4038.反原発を政権延命のために



菅首相は、政権延命のために、原発問題を利用しようとしている。
満身創痍(そうい)、刀折れ、矢尽きるまで、力の及ぶ限りやるべき
ことをやっていきたいと政権延命に意欲を燃やしているし、『辞め
る』『退陣する』という言葉を使ったことはないとして、民主党に
出ている辞任要請を蹴飛ばしている。
         津田より

0.事態の経緯
このため、原発即廃止の政策で延命したいのである。6月28日に「
エネルギー・環境会議」があり、国家戦略室がその原案を示し、こ
の中で日経が報道した6000万KWの埋蔵電力を系統に取り込むとして
いる。そして、イタリア人から6月29日に激励をもらい、原発がなく
てもいけると菅首相は見た。

しかし、海江田経産相が安全宣言したので、佐賀県の古川康知事は
1日、早ければ今月中旬に玄海原発の運転再開について最終判断す
る方針で、菅直人首相との会談で政府の最高責任者から原発の安全
性や今後のエネルギー政策について確認した上で再開を認める考え
であるとしたが、菅首相は、この時点で原発再開も認めない方向に
舵を切っていた。

このため、菅首相は7月7日の参院予算委員会で「自家発電がどの程
度稼働可能なのか経産省に指示した」と発言。しかし、経済省の調
査結果は、たった180万KWというので、怒って追い返している。

この時期から、経産省を敵対視しているが、重要な情報を官僚に頼
っているのに、政治主導をしようとしてもできない。この根本が理
解できていないようだ。政治主導をしようとしたら、シンクタンク
をシッカリ作ってからである。

同じ参院予算委員会で、定期検査で停止中の原発の運転再開につい
て、安全性評価(ストレステスト)も含めて新たな基準を設け、原
子力安全委員会などにチェックさせる仕組みをつくるとした。

この一連の動きは、脱原発解散をなお模索することであり、この首
相の混乱に対し、与野党の統一した菅首相辞任要請の動きを加速さ
せて、内閣不信任決議案を再提出する素地は整いつつあることにな
る。賛成多数で可決する可能性が高いが、その前に閣僚全員が辞任
して抗議する手はある。

しかし、菅首相の味方の若い議員を閣僚にして、内閣を続行するこ
ともあるので、内閣不信任の再提出は最後の手段であろう。しかし
不信任が可決されたら、菅首相は解散する可能性がある。

このため、自民党も過去の原子力政策を検証し、今後のエネルギー
政策を検討する「総合エネルギー政策特命委員会」を立ち上げた。
電力業界とのしがらみの少ない山本一太・参院政審会長をトップに
起用し、菅直人首相がちらつかせる「脱原発解散」に備え、理論武
装に動き出した。

しかし、細野豪志原発担当相は8日の閣議後の記者会見で、原子力
発電所の再稼働について「最高責任者である総理を支持する」と述
べた。閣内にも味方が1人いた。新任の細野さんは若いのに引き上
げられたので、恩義を菅さんに感じている。このように海江田経産
相とは違う見解であることが判明した。

このような閣内不統一という印象を与え続けるのはよくないと、枝
野幸男官房長官と海江田万里経済産業相、細野豪志原発担当相は新
たな安全確認基準を前提条件と位置づけるという首相の意向を受け
、3閣僚は新手順を原発再稼働の前提とすることで一致した。

1.具体化は、
日本版のストレステストの具体的な内容は経済産業省原子力安全・
保安院と内閣府原子力安全委員会が今後協議するが、保安院の森山
善範原子力災害対策監は7日、どのようなストレステストが実際に
行われるか研究する必要があり、現時点でどれぐらい時間がかかる
か分からないと述べ、ストレステストの最終報告が越年する可能性
を示唆した。

そして、定期検査を終えた九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄
海町)へのテストを先行して実施することも決まった。このような
状態になり、四国電力も8日、定期点検で停止中の伊方原発3号機
(愛媛県伊方町)について、10日に予定していた運転再開を見送
るとした。

これらに対して、民主党の岡田克也幹事長は8日、菅政権が打ち出
した原発の安全性評価(ストレステスト)について「止まっている
原発の再稼働とは別の話だ」と述べた。テストが再稼働の前提とし
ている菅直人首相に異を唱えた形だ。

EU(欧州連合)のストレステストでも、原発を動かしながらシミ
ュレーションテストをやっているし、問題点があったら、その改修
の計画を立てて、その計画の進捗を監査するとして、運転継続が前
提になっている。しかし、日本のストレス・テストは再稼動させな
いことが前提である。

