4030.南シナ海の波高し



5月26日にベトナム東沖の南シナ海で、調査活動中の同国探査船
のケーブルを中国の監視船が切断する事件で、ベトナムが中国を激
しく非難、両国の緊張が高まった。   Fより

このため、ベトナム海軍は6月13日、中部クワンナム省の沖合
約40キロの海域で6時間にわたって、実弾を使った軍事演習を実
施した。

経済は悪化し、政治的に危機的状況にあるベトナムは今、南シナ海
の石油を手に入れようと必死だが、中国系移民が多いことでベトナ
ム国内事情を理解している中国は、ベトナムが実施した沖合40kmで
の実弾演習に対して非難せずに大人の対応を示しているが、南シナ
海そのものについては一歩も譲る気はないようだ。

しかし、発表後直ぐに、ベトナムも「通常行っている演習だ」と述
べ、その重要性をあまり深刻に受け止められないようにという。こ
れは、米国の警告があったと見る。

所詮、中越の軍事力を比較すると、ベトナムが中国の敵ではないこ
とは明らかだ。だが、中国海軍朱副主任は「ベトナムは米国の支持
が得られると分かれば、大胆な行動に出る可能性が高い。そうなれ
ば、両国が軍事衝突を起こす可能性は否定できない」と指摘するが
、米国は、そのような事態になることを恐れて、ベトナムにも冷静
な対応を働きかけたことがわかる。

米国は中国にも、南シナ海での紛争に冷静な対応を勧告している。
しかし、中国政府・外交部の崔天凱副部長は22日、北京市内で行わ
れた米中のアジア太平洋地域問題の会議の先行する記者会見で、南
シナ海の問題で、米国に対して「火をかぶることはすべきでない」
と警告した。米国がいなければ、南シナ海は自分のものであると、
中国は思っていることがわかる。

そして、周辺海域の監視要員を2020年までに現状の9000人
から約1.6倍の1万5000人に増やす考えで示した。中国によ
る海洋権益保護のための強化策で、周辺諸国が警戒を強めている。

このような南シナ海がきな臭い時に、クリントン米国務長官は6月
21日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、南シナ海の領
有権争いで中国について「南シナ海の航行問題は地域の緊張要因に
なっている」と批判した。また、それに応じて、松本剛明外相も「
(中国が)東・南シナ海で航行の自由との関係で摩擦を生じさせて
いる」との認識を示した。米国は日本との共同問題と認識を合わせ
る必要があったことになる。

日米の共同的な問題という認識を合わせたが、豪州のスミス国防相
も、国防体制を大幅に見直す方針を表明し見直し、キャンベラや主
要都市がある南東部の基地から、東南アジアとインド洋に面する北
西部の基地を中心とした国防体制にシフトして、米政府が検討して
いるアジア・太平洋地域、さらにはインド洋における米軍のプレゼ
ンス強化策を、補完するとした。これで、中国包囲網にオーストラ
リアも加わることが示された。

この日米安保協議での中国非難に反発して、中国は中国軍事科学学
会羅援副秘書長による論説「中国海軍の第一列島線突破は合理・合
法だ」を掲載し、「海外における中国の利益は日増しに増大して、
第一列島線の外の水域や地理について知らなければ、国際救援や海
賊対策などに対して、どうやって活動するのか」との考えを示した。

このことで、沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海からフィリ
ピン東方海域で訓練を実施していた11隻の中国海軍艦艇に搭載ヘ
リコプターの1機が、周辺で情報収集・偵察していたロシア海軍艦
艇に接近・周回する威嚇行動をとっていたことが分かった。中国は
日米だけではなく、ロシアも敵として認識していることが分かる。

このため、ロシアも中国に対抗するために、太平洋艦隊を増強する
ことで、配備する新型航空母艦の設計・建造に着手することを明ら
かにした。益々、太平洋の波が高くなっている。

