4045.ユーロ圏危機で世界は?



キリシャの動向は、日本の将来を示しているので、見ていく必要が
ある。         津田より

0.ギリシャ危機
国債の金利上昇でデフォルト近くになると、IMFなどの支援を受
ける条件を整えるために、財政支出削減と増税の二重パンチを食ら
い、当分、経済的な苦境から抜け出せなくなる。特にギリシャはユ
ーロという統一通貨に加盟しているので、公定歩合という金利を決
める権利も国家になくなり、ギリシャの苦境にもかかわらず、ユー
ロの公定歩合も上昇することになる。

この根本的な問題は、ドイツなど北欧諸国はユーロの為替水準が低
く輸出好調で景気がよく、ギリシャ・ポーランド・イタリア・スペ
インなど南欧諸国が景気が悪く、かつ財政赤字で国債の償還にも問
題が出ているが、為替水準も経済状態に合わないことにある。

1年前の2010年5月に、ギリシャ・ポルトガル問題は出ていた。ギリ
シャやポルトガルなどを救済し、欧州銀行のストレステストを行っ
て解決したことになっていた。

しかし、ギリシャへの救済の仕組みが1年で破綻して、再度支援を
受ける必要になっている。

この原因は、ギリシャの財政赤字削減で、年金などの支出削減と増
税で、ギリシャ経済は、2010年マイナス成長になり、今年に入って
税収が伸びず、1〜5月の所得税収は前年同期比を下回り、ガソリ
ン税や燃料税の歳入も減少。IMFは「融資継続は不可能」とみな
し、融資支援してきた欧州諸国と共に財政計画の立て直しを迫って
いた。

これに従い、再度の支援を受けるために、ギリシャは、2010年計画
よりも厳しい新緊縮策、財政赤字を284億ユーロ(約3兆3200億円)
に削減する「中期財政戦略」を6月9日にまとめた。政府は、新た
な公務員削減や公共機関の縮小、国営企業の売却などで歳出を削り
つつ、脱税者からの徴税でも歳入を増やそうと計画した。

この緊縮策に反対する市民らは、国内各地で街頭デモを繰り広げ、
首都アテネの議会前広場では数百人の若者グループが警官隊と衝突
した。

昨年5月に続き再びデフォルト(債務不履行)の危機にあるギリシ
ャの国会は、新緊縮策を作成したパパンドレウ首相率いる新内閣を
信任した。この信任により、デフォルトを当面回避するために必要
な国際通貨基金(IMF)や欧州ユーロ圏からの120億ユーロ(
約1兆3800億円)の支援融資を受ける「前提条件」が整った。

このことで、欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は2日
、ギリシャに対する融資を承認した。また、ラガルド新専務理事が
率いる国際通貨基金(IMF)は8日理事会を開き、債務危機に陥
っているギリシャ向けに、約32億ユーロ(約3700億円)の融
資を承認した。

このようなギリシャの苦境にもかかわらず。欧州中央銀行(ECB
)は7日理事会を開き、政策金利を現行の年1.25%から1.5
%に引き上げることを決めた。金融危機後に利上げするのは、4月
に続いて2回目で、段階的に利上げを続けるかどうかが今後の焦点
になる。もちろん、キリシャ経済には、マイナス要因である。

このように、経済状態とは違う金利水準になったことを受けて、格
付け会社フィッチ・レーティングスは13日、ギリシャの長期国債
を「Bプラス」から3段階格下げし、債務不履行の懸念が強い
「CCC」とした。ギリシャ国債が破綻すると見ていることを示し
ている。

このギリシャに多額の投資をしている銀行が欧州にたくさんあり、
欧州銀行監督機構(EBA)は銀行に対するストレスを行ったが、
15日に発表した欧州の銀行のストレステスト(健全性審査)の結
果では、スペインなど8銀行が不合格になり、資本増強や資産の売
却が迫られることになった。

このギリシャの国債危機がイタリアに飛び火している。このため、
イタリア国会は15日、政府が提出した緊縮財政案を承認した。今
後3年かけて計480億ユーロ(約5兆4千億円)を削減し、
2014年に財政均衡を実現する方針とした。