このため、与謝野馨経済財政相は「日本経済の下ぶれリスクが電力
の供給体制にあることは明らかだ。経済に影響を与えることは容易
に想像できる」と原発再稼働の遅れによる影響に懸念を示した。

しかし、日本の経済に深刻な問題が発生するなど、首相がいくら失
策を重ねても致命傷には至らない奇妙な状況となっている。

2.ストレステストとは
原発の「ストレステスト」とは何か、NHKの「かぶん」によると
ストレステストは、EU・ヨーロッパ連合が、東京電力福島第一原
子力発電所の事故を受けて導入した原発の安全性をシミュレーショ
ンによって確認する再評価の仕組みです。

原子力安全・保安院によりますとストレステストでは地震や津波の
規模を段階的に大きくしていった時に、原発の設備や機能にどのレ
ベルでどんな影響が出るかをシミュレーションします。

これにより、原発の設備の弱点を洗い出して対策につなげようとい
うものです。

EUのストレステストは、電力会社が行ったシミュレーションを、
各国の原子力の規制機関がチェックし、さらに、別の国の専門家な
どによって相互評価する、3段階で行われます。

現在、運転中の143の原発すべてについて6月からテストが始ま
り、電力会社の評価が来月(8月)15日までに、国の機関による
評価が9月15日までに行われ、最終的に来年4月までに、相互評
価を終えることになっています。

ストレステストをめぐっては先月開かれたIAEAの閣僚会議でも
、世界のすべての原発で緊急に行う必要があるという認識で一致し
ています。

日本もこのシミュレータ・テストをすることになるが、シミュレー
タはどうするのであろうか?

EUでは、ダッソーの子会社ABAQUSが、ストレステスト用のシミュ
レータSIMULIA を持っている。このシミュレータを使えば、テス
ト自体は、その原発の炉の形を数値化してできる。もちろん、この
数値化は、製造メーカである三菱、日立、東芝の3社が請け負うこと
になる。

ダッソーのCATIAは有名で、ハイエンド3次元CADソフトで航空機の設
計用に開発されてきたが、現在では、エアロ・スペースの分野以外
の民生需要も多く、国内外ともに多くの自動車メーカーや、重工業
メーカーなどで使用されている。この技術をベースに原子力設備用
に開発したのが、SIMULIAなのであろう。

フランスのサルコジ大統領は、最新型の原子炉開発に向け、10億
ユーロ(約1150億円)を投資すると述べ、日米仏露中など12
か国と欧州連合(EU)が2030年ごろの完成を目指す次世代炉
・第4世代原子炉の開発についても実現への決意を示した。このよ
うにフランスは、原子力発電関連製品を作り、国家全体で、これを
推進するようである。

3.菅首相の心理分析
菅首相が民主党幹部をコケにする対応をみると、子供のような精神
状況にあるような気がする。これって、ピーターパンシンドローム
ではないかと見た。

ピーターパンシンドロームとは、「成長する事を拒む男性」として
定義されている。「ピーターパン」は人間的に未熟でナルシズムに
走る傾向を持っており、『自己中心的』・『無責任』・『反抗的』
・『依存的』・『怒り易い』・『ずる賢い』というまさに子供同等
の水準に意識が停滞してしまう大人を指す。

ゆえにその人物の価値観は「大人」の見識が支配する世間一般の常
識や法律を蔑ろにしてしまうこともあり、社会生活への適応は困難
になり易く必然的に孤立してしまうことが多い。また「ピーターパ
ン」は年齢的には大人の男性である「少年」で、母親に甘えている
時や甘えたいと欲している時に、母性の必要を演じる傾向も持ち合
わせている。

この母性を伸子夫人に求めているように感じる。伸子夫人の菅首相
に対する感じが母親的なものを感じる。

しかし、えらい人を首相にしてしまったものである。自分の地位に
これほど、すざましい執着を持った首相を見たことがない。

今後、菅首相のような首相が出ないような仕組みが必要になるでし
ょうね。

さあ、どうなりますか??
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首相自ら政争の具に、エネルギー政策 翻弄
2011年7月10日日経朝刊の紙面から

原発再稼働は認めない。敵は経済産業省だ。菅首相が動き始めたの
は、6月29日の夜である。「日本の技術力があれば、脱原発でも電力
不足を跳ね返せる」と首相をといたのは、脱原発派のイタリア人。
と日経は報じている。また、これも日経が報じた6000万Kwの埋蔵電
力で電力不足は補えると菅首相は思っている。

