吐露した
ことになっている。

QEが、さらなるドル安を招き、米国債の「トリプルA」の格付け
にマイナスの影響を与える恐れもある。
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通貨戦争「新時代」に突入か−米減速による追加緩和観測でドル安
加速

  8月4日(ブルームバーグ):ブラジルのマンテガ財務相が通
貨切り下げ競争の「休戦」を宣言してからわずか8カ月。日本とス
イスが円とスイス・フラン相場の押し下げに動き、外国為替市場の
緊張は再び高まった。勢いを失いつつある米経済の動向がドル安を
加速させていることが背景にある。

  日本は4日に介入を実施。円はドルに対し一時4%以上も下落
した。過去1カ月では5%上げていた。スイス国立銀行(SNB、
中央銀行)は3日、フラン高に歯止めを掛けるため緊急利下げに踏
み切った。フランは過去1年で約36%上昇。

  欧州債務危機と米国の債務上限引き上げをめぐる政治混乱が投
資家を安全な円とフランに追いやった。米国にリセッション(景気
後退)再来の恐れが生じ、米連邦準備制度理事会(FRB)が新た
な量的緩和を開始するとの観測がドル安を加速させている。昨年の
ドル下落の結果、アジアの10大経済は全て、自国通貨上昇阻止に向
け何らかの措置を取った。

  スタンダードチャータード銀行の通貨調査世界責任者のカラム
・ヘンダーソン氏(シンガポール在勤)は「通貨戦争の新時代に突
入したようだ。ドル下落に対処しているのは新興市場ばかりでなく
なった」と指摘。「今後は介入がはるかに活発になるほか、ドル相
場についてのとげとげしい空気も増すだろう」と述べた。

  全米経済研究所(NBER)で景気循環を判定する委員会では
9人中5人が、米経済に減速の兆しがあるとみている。メンバーの
1人、ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授はリ
セッション再来の確率を50%とみる。
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介入継続を示唆=「株式市場も注視」−財務相
 野田佳彦財務相は5日の閣議後記者会見で、昨日の海外市場で再
び円が買われる動きが強まったことについて「引き続きマーケット
の動向を注視し、適宜適切に対応する」と述べ、必要に応じ円売り
の為替介入を継続する考えを示唆した。その上で、米国株式市場の
株価が大幅安になったことを踏まえ、「為替市場だけでなく、きょ
うは株式市場も注視をしていきたい」と強調した。
(2011/08/05-10:29)
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東京円、一時1円以上円高…介入効果吹き飛ぶ

 5日の東京外国為替市場は、世界的な景気減速への懸念から、ド
ルやユーロを売って、円を買う動きが再び強まった。

 円相場は一時、4日(午後5時時点)より1円以上、円高・ドル
安の1ドル=78円62銭前後まで反発した。政府・日本銀行が4
日に行った円売り介入の効果がほぼ失われた格好だ。

(2011年8月5日11時39分 読売新聞)
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欧州中銀 単独の介入に批判的
8月5日 8時6分NHK
政府・日銀が歴史的な円高の進行に歯止めをかけるために行った市
場介入について、ヨーロッパ中央銀行のトリシェ総裁は、4日の記
者会見で「市場介入は多国間の決定でなされるべきものだ」と述べ
、日本単独での介入に批判的な見方を示しました。

この中で、ヨーロッパ中央銀行のトリシェ総裁は、日本が行った円
売りドル買いの市場介入を支持するかどうかを問われ、「われわれ
の立場は明確で、市場介入は多国間の決定に基づいてなされるべき
ものだ」と述べました。ことし3月の東日本大震災の直後には、
G7各国が日本に協調して円売りドル買いの市場介入を行いました
が、今回の介入は日本が単独で行っており、トリシェ総裁はこうし
た単独介入に批判的な見方を示したことになります。一方、トリシ
ェ総裁は、ギリシャの財政危機をきっかけにした信用不安がスペイ
ンやイタリアなどに広がる懸念が高まり、こうした国の国債や株価
が大幅に下落していることについて、金融システムの動揺を防ぐた
め域内の銀行にこれまで以上に潤沢な資金供給を行っていく方針を
示しました。
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株価急落、世界で軒並み 米欧から連鎖的にアジア市場へ
2011年8月5日11時30分

 世界の株式市場で、株価が急落している。世界景気が後退に向か
うとの懸念から、4日のニューヨーク市場では大企業で構成するダ
ウ工業株平均が前日より512ドル急落。これを受けた5日の東京
株式市場は、日経平均株価の下げ幅が一時400円に迫った。

 日経平均は取引開始直後に一時、前日より395円09銭
(4.09%)安い9264円09銭まで値下がりした。9300
円を下回るのは東日本大震災直後の3月18日以来、約4カ月半ぶ
り。東京証券取引所第1部上場株式の約98%が値下がりする全面
安だ。