だが「イタリアで緊縮財政路線が頓挫する可能性がある」との観測
が流れるだけで、欧州全域に金融不安が広がるような危機的状況は
続いている。

イタリアがこけると、投資額はギリシャの比ではなく、欧州の銀行
は大変なことになる。

このため、欧州連合(EU)のファンロンパイ首脳会議常任議長は
15日、ユーロ圏17カ国の首脳会議を21日にブリュッセルで開
くと発表した。懸案のギリシャに対する追加支援策に一定の方向性
を出し、欧州の金融安定化のための基金(EFSF)の機能強化に
向けた具体策を検討する見通し。ドイツが主張する罰則なども話し
合いことになる。

しかし、ユーロが破綻すると、JPモルガンでも35億ドルの損失が
出るというので、EU域内の銀行は大変である。

1.ドイツ・中国の行動
ドイツが好調であり、CDS保証率を見ると、信用力が米国より大
きいことになっている。ドイツは0.41に対して米国は0.49
である。米国は債務切り上げで揉めていて、国債がデフォルトする
可能性あり、かつ経済が低成長になっている。これに比べて、ドイ
ツは、ユーロの為替水準が低く輸出が好調であり、米国を信用力で
抜いている。

財政赤字もドイツはGDPの3%程度と非常に低く、日本は公的債
務が299%とイタリアより高いので、中国0.84より下の0.91
に位置づけられている。

このようにドイツは南欧の危機を利用して、自国の経済力を高めて
いる。しかし、そのドイツは南欧諸国の危機に対して、非常に厳し
い対応をしている。危機を起こした国に対する罰則規定を提案し、
その罰則規定を制定しないと、欧州の金融安定化のための基金
(EFSF)への追加出資をしないとしている。ドイツ国民として
は、怠け者の南欧の人たちをなぜ、助けなければならないのかとい
う疑問からの行動である。メルケル首相もポピュリズムであり、そ
の国民の声をEUへ要求している。

もう1つが、中国の輸出品が南欧の仕事を奪っていることも原因の
1つである。中国は米国ドルに対しては切り上げを行い、ユーロや
円に対しては切り下げるという為替操作をして、欧州への輸出を増
大させている。一方で、ギリシャやイタリアの国債を買っている。

このような国家的な金融政策で、中国は経済力をつけてきている。
非常に、その仕組みは巧みである。1960年代の日本と同様な国
家行動で対応している。このため、中国の有識人と話すと、日本の
研究から知った行動であるので、なぜ、日本が非難するのかわから
ないという。

中国にバブルが起きているのは間違えがないが、日本や米国の研究
者がいうようには、ならないという。どうしてかというと、中国人
は昔からの商業民族であり、このことをわかっているという。この
ため、世界的に安い物件を捨て値で買っていると。

中国のバブルが崩壊しても中国の庶民は泣くかもしれないが、富豪
たちは、すでに外国の安い物件にシフトしているという。東京のマ
ンションやアパートも大量に買っているようである。それと水資源
を買っていると。

2.将来を見通すとどうなるか?
米国と日本が衰退して、中国がバブル崩壊でも成長する可能性があ
る。これが経済面だけであれば、問題がないが、軍事的な力も伴う
ので安全保障上脅威が起こることが考えられる。

南シナ海では、中国はASEANのベトナムやフィリピンと領有権
でトラブルを起こしている。軍事費の一層の拡大を行い、中国の自
国生存権を拡大して、他国の生存権を脅かす方向になっている。こ
れを裏付けるように軍人たちの帝国主義的な発言の色合いが大きく
なっている。

空母も持ち、一層の力を持つことを目指している。一方、米国は新
しい空母の建設は、国家予算の縮小からできなくなり、空母攻撃群
から小型の高速駆逐艦群にシフトしていくことが決まっている。

どちらにしても、日本は中国の脅威をまともに受ける地理的な位置
にいるので、それ相当な準備と覚悟が必要になっている。欧州は地
理的に距離が遠いので、中国との関係を冷静に見ることができるが
、ASEANや日本などは、中国近傍にいるので、欧州ほどには冷
静ではいられないことになる。

米国は、日本の経済的な地位が低下すると、中国との関係で弱くな
ると見て、「トモダチ基金」を作り、日本の被災企業を助けるとい
う。

しかし、米国の軍事的な優位がなくなった場合の日本の自立や対応
を今からどうするかを研究しておく必要がありそうである。軍事的
・経済的な関係を見直す時期であるが、脱原発やエネルギー政策に
多くの時間をとられて、国民的な議論ができないことになる心配を
する。

さあ、どうなりますか??