脱原発路線に意を強くして、原発再稼動を阻止する意向を固めてい
る。この件では、「共産党や社民党に親近感を抱いているようだ」
「政治家ではなく、市民運動家に戻った」と親しい議員は言う。
といぶかるほどの「脱原発路線」への前のめり。

この件を政権延命の材料にする心算であると周辺は見ているようだ。
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原発再稼動、新安全確認手順が前提 3閣僚が一致
2011年7月9日3時0分

 原子力発電所の再稼働問題をめぐり、枝野幸男官房長官と海江田
万里経済産業相、細野豪志原発担当相は8日、安全性評価(ストレ
ステスト)を含む原発の新たな安全確認手順の統一見解づくりを進
めた。3閣僚は新手順を原発再稼働の前提とすることで一致したが
、具体的内容を含んだ統一見解は11日にも公表する方向だ。 

 原発再稼働に向け、新たな安全確認基準を前提条件と位置づける
という首相の意向を受け、海江田氏は今月6日にストレステストの
実施を発表。九州電力玄海原発を抱える佐賀県玄海町から「いった
ん再稼働を容認したのに、なぜ今になってストレステストなのか」
との批判が巻き起こったため、同テストを含む新手順の統一見解づ
くりを迫られていた。 

 枝野氏ら3閣僚は8日の協議で、統一見解には「ストレステスト
の結果を地元自治体に示して再稼働への同意を求める」ことを盛り
込むことにした。欧州のストレステストを参考に日本版を作成し、
定期検査で運転停止中の全原発に適用することでも一致した。日本
版の具体的な内容は経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力
安全委員会が今後協議する。
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原発再開へ耐性評価、玄海で先行実施 統一見解11日発表

 枝野幸男官房長官ら3閣僚が8日、全原発を対象にストレステス
ト(耐性評価)を実施する際、定期検査を終えた九州電力玄海原発
2、3号機(佐賀県玄海町)へのテストを先行して実施することで
菅直人首相と合意したことが分かった。首相はいったん難色を示し
たが、その後の協議の結果、最終的には一転して了承。枝野長官は
11日に、原発再稼働をめぐる政府の統一見解を発表する。

2011/07/08 23:56共同通信
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細野原発事故担当相:「保安院を経産省から分離」明言
 
 細野豪志原発事故担当相は8日、毎日新聞などのインタビューに
応じ、経済産業省原子力安全・保安院など原子力行政組織の再編に
ついて「保安院を経産省の組織から完全に分離することだけは間違
いない。外局とか、今より少し距離をあける、というような中途半
端なものにすることはない」と明言した。東京電力福島第1原発事
故の収束に向けて毎月改定している「工程表」に関しては、これま
で個別に公表してきた東京電力と政府の工程表を一本化する考えを
示した。7月分は19日に公表する。

 細野氏は保安院について「エネルギーの安定供給という経産省の
目標と、保安院が本来果たすべき安全確保の規制には、もともと利
益相反の部分がある。それだけでも組織としての問題点がある」と
指摘。さらに「保安院と経産省は組織が一体で、採用も同じだ」と
して「質、量の両面で、原子力規制機関はもっと充実させるべきだ
」と語った。

 7月中旬までに原子炉の安定的な冷却を目指すとした「ステップ
1」について、細野氏は「現場の作業員の懸命な努力で、当初の目
標達成はできるのではないか」との見通しを示した。その上で「政
府が一歩前に出る。国も事故収束の当事者たるべきだ」と述べ、政
府と東電の工程表の一本化を表明。新たな工程表では、12年1月
中旬までの冷温停止を目指す「ステップ2」について、具体的な目
標や中長期的な対策についての考え方を提示する方針を示した。
【中井正裕】

毎日新聞 2011年7月8日22時16分
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日本経済沈没の危機 原発ストレステスト、産業空洞化加速の恐れ
2011.7.8 21:52サンケイ

 菅直人首相が打ち出した全国の原子力発電所へのストレステスト
(耐性検査)は、大幅な電力不足につながり、心配されてきた産業
空洞化を加速させる恐れがある。8日には、ストレステストの実施
を受けて、四国電力伊方原発や九州電力川内原発が当面の再稼働を
断念した。

電力不足で企業は節電を強いられ、徐々に回復に向かいつつあった
生産活動は落ち込む。脱原発による火力発電への依存は電気料金を
引き上げ、世界市場で競争する企業にとっては重荷だ。企業は海外
脱出を検討し始めており、産業空洞化が雇用の悪化や消費の低迷に
拍車をかければ、「日本経済沈没」の危機も現実味を帯びてくる。

