エネルギー自給と省エネ生活 ――自宅でできるCO2半減―― 平成23年(2011)5月21日(日) 「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治 平成22年(2008)3月25日、「更なる省エネとCO2半減」と題して、 我が家での2006〜2009年のエネルギー消費量と炭酸ガス発生量の 推定値等を発信させて頂きました。「地球に謙虚に運動」代表発信欄 にも掲載しております。このたび、平成22年(2010)も加えた5年分の データがまとまりましたので報告致します。東日本大震災により福 島第1原発が大変な事故を起こし、被災者を苦しめる中、関東地区で は今夏電力不足が予測されています。これを機会に更なる省エネ・ 省資源生活に切り替えることは長い目でみても公私ともにメリットが あるように思います。私どもの試みと成果を参考にして頂ければ幸甚 です。 2007年の環境Gooのエコ知恵袋によりますと、日本の一般的な家庭 (1世帯2.55人 2005年)が1カ月あたりに使うエネルギーの量は、 電気が290kWh、都市ガスが55万kcal(51m3)、水道が20m3ほどとの ことです。これに自動車の走行による燃料消費を加えると、大体の 炭酸ガス排出量が算出できるようで、一般家庭からのCO2排出量は、 世帯あたり年間5,000kgを超えるそうです。 我家では炭酸ガス排出量は一般家庭の半分以下のレベルを2年連続達 成できました。 ○ 電気; 我等3人家族の滋賀県の住居での年間電気使用量は,最近5年間平均で 2,582kwhです。2010年は5年間で最少の2,142kwhで済みました。 建売時に既に備え付けの太陽光発電設備は、年間3,200〜3,300kwh位 発電量しているようで、自家消費を引いた関西電力への売電量は5年 間平均で2,203kwhで差し引き10,383円の電気代となっています。ここ で注目すべきは、2007年に電力使用量が大幅ダウンしたことと、 2010に売電料金が年間11万円を超えたことです。 2006年から2007年に掛けて電気の使用量を減らせたのは、電気湯沸か しポットを止めて、ガス&灯油ストーブに湯沸かし機能を切り替えた 効果が大きかったと思います。当時、太陽光発電による売電状況が判 る回転式の積算電力計が付いていました。洗濯機が回っている時、 クーラーを入れ、湯沸かしポットをスイッチオンすると、最高2,100 ワットを発電していた太陽光発電装置の電力計の回転板がピタッと止 まったのです。クーラー1,000ワットと湯沸かしポット800ワットの 電気消費量の凄さを知りました。 クーラーは元よりあまり使わないのですが、それから湯沸かしは 都市ガスコンロか、調理可能な灯油ストーブに集中し、魔法瓶に貯湯 することにしました。日常得られるエネルギーの中で、一番精度の高 い電気をエネルギーの墓場である熱に変えるのはあまりにもったいな い行為だと思ったからです。 また、2009年9月に2台あった旧型の電気冷蔵庫2台を新型1台に置き換 えました。古い冷蔵庫を2台通年で使っていた2008年の年間使用量は2、705 kwhで,2010年の電気使用量は▲563kwh割合にして20.8%も減ったことになり ます。金額にして14,513 円の節約となり、単純計算ですが、冷蔵庫代 約11 万円は、約8 年で回収できることになります。 もう一つ、2010年には我が家の売電収入が\114,624と購入電気料金を \71,206も上回りました。平成21年(2009)12月からエネルギー供給構造 高度化法により、太陽光発電電気の電力会社による買い上げ料金が今 までの市中料金の約倍の48円/kwhに引き上げられたからです。 デンマーク、ドイツ、スペイン辺りで盛んな本格的自然エネルギー 買上げ制度=固定価格買上げ制度(FID=Feed in Tariff)が漸く太陽 光発電だけ日本にも導入されたのです。この48円/kwhの買い上げ電気料 金は10年間固定されますが、平成22年3月末までに設置、もしくは申し 込みされた太陽光発電装置に適用されました。