参考資料:
3666.ユーロ危機解決へのEUの動き
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L2/220619.htm
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日米が「トモダチ基金」設立検討 被災企業の事業支援

 日米両政府が、東日本大震災で被災して立ちゆかなくなった企業
・個人の事業再開や新たな事業立ち上げを支援する枠組みとして「
トモダチ基金」(仮称)設立を検討していることが17日、分かっ
た。基金は日米国内外の民間企業の資金援助を中心に運営する方向
で主に中小企業が支援対象となる。複数の日米関係筋が明らかにし
た。

 安全保障分野に限らずさまざまな分野での連携強化を図る「同盟
深化」の象徴的存在に育てる狙いがある。来月にも基金の規模など
具体的な調整に着手し、今秋にも始動させたい考えだ。

2011/07/18 02:02 【共同通信
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ユーロ圏首脳会議21日開催 ギリシャ追加支援策協議へ
2011年7月16日10時10分

 欧州連合(EU)のファンロンパイ首脳会議常任議長は15日、
ユーロ圏17カ国の首脳会議を21日にブリュッセルで開くと発表
した。懸案のギリシャに対する追加支援策に一定の方向性を出し、
欧州の金融安定化のための基金(EFSF)の機能強化に向けた具
体策を検討する見通し。 

 昨春に続くギリシャへの追加支援がなかなか決まらないことから
、イタリアなど他の欧州諸国へ信用不安が拡大しかねない状況にあ
った。首脳会議の開催で、歯止めをかける狙いがあるとみられる。
(ブリュッセル=野島淳) 
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伊の緊縮財政案スピード通過 「欧州沈む」危機バネに
2011年7月16日10時25分

 イタリア国会は15日、政府が提出した緊縮財政案を承認した。
欧州は今やタイタニックのように沈みかけている――。その危機感
が、約1週間での上下両院通過を実現させた。 

 今後3年かけて計480億ユーロ(約5兆4千億円)を削減し、
2014年に財政均衡を実現する方針。国内では補助金を削減され
る地方や年金生活者などから「弱者切り捨て」の批判が起きた。有
力紙「コリエレ・デラ・セラ」は最初の2年だけで各世帯が約1千
ユーロ(約11万円)の増税を強いられる、と試算した。 

 だが「イタリアで緊縮財政路線が頓挫する可能性がある」との観
測が流れるだけで、欧州全域に金融不安が広がるような危機的状況
は続いている。トレモンティ経済・財務相は1世紀前に北大西洋で
沈んだ巨大客船になぞらえ、「前進するか、沈むかだ。1国だけの
問題ではない。欧州とユーロの信用にかかわる問題だ」と議員に訴
えた。(ローマ=石田博士) 
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欧州の8銀行が不合格 EUの経営体力特別検査
2011年7月16日1時38分

 欧州連合(EU)は15日夕(日本時間16日未明)、主要90
銀行の経営体力を調べる特別検査(ストレステスト)の結果を公表
した。スペインなど8銀行が不合格になり、資本増強や資産の売却
が迫られることになった。 

 検査は今後景気が後退した場合でも、普通株を中心にした質の高
い資本「中核的自己資本(コアティア1)」比率が5%を確保でき
るかを調べた。主要国の金融監督当局でつくる「バーゼル銀行監督
委員会」が2019年までに7%の義務化を求めていることを考え
ると、現段階では妥当な基準と見られている。各行がどれだけ欧州
各国などの国債を持っているかも明らかにした。 

 市場では不合格は10行前後との観測が出ていた。ロイター通信
は、複数のアナリストの評価として、5行から15行が不合格にな
るとの見方を報じていた。 
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JPモルガン:欧州経済破たんなら35億ドル失う?/media.yucasee
http://media.yucasee.jp/posts/index/8268
2011年07月15日 10時00分

米JPモルガン・チェースが14日発表した第2四半期決算で、住宅ロ
ーン関連の不良債権償却が進んだことで、純利益は54億3000万ドル
を確保し、株価も1.8%上昇した。