生産を直撃
 「天災で止まった茨城の工場とは事情が違う。熊本の工場が止ま
れば、明らかな人災だ」。半導体大手ルネサスエレクトロニクスの
担当者は憤る。

 東日本大震災で那珂工場(茨城県)が停止したルネサスは、熊本
川尻工場(熊本市)をはじめ、九州に多くの工場を集積している。
九電管内に電力の使用制限がかかれば大きな打撃だ。

 ストレステストの影響は、どこまで広がるか見通せなくなってい
る。九州電力川内原発がある鹿児島県薩摩川内市の市長が、「何を
どうしていいか分からなくなった」と1号機の再稼働に消極的にな
り、四国電力が10日に予定していた定期点検中の伊方原発3号機
の再稼働を延期したのも、不安が現実化した形だ。
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四国電力、伊方原発3号機の運転再開を見送り
2011年 07月 8日 16:17 JST 

 [東京 8日 ロイター] 四国電力は8日、定期点検で停止中
の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、10日に予定してい
た運転再開を見送ると発表した。
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全原発、来年の5月に停止の可能性−ストレステストで再稼働に遅
れ 2011/07/08 13:42 JST 

  7月8日(ブルームバーグ):全国の原子力発電所が来年5月
には全面停止する可能性が強まっていることが、ブルームバーグ・
ニュースの調査で明らかになった。「ストレステスト(耐性検査)
」の実施で定期検査で止まっている原発の再稼働が遅れることが予
想されるためだ。 

  経済産業省原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は
7日、記者団に対しどのようなストレステストが実際に行われるか
研究する必要があり、現時点でどれぐらい時間がかかるか分からな
いと述べた。 

  一方で、原子力安全・保安院の最終検査を受けずに調整運転を
継続している原発もある。関西電力の大飯原子力発電所(福井県)
1号機と北海道電力の泊原発(北海道)3号機だ。両原発とも3月
11日の福島第一原発事故が起きる前から調整運転に入っていたが、
安全性をめぐる懸念が払しょくされない中で、手続きが先送りされ
ている。 
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民主・岡田幹事長「原発安全性テストと再稼働は別の話」
2011年7月8日11時49分

 民主党の岡田克也幹事長は8日、菅政権が打ち出した原発の安全
性評価(ストレステスト)について「止まっている原発の再稼働と
は別の話だ」と述べた。テストが再稼働の前提としている菅直人首
相に異を唱えた形だ。前橋市内での電機連合の定期大会でのあいさ
つで語った。 

 岡田氏は「EU(欧州連合)でも原発を動かしながらシミュレー
ションとして(テストを)やっている」と指摘。菅政権に対し「再
稼働の話と混同されているのは不幸で、閣内で意思統一することが
大事だ」と求めた。
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細野原発相:最高責任者である総理を支持する−再稼働で

7月8日(ブルームバーグ):細野豪志原発担当相は8日の閣議後
の記者会見で、原子力発電所の再稼働について「最高責任者である
総理を支持する」と述べた。
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原発再開、8日中に統一見解 首相は混乱を謝罪
2011年7月8日11時48分

 菅直人首相は8日午前の閣議後の閣僚懇談会で、原子力発電所の
再稼働をめぐり混乱が起きていることを陳謝した。菅政権は、安全
性評価(ストレステスト)が原発再稼働の条件になるかどうかなど
について8日中に統一見解を明らかにする見通し。 

 閣僚からは辞意を表明した海江田万里経済産業相に同調する意見
が出て、閣内の混乱と首相の孤立感が浮き彫りになった。 

 閣僚懇談会で首相は「私の指示のもとで不十分さがあったことに
、責任を感じている。おわびを申し上げたい」と発言。海江田氏ら
と意思統一が取れておらず、立地自治体の混乱を招いていることを
陳謝した。 

 閣僚懇では「閣内不統一という印象を与え続けるのはよくない」
(中野寛成国家公安委員長)、「調整をはかってほしい」(北沢俊
美防衛相)など意思統一を求める意見が相次いだ。これを受けて枝
野幸男官房長官、海江田氏、細野豪志原発担当相は8日午前から協
議しており、政権の統一見解を8日にも発表する。 

