3992.震災復興予算と政局



武藤・大和総研理事長が、1〜3月期のGDP値が実質3.7%減
(年率)だったことを踏まえ、2011年度はマイナス成長になる
との見通しを示した。非常にショッキングなもので、市場コンセン
サスより相当悪かく、11年度はマイナス0.4、0.5%になる。
7〜9月期には震災による景気悪化が底を打ち、10〜12月期は
プラスになっていくと見込んでいるとした。

しかし、大型の震災復興予算は、菅直人首相が第2次補正予算につ
いて、被災地の自治体、県などが7月、8月に再建復興計画を出し
、その後に予算化するというので、2次補正の編成は8月以降にな
るという。そうすると、予算成立は10月以降になり、公共工事が
現地で行えるのは年明けになる。このように震災復興予算が武藤さ
んの見込みより大幅に後にずれることが確実である。ということで
、武藤さんの予測より日本の景気回復は大幅に遅れる。今年度はマ
イナスが確実である

菅直人政権は概算予算請求という手段を使わないために、予算構築
が遅くて現地のニーズに即したスピード感がないし、現時点の日本
の経済状況に即した対応ができていないようである。どうして、そ
のように遅いのかというと、第2次補正の審議を菅首相は自分の任
期中と思っていない。G8サミットが花道で菅首相は1回限りのサ
ミットに出席する。

民主党は9月に民主党代表選挙である。恐らく菅現代表を推す人
たちは、岡田さんと自派以外には皆無であるから、次の代表は別人
になる。これはほぼ確定。

これが分かっていながら、小沢Gも内閣不信任案を賛成多数で可決
させる試みをしているが、菅首相が即時解散総選挙という脅しで、
内閣不信任案への賛成を小沢派議員たちでも現時点での総選挙では
落選するので賛成できないようで、署名は集まっていない。

それより民主党代表選挙で菅代表を落とした方が、スッキリいく。
勿論、両院議員総会で解任決議案を出し、それを通す方向のようだ。

そして、5月24日の渡部・小沢氏の誕生会の幹事が前原さんであ
ることに、その答えがある。9月の代表者選挙で前原氏を多くのグ
ループが支持すれば、これは結果が見えている。

この時、自民党との連立を現時点から模索しているのが現状である。
この全体計画の裏に仙谷さんの意図を感じる。

また、武藤さんは、産業への影響では、電力供給不足と部品の調達
難が海外移転を促す可能性が高く、産業の空洞化につながることに
警戒感を示した。

19日夕、東日本大震災の発生を受け中断していた新成長戦略実現会
議を再開した。革新的エネルギーと環境戦略と農林漁業再生戦略に
着目したい。この2つは東北復興計画と密接に絡む。

被災地の雇用、東北の雇用を作る努力が必要である。被災者はそろ
そろ手持ち資金が枯渇している。しかし、義援金を1ケ月程度止め
たことで、この分配もできていないことになる。

それだったら、現地にボランティアがいないというが、ボランティ
アに仕事させないで、その仕事を現地の人にさせて、日雇いの仕事
として現金を支給すればよいのある。この予算を早急に組み、ばら
撒くことである。

そのご、大型の土木工事を大量に東北で起こし、それに地元土建業
者を使い、地元民優先で雇用させることである。大型土木としては
道路や鉄道の復旧と水路式の中小水力発電や国立公園内での景観配
慮した地下型の地熱発電などはどうであろうか?

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「11年度はマイナス成長に」 武藤・大和総研理事長が講演
2011.5.20 05:00サンケイ
.
 元財務事務次官の武藤敏郎大和総研理事長が19日、今後の日本
経済をテーマに都内で講演し、同日発表の1〜3月期の国内総生産
(GDP)速報値が実質3.7%減(年率)だったことを踏まえ、
2011年度はマイナス成長になるとの見通しを示した。

 武藤氏は1〜3月期のGDPについて、「非常にショッキングな
ものになった。市場コンセンサスより相当悪かった」とし、11年
度は「マイナス0.4、0.5%とか、そのくらいになるだろう」
と述べた。四半期ベースでは、7〜9月期には震災による景気悪化
が底を打ち、「10〜12月期はプラスになっていく」と見込んだ
が、復興需要が出てくることが前提だ。

 また、1995年の阪神大震災の経験から、「地震直後の倒産は
金融支援によってそんなに増えないが、翌年くらいから増えた」と
指摘し、雇用問題への波及を懸念。地域金融機関に対しては、住宅
損壊などの資産劣化で借り手側の資金繰りも苦しくなることから、
「不良債権は急増していくだろう」と述べた。