住宅、カードなどのローン償却が進むJPモルガン。しかし、ジェ
イミー・ダイモンCEOはこの日、欧州で行われたカンファレンス
に出席し、今後の欧州での不良債権がはじけた際の影響について述
べた。

米CNBCによると、ダイモン氏は「ポルトガル、アイルランド、
イタリア、ギリシャ、スペインで総量は150億ドルには上るだろう。
最悪のシナリオでは、(JPモルガンは)35億ドル失うことになる
だろう」と語った。

投資銀行業務は、今後も好調と見ており人員を増員しているところ
だとも明かしたが、欧州経済がはじけた時の警戒感を持っていた。
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ギリシャ国債3段階格下げ、世界最悪水準に フィッチ
2011年7月14日10時18分

 格付け会社フィッチ・レーティングスは13日、ギリシャの長期
国債を「Bプラス」から3段階格下げし、債務不履行の懸念が強い
「CCC」とした。欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)に
よる追加支援策が決まっていないことや、ギリシャ経済の見通しに
懸念があることなどを理由にあげた。「Bマイナス」のエクアドル
やジャマイカを下回り、世界で最も悪い水準になった。 

 ギリシャの長期国債はすでにスタンダード・アンド・プアーズが
「CCC」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「Caa
1」に下げている。(ロンドン=有田哲文) 
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IMF、ギリシャへの第5弾金融支援策を承認

 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)は8日理事会
を開き、債務危機に陥っているギリシャ向けに、約32億ユーロ(
約3700億円)の融資を承認したと発表した。

 第1次金融支援の第5弾として、欧州連合(EU)とともにまと
めた計120億ユーロの支援策のIMF負担分。これにより、当面
のデフォルト(債務不履行)を回避したことになる。ただ、厳しい
財政運営は続くため、9月までに第2次金融支援策をまとめる予定
だ。

 ラガルド新専務理事は声明で「持続可能な財政再建が必要で、深
刻な政策課題は残ったままだ」とギリシャに注文を付けた。

(2011年7月9日10時56分 読売新聞)
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欧州中銀0.25%追加利上げ
2011年7月7日22時39分

 欧州中央銀行(ECB)は7日理事会を開き、政策金利を現行の
年1.25%から1.5%に引き上げることを決めた。金融危機後
に利上げするのは、4月に続いて2回目で、段階的に利上げを続け
るかどうかが今後の焦点になる。トリシェ総裁は記者会見で「事前
の約束はしない」と述べるにとどまった。 

 ユーロ圏の6月のインフレ率(速報値)は前年比2.7%に達し
ており、ECBが目指している2%以下を上回っている。トリシェ
総裁は会見で「先を見るとインフレ率は今後数カ月、高めにとどま
る。主にエネルギーや商品価格が原因で、それが生産過程に影響し
始めている」と語り、インフレ抑制のために必要な引き締めだとし
た。 

 一方、欧州連合(EU)が支援を決めたばかりのポルトガルに対
して、米格付け会社が「投資不適格」まで長期国債を格下げしたこ
とについては「(格付け会社が)少数の寡占構造になっていること
は望ましくない」と語り、批判した。(ロンドン=有田哲文) 
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ラガルド氏、IMFトップに就任 欧州財政危機など課題
2011年7月6日1時22分

 国際通貨基金(IMF)の次期専務理事に選出されたラガルド・
前仏財務相が5日付で正式に就任した。任期は5年。女性のトップ
就任は初めてだ。ギリシャ問題など、出身地域である欧州の財政危
機への対処などでのリーダーシップが早速試されることになる。 

 ラガルド氏は6月28日の理事会で、加盟国の圧倒的な支持を得
て選出された。IMFは「総意で選んだ」として投票結果を公表し
ていないが、関係者によると全体の8〜9割の支持を得たという。

 ラガルド氏選出に関しては、対立候補だったカルステンス・メキ
シコ中銀総裁が欧州危機が続いていることを指摘し、欧州出身者が
トップに就くことを「利益相反」と批判していた。出身地である欧
州の問題などで、どうかじ取りしていくかに注目が集まっている。
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ギリシャへの1.4兆円支援を承認 ユーロ圏財務相
2011年7月4日2時4分

 欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国の財務相は2日、財政危機
に陥ったギリシャに対する融資を承認した。当初3日の予定を前倒
しし、電話会議を開いた。金額は国際通貨基金(IMF)と合同で
120億ユーロ(約1兆4千億円)で、IMFも近く融資を決める。

 今回の融資は、昨年5月に決まった計1100億ユーロの支援の
一環で、3カ月ごとに実施してきた融資の5回目。先週、ギリシャ
国会が追加の財政緊縮策や関連法を可決したことで、融資条件がク
リアされた。 
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緊縮関連法案を可決=支援獲得へ条件整う―ギリシャ
時事通信 7月1日(金)0時35分配信

 【パリ時事】ギリシャ議会(一院制、定数300)は30日、緊縮財政
の具体策を盛り込んだ関連法案の採決を行い、賛成155、反対136の
賛成多数で可決した。これにより、欧州連合(EU)などと昨年合意
した対ギリシャ支援の融資実行に道が開かれ、第2次支援に関する討
議も本格化することになった。

 緊縮財政策を盛り込む政府の中期財政計画は、増税と歳出カット
で2015年までに財政赤字を284億ユーロ(約3兆3200億円)削減する
とともに、公営事業体の株式や国有地の払い下げを促進すると規定。
29日に計画案自体が可決されたのに続き、この日は計画実施に必要
な関連法案が採決に付された。
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緊縮策関連法案を可決 ギリシャ、デフォルト回避
2011年7月1日 01時43分

 【パリ=清水俊郎】ギリシャからの報道によると、深刻な財政危
機の同国で30日、財政緊縮策の関連法案の国会採決が行われ、賛
成155、反対136の賛成多数で可決された。29日に国会を通
過した中期財政再建計画と合わせて欧州連合(EU)と国際通貨基
金(IMF)から支援融資を受け続ける条件が整い、パパンドレウ
政権は当面のデフォルト(債務不履行)を回避した。

 ただ、EUとIMFが現段階で決定済みの総額1100億ユーロ
(約12兆8千億円)の融資だけでは将来のデフォルト回避に不十
分な恐れがある上、官民の労働組合の反発を抑えて国民の痛みを伴
う財政緊縮策が効果的に実行できるかは不透明。ドイツやフランス
など関係国は7月3日にユーロ圏財務相会合を開き、追加支援を協
議する。

 関連法案は、2012〜15年の4年間で約280億ユーロ(約
3兆2500億円)の財政赤字削減を図る中期財政再建計画の実行
に必要な法改正。増税や国営企業民営化、公務員削減に向けた細則
が含まれている。

 一方、アテネ中心部で29日夜に発生した財政緊縮策への抗議デ
モと警官隊の衝突による負傷者は、AFP通信によると100人を
超えた。
(中日新聞)
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<ギリシャ>新内閣を信任 債務不履行の危機、当面回避
毎日新聞 6月22日(水)11時16分配信

 【アテネ藤原章生】昨年5月に続き再びデフォルト(債務不履行
)の危機にあるギリシャの国会は22日未明、パパンドレウ首相率
いる新内閣の信任投票を行い、賛成155、反対143(棄権2)
で可決した。信任により、デフォルトを当面回避するために必要な
国際通貨基金(IMF)や欧州ユーロ圏からの120億ユーロ
(約1兆3800億円)の支援融資を7月にも受ける「前提条件」
が整った。

 ギリシャはデフォルトの瀬戸際にあった昨年5月、増税や公務員
給与、年金の削減に加え徴税強化、民営化などを盛り込んだ「財政
再建法案」を議会で可決。これを受け、ユーロ圏諸国から3年間で
800億、IMFから300億の計1100億ユーロの融資約束を
取りつけた。

 その後、財政赤字を09年の15.4%から10年には09年よ
り約5%少ないGDP比で10.5%に抑え込んだ。しかし、今年
に入って税収が伸びず、1〜5月の所得税収は前年同期比を下回り
、ガソリン税や燃料税の歳入も減少。IMFは「融資継続は不可能
」とみなし、融資支援してきた欧州諸国と共に財政計画の立て直し
を迫っていた。