 原発事故関連の法案処理後に辞任する意向を表明した海江田氏に
同調する意見も複数の閣僚から出た。 

 野田佳彦財務相は会見で「重要な法案が通った後の判断を示唆し
たのだろうが、そのころはすべての閣僚が同じ心だろうと思う。
(時期は)会期末になるだろう」と述べた。菅首相が辞任条件に挙
げる今年度第2次補正予算案などが会期末の8月末までに成立し、
菅政権は総退陣するとの見通しを示したものだ。 

 枝野官房長官も「海江田大臣と私は気持ちは一緒だ」と述べた。

 与謝野馨経済財政相は「日本経済の下ぶれリスクが電力の供給体
制にあることは明らかだ。経済に影響を与えることは容易に想像で
きる」と原発再稼働の遅れによる影響に懸念を示した。
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首相、失点に耐性…重ねても重ねても致命傷なく

 菅首相が運転停止中の原子力発電所の再稼働を進める政府方針を
覆し、ストレステスト(耐性検査)などの新基準作成を指示したこ
とに、与野党から強い批判の声が上がっている。

 ただ、首相を退陣に追い込む方策は見当たらないままで、首相が
いくら失策を重ねても致命傷には至らない奇妙な状況となっている。
(2011年7月8日09時21分  読売新聞)
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原発ストレステスト 「もう めちゃくちゃ」 与野党あきれ、不
満、批判
2011.7.8 08:56サンケイ
 菅直人首相が「安全宣言」を突如覆し、全国の原発でストレステ
スト(耐性検査)を実施する方針を打ち出したことを受け、与野党
は7日、「めちゃくちゃだ」など批判一色に染まった。脱原発解散
をなお模索する首相に対し、内閣不信任決議案を再提出する素地は
整いつつある。(加納宏幸、佐々木美恵)


  九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)再稼働をめぐり古川康佐賀
県知事や岸本英雄玄海町長が態度を硬化させたことについても「政
府の中でハードルが上がり、知事や町長の不信感を増幅させた。今
頃になってストレステストの議論が出てきたのは釈然としない」と
批判。安住淳国対委員長も「政府がバラバラでは原子力政策にプラ
スにならない」と断じた。

 樽床伸二元国対委員長は自らのグループ「青山会」例会で「あま
りにも唐突だ。混乱が現実になりつつある」。前原誠司前外相が率
いる「凌雲会」会合でも枝野幸男官房長官が突き上げを食らった。

 野党も首相批判のボルテージを上げた。
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ストレステスト、最終報告は越年 経産相が示唆
2011.7.8 05:00サンケイ
 海江田万里経済産業相は7日、記者団に対し、全原発の安全性を
総合的に評価するストレステストの最終報告が越年する可能性を示
唆した。6月に先行して開始した欧州連合(EU)の日程では7カ
月かけて最終報告をまとめる予定で、「日本も中間報告、最終報告
(の2段階)になろうかと思う」と述べた。報告内容や関係自治体
の受け止めによっては、定期点検などで停止している原発の再稼働
時期に影響しそうだ。
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首相辞任の3条件「早期成立を」 超党派議連が呼びかけ
2011年7月7日22時59分

 民主党の樽床伸二元国会対策委員長や自民党の菅義偉元総務相ら
による超党派議連は7日、国会内での会合で、菅直人首相が辞任の
3条件に挙げる今年度第2次補正予算などの早期成立を求める決議
を採択した。条件の実現により首相に早期に辞任してもらう「太陽
作戦」推進を与野党に呼びかけるものだ。 

 議連は5月に発足した「国難対処のために行動する『民主・自民
』中堅若手議員連合」(民自連、約80人)。決議は「延長された
国会を空費してはならない。『新しいリーダー』を中心とする『新
しい政治体制』を確立しなければならない」と首相の辞任を求め、
そのために2次補正と特例公債法案、再生可能エネルギー特別措置
法案という首相辞任3条件の早期成立を提言した。参加議員の一人
は「とにかく首相を早く辞めさせないといけない」と狙いを語って
いる。 
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海江田経産相が辞意表明 首相の原発政策に不満
2011年7月7日21時49分 

 海江田万里経済産業相は7日、担当する原子力発電所事故関連の
法案の成立に見通しが立った段階で辞任する意向を表明した。停止
中の原発の運転再開をめぐる菅直人首相の方針が二転三転している
ことに不満を募らせ、辞任表明した首相が在任を続けることにも反
発している。 

 首相は震災復興や原子力政策改革などを掲げて政権運営になお意
欲を示しているが、松本龍・前復興担当相に続き原子力政策担当の
海江田氏が辞任すれば、政権運営は一層難しくなる。 