新型冷蔵庫による節電分 は売電にも一部回ったはずで、今までの買取り分も含め、後8年で太陽 光発電装置に投入した経費は回収できるでしょう。平成22年4月1日以降 の設置分に対する買い上げ料金もそのまま適用されています。 この市中の倍近い太陽光発電の買い上げ料金を支えるために本年4月か ら「太陽光発電促進付加金」が導入されています。我家でも月額5円程 度です。我が家も含め一億総平等負担ですが、ソーラー発電装置を持っ てない方には感謝申し上げなければなりません。 エネルギー供給構造高度化法;正式名「エネルギー事業者による非化石 エネルギー源の利用及びエネルギー原料の有効な利用の促進に関する 法律(平成21年法律第72号) ○ガス・灯油&水道 過去5年間下表のガス・灯油&水道の使用量と料金を見て見ましょう。 2010年の都市ガス、灯油、水道の使用量はいずれも僅かながら2009年 を上回っています。これは2010年の猛暑と厳寒が影響したと思います。都 市ガスと水道は大津市企業局の供給です。都市ガスは天然ガスで調理 専用としており、5年間の平均使用量は43m3、1ヶ月の平均使用量は3.6m3 程度。料金に占める基本料金は\672掛ける12ヶ月で\8,064円にもなります。 灯油はお風呂などへの給湯、そして冬期は灯油ストーブ(2台使用)を 暖房と調理用にも活用しています。5年間の平均灯油使用量は417リットル です。単価の変動は激しく、2010年は1リットル当たり77.6円と2009年に 比べ、25%も値上がりしました。 水道の5年間の平均使用量は145m3です。使用量が2009年の133立米、2010年 の136立米と少なく済んでいます。これはお風呂の湯を長く使うことと、植物等 への遣り水を雨の貯水に本格的に切替えたことが効いてきたのでしょう。 ○ 更なる省エネが出来た理由 さて、上記環境GOOのエコ知恵袋のデータと比べますと我家のエネルギー 使用量は、平均よりさらにかなり下回わることができました。ごく自然に達 成できているように思います。 まず電気に関しては太陽光発電による自家給電が大きく効いているので しょう。そして冷蔵庫の新規交換が更なる省エネをもたらしてくれたよう に思います。 続いて灯油です。灯油1リットルは熱量で都市ガス0.79m3に相当しますので、 我家の417Lは都市ガスの329m3に該当します。都市ガス使用量43m3を足します と年間372m3の使用量になります。一般的な家庭では51m3*12ヶ月=612m3で すから、61%程度の使用量で済んでいることになります。湖西の大津北部では 今冬は雪が多く、冬場の室温は朝方で3度Cから9度Cくらいに下がりまました。年々 寒がりになり、9度Cだと手がかじかんでパソコンを操作しづらくなりますので、 暖房を入れます。そして12度C〜13度C程度の室温に抑えて、厚着で十分カバー しています。灯油ストーブは、湯沸かし、おでん、カレー、シチュウなど煮 込み料理に活用しています。寝床の暖房を必要とする年齢となっていますが、 電気こたつから、湯たんぽに切り替えて3年。乾燥防止用にヤカンでお湯を沸 かしています。貯湯用の魔法瓶が一杯になれば、お風呂に足し湯をします。 それと灯油使用量が抑制できているもう一つの要因は、太陽温水器です。我 家族は全員風呂好きで毎晩入浴するので結構お湯を使います。それでも猛暑で あった昨夏の7月から9月中旬まで足し湯は、全て太陽温水器で賄えました。初 めての経験です。例年なら夏場でも割と灯油を使うことになるはずでしたが。 灯油単価は平成18年(2006)にリッター当たり平均95.5円でした。その時のこと を思えは、2010年の灯油平均価格は平均77.6円/リッターは割安です。しかし 2009年の平均価格は62.1円でしたから、段々上昇気味となってきたようです。 中長期的にはオイルピークに達した今、価格上昇は避けられないでしょう。 生きている間に灯油から他のエネルギーに切り替えるべき時期がくるやも知れ ませんね。 室内暖房の効率を上げるために、2008年晩秋に、主な部屋に省エネ断熱材 ガイナの塗布してみましたが、定量的効果は不明です。 最後に水道です。一般的な家庭の年間使用量、240m3に比べ我家の分は145m3 です。