台湾の海岸巡防署(海上保安庁)と国防部(国防省)は合同で6月
末、台湾が実効支配する南シナ海・南沙諸島太平島周辺海域で定期
軍事演習「碧海92号」を行うし、フィリピンは「米比相互防衛条
約」を南シナ海での「有事」にも適用し、を米側が支援することで
合意し、米比合同演習を行う。このように、南シナ海は「米中冷戦
」の様相を呈している。

オバマ米大統領は23日午前、約10万人のアフガニスタン駐留米
軍のうち、約3万3千人を来年夏までに撤退させる方針を発表した。
年内に1万人を引き揚げさせるとした。これで米軍も中東から東ア
ジアにシフトすることが明確化してきている。この東アジアを固め
るために、クリントン米国務長官は24日、国務省で韓国の金星煥
外交通商相と会談後、今夏に日米韓外相会談を開催すると発表した。
日米韓を固めて、その上に豪比越などを重ねる計画のかもしれない。

25日に南シナ海の領有権問題が主要議題となった米中のアジア太
平洋協議で両国は従来の主張を述べ合うにとどまり、具体的な進展
はなかったもようだ。

しかし、米国の主張を知った中国は、戴秉国国務委員(外交担当)
が同じ25日、ベトナム指導者の特使、ホー・スアン・ソン外務次官
と北京で会談、南シナ海の領有権問題について交渉を通じ平和的に
解決すべきだとの認識で一致したと発表した。南シナ海の帰属を将
来的に決めるとして、米国の衰退を中国は待つことにしたようであ
る。

これと連動して、大連(遼寧省)で改修中の旧ソ連製空母「ワリャ
ーグ」が中国共産党創立90周年の7月1日に予定していた試験航行を
延期した。中国軍の消息筋は試験航行の延期について「外部環境の
要素を考慮した可能性がある」とし、南シナ海情勢が緊張している
ことから、冷却期間を置くのではないかとした。

また、米中協議で物別れになり、米上院は27日の本会議で、南シナ
海でのベトナム船舶などに対する中国の実力行使を非難する決議を
全会一致で可決した。

中国は米国と問題を起こすと、欧州に行くが、今回もそうなってい
る。中国・温家宝首相は24日、英国、ドイツなど欧州3カ国歴訪
をスタートさせた。南シナ海で東南アジア諸国や米国との緊張が増
す中、兵法三十六計の「遠交近攻(遠きと交わり近きを攻める)」
にならって地政学上の利害が衝突しない欧州との関係を促進するの
が狙いで、25日には欧州を支援するため、ユーロ建て債券の購入を
継続する、と表明した。

しかし、メルケル独首相が人権問題に言及したとたん、温首相が装
着した同時通訳のイヤホンが故障したとして聞けなかったことにす
るハプニングが起きた。人権問題が欧州との関係ではトゲになって
いる。

中国は米国が衰退すると見て、全ての問題を先延ばしにしている。
一方、日米は中国のバブルが崩壊して、中国の分裂や紛争が起きる
として、問題を先延ばしにしている。どちらが先に来るかというチ
キン・ゲームになっている。

さあ、どうなりますか??


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ロシアも新規空母建造へ…太平洋配備も
読売新聞 6月30日(木)0時39分配信

 【モスクワ=貞広貴志】タス通信によると、ロシアの国営造船会
社USCのロマン・トロツェンコ社長は29日、2016年に新型
航空母艦の設計・建造に着手することを明らかにした。

 現在、露海軍が運用している空母は、1985年建造の「アドミ
ラル・クズネツォフ」1隻のみ。軍事専門家によると、ロシアは原
子力空母を2隻以上つくり、1隻は太平洋艦隊に配備することを検
討している。中国の空母建造計画とともに、米軍の海軍力に挑戦す
る動きとなりそうだ。
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中国首相“聞く耳持たぬ”事態…独首相が人権に言及したら機器故
障
サーチナ 6月29日(水)14時56分配信