 海江田氏は、首相が辞任の条件に挙げる第2次補正予算案、特例
公債法案、再生可能エネルギー特別措置法案に加え、原発事故賠償
の枠組みを定める原子力損害賠償支援機構法案などの成立にめどが
つけば、菅政権が続いていても途中辞任する意向。8月中旬までに
踏み切る可能性がある。 
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原発運転再開に新基準検討 参院予算委で首相答弁
2011年7月7日13時33分
 菅直人首相は7日の参院予算委員会で、定期検査で停止中の原発
の運転再開について、安全性評価(ストレステスト)も含めて新た
な基準を設け、原子力安全委員会などにチェックさせる仕組みをつ
くる考えを示した。民主党の大久保潔重氏の質問に答えた。 

 原発の再稼働には原子力安全・保安院の確認や自治体の同意が必
要とされているが、首相は「大きな事故の後の対応としては国民の
理解を得るのは難しい。少なくとも原子力安全委員会に意見を聞く
」と指摘。その上で「ストレステストも含めて、どのような形で基
準を設け、チェックするか、国民が理解し、納得できる仕組みをぜ
ひ検討してほしい」と海江田万里経済産業相、細野豪志原発担当相
に指示したことを明らかにした。 

 首相はまた、細野氏を原発担当相に起用したことについて「かな
り早い段階から、原子力事故を再発させないことに専念できる大臣
を置いた方がいいと思っていた。原子力行政のあり方に、根本的な
検討を進める非常に大きな第一歩だ」と強調した。 
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首相「満身創痍、刀折れ、矢尽きるまでやる」

 菅首相は6日の衆院予算委員会で、野党から相次いだ早期退陣要
求に対し、続投への強い決意を改めて表明した。

 みんなの党の渡辺代表は、「首相はまだ伝家の宝刀を持っている
」と衆院解散の決断を迫ったが、首相はこれを逆手に、「大きな激
励をいただいた。満身創痍(そうい)、刀折れ、矢尽きるまで、力の
及ぶ限りやるべきことをやっていきたい」と返した。

 また、自民党の石破政調会長から「あなたは1度でも『辞める』
と言ったか」とただされると、首相は「『辞める』『退陣する』と
いう言葉を使ったことはない」と強調し、「私が最高の首相だとう
ぬぼれてはいないが、責任から逃げるわけにはいかない」と追及を
かわした。

(2011年7月6日18時53分 読売新聞)
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自民「脱原発解散」に備え始動 エネ政策特命委を設置
2011年7月5日22時41分

 自民党は5日、過去の原子力政策を検証し、今後のエネルギー政
策を検討する「総合エネルギー政策特命委員会」を立ち上げた。東
日本大震災後につくった原発推進派中心の政策会議とは別に新設。
電力業界とのしがらみの少ない山本一太・参院政審会長をトップに
起用した。菅直人首相がちらつかせる「脱原発解散」に備え、理論
武装に動き出した。 

 山本氏は初会合のあいさつで「あらゆる政策をゼロベースで見直
す。自民党のこれまでのエネルギー政策の問題点を検証し、反省す
べき点は反省する」と強調した。 

 今後、首相が意欲を見せる再生エネルギー特別措置法案への対応
や、原発と自然エネルギーを組みあわせたエネルギー政策のあり方
などを集中的に議論。約1カ月後に中間とりまとめを打ち出す方針
だ。
==============================
全原発に新たな安全性検査 経産相、導入表明
2011年7月6日10時8分

 海江田万里経済産業相は6日、全国の原子力発電所全54基を対
象に、安全性検査(ストレステスト)をすると発表した。テストで
は、地震や津波などで、冷却装置が安全に機能するか、冷却装置が
とまった場合にバックアップ機能が働くかなどについて、個別の原
発ごとに検証するとみられる。海江田氏は「立地地域の方々に、よ
りいっそうの安心感を得るため」と説明している。 

 欧州連合(EU)は、東京電力福島第一原発事故を受け、6月か
ら域内14カ国にある143の原発すべてを対象に同様のテストを
開始。来年4月末に終える見込みだ。 
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九電説明会、賛成メールの2割「やらせ」

 玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の再稼働を巡る九
州電力の「やらせメール」問題で、九電本社から指示メールを受け
た社員や子会社のうち、国主催の佐賀県民向け説明会に賛成意見を
投稿した社員らは約50人だったことが9日、九電の内部調査でわ
かった。