 午前の終値は同324円92銭(3.36%)安い9334円26
銭。「米欧株の急落で、連鎖的に日本市場でも株価が落ちている」
(大和証券の野間口毅氏)という。アジア市場でも韓国や豪州、香
港などの主要株式指標が3%超下落している。
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NYダウ暴落、512ドル安 8カ月ぶり安値水準
2011年8月5日5時27分

 4日のニューヨーク株式市場は、世界経済の先行き不安が高まり
暴落した。大企業で構成するダウ工業株平均は前日比512.76
ドル(4.31%)安い1万11383.68ドルで取引を終えた。
終値としては今年の最安値を更新し、昨年12月9日以来約8カ月
ぶりの安値水準となった。

 1日の落ち幅としては、680ドル暴落した2008年12月1
日以来、約2年8カ月ぶりの大きさとなった。ダウ平均はこの10
営業日で1300ドル超下落した計算になる。

 4日発表された7月30日までの1週間の新規失業保険申請件数
の改善が鈍かった。最近発表された他の消費や景況感に関する経済
指標も低調で、米経済が急速に失速しているとの不安が高まった。
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欧米経済の悪影響避けたいアジア、デカップリングに不可欠な中国
経済
2011年 08月 4日 19:53 JST

 [シンガポール 3日 ロイター] アジアが欧米経済の見通し
悪化の影響を避けられるかどうかは、中国次第といえる。ただ、中
国にはアジア経済を守る役目を果たす意思も能力もないかもしれな
い。

 インフレ率が3年ぶり高水準に達する中国では、政府はあらゆる
手段で経済成長の抑制に努めているが、物価上昇は依然続いている。

 中国はまた、欧米に取って代わり、アジア諸国の最大の貿易相手
の地位を得たが、このことがアジア経済を完全に保全しているわけ
ではない。中国が近隣国から輸入する物品の一部は欧米向けの輸出
品の生産に使われているからだ。キャピタル・エコノミクス(シン
ガポール)のエコノミストは「問題は、最終需要がアジア内かどう
かだ」と指摘する。
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国際通貨戦争、保護主義の台頭を避けるには
――通貨価値ではなく、各国の国内経済戦略を見直せ 
ラグラム・ラジャン  シカゴ大学経済学教授 
フォーリン・アフェアーズ リポート 2011年3月号
 
グローバル貿易の不均衡が続けば、金融と政治を不安定化させ、長
期的には通貨戦争を含む非常に危険な状況に遭遇する。そして、各
国が国内経済戦略を大幅に変化させない限り、こうした不均衡はな
くならない。通貨をめぐる最近の緊張は、各国が長期的にとってき
た国内経済政策が重層的にもたらした持続不能な貿易不均衡に派生
している。そして、不均衡を是正していくには、国際合意を通じて
ではなく、各国が長期的利益を重視した国内経済戦略へと独自の判
断でシフトしていく必要がある。途上国経済にとって必要なのは、
先進国への依存度を引き下げ、もっと支出を増やすことだ。一方、
アメリカのような先進国は、消費を減らしつつ、生産を強化し、輸
出を増やす必要がある。国際的な資本の流れをより穏やかで、リス
クを常に意識したものへと変化させるための規制の見直しも必要だ。
一方、各国が改革を嫌がり、過去に成功をもたらした経済戦略に政
治的に固執し続ければ、1930年代の悪夢に再び直面することに
なるかもしれない。 
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日銀、資産買い入れ等基金を50兆円程度に増額―円高など受け
2011年 8月 4日  14:27 JST 
WSJ
  日銀は4日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ等の基金
を現行の40兆円程度から50兆円程度に増額することを決めた。円高
など景気下振れリスクが懸念が高まっていることから追加緩和策を
打ち出した。 

   日銀は発表文で、日本経済は、震災による供給面の制約はやわ
らぎ、緩やかな回復経路に戻っている、としながらも、海外では、
米国の財政健全化をめぐる懸念や欧州のソブリン問題、新興国の物
価と成長のバランスなど不確実性が高い、と指摘。さらに、それら
の情勢を受けた為替・金融市場の変動が、日本経済にマイナスの影
響を与える可能性があるとした。 

 また、政策金利である無担保コールレート翌日物については、
0〜0.1%程度を目標とし、現状維持を決めた。 

 10兆円程度の基金増額分のうち、5兆円が資産買い入れに充てられ
る。内訳は、長期国債が2兆円、国庫短期証券が1.5兆円、コマーシ
ャルペーパー(CP)などが1000億円、社債などが9000億円となっ
ている。また固定金利による資金供給で、期間6カ月を5兆円増額す
る。 

 今回の緩和策は政策委員9人の全員一致で決まった。 
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米債務上限引き上げ法が成立 オバマ大統領が署名
2011年8月3日11時12分

 オバマ米大統領は2日午後(日本時間3日午前)、米上院・下院
を通過した債務上限を引き上げる法案に署名し、同法が成立した。
米政府の債務不履行(デフォルト)は引き上げ期限当日の2日に回
避された。これを受け、米欧の格付け大手2社は米国債を当面、格
付け最上位に据え置く考えを示した。ただ、米スタンダード・アン
ド・プアーズ(S&P)は依然、態度を明らかにしていない。 