 今月9日にまとめた新緊縮策「中期財政戦略」で政府は、新たな
公務員削減や公共機関の縮小、国営企業の売却などで歳出を削りつ
つ、脱税者からの徴税でも歳入を増やそうと計画。しかし、こうし
た緊縮策に市民の反発は強く、与野党内からも異論が噴出。首相は
大連立協議を持ちかけたが決裂し、内閣改造に踏み切った。

 今回、財政破綻の危機を脱したギリシャだが、国が税制を変える
たびに新たな脱税方法を生み出す“国民の伝統”や役人がわいろを
好む体質が改まるのも容易でない。いつもデフォルト瀬戸際に借金
を求める「ギリシャの現代劇」は何度も再演されそうだ。
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アジアの百万ドル長者330万人、欧州を初めて上回る
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月23日(木)9時24分配信

 アジアで資産100万ドル以上の金持ちの人数が欧州の人数を初めて
上回った。

 米証券大手メリルリンチとフランスのコンサルティング会社キャ
ップジェミニが22日公表した「ワールド・ウェルス・リポート」に
よると、投資可能資産を100万ドル(約8000万円)以上保有する富裕
者(ミリオネア)は昨年末、アジアで330万人で、欧州の310万人を
初めて上回った。アジアでは昨年1年間で9.7%増加し、欧州の増加
率6.3%を上回った。

 アジアは既に2009年、富裕者の保有する資産合計が9兆7000億ドル
に達し、欧州の9兆5000億ドルを上回っていた。昨年は富裕者の数で
もアジアが欧州を上回ったことになる。

 アジアでは富裕者数の伸び率が高いだけに、来年は富裕者数が北
米を上回る公算が大きい。北米では昨年の富裕者は340万人で、前年
比8.6%増だった。これに対し、香港やベトナム、スリランカ、シン
ガポールなどアジアの多くの国・地域の伸び率は20%強に達してい
る。

 世界全体の富裕者数も1090万人で過去最高となった。2007年は
1010万人だった。こうした富裕者の資産合計は42兆7000億ドルで、
07年の40兆7000億ドルを上回る過去最高となった。

 ただ国別ベースでは、アジア各国は世界で最も富裕者の多い米国
にはるかに後れをとっている。

 昨年の米国の富裕者数は310万人で2位のドイツの3倍以上、中国の
6倍に達している。この米国の富裕者数は前年比で23万人以上増えた。
この増加数だけでインドの富裕者総数15万人を上回っている。
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ギリシャ政府、関連法案も可決期待=デモ隊衝突、100人以上負傷
時事通信 6月30日(木)8時36分配信

 【パリ時事】ギリシャのベニゼロス財務相は29日、地元メディア
に対し、財政緊縮策を盛り込んだ中期財政計画が議会で可決された
ことを「大きな一歩だ」と歓迎した。その上で「あすの2歩目で、私
はギリシャが信用できるという証しを携えて、7月3日にユーロ圏(
財務相会合)のパートナーと会うことができる」と述べ、30日に採
決される増税や民営化などの関連法案の可決に期待を表明した。

 欧州連合(EU)ユーロ圏諸国と国際通貨基金(IMF)は、議会での
緊縮策可決を見極めた上で、昨年合意した対ギリシャ支援の融資120
億ユーロ分の実行を最終決定する見通し。

 一方、緊縮策に反対する市民らは29日、国内各地で街頭デモを繰
り広げ、首都アテネの議会前広場では数百人の若者グループが警官
隊と衝突。デモ参加者約100人と警官30人以上が病院で手当てを受け
た。また、広場近くにある財務省庁舎1階の郵便局や大手銀行の支店
が放火されるなどし、一連の騒ぎで10人以上が逮捕された。 
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<EU>首脳会議でクロアチアの加盟承認 28カ国体制へ
毎日新聞 6月24日(金)22時6分配信

 【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)首脳会議は24日、
2013年7月をめどにしたクロアチアの加盟を承認した。加盟を
規定した条約を各国が批准し、EUは28カ国体制に向け動き出す。

 首脳会議はまた、旅券審査などEU主要国間の国境管理を廃止し
たシェンゲン協定について、「例外的な特定の場合に限り」国境管
理の一時的な復活を認めた。域内の国境管理廃止を欧州統合の成果
とみる欧州委員会などが強く反発し、国境管理復活は「最後の手段
」と位置付けられた。


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