4062.米債務上限問題をめぐる最新情勢



米債務上限問題は、8月1日に超党派が作成した上院案を採決する
が、これはあくまでも上院の共和党マコネル院内総務など穏健派と
上院民主党の案であり、下院での採決で可決されるかどうか微妙で
ある。

上院超党派案とは、債務上限を2段階で2兆4千億ドル(約185
兆円)引き上げる権限を大統領に付与する内容であるが、その代わ
りの赤字削減について3兆ドルの赤字削減で、まず約1兆ドルの歳
出削減を実施し、超党派の議会特別委員会がその後の削減策につい
て議会に勧告する2段階方式で行うという。

議会特別委員会で合意が成立しなかった場合、あるいは議会が勧告
に従わなかった場合は、一律の削減が行われる。

しかし、上院民主党のリベラル派は増税が含まれていないために、
債務合意の概要に不満。グリハルバ議員は計画を支持できないと発
言。このため、この案を可決させるためには、共和党議員の賛成が
必要になる。共和党のマコネル上院院内総務は合意に非常に近いと
賛成であるという。この案は下院共和党案に近いので、上院民主党
議員は、反対のようである。

上院採択は、8月1日になる。もし可決なら、下院に送られて8月
2日に採択することになる。ギリギリの期限にして、下院の判断に
委ねるようである。

下院共和党ベイナー下院議長は、協議は正しい方向に進んでいるが
、重大な問題が残っているいう。軍事費の削減も含んでいることに
懸念を表明している。
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米債務上限問題をめぐる最新情勢
2011年 08月 1日 08:41 JST
 [ワシントン 31日 ロイター] 米連邦債務の法定上限引き
上げと財政赤字削減をめぐる交渉で、現地時間31日現在の最新情
勢は以下の通り。

(●は前回から追加・更新した箇所)

 *民主党のリード上院院内総務のスポークスマン、民主党同僚議
員の支持が得られる限り、同院内総務は超党派提案を支持する意向
だと明らかに。

 ●*交渉の前進にもかかわらず、リード院内総務は記者団に「ま
      だ道のりは長い」と語る。

 ●*上院の共和、民主党指導部、超党派提案について別々に所属
      議員に説明。

 ●*民主党のペロシ下院院内総務、下院民主党は1日の会合で債
務引き上げに関する暫定合意を支持しないことを決める可能性があ
ると発言。同院内総務は記者団に「われわれは全員が合意を支持で
きない可能性がある」と語る。

 *共和党のマコネル上院院内総務、合意は「非常に近い」と言明。

 *民主党のリード上院院内総務、超党派提案について31日夜に
上院での採決を期待していると発言。ただ、議会関係者はロイター
に、上院での採決が8月1日前に行われる可能性は「非常に低い」
と語る。

 *共和党のマコネル上院院内総務、CNNの番組で、提案には3
兆ドルの赤字削減が含まれると発言。

 *ホワイトハウスのプラフ上級顧問、赤字削減について、まず約
1兆ドルの歳出削減を実施し、超党派の議会特別委員会がその後の
削減策について議会に勧告する2段階方式で行うと発言。

 *提案は追加赤字削減策の立法化を確実にする実施メカニズムを
含む。議会特別委員会で合意が成立しなかった場合、あるいは議会
が勧告に従わなかった場合は、一律の削減が行われる。

 *共和党のベイナー下院議長、共和党議員に対する電子メールで
「協議は正しい方向に進んでいるが、重大な問題が残っている」と
述べる。

 *最大3兆ドルの赤字削減でも、格付け引き下げ回避には不十分
な可能性。

 *日本と英国、合意が実現しなかった場合の深刻な影響について
警告。

 *民主党のリベラル派は債務合意の概要に不満。グリハルバ議員
は計画を支持できないと発言。

 *上院(定数100)は債務上限引き上げに関する民主党提案を
否決。審議打ち切り動議は50票対49票で、賛成票が本採決に必
要な60票に届かず。

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