 ドイツを訪問した中国の温家宝首相は現地時間28日、ドイツのメ
ルケル首相と共同会見を行った。政治、経済、人的交流の推進で合
意し、両国企業が150億ドル(約1兆2150億円)以上の契約を結ぶな
ど、実り多い訪独だったが、共同会見ではメルケル独首相が人権問
題に言及したとたん、温首相が装着した同時通訳のイヤホンが故障
するハプニングが起きた。ドイッチュ・ヴェレ(ドイツの声)など
が報じた。
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中国空母、試験航行を延期=技術的問題で―香港紙
時事通信 6月29日(水)14時55分配信

 【香港時事】中国系日刊紙・香港商報は29日、中国軍消息筋の話
として、大連(遼寧省)で改修中の旧ソ連製空母「ワリャーグ」が
中国共産党創立90周年の7月1日に予定していた試験航行を延期した
と報じた。
 延期は技術的な問題が理由で、一部の部品の修理が必要になった
という。暫定的に8月に延期されたが、具体的な日程は未定。同筋は
「問題は大きくない。空母は最良の状態で登場してほしいので、慎
重になっているだけだ」と述べた。
 ただ、中国軍の事情に詳しい別の消息筋は試験航行の延期につい
て「部品の問題以外に、外部環境の要素も考慮した可能性がある」
と指摘。関心を集めすぎた上、南シナ海情勢が緊張していることか
ら、冷却期間を置くのではないかとの見方を示した。
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中国非難決議、全会一致で可決=米上院
時事通信 6月28日(火)12時24分配信

 【ワシントン時事】米上院は27日の本会議で、南シナ海でのベト
ナム船舶などに対する中国の実力行使を非難する決議を全会一致で
可決した。
 決議は、南シナ海の領有権争いに関して多国間の枠組みによる平
和的解決を支援すると表明。同海域の航行の自由を守るため行って
いる米軍の作戦継続を支持することも盛り込んだ。
 また、昨年9月の沖縄県・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に触れ
、「中国政府が故意に論争を刺激した」と批判した。 
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中国、影響力拡大 内外にアピール
産経新聞 6月27日(月)7時56分配信

 【北京=矢板明夫】南シナ海の領有権問題が主要議題となった米
中のアジア太平洋協議で両国は従来の主張を述べ合うにとどまり、
具体的な進展はなかったもようだ。しかし、中国には大きな収穫が
あったといえる。南シナ海問題で東南アジア諸国が求めている米国
の積極的な関与を牽制(けんせい)したほか、米国と対等な立場で
地域問題について話し合う実績を作ったことで、中国の影響力拡大
を国内外にアピールしたからだ。
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中越、対話解決で一致=南シナ海問題で高官会談
時事通信 6月26日(日)17時26分配信

 【北京時事】中国外務省は26日、戴秉国国務委員(外交担当)が
25日、ベトナム指導者の特使、ホー・スアン・ソン外務次官と北京
で会談、南シナ海の領有権問題について交渉を通じ平和的に解決す
べきだとの認識で一致したと発表した。
 中国は、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島などの領有
権をめぐる東南アジア諸国との対立で、当事国間の直接協議を主張。
米ハワイでの米中高官協議の一方で、ベトナムとの緊張緩和に対す
る努力をアピールする狙いがありそうだ。
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NewsBrief】中国、ユーロ債の購入継続を表明
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月26日(日)12時38分配信

 【ブダペスト】中国の温家宝首相は25日、欧州を支援するため、
ユーロ建て債券の購入を継続する、と表明した。首相は5日間の日程
で欧州を訪問している。

 ギリシャに新たな資金を供与するメカニズムをめぐる、欧州首脳
の見解はまとまっていない。こうしたなか、中国の支持は、国債に
対する市場の信頼を強化するものになると、多くの首脳は考えてい
る。首脳らはさらに、温首相の発言を、巨額の外貨準備のユーロ建
て資産への配分を増やす兆しと捉えている。
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日米韓外相会談 今夏開催で調整
産経新聞 6月26日(日)7時56分配信

 【ワシントン=犬塚陽介】クリントン米国務長官は24日、国務
省で韓国の金星煥外交通商相と会談後に共同記者会見し、北朝鮮の
核問題などを協議するため、今夏に日米韓外相会談を開催する方向
で調整していることを明らかにした。