 説明会を放映した番組に寄せられた賛成メールの約2割が「やら
せ」だったことになる。

 九電幹部によると、九電からの指示メールの内容を閲覧したのは
、少なくとも子会社4社の約2300人と3事業所(玄海原発、川
内原発、川内原子力総合事務所)の社員ら。このうち約50人が実
際に賛成意見を送ったという。大半がメールによる投稿とみられる。

 経済産業省によると、説明会にはメール473件(賛成226件
、反対119件など)、ファクス116件(賛成60件、反対44
件など)が寄せられた。番組で社員らのメールが紹介されたかどう
かは、わかっていないという。

(2011年7月10日03時02分  読売新聞)
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重要政策、軒並み停滞=退陣待ち、官僚冷ややか−菅政権

 菅直人首相が掲げた重要政策が一様に滞っている。首相の退陣表
明を受け、各省庁も動くに動けない状況。首相の関心が、東日本大
震災の復興やエネルギー政策に限定されていることも影響している
ようだ。
 「関係国の情報収集に努める一方で、東日本大震災や原子力発電
所事故によって被害を受けている農漁業者の心情にも配慮しつつ、
総合的な検討をしている状況だ」。枝野幸男官房長官は1日の記者
会見で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の検討状況を聞かれ
、苦しい説明に終始した。
 政府は当初、6月にTPP参加について判断する方針だったが、
震災後に先送りした。首相は5月下旬のフランス・ドービルでの日
米首脳会談で、「できるだけ早期に判断したい」と発言したものの
、その後、「上からの指示は特にない」(内閣府スタッフ)という。
 また、東日本大震災への対応強化に向け、閣僚枠を3人増員する
内閣法改正案の成立を優先するためとして、2009年衆院選で民
主党公約の目玉だった政治主導確立のための関連法案を取り下げた。
もっとも、閣僚増員も野党の反対に加え、首相の進退をめぐる政局
の混乱で実現されず、首相は6月27日、現行の17人枠の中で閣
僚を一部交代させた。
 首相が「政治生命を懸ける」としていた税と社会保障の一体改革
では、10年代半ばまでに消費税率を10%に引き上げることを柱
とする政府・与党案を決定した。しかし、民主党内の根強い異論を
踏まえ、増税時期は「15年度までに」から後退。与野党協議につ
いても野党は「退陣する菅首相の下ではできない」としており、開
始のめどは極めて不透明だ。
 「早晩代わる政権には、政策の方向性を決められない」。菅政権
の弱体化を見透かすように、官僚の反応は冷ややかだ。ただ、こう
した批判にかかわらず、首相は再生可能エネルギー促進法案の成立
に強い意欲を示す。「官邸はエネルギー政策しか興味がない」。政
府筋はあきれたようにこう語った。(2011/07/03-16:48)
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原発耐性試験:米が相互評価を拒否 IAEA提案に
2011年7月2日 2時30分毎日

 【ブリュッセル斎藤義彦】米原子力規制委員会(NRC)のグレ
ゴリー・ヤツコ委員長は、毎日新聞に対し、欧州連合(EU)が実
施している原発のストレステスト(耐性試験)について「米国には
必要ない」との考えを示した。国際原子力機関(IAEA)の天野
之弥事務局長はEU方式のストレステストを全世界で実施すること
を先週、提案したが、これを事実上、拒否した形だ。

 ヤツコ委員長は原発の安全を管理する米独立機関のトップ。

 米国は原発の安全性について、自国で独自に検査している。これ
に対してEU方式は、自国の検査だけでなく、他国の専門家も招い
た安全性の相互評価「ピアレビュー」を行うのが特徴。EUではド
イツ、イタリアなど脱原発を決めた国の専門家も含めて外部評価を
受けることで透明性が高まるとされている。

 ヤツコ委員長は、このEU方式について、「それぞれの国が、そ
の国の規制プログラムに適合した方策を取らなければならない」と
述べ、米国で実施する考えがないことを明らかにした。その理由に
ついては「米国は少し違ったやり方を取っているが、欧州で行われ
ているストレステストと同様な結果を得られる。同じ問題への違っ
たアプローチだ」とした。

 背景には、脱原発を掲げるなど原発利用に消極的な国々とも相互
評価の関係を持つことになれば、内政干渉につながりかねないとい
う警戒感もあるとみられる。

 IAEAの天野事務局長は先週の閣僚級会議で、IAEAの国際
的な専門家による相互評価を含めたEU方式のストレステストを今
後1年〜1年半で全世界で実施することを提案、9月の総会で了承
を得たい意向を示している。世界一の原発大国・米国がEU方式を
否定したことで、提案は最初からつまずいた形となった。

