4036.原発問題への危惧



原発問題への危惧 

(1)原発のストレス試験について 

原発の再稼働の条件として、菅首相がストレス試験をパスすること
を前提としているが、物作りを知る立場から発言すると、3ヶ月と
言えば、要素技術開発を含まない仕様変更だけのバリエーション設
計を行って1ヶ月で発注し、加工メーカーが材料手配に1ヶ月、加
工に1ヶ月で、やっと設計した現物が出来てくるタイミングである。 

現実は、今ある設備の部分改修程度しか出来ていず、「電源車を安
全な場所に配置する」程度の応急処置しか出来ていない現状で、十
分なストレス試験を実施できるはずもなく、絵に描いた餅である事
は間違い無い。 

土木工事などを含む本格的な対応には、最短でも1?2年は必要であ
る。その間は、常に改良が進んでいる訳で、たまたま定期点検で止
まったからと言って、ついでにストレス試験やるのは中途半端も甚
だしい。 

総合的なストレス試験は、工事の完了後には必ずやらなければなら
ない。それまでの間は、原発の稼働状態とは関係無く、設備個別の
試験で確認するしかない。 
ましてや、10mを越える津波の試験など、技術的には不可能であ
り、試験項目には存在すらしない。設計段階で保証するしかないの
である。 

政治家も評論家も、もっと現実を見るべきだろう。 


(2)汚染水処理の今後 

最近ニュースにも流れなくなった福島第1の汚染水処理。 
安定して動いているからもう大丈夫なのか。 

仮に、1000トンの高レベル汚染水を処理して、真水にして原子
炉に戻せるのが500トンだとすると、倍の濃度の高レベル汚染物
質が500トン残ることになる。 
真水が900トンだとすると、10倍の濃度の超高レベル汚染物質
である。 当然ならが使った触媒も汚染物質となる。 
処理が続く限り、汚染物質は増え続ける。一体これをどう処理する
のか。 

処理水を浄化循環して、汚染濃度が、いつ、どこまで下がるのかも
示されていない。下手をすると、半永久的に高レベル汚染物質を出
し続ける懸念さえある。 
汚染物質の増加を止めるには、もはや冷却水の浄化循環自体を止め
なければならないのである。いっその事、脱油・脱塩だけして、放
射性物質はそのまま原子炉に戻した方がいいのではないか? 

注水をやめ、汚染水を全て抜き出し、再度空焚き状態にしてから、
格納容器内に溶けた鉄を大量に流し込んで、鉄棺にして安定させる
という手も、技術的に可能かどうかは別にして、理論上は最も有効
な処理方法に思えるが。。。 

如何ともしがたい現実がある。 


勘助 


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