4066.微生物を活用した除染実験



バクテリアリーチングで、品質が低い鉱物を濃縮する方法として、
バクテリアを利用する技術はあったが、田崎和江金沢大名誉教授の
微生物を活用した除染は、元素を変換した可能性があるという。

この前に、タンザニアの首都ドドマ近郊の町バヒで放射線が高い土
壌から細長い糸状菌を発見し、この糸状菌が、セシウムを吸収して
いることを発見した。この糸状菌を今回も持ち込んだとすると、単
に、濃縮したことになるが、福島民報記事では、セシウムをバリウ
ムに変換したという。

もし本当なら、植物で元素変換が出来ることになり、これは大発見
になる。これは、間違いとは思うが、セシウムの濃縮で線量が下が
ることだけで、今後の土壌改良の方法が発見できたことになり、意
味がある。

バイオリーチングの有効性が確認できることになる最初の例として
は、大きな一歩になると思うがどうであろうか?

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バクテリアリーチング  
微生物には変わり者がたくさんいます。硫黄を酸化してエネルギー
源としているものもいます。このような硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌
を利用して金属を精錬する方法が実用化されています。金属含量の
低い鉱石では、普通の化学的な精錬法は効率が悪くてコストがあい
ません。そこで、銅などの低品位鉱石を原料として、微生物を利用
する精錬が行われています。化学的な方法は大量のエネルギーと薬
品を使いますが、微生物を使う方法ではエネルギーの使用量が少な
く、薬品も必要ありません。このような方法をバクテリアリーチン
グと言います。リーチングとは精錬という意味です。 

バクテリアリーチングでは、鉱石に含まれる硫黄がバクテリアによ
って酸化されて硫酸ができ、この硫酸によって金属が溶かし出され
るのです。このように微生物のなかには無機物を酸化・還元するも
のがいます。この作用を利用して有害金属を無毒化することができ
ます。 
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バクテリアの除染に効果 飯舘の水田、線量が大幅低下
2011年8月 3日  福島民報
    
 南相馬市、飯舘村で微生物を活用した除染実験に取り組んでいる
田崎和江金沢大名誉教授(67)は2日、放射性物質を取り込む糸
状菌のバクテリアを発見した同村長泥の水田の放射線量が大幅に下
がったと発表した。南相馬市役所を訪問し、桜井勝延市長に報告し
た。

 水田の表面は毎時30マイクロシーベルトの高い放射線量だった
が、7月28日には1桁台に下がっていた。水田では無害のバリウ
ムが確認されており、田崎名誉教授はバクテリアの代謝によって放
射性セシウムがバリウムに変わったとみている。

 金沢大低レベル放射能実験施設で水田の土1キロ当たり447ミ
リグラムのバリウムを検出した。バリウムは通常、土壌からは検出
されないという。今後の除染実験に使用するため、バクテリアの培
養も行っている。

 同村長泥の放射線量が高い湿地で根を伸ばしたチガヤも確認した。
根にはカビ類が大量に付着、除染効果との関係を調べる予定。
 南相馬市原町区の水田では、バクテリアと、粘土のカオリナイト
、ケイ藻土の粉末を使って稲を栽培、除染効果を確認している。
 報告には、実験に協力している同市の庄司建設工業の庄司岳洋副
社長、庄建技術の佐藤直営業部長、高橋正則技師長が同席した。
 成果は学会誌「地球科学」に発表する。
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◇放射性物質吸い取る細菌 タンザニアで発見 
  
田崎和江金大名誉教授は26日までに、タンザニアの首都ドドマ近
郊で、ウランなどの放射性物質の濃度が高い土壌中に、同物質を吸
着する細菌が生息していることを発見した。 
福島第1原発事故後、放射性物質で汚染された土壌の処理が大きな
課題となる中、「微生物が放射性物質を固定して拡散を防ぐ『ミク
ロ石棺』として役立つ可能性がある」としており、今月中に福島県
で土壌調査を実施する。 
  
2009(平成21)年3月に金大を退官した田崎名誉教授は、昨
年11月にタンザニア・ドドマ大に赴任し、今年4月まで地質学担
当として教べんを執った。 
講義の傍ら、世界的なウランの大鉱床があるドドマ近郊約50キロ
の町バヒで、これまでまとまった研究がなされてこなかった土壌中
の放射性物質濃度などの調査に乗り出した。 

手始めにタンザニア全土の約100地点で計測し、バヒと周辺で放
射性物質濃度が顕著に高いことを確かめた田崎名誉教授は、バヒの
水田土壌を採取して調査した。 

電子顕微鏡による観察では、体長数百マイクロメートル(マイクロ
メートルはミリの1千分の1)の細長い糸状菌の生息が確認された。
菌体の周りには粘土鉱物の塊が多く付着しており、この粘土は周り
の土壌に比べて極めて高濃度のウランやトリウムなどの放射性物質
を含んでいた。 

福島第1原発事故の後、現地周辺では、放射性セシウムなどが高濃
度で検出された土壌の除去、保管の方法について議論されている。
田崎名誉教授は、土壌中の微生物の生息状況を調べるため、今月中
に福島県飯舘村などへ入って調査を始める。 

田崎名誉教授は1997(平成9)年のナホトカ号重油流出事故後
、石川県沖における調査で石油分解菌の海水浄化作用を確認した。
08年には北國新聞社の舳倉島・七ツ島自然環境調査団副団長とし
て、輪島市沖の七ツ島・大島で、大気汚染物質を取り込む微生物被
膜を発見している。 

福島での調査に向け、田崎名誉教授は「自然の中にはもともと大き
な環境修復能力が備わっている。微生物の力を生かした汚染土壌処
理の可能性を探りたい」と意気込んでいる。 
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▽記事引用元 富山新聞 【2011年5月27日03時02分更新】 
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/H20110527102.htm 


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