 ヤツコ委員長は天野事務局長について「閣僚級会議をまとめた天
野氏の指導力は評価する」とだけ話し、安全性検査を巡る提案への
直接的な言及は避けた。
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閣僚級エネ環境会議、需給安定対策の原案示す
2011/07/01電気新聞

玄葉光一郎国家戦略担当相が議長を務める閣僚級の「エネルギー・
環境会議」が今月にもまとめる需給安定対策の原案が明らかになっ
た。副大臣級で構成された同会議の幹事会が6月27日に官邸で開
かれ、事務局の国家戦略室が原案を示した。電力不足回避やエネル
ギーコスト抑制に即効性のある対策を需要・供給の両面で整理して
おり、需要側では料金メニューの多様化や需要家によるピークカッ
ト、スマートメーター(次世代電力量計)の導入前倒し、再生可能
エネルギー・分散型電源にかかわる系統ルールの見直しに取り組む
としている。

供給側の対策は再エネの立地規制見直しや電力卸取引活性化、広域
連系線強化、自家発拡大に向けた託送・接続制度改正などが柱。来
年夏ごろまでの実施を見込んでおり、3次補正・12年度予算の編
成作業や、秋以降の国会審議で個別政策や法改正が議論されること
になりそうだ。

今後個別政策の肉付けや工程表の策定を進め、今月中にも同会議で
の取りまとめを目指す。 
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<玄海原発>佐賀知事、中旬にも再開判断 首相と会談調整
毎日新聞 7月1日(金)21時31分配信

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再
開問題で、佐賀県の古川康知事は1日の県議会原子力安全対策等特
別委員会で、早ければ今月中旬に運転再開について最終判断する方
針を示した。また菅直人首相との会談に向け調整していることも明
らかにした。政府の最高責任者から原発の安全性や今後のエネルギ
ー政策について確認した上で再開を認める考えと見られる。一方、
県議会の最大会派、自民党県議団からは知事の再開容認意向に異論
は出なかった。

 運転再開問題では、8日に県主催の県民向け説明会が開かれ、11
日にも県議会特別委があり、知事はこれらも踏まえて最終的に判断
する意向だ。

 この日の県議会特別委では、原発反対派の無所属、社民、自民の
順に3県議が質問した。

 古川知事は、最終判断の時期について自民県議から「長引くとか
えって混乱する」と詰められ、「7月中旬は一つの節目と思う」と
述べた。

 菅首相との会談については「首相はエネルギーや原発への見解を
明らかにしてほしい」と説明。委員会後も「判断のため(首相との
会談は)必要な要素だ」と述べた。

 一方で知事は、原子力事故に備えて新たに広域的な避難計画の策
定を進めていることも明らかにした。20キロ圏内を避難対象区域
、20〜30キロを屋内退避や自主避難の区域とし、遅くとも8月
末までには策定する方針。原発再開に併せて防災面を重視する意向
と見られる。

 また運転開始から36年がたち、想定以上の老朽化が明らかにな
った玄海1号炉については「廃炉するか否か、これから考えなけれ
ばいけない」と述べ、廃炉も含めて検討する考えを示した。

 この日の特別委で、無所属と社民の両県議は知事の再開容認姿勢
を批判。自民県議は知事の意向を確認する質問が中心で、異論を唱
えなかった。

 知事は最終判断にあたり県議会の意向も重視する考えで、定数38
の7割を超える自民党県議団(29人)の動向が鍵を握る。同会派
内には運転再開に慎重姿勢の県議もおり、11日の特別委の議論を
見て意見の取りまとめを行う意向だ。【竹花周】
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仏、原子炉開発に1150億円…原発推進堅持
読売新聞 6月28日(火)13時1分配信

 【パリ=三井美奈】フランスのサルコジ大統領は27日の記者会
見で、最新型の原子炉開発に向け、10億ユーロ(約1150億円
)を投資すると述べた。近隣のドイツやイタリアが「脱原発」へ動
く中、フランスは原発推進を維持する方針を改めて確認したものだ。
大統領は、日米仏露中など12か国と欧州連合(EU)が2030
年ごろの完成を目指す次世代炉・第4世代原子炉の開発についても
実現への決意を示した。

 一方で大統領は、原発の安全性に関する研究や太陽光など代替エ
ネルギーの普及にも予算を投ずると約束した。近隣国の動きを受け
て仏国内でも脱原発を求める声が高まっており、大統領はこうした
不安の払拭(ふっしょく)を狙ったものと見られる。

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