 3カ国の外相会談は北朝鮮による韓国・延坪島砲撃を受け、昨年
12月にワシントンで開催されて以来。7月にインドネシア・バリ
島で開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(
ARF)閣僚会議に前後する形での開催を検討中とみられる。

 クリントン長官と金外交通商相は会談で、北朝鮮の核問題をめぐ
る6カ国協議の再開には、南北対話の開催が前提となることを改め
て確認し、北朝鮮への圧力を強める方針で一致した。
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中国、欧州に接近 温首相3国歴訪
産経新聞 6月25日(土)7時55分配信

 【ロンドン=木村正人】中国の温家宝首相は24日、ハンガリー
を訪問し、欧州3カ国歴訪をスタートさせた。5日間の日程で、英
国、ドイツも訪れる。南シナ海の島々の領有権をめぐり東南アジア
諸国や米国との緊張が増す中、兵法三十六計の「遠交近攻(遠きと
交わり近きを攻める)」にならって地政学上の利害が衝突しない欧
州との関係を促進するのが狙いとみられる。欧州連合(EU)の小
国に接近することでEUの意思決定にくさびを打ち込む遠謀もちら
つく。

 中国にとってEUは最大の貿易相手で、EUにとっても中国は米
国に次ぐ貿易国だ。中国は3兆ドル(約240兆円)超の外貨準備
をドル資産だけでなく欧州単一通貨ユーロ資産にも分散投資。欧州
のシンクタンク「欧州外交評議会」の中国専門家ジョナス・パレロ
=プレズナー氏は、EU域内投資の4割が財政悪化国のギリシャ、
ポルトガル、スペイン、イタリアなどに集中していると指摘する。
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米、比支援を鮮明に 相互防衛、南シナ海適用
産経新聞 6月25日(土)7時55分配信

 【シンガポール=青木伸行】米、フィリピン両政府は、南シナ海
での中国の覇権拡大に対処するため、同盟関係のテコ入れに本格的
に着手した。23日(米東部時間)にワシントンで開かれた外相級
会談で、「米比相互防衛条約」を南シナ海での「有事」にも適用し
、比軍の装備の増強、更新を米側が支援することで合意した。南シ
ナ海は「米中冷戦」の様相を呈している。

 クリントン米国務長官との会談などで、デルロサリオ比外相は、
中国の脅威に対し「いかなる攻撃的な行動をもとる用意がある」と
強調。米側は、南沙(スプラトリー)諸島の領有権をめぐる中比の
武力衝突を念頭に、米比相互防衛条約(1951年)に基づきフィ
リピンを防衛することを明確にした。

 また、フィリピンの老朽化した艦船など装備を増強、更新するた
め、米側は装備などを供与する。クリントン長官は「必要な装備を
どう供与するかを決める作業をしている」としている。同外相はゲ
ーツ米国防長官とも会談し、具体的な「装備リスト」を基に協議し
たとみられる。

 振り返ると、米軍のスービック海軍、クラーク空軍両基地からの
撤退(91年)に伴い、米比基地協定が失効し、同盟関係とフィリ
ピンの軍事力は弱体化した。

 その間隙(かんげき)を縫い、中国が南シナ海に進出すると、米
比両国は「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)などを結び、関
係回復に動いた。だが、米国は後方支援基地の復活を望んでいると
の観測もあり、それを模索する動きが浮上する可能性もある。
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<台湾>南沙諸島太平島周辺海域で定期軍事演習 6月末
毎日新聞 6月24日(金)19時27分配信

 【台北・大谷麻由美】台湾の海岸巡防署(海上保安庁)と国防部
(国防省)は合同で今月末、台湾が実効支配する南シナ海・南沙諸
島太平島周辺海域で定期軍事演習「碧海92号」を行う。南シナ海
の領有権を巡る中国、ベトナム、フィリピンの摩擦が高まる中、馬
英九政権に対して積極的な主権の主張や各国との協議を求める声は
大きくなっている。