 オバマ政権と与野党は31日、今後10年で2.4兆ドルの財政
赤字を削減し、同時に債務上限は2012年末までの政府借り入れ
を賄える2.1兆ドル幅引き上げる内容で合意した。 
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日米で株価急落、東証午前217円安 金価格は最高値
2011年8月3日11時34分

 米国債の格下げ懸念による「債務ショック」などから米国経済の
先行き不安が強まり、日米の株価が急落している。投資資金は株式
より安全とされる金や国債に逃避したため、金価格は最高値となり
、長期金利は低下している。 

 2日のニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平
均が前日比265.87ドル(2.19%)安い1万1866.62
ドルで取引を終え、今年3月18日以来約4カ月半ぶりの安値水準
となった。ダウ平均の下落は8営業日連続で、リーマン・ショック
直後の2008年10月以来約3年ぶりの長期下落になった。 
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 欧米金融市場は中国の動向に戦々恐々となった
  中国はドル、ユーロ投資から一気にゴールド保有戦略を加速へ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2011年7月22日

 中国が沈没寸前のユーロに投資するには、それなりの打算がある。
最大の目的はEU諸国に恩を売って武器輸出の再開を果たすことで
ある。

 個別のくにぐにへも、ちゃんとして打算で動いている。
 すでに述べたように破産寸前のギリシア国債を30億ドル購入し
て、ユーロ圏で賞賛されたのは昨日のことだが、結局中国は、担保
をしっかりと確保していた。ギリシアの港湾拠点ピラウス港の35
年間の借用権である(アルジャジーラ、7月22日)。

 六月にEU3加国を訪問した温家宝首相は各地で赤絨毯の歓迎を
受けたのも、中国はユーロ救済資金に大金を投じると約束したから
だった。ポルトガル、スペインの国債を購入した。
 これを市場はドル投資からユーロへのシフトと受け取った。

 基本的に中国は外貨準備高3兆ドルのうち、1兆2千億ドルを米
国債権で保有しており、ドルの減価による為替差損が顕著となって
いるが、劇的な売却の動向を見せてはいない。中国が米国債を売り
に出せば世界市場は混乱するからである。
 中国はディレンマを自覚している。ドル財産は売りたい。しかし
売り急ぐと大やけどを負う、と。

 しかし他方で中国は金保有を静かに着実に増大させており、現時
点での金備蓄は1054トン(投資金額は540億ドルにのぼる)
。これを8000トンへと上乗せすると豪語している。

 その一方でドルに代替できる人民元を目指して、通貨スワップ、
人民元決済という方法を大胆に取り入れた結果、過去一年だけでも
中国はブラジル、ロシア、アルゼンチン、南アとの貿易決済で人民
元決済を20倍とした。

 ウォール街の大手、ゴールドマンサックス証券は予測する。
「向こう12ヶ月だけでもドルは英国ポンドに対して15%減価す
るだろう。1929年から2009年の80年間でドルの購買力平
価の価値は94%下がった」
==============================
「国家は破綻する」の著者:政府債務増大は欧米経済に著しいリスク

7月14日(ブルームバーグ):金融危機の歴史をつづった「国家は
破綻する−金融危機の800年」の共同執筆者、カーメン・ラインハー
ト氏とハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、政府債務の増加が
欧米の経済成長と金融安定化に著しいリスクを突き付けるとの懸念
をブルームバーグ・ビューのコラムで示した。
  両氏は歴史的に見て、国家が困難に見舞われるのは公的債務の
対国内総生産(GDP)比が90%を超えた時だと指摘した。両氏が
見る通り、米国と一部の欧州諸国はその水準を超えている。ライン
ハート氏はワシントンのピーターソン国際経済研究所シニアフェロー。
  両氏はコラムで「欧州危機の解決前に経済協力開発機構(OE
CD)加盟国で2カ国以上がデフォルト(債務不履行)や債務再編
の事態に陥ると予想しているものの、それが大部分の先進諸国にと
って最大の脅威ではない」と指摘。「最大のリスクとは、突出した
債務が経済成長を圧迫するまで積み上がることだ」と述べた。
  著名有識者の中には政府債務の深刻さを軽視し、米国は低金利
の機会を利用して新たな大型財政出動に踏み切るべきだと主張する
人もいるが、ラインハート、ロゴフ両氏はこうした意見に反論した。
両氏は「現在の低い借り入れコストに安心するのは愚かであり、債
務をさらに膨らませても全く問題ないとのシグナルだと解釈するの
はもっと愚かなことだ」と述べ、「市場金利は天気のように移ろい
やすい。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないものだ」と
論じた。
  10年物米国債利回りは13日遅くのニューヨーク市場で2.88%と
、1990年以降の平均5.38%を下回っている。

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