4046.原子力政策を長期的展望で



本当に重要なのは、長期的展望にたって、潮流を観ることじゃろう。 

経済産業省=財界vs首相という形のバトルになっている。 
また産業界はそのままマスコミのスポンサーなので、マスコミも総
叩きになる。論調の誘導性で露骨なくらいで透けてみえてくる。 

楽天の水谷が、経団連を脱会したときに、電力業者擁護の財界が許
せないといったが、財界内部の雰囲気と利権共同体の体制を示して
いるといえよう。 

経営者にとっては、まず、現在の会社の利益と経営の短期的業績が
最大の課題となる。日本はそれでも昔は中期的展望で動いていたが
、外資(米国)で、要求されるのは四半期ごとの業績である。 
官僚(天下りなど)も企業人にしろ、どうしても「我が身可愛さ」
がでてしまう。そうすると展望が近視的になりがちだ。 

以前までは原子力推進派=右、反対派=左という図式があった。 
右派の原子力の導入の下ごころには、原子力の知識=核兵器という
のがあったことはいなめないじゃろう。核兵器をすぐに持てないま
でも、「核」の基礎的な研究をするためには、原発が必要であるか
らじゃ。 
IAEAの主目的はこの原子力発電を核兵器化させないことを目的とし
ており、日本にIAEAの人数の半数近くを貼り付けていた時代もあっ
た。 

だが、核兵器という「バクダン」の製造や運用の単純さに比べ、原
子力発電とその運用は格段に複雑で、管理が難しいともいえる。 

もうひとつは、国が広くて、砂漠があるだの、国外領土(もしくは
、主要国土中枢部から離れた場所)があって、いざとなれば、そこ
へ廃棄物を遺棄してしまえばいいという潜在意識がもてるところは
日本ほど後処理に考えなくてもいいかもしれない。 
だが、あきらかに、核廃棄物は日本という国土を汚染し、処理でき
ない未来をみせている。 

右派は誰よりも日本という国土を愛しているかもしれないが、国土
を「長期の拭い去ることのできない汚染」でどうしようもなくなる
という「危険」を考えてほしい。それでも原発を求めるなら、核廃
棄物の具体的な処理を見詰めてもらいたい。 

核の脅威は外からの攻撃だけではない。 
もし、テロリストが計画を練り、実行に移した場合。 
冷却不能状態・電源の喪失を丸2日間だけ確保できればいいという
ことが解かってしまった。つまり原子炉そのものを直接破壊する必
要がないということだ。 

おそらく、50名の特殊工作兵と可搬な装備(銃器・徹鋼弾・爆薬
等)があれば、それくらいの設備の破壊と占拠は可能じゃろう。 
5名が最下層の作業員として、原子力発電所内部で働いておく。 
15名が3班から4班に分かれて、外部の変電所・送電塔を数系列
破壊し、外部電源を破壊、復旧作業を妨害する。(おそらく、一日
程度で制圧されるかもしれないが、破壊個所を直すのに数日かかる
)破壊したら立てこもる必要がない、近づく作業車を狙撃や、直ろ
うとした時に再爆破すればいいことだ。つまり外部電源喪失の状態
を長引かせるだけでいいわけじゃ。 

海からの取水口を爆破攻撃する。海からの接近に対し非常に無防備
である。浜岡などの映像をみれば、時限式の機雷を設置するのはき
わめて簡単そうである。高速ボートや、潜水式でも可能であろう。

30名程度が大型車輌を含む数台で、門から強行突撃侵入する。作
業員の5名は内部から人間相手に混乱破壊の擾乱活動を展開する。
(刃物や小型火器で可能) 

突入後は、各種の配管・ケーブル等を無差別に破壊してまわる。 
電源車・重油タンク・重要ポンプ・バッテリー等の内部予備電源を
狙い撃ちして爆破破壊する。(ここまで建屋内に入り込まなくても
可能だ)これらに要する作戦時間は2時間程度だと考えられる。 

中央制御室に入り込めれば、中の運転人員は全員を殺傷したうえ、
コントロールルームを破壊することも可能だろう。なにも複雑な操
作をする必要はない。 

まあ、2時間もすれば、自衛隊等の制圧部隊は到着するであろう。 
しかし、人質を取りながら建物の中や陰から応戦する相手の制圧に
はそれから数時間以上がかかろう。 
そして現場は破壊され、そこの修復を可能にする作業員や熟知した
人間(制圧する兵隊や警官ではできないから)を集め、それから修
理個所の補修資材を全部揃えるには、2日はかかるじゃろう。 

その間に炉心はメルトダウンもしくは水蒸気爆発による炉心破壊が
起きる可能性がある。 

なんのことはない。警備の甘い原子炉は、自国に自分でしかけた核
爆発装置のようなモノとなってしまうのである。 

原子炉への攻撃は、「核攻撃」と同じである。だから、そうそう、
敵対国といえども実行しないであろう。しかし、攻撃者が国でない
とした場合はどうか? 

ヨーロッパのストレステストに「テロ」が入っている理由がこれだ。 

電力会社のコスト意識。 

電力基本法で、電力会社は総コストに数パーセントの利益分を上乗
せして電気料金に反映させることが認められている。それじゃから
、コストは膨らんでも膨らむほど、利益が大きくなり、調達コスト
も甘くなる(関連企業にはもウマミが大きくなる・労組もうまみを
うける)だからこそ、世論操作的なメールや各種会合への動員がか
けられる。 
電力の安定化といういわば表の大義名分を持ち出して、実は「独占
」を維持したいのじゃ。 

調達コストの適正化は誰か監視しているのであろうか? 
普通は、コストと厳格にしてそこからひねり出した資金で、投資資
金をひねり出す。ただたんに、転嫁しするのは、経営ではないじゃ
ろう。こんど、東電の社長についたのは、「企画部」出身だという
ことである。電力会社の企画部というのは、電力会社の<政治対策
部>だということらしい。 

これから、補償・賠償=国との取引きでフルに政治力を利用しよう
ということじゃろう。 

よくヨーロッパは、数ヶ国に渡って送電網が結ばれているというが
、日本の経済規模はヨーロッパ数ヶ国分に当たっておる。 
逆に今の各電力会社体制が独立国のようになっているということじゃ。 

それらは、早急に結びつけられる必要がある。 
また、送電網に対して他の発電業者に対してあまりにも閉鎖的である。 
少なくとも、再生可能エネルギーについては、最高度の解放をなさ
ねばならない。 

それが、日本の安全と将来にわたる繁栄の道である。 

     虚風老 

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