 中国国務院台湾事務弁公室の楊毅報道官は15日、「南シナ海の
諸島と周辺海域の主権を守るのは、両岸(中台)同胞の共同責任だ
」と述べた。台湾は、南シナ海の領有権問題の基本原則として「争
いを棚上げし、平和的互恵に基づく共同開発」を掲げている。

 しかし、国連に未加盟なため、領有権を巡る議論では蚊帳の外。
台湾はフィリピンやベトナムなどと個別協議を行いたいが、中国の
抗議を受けて各国とも消極的という。
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中国軍ヘリ、露艦艇を威嚇
産経新聞 6月24日(金)7時56分配信

 沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海からフィリピン東方海
域で訓練を実施していた中国海軍艦艇の搭載ヘリコプターが、周辺
で情報収集をしていたロシア海軍艦艇に接近・周回する威嚇行動を
とっていたことが23日、分かった。同海域には、中国艦艇の訓練
を警戒監視する日米に加え、ロシア艦艇が偵察に乗りだしており、
それを中国が挑発する「緊迫の海」になっていた状況が判明した。

 中国艦艇は今月8、9両日、沖縄本島と宮古島の間を過去最大規
模の11隻で通過後、フィリピン東方海域に入った。11隻はミサ
イル駆逐艦やフリゲート艦などで、海域に1週間ほどとどまり、対
潜水艦戦訓練などを実施した。22、23両日、同じルートで中国
に戻った。

 ロシア艦艇は情報収集艦1隻とみられ、中国艦艇の11隻にはロ
シアが売却したソブレメンヌイ級駆逐艦3隻が含まれていた。この
ためロシア側には、同駆逐艦の運用形態を確認するとともに、中国
が2003年から本格化させている駆逐艦とフリゲート艦を組み合
わせた「混合編隊」による海上戦闘能力を把握する狙いがあったと
される。

 中国は昨年4月、艦艇10隻が沖ノ鳥島周辺で訓練を行った際、
ヘリを海自護衛艦に水平約90メートル、高度約30メートルに異
常接近させたほか、今春にも海自護衛艦にヘリや航空機による接近
・周回を3度繰り返している。
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アフガン撤退 来夏までに3.3万人 オバマ氏 来秋の大統領選
視野
産経新聞 6月24日(金)7時55分配信

 【ワシントン=犬塚陽介】オバマ米大統領は22日夜(日本時間
23日午前)、ホワイトハウスから国民向けに演説し、約10万人
のアフガニスタン駐留米軍のうち、大統領自身の判断で増派した約
3万3千人を来年夏までに撤退させる方針を発表した。年内に1万
人を引き揚げさせる。

 増派部隊の帰還は米中枢同時テロから10年近くに及ぶ戦争の終
結に向けた節目となる。
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中国高官が米国に警告、南シナ海で「自ら火をかぶることするな」
サーチナ 6月23日(木)14時4分配信

 中国政府・外交部の崔天凱副部長は22日、北京市内で行われた米
中のアジア太平洋地域問題の会議の先行する記者会見で、南シナ海
の問題で、米国に対して「火をかぶることはすべきでない」と警告
した。

 崔副部長は、南沙諸島(スプラトリー)など南シナ海の問題で「
一部の国が火遊びをしている」と主張し、「米国が自分の身に火を
かぶることをしないよう希望する」と述べた。
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国防、対中増強へ 北・西部見直し 米軍補完
産経新聞 6月23日(木)7時56分配信

 【シンガポール=青木伸行】オーストラリアのスミス国防相は22
日、アジア・太平洋地域とインド洋の安全保障環境の変化に対応し
、国防体制を大幅に見直す方針を表明した。主に中国の脅威増大を
念頭に、東南アジアとインド洋に面する北、西部の基地を、装備の
配備増強などにより強化する。同盟国の米国のアジア・太平洋地域
におけるプレゼンス強化を、補完する動きとして注目される。

 現在の国防体制は、東西冷戦の終結を踏まえ1991年からとら
れており、南東部の基地が国防の主体となっている。これを見直し
、重点をノーザンテリトリー州のダーウィン空軍基地、クイーンズ
ランド州のタウンズビル空軍基地、西オーストラリア州パースの
HMASスターリング海軍基地など北、西部に移す。

