福島の浜通りや飯館村の再生事業をどうするのかという解が必要に なる。この地域は放射性物質が土に含まれることや地下水が放射性 物質に汚染されたことから、食糧生産地域として今後当分利用でき なくなる。 このため、エネルギー生産地域として、藻やススキなどの植生類や 太陽光発電、風力発電などを行う計画をするようだ。 ここでは藻の事業家の可能性について、見て行きたい。 オーランチオキトリウムは光合成をしないで、有機物を取り込んで 石油を作るので、水に有機体が含まれている必要がある。また、海 水と淡水の入り混じる汽水域を好むので、塩分はOKであるので、津 波に襲われた地域は可能性がある。しかし、富栄養な有機がある下 水処理場などがないので、これは無理かもしれない。 ボトリオコッカスやシュードコリシスチス・エリプソイディアは、 光合成するので、このような藻を休耕田のような開放系で培養です ることになると見る。試験場としての位置づけて行うことも必要で あろう。 ススキは、川原など痩せた土地でも生えるが、このススキを雑草か らバイオエタノールにするというもう1つの案がある。 ============================== オーランチオキトリウム 『ウィキペディア(Wikipedia)』 山路達也の「エコ技術研究者に訊く」の2つから情報を受けている。 オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)は無色ストラメノパ イルであるラビリンチュラの一種。炭化水素を高効率で生成・蓄積 する株が発見され、注目されている。 他のラビリンチュラと同様、葉緑体を持たない従属栄養生物であり 、周囲の有機物を吸収して生育する。本属は熱帯から亜熱帯域にか けてのマングローブ林や河口域など、海水と淡水の入り混じる汽水 域を好む。 細胞は球形で直径5-数十μm程度、細胞壁は薄い。増殖は基本的に二 分裂による。分裂した細胞がそのまま連結し続けることで小型の群 体を形成する。 光合成するボトリオコッカスと、従属栄養のオーランチオキトリウ ムを組み合わせる方法がよいようだ。 下水等の有機排水には有機物が多く含まれているから、下水処理場 で活性汚泥の代わりにオーランチオキトリウムを投入すれば、オー ランチオキトリウムが排水中の有機物をエサとして炭化水素を作る ことになる。 オーランチオキトリウムが処理した後の二次処理水には、窒素とリ ンが大量に残っているから、この二次処理水にボトリオコッカスを 投入し、やはり炭化水素を作らせます。 光合成をしないオーランチオキトリウムの場合は、地下に閉鎖系の 培養環境を作れる。地下なら冬場でも15〜20℃くらいで水温は安定 しており、15℃なら6時間、20℃なら4時間で倍に増えるようだ。オ ーランチオキトリウムには光を当てる必要がないため、広い面積が 必要ない。工場のすぐ横にオーランチオキトリウムの培養タンクを 設置して、工場の排熱を利用するといった方法も使えそうだ。 光合成するボトリオコッカスの場合は、休耕田のような開放系で培 養するか、人工的に光を当てる閉鎖系で培養することになります。 開放系はコストが少なくて済むというメリットの反面、他の微生物 が混入するなど環境制御が難しいという問題点があります。 一方の閉鎖系は、環境制御が簡単ですがコストがかかります。開放 系のデメリットは、特殊な環境で生きるように藻を品種改良するこ とで解決できるかもしれません。例えば、塩分濃度が海水の2倍とい う環境で生きられるようにすれば、他の微生物の混入を防げるでし ょう。 バイオ燃料を実用化するための舞台は、生産、収穫、抽出という3つ のステージに分かる。 生産での難関は「攪拌」(かくはん)、つまり藻を培養槽の中でか き混ぜることです。下手すると、全工程の半分以上のエネルギーが 攪拌に費やされますから、ここでのエネルギー消費をいかに抑える かが課題になります。 次の収穫も全工程の20-40%のコストを消費すると言われています。 凝集沈殿、遠心分離、フィルターなど、さまざまな手法があります が、まだ実験室レベルでしか検証されていません。凝集沈殿なら投 入した凝集剤をどう回収するか、遠心分離はエネルギーをどう抑え るか、フィルターはコストをどう下げるか。 最後の抽出にしても、実験室のように溶媒を使って単純に抽出する というわけにはいきません。溶媒を回収する必要があります。藻を 乾燥させてオイルを抽出するとなると、そのためのエネルギーコス トもかかります。 この辺りの技術開発を行うのは大学では無理ですから、産業界の協 力が必要になります。 ============================== 生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見 2010年12月15日7時0分 藻類「オーランチオキトリウム」の沖縄株=筑波大提供 藻類に「石油」を作らせる研究で、筑波大のチームが従来より10 倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チーム は工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利 用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。茨城県 で開かれた国際会議で14日に発表した。 筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や 泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類 に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これ らの性質を調べたところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生 産能力を持つことが分かった。 球形で直径は5〜15マイクロメートル(マイクロは100万分 の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水 素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養する と、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて 、10〜12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。 研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面 積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放 棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の 石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。 炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の 低さが課題だった。 渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料 用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話し ている。 また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排 水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構 想もある。(山本智之)