野菜プランターなどへの水やりは、さらに本格的に雨水をバケツ4個に 溜めて活用しています。 しかし何と言っても約150〜200リッターの容量のお風呂が水道の最大消費者で しょう。前回述べた活水器は今も活躍しています。活水器を通過した水は、 水垢、尿石などを溜まり難い水質を持っており、配管類が長持ちすることを 期待しています。そして引き続きEM(Effective Micro-Organisms=有用微生 物群)を米の研ぎ汁に入れて培養し、お風呂に入れております。今は1〜2週間 ほど、足し湯だけでお風呂に入っています。我家では微生物の力を借りてお湯 を長持ちさせる方法を選んでいるのです。結果節水効果があって、上記使用量 程度で済むことにつながっていると思います。水道単価は、下水道料金の上昇 もあって上がってきています。さらに節水に努める積りです。 2.移動のためのエネルギー 私共は、買い物などのためにマイカーは欠かせない郊外で、近くにはJR湖西線 しか走っていないベッドタウンに住んでいます。それでもなるべく公共交通機 関を使うようにしており、JR西日本、近鉄、京阪電鉄をよく利用しています。 過去5年間のマイカーの年間走行キロは3,000〜4,000ロ程度、併せガソリン 消費量を見てみましょう。 2009年&2010年の走行キロは2300~2500キロと減っており、家族を交えての長 距離旅行をあまりしなかったからだと思います。 引き続き省エネ・省資源運転方法としては、アクセルを踏まずに発進し、急 加速急減速はせず、定速運転を心掛けています。2008年からは平素の積載荷 物も減らし、ガソリン量はタンク半分程度に抑え、燃費を計量するときのみ 満タンにすることにしています。5秒以上の信号待ちの場合、エンジンを切り ます。但しこれは私のみ。 普段はできるだけ電車に乗って後は歩くようにしています。携帯電話に万歩計 がついており、毎日いくら歩いたか記録をパソコンに入力することが引き続き の楽しみとなっています。2006年正月からつけ始めた歩行記録によりますと、 2010年末までの5年間の一日平均歩行数は11,159歩で2009年末の10,925歩より さらに伸びました。省エネ健康法です。 3.炭酸ガス発生量 前回同様電力会社等から頂いた、炭酸ガス排出量を推計する計算表から算 出します。我家の平成22年(2010)の炭酸ガス発生量は、2,366kgとなりました。 2009年よりまた更に減らすことができたようです。 日本人一人当たり一日5.5kgの炭酸ガスを排出しており、今一人一日1kgの炭酸 ガスを減らそうという運動が続いています。単純な計算ですが、一般的家庭が 出す年間炭酸ガス排出量は、5.5kg/日*365日*2.55人(1世帯平均人数)= 5,119kg≒約5.1トン以上と推計されています(2008)。 平成21年(2009)の我家の推定排出量は3人家族で年間2,481kg≒約2.5トン、 2010年は2,366kgですから、2年続けて半分以下ですね。世の中のCO2平均排出 量の半減化を2年連続実現できました。太陽光発電装置と、太陽温水器の設置が 功を奏し、日々の省エネ・省資源行動も成果につながっていると自負していま す。太陽光発電装置の普及が3月11日の東日本大震災を切掛けにさらに進展す ることを期待しています。但し大きな課題もこの大震災を契機に浮かび上がっ て来ました。停電したときに太陽光発電装置がピンチヒッターにならないので す。専用コンセントが必要のようで、今可能性を調査しています。1,000~ 1,500kw位供給可能だとか。 さて炭酸ガス発生量の比較のために、全国地球温暖化防止活動推進センタ ーのホームページのデータを戴きました。それによれば2007年の推計ですが、 一般家庭から炭酸ガス換算で約5,350kgCO2となっていました。 一般家庭の 炭酸ガスの排出源第1位は電気、第2位はガソリンです。思うに冷暖房にエア コンを入れ、湯沸かしポットを使い、移動にはマイカーを使用している方々 が多いのでしょう。 長文お付き合い、有難うございました。 以上 「地球に謙虚に運動」代表 NPO法人 エコネット近畿 副理事長