 具体的には(1)今後導入する方針のF−35統合攻撃戦闘機
約100機、新型潜水艦12隻、新型防空駆逐艦3隻などの重点配
備(2)基地や部隊の統廃合(3)米軍との基地共同使用の再評価
−が軸になる。

 米軍は南オーストラリア州の空軍基地などを使用しており、同盟
関係が運用面で強化されるとみられる。スミス国防相は見直しは、
米政府が検討しているアジア・太平洋地域、さらにはインド洋にお
ける米軍のプレゼンス強化策を、補完するものだとの認識を示した。

 ただ、中国の脅威増大を見直しの要因に挙げることは「アジア・
太平洋にあるのは1カ国(中国)だけではない」と避け、西オース
トラリア州沖合のゴーゴン・ガス田など北、西部の石油、天然ガス
開発地帯を防衛する必要性を強調した。

 具体的な見直し計画は今後、専門家委員会で検討され、来年初め
にまとめられる。2014年の国防白書にも反映される予定だ。
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わが海軍の「第一列島線突破」は合理・合法だ=中国報道
サーチナ 6月22日(水)15時38分配信

 北京日報は22日付で、中国軍事科学学会羅援副秘書長による論説
「中国海軍の第一列島線突破は合理・合法だ」を掲載した。第一列
島線は鹿児島県南部から尖閣諸島を含む南西諸島、台湾、フィリピ
ン西部を経由して、インドネシア西部に達する線。同論説を掲載し
た北京日報は、中国共産党北京市委員会の機関紙の性格を持つ。

 論説は、海外における中国の利益は日増しに増大していると主張
。中国経済に対する海洋航路の安全も増大してることから「中国海
軍の第一列島線突破は必然の成り行きであり、合理・合法だ」と主
張した。

 米国などを名指しはしなかったが「他国の玄関先で合同軍事演習
を行う国があるが、非難はされない。中国は1年に2回、演習をして
いるが、驚く人がいる」などとして、中国が“いわれなき差別”を
受けているとの見方を示した。

 羅副秘書長によると、他国に軍事圧力をかける国もあるが、中国
は軍事演習にあたって、「第三国やその他の特定の国を目標とする
ものではない」と表明しており、「許せないと言う方がおかしい」
という。

 中国海軍の第一列島線突破については「中国の国力は上昇してい
る。第一列島線の外の水域や地理について知らなければ、国際救援
や海賊対策などに対して、どうやって活動するのか」との考えを示
した。
(編集担当:如月隼人)
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「南シナ海で緊張要因」=中国を批判−2プラス2

 【ワシントン時事】クリントン米国務長官は21日午前(日本時
間同日夜)の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で、南シナ海
の領有権争いをめぐりベトナムなどと衝突している中国について「
南シナ海の航行問題は地域の緊張要因になっている」と批判した。
松本剛明外相も「(中国が)東・南シナ海で航行の自由との関係で
摩擦を生じさせている」との認識を示した。

 日米が合意した共通戦略目標では、南シナ海などの地名を挙げず
、中国の名指しも避けつつ、「(軍事力の増強が)地域の安保環境
を不安定化し得る」などと盛り込む配慮を見せたが、意見交換の場
では同国に対する強い警戒感を示した形だ。

 またクリントン長官は、昨年9月に東シナ海の尖閣諸島沖で中国
漁船衝突事件が起きたことを踏まえ、尖閣諸島について「(米国の
対日防衛義務を定めた)日米安保条約5条が適用されるとの米国の
立場を改めて確認する」と表明。日米両国が関係各国と協力し、国
際規範の順守などを中国に求めていく方針を確認した。

