4055.債務上限で依然溝



世界には、菅首相と同様な無責任な指導者が多くなっている。特に
米国の議会指導者や大統領を含めた行政府指導者たちの無責任な交
渉には、見ていてヒヤヒヤする。

米国の債務上限引き上げができないと、米国債のデフォルトが起き
て、保有米国債の価値は相当に下がることになる。これを保有して
いる中国、日本、米国の銀行は、気が気でないはず。

しかし、共和党のティーパーティで出てきた下院議員は、増税反対
とメディケア(高齢者医療保険制度)やメディケイド(低所得者医
療保険制度)といった社会保障コストの大幅歳費削減を目指してい
る。このため、一歩も引かない覚悟であると言うが、米銀行が倒産
したり、行き詰ると世界の経済に大きな影響力を与えるし、米国は
経済覇権を失うことになる。

そして、米国民は非常な貧乏になると思うが、それより社会保障コ
ストの削減ということのようである。

日本の即時原発廃止と言う過激論者と同様な人たちが米国にもいて
、そのため、世界的な混乱を起こすことになりそうである。

しかし、米国債を大量に持つ日本政府は文句も何も言わないよ!!
日本は、何も出来ないので、黙ってみているしかないようだ。日本
の即原発廃止と主張する過激な人たちより、日本経済に大きな影響
を与えそうであるのにである。

==============================
上院民主党が2.5兆ドル引き上げ案=債務上限で依然溝―米メディア
時事通信 7月25日(月)9時58分配信

 【ワシントン時事】米メディアは24日、米議会筋の話として、政
府の法定債務上限引き上げをめぐる問題で、リード上院民主党院内
総務が2兆5000億ドルの歳出削減と、これと同額の債務上限引き上げ
を内容とする法案を作成していると報じた。これに対し、共和党の
ベイナー下院議長は、同上限引き上げを2段階に分けて行う案を提示
しており、与野党間の溝は簡単には埋まりそうになさそうだ。

 オバマ民主党政権はこれまでの財政赤字削減交渉で、税制見直し
による歳入増を盛り込むことを主張してきた。これを撤回するリー
ド案は、このままでは8月初めにも訪れるデフォルト(債務不履行)
危機回避のため、民主党側が一定の譲歩を示した格好だ。ロイター通
信によると、リード院内総務は同法案を今週の早い段階で上院を通
過させたい考え。

 一方のベイナー議長案は、第一段階として年内の資金手当てに必
要なだけ債務上限を引き上げる。米メディアによると、規模は1兆ド
ルで、歳出も同額圧縮。来年初めまでに一段の歳出削減や歳入増の
ための税制見直しなどについて協議し、第二段階の上限引き上げを
目指す。
==============================
アメリカをデフォルトに追い込む共和党の狙い

政府の債務上限引き上げの条件に社会保障費の大幅削減を求める瀬
戸際政策は、リーマン・ショック以上の危機を招きかねない
2011年06月22日(水)16時24分ニューズウィーク
デービッド・ケース

 左派寄りのシンクタンク、経済政策研究センターの創設者でエコ
ノミストのディーン・ベイカーの話には、耳を傾ける価値がある。
何しろ彼は、低所得者向け住宅ローン「サブプライム」のバブル崩
壊を予測していた数少ない一人。彼よりずっと高額の報酬を得てい
たウォール街のプロたちが焦げ付き間近のサブプライムローンにカ
ネをつぎ込み、巨額のボーナスをせしめていた頃、ベイカーはサブ
プライムローンが危機的な状態に陥ると力強く予言していた。

 そのベイカーが今、アメリカにさらなる危機が迫っていると警告
している。

 オバマ政権は、連邦政府の債務上限を8月2日までに引き上げな
ければ、政府がデフォルト(債務不履行)状態に陥る恐れがあると
して、債務上限引き上げの容認を議会に求めている。だが共和党は
強硬に反対し、引き上げ幅と同程度の大規模な歳出削減を行わない
限り、提案には応じないと主張。ベイカーに言わせれば、共和党の
この「瀬戸際政策」は、アメリカ経済はもちろん、共和党の重要な支
持基盤であるウォール街にも甚大な打撃をもたらす愚策だ。

金融界で数百万人が解雇される
「債務上限の引き上げができなければ経済にとってマイナスなのは
間違いない」と、ベイカーは書いている。さらに、米政府のデフォ
ルトは「08年9月のリーマン・ブラザーズの倒産以上に株式市場を
揺さぶるだろう」として、先の経済危機以上に深刻な危機が訪れる
と予測。金融市場は壊滅的な打撃を受け、人件費を払えなくなった
企業は「何百万人もの従業員を解雇」せざるをえなくなると指摘し
ている。

 驚くべきことに、共和党はまさにそんな大混乱を望んでいるよう
だ。彼らが思い描くのは、国家財政のデフォルトによって、メディ
ケア(高齢者医療保険制度)やメディケイド(低所得者医療保険制
度)といった社会保障コストの大幅削減をオバマ政権が受け入れざ
るをえなくなるというシナリオだ。

 だがベイカーによれば、デフォルトが起きた場合の真の犠牲者は
ウォール街だ。「国家がデフォルトに陥れば米国債の価値が下がり
、ほぼすべての大手金融機関が破綻する」と、ベイカーは言う。そ
して、その痛みは長きに渡って続く。

「経済が復活したとしても、アメリカの金融部門は二度と世界にお
ける現状の地位を取り戻すことはできない。米政府という強力な後
ろ盾がなければ、ウォール街の連中はもう二度と金融の国際市場で
中心的な存在にはなれないだろう」 

(GlobalPost.com特約)

コラム目次に戻る
トップページに戻る