 産業への影響では、電力供給不足と部品の調達難が海外移転を促
す可能性を指摘。「震災前から海外移転問題はあったが、アジアと
日本は成長率格差があり、自然の流れだ。震災が背中を押したとい
うのは事実だろう」と述べ、産業の空洞化につながることに警戒感
を示した。
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日本再生の戦略、年末に具体像 新成長戦略実現会議が再開 
2011/5/19 19:58日経

 政府は19日夕、東日本大震災の発生を受け中断していた新成長戦
略実現会議を再開した。東日本大震災や福島第1原子力発電所事故
を踏まえた「政策推進指針」に沿って、従来の新成長戦略の再設計
や強化について検討した。 

 新たな政策課題として(1)革新的エネルギーと環境戦略(2)
日本ブランドへの信頼を回復し、産業の空洞化防止と海外市場開拓
戦略(3)国と国の絆の強化に向けた戦略(4)農林漁業再生戦略
(5)成長型長寿社会・地域再生戦略――の5本の柱を掲げる。

 今後、エネルギー・環境戦略やマクロ経済運営などについて議論
し、新成長戦略の目標や工程を検証する。9月頃をめどに中間的整
理をまとめ、年末には日本再生のための戦略としての具体像を提示
するとしている。 

 内閣府の平野達男副大臣は終了後の記者会見で、エネルギー戦略
の見直しと経済産業省の『エネルギー基本計画』との住み分けにつ
いて「現時点で整理ができているわけではない。中間的整理でまと
める結果は十分反映させられるべき内容になる」との認識を示した。
〔日経QUICKニュース〕
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罹災証明、交付率7割 義援金の受け取り阻む
2011年5月20日9時0分

 東日本大震災で住宅被害を証明する罹災(りさい)証明書の交付
が申請の7割程度にとどまっていることが、朝日新聞のまとめでわ
かった。とりわけ都市部で「交付率」が低く、申請から交付まで
3カ月かかる自治体も。罹災証明書は義援金などの受け取りに必要
で、被災者からは不満の声があがっている。 

 岩手、宮城、福島3県のうち、死者・行方不明者が確認された
56市町村に取材した。このうち、申請数と交付数を把握できてい
る47市町村の分を集計。計約18万件の申請に対して交付は計約
13万件だった。津波被害が甚大で申請数や交付数を確認できてい
ない自治体もあるため、未交付の件数はさらに増える可能性がある。
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2次補正の編成、8月以降になる可能性 首相が示唆
2011年5月16日14時0分

 菅直人首相は16日の衆院予算委員会で、東日本大震災の本格的
な復興対策を盛り込む第2次補正予算について「被災地の自治体、
県などが7月、8月に再建復興計画を出す。そういった意見も踏ま
えながら考える必要がある。拙速に過ぎるのは気を付けなければな
らない」と述べた。2次補正の編成が8月以降になる可能性を示唆
した発言だ。 
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小水力発電、高まる関心 ダム要らず、低コストで安定稼働
2011.5.17 05:58サンケイ

 東京電力福島第1原子力発電所の事故後に注目される再生可能エ
ネルギー。太陽光や風力が主流だが、巨大なダムを造らず、自然の
川の流れなどを利用して発電する「小水力発電」への関心も高まっ
ている。

 規模は小さいものの、低コストで安定的な発電ができるのが利点
で、「エネルギーの地産地消」を実現するのに貢献する。富山県で
は市民の出資を募ってファンドをつくり、小水力発電所を建設しよ
うとのプロジェクトも動き始めた。

全国に500カ所
 小水力発電は、ダムを建設して人工的に水をためることなく、自
然に流れる河川や用水路の流れを利用して水車を回し、発電をする。
欧州ではかなり大出力の施設があるが、日本では1000キロワッ
ト以下の施設を「小水力発電所」としている。

 既に全国各地に500カ所近くの施設があり、京都市の嵐山、桂
川の小水力発電所は、観光名所の渡月橋の照明設備に電力を供給。
市内を流れる家中川に「市民発電所」を建設し「小水力発電のまち
」を売り物にする山梨県都留市の例もある。

 太陽光や風力に比べて設置可能な場所は限られるが、長期間にわ
たって安定的な発電が可能で、稼働率は90%近くになることもあ
る。

 環境省が1月に発表した「再生可能エネルギー導入ポテンシャル
マップ」では、国内の河川で1400万キロワット、農業用水路で
30万キロワットの潜在能力があるとされた。東北地方の潜在能力
は高く、開発が進めば被災地の復興にも貢献しそうだ。


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