 一方、北沢俊美防衛相は「人道支援、災害救援分野で中国と一緒
に取り組むことは、建設的な関係を築く上で重要だ」と指摘。クリ
ントン長官、ゲーツ国防長官は「非常に素晴らしいアイデアだ」と
賛同した。 (2011/06/22-07:42)
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中国:海洋監視員を増強 20年までに1.6倍、1万5000人
に
 【北京・工藤哲】中国国土資源省の管轄下で海洋調査を担当する
国家海洋局の当局者は、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)
の各国が領有権を主張する南シナ海など周辺海域の監視要員を
2020年までに現状の9000人から約1・6倍の1万5000
人に増やす考えを示した。中国による海洋権益保護のための強化策
で、周辺諸国が警戒を強めることは必至だ。

 17日付の中国英字紙「チャイナ・デーリー」が報じた。当局者
によると、航空機を現状の9機から16機、監視船を260隻から
520隻以上に増やすという。海洋局は同紙の取材に対し、2010
年の海洋権益侵害は外国籍の船舶で1303件、航空機によるもの
で214件あったと指摘。その合計は1517件で、07年(計110
件)から激増していると主張。今回の増強策は「新たな海洋権益へ
の試練に直面しているため」としている。

毎日新聞 2011年6月18日 東京朝刊
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<南シナ海問題>中国がベトナムを懲らしめる方法はいくらでもあ
る―香港紙
2011年6月15日レコードチャイナ
、香港紙・明報は南シナ海の領有権をめぐり緊迫する中国とベトナ
ムの関係について「一触即発の状態だが、戦闘には至らない」と分
析した。シンガポール華字紙・聯合早報が伝えた。以下はその内容。

最近の南シナ海の緊迫情勢について「中越両国の軍事衝突は免れな
い」とする意見がインターネット上にあふれている。だが、中越両
国の国力と海軍の実力を比較すると両者には著しい差があり、実際
に衝突することは考えにくい。中国がベトナムを懲らしめる方法は
軍事行動のほかにもたくさんある。ベトナムの外貨準備高はわずか
136億ドルだが、中国の外貨準備高は3兆ドルを超えており、両国の
経済力の差は歴然。軍事的には、中国は南シナ海艦隊だけでベトナ
ム海軍全体の軍事力をはるかにしのいでおり、戦わずとも勝敗の行
方は明らかだ。

経済は悪化し、政治は危機的状況にあるベトナムは今、南シナ海の
石油を手に入れようと必死だ。さらに、国民の視線を南シナ海に向
けさせ、同時に民族感情をあおることで国内の矛盾を緩和しようと
している。こうしたベトナムの国内事情を理解している中国は、ベ
トナムが実施した沖合40kmでの実弾演習に対して大人の対応を示し
ているが、南シナ海そのものについては一歩も譲る気はないようだ。
(翻訳・編集/本郷)
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中国とベトナム、南シナ海で軍事衝突を起こす可能性=中国の専門
家が指摘―SP華字紙
Record China 6月15日(水)14時31分配信

2011年6月13日、シンガポール華字紙・聯合早報は「中国の学者:中
国とベトナムは南シナ海で軍事衝突を起こすかもしれない」と題し
た記事を掲載した。新華社通信が伝えた。以下はその内容。

5月末以降、南シナ海での中国とベトナムの主権争いが激化している
。ベトナムは13日、実弾軍事演習を実施、対立姿勢をさらに強めた
。北京大学国際戦略研究センターの朱峰(ジュー・フォン)副主任
は「ベトナムが強硬姿勢を打ち出せば、中国も他に退路はない。対
峙が続けば、対立はさらに深まる」との見方を示している。

軍事力を比較すると、ベトナムが中国の敵ではないことは明らかだ
。だが、朱副主任は「ベトナムは米国の支持が得られると分かれば
、大胆な行動に出る可能性が高い。そうなれば、両国が軍事衝突を
起こす可能性は否定できない」と指摘する。

また、ベトナム側の考えについて、「中国に戦争する覚悟ができて
いないと確信している。中国をまだ弱いと思っているのだ。しかも
、ちょうど良いことに米国も中国の台頭に懸念を抱いている。ベト
ナムにとって今は強硬姿勢に出る絶好の機会なのだ」と分析した。
(翻訳・編集/NN)
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ベトナム、南シナ海実弾演習でトーンダウン−中国刺激回避か
2011年 6月 14日  10:49 JST 
WSJ
 南シナ海の領有権問題で中国と対立しているベトナムは、13日に
南シナ海で行った同国海軍の実弾演習について、「通常行っている
演習だ」と述べ、その重要性をあまり深刻に受け止められないよう
努めた。アナリストらはこれより先、実弾演習は中国と領有権を争
うベトナムなどの国々が妥協を許さない姿勢を鮮明にしていると指
摘していた。 

 ベトナム政府は13日、今回の実弾演習をそれほど重要ではないよ
うに見せようと努めた。これは中国の敵対意識を必要以上に刺激し
ないようにするのが狙いとみられる。 
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ベトナム:南シナ海で実弾演習へ 中国と緊張高まる恐れも
 【バンコク西尾英之】ベトナム国営メディアは10日、同国海軍
が南シナ海で実弾を使った軍事演習を実施すると伝えた。ベトナム
は南シナ海で海洋探査船が繰り返し中国船舶の妨害を受けたと主張。
演習が実施されれば南シナ海で中国との軍事的緊張が高まる恐れが
ある。

 AFP通信は海軍当局者の話として、演習は13日、中部クワン
ナム省の沖合約40キロの海域で6時間にわたって実施されると報
じた。

 ベトナム外務省は5月末以来、南シナ海の排他的経済水域(EE
Z)内で、同国石油会社の探査船が中国の船舶に何度も妨害行為を
受けていると主張。「深刻な主権侵害だ」として中国側に繰り返し
抗議している。また今月5日にはハノイとホーチミン市でベトナム
としては異例の市民による反中抗議デモも発生。官民ともに中国へ
の反発が強まっている。

毎日新聞 2011年6月10日 20時28分
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【オピニオン】南シナ海で「ビリヤード」行う中国
マイケル・オースリン
2011年 7月 1日 18:01 JST 
WSJ
... 南シナ海で中国はビリヤードを行っているが、米国が行ってい
るのはある種の旗取りゲーム。中国にとってビリヤード球をテーブ
ルから落とすことが目標になるが、米国は中国に地域覇権という旗
を取らせないようにゲーム運びをしている。 

 米国の政策立案者は、中国側とは違うゲームをしていることを認
識した上で戦略を練り直す必要がある。ゲームをビリヤードにシフ
トすることは米政府にとって挑発的になり過ぎるが、現在の傾向が
続けば、南シナ海を安定化する米国の役割を維持する上でこのエイ
トボールのビリヤードでは、ほとんど選択肢がなくなることに気付
くかもしれない。 

 中国の挑戦が実際に何であるかについて2つの違った解釈がある。
中国は南シナ海での航行の自由を脅かしているとの見方が米国では
多い。従って、邪魔されない米海軍艦船の航行、世界貿易の自由な
流れ、日本や韓国など同盟国の海上生命線など米国にとって国益が
損なわれる可能性がある。 

 これと対照的に多くの南東アジア諸国は、資源領有を巡る問題の
一つと見ている。南シナ海には300億バレルの石油と200兆立方フィ
ートの天然ガスがあると推定される。すでに数十カ所の油田は開発
中であるが、中国の行動を駆り立てているのは、このような資源の
将来の探査と開発をコントロールできる能力だ。 

 中国が全南シナ海の領有権を主張すれば、資源埋蔵が確認されて
いる地域の領有権問題に発展する。最も火種になりそうなのが、中
国・台湾・ベトナム・フィリピンなどが領有権を主張する南シナ海
の南沙(英名スプラトリー)諸島だ。台湾北方にある尖閣諸島も日
本と中国が領有権を主張し合っており、同じ構図。 

 中国の領有権主張は、同海域のどこにでも動くことができること
(すでに達成)のほか、他国が自由に航行することを阻止する能力
を持つことにより、最大限に発揮される。他国の海軍艦船と資源探
査船をけん制することは事実上、中国の力と影響力を誇示すること
に役立つ。中国の海軍力が拡大するなか、中国がより広範囲の海域
での展開が可能になれば、過去これまでの領有権主張がさらに意味
を持つことになる。 

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