3988.東電の賠償スキーム



東電の賠償スキームで、枝野長官は、銀行に債務放棄を要請しまし
たが、それだと、銀行は貸し渋りに転じるはずで、中小の資金繰り
が悪化しますね。資金繰りショートで倒産になれば、また失業者が
増えます。 

それでなくても、浜岡原発の作業員や関連業者の大量失業が、確定
しています。再就職の受け皿はあまりないので、生活保護などの手
当ては増え、国の財政赤字はますます膨らんで、復興費用も苦しく
なるという、この悪循環です。 

管内閣の賠償スキームには、成長戦略がないからです。 

今は投資とおもって、国費投入してでも、賠償問題をスピード感を
もって収拾する。そのかわり、数年後には経済が上向くから、元が
とれる。そういう成長戦略が、見えません。 

経済はどうでもよくて、民主党の支持基盤である労働組合に顔を向
けて作ったスキームであり、票と人気取りだけと思います。 

これでは復興どころか、衰退の一途です。自然災害ではなく、政治
災害になってきました。民主党内の反管グループと自民党とが合流
して、倒閣することに期待しています。 

淵 
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国家賠償どうするか

福島原発事故について、だれがどんな責任を負っているかを検討し
ます。国家賠償どうするかに関わるため。(淵) 

ここまで、すべて東電の責任である(したがって、管内閣に責任はな
いか、あっても軽微)という論調が、多いと感じています。 

たしかに、事故の発生それ自体は、東電の責任ですよね。津波への
備えを怠ってきたからです。しかしながら、収束作業については、
管内閣の責任であると、私は考えています。 

なぜならば、国家の役割は、国民の生命・財産を守ることです。そ
の対価として、国民は税金を払っているのですから。したがって、
福島の事故は、それが国民の生命を脅かすレベルの事態だと分かっ
た時点で、その瞬間からは、政府の責任に移行するはずです。 

この責任の移行がスムーズにいかなかったことが、初期対応でまご
ついた、おもな原因であると見ます。 

すなわち、東電側は、自分たちだけでは手に負えないため、政府に
介入してもらたいと考えます。この打診が「撤退する」発言があっ
たと報道された、3月15日かその前日あたりだったのでしょう。 

これに対して、もともと危機管理意識のうすい管内閣は、原発事故
は一私企業の問題である、というのが当初の認識でしたから、なぜ
東電が「撤退する」と言ってきたのか、その意味がわからず大混乱
します。管首相の「100%潰れる」発言がでた、あのときです。 

しかし、原発が津波に襲われた時点で、もうすでに、国民の生命が
脅かされる緊急事態になっていたわけですから、本当は、管首相が
当初から、収束作業のリーダーシップをとるべきであったのです。 

「東電が撤退する」というのは、社長の伝え方がまずかったのか、
管首相の聞き方がまずかったのか、よくわかりませんが、両者の意
志疎通が、あまりうまく出来ていなかったことだけは、間違いない
と思います。平時からのコミュニケーションが、不足していたので
しょうね。 

もしかすると、政府に介入依頼をしたかった東電社長と、なぜ自分
が事故対応の一切を、仕切らなければいけないのか理解できない管
首相とで、リーダーシップの譲り合いみたいな事が、あったのでは
ないでしょうか? 

例えていえば、野球の試合で、外野フライを野手どうしが譲り合っ
てしまい、選手と選手の真ん中に、ボールが落ちたようなものです

そのためにロスタイムが生じ、自衛隊投入や米軍支援要請が遅れま
した。消防への協力要請も遅れてしまいました。つまりは、燃料棒
の冷却が遅れたわけで、メルトダウンがいつ起こったかは分かりま
せんが、この初動の遅れが大きく影響した可能性があります。 

それから後は、東電を悪玉に、それを叱る自分たちを善玉に据えた
、管内閣の大本営発表がつづきました。 

「首相への批判をかわすために、だれかをスケープゴートにして、
批判の矛先をそちらへ向ける」という手法は、尖閣問題でも同じで
した。中国人船長を逃がした内閣の失態は棚に上げ、一海上保安官
へと批判の的をそらしたことです。 

東電批判が圧倒的多数である今、こんなことを言っても、賛成され
る方は多くないかもしれませんが、私の少数意見として申し上げた
いことは、事故の「発生」についての責任と、「収束作業」につい
ての責任とは、分けて考えるべきだということです。 

「発生」は東電の責任ですが、「収束作業」は、国民の生命を守る
ことを絶対的任務とする、政府の責任範囲になると思うのです。 

もし原発が爆発すれば、多くの国民の命が奪われるからです。それ
を防ぐのが、総理大臣の役目だからです。 

Fさんの書かれた、東電・吉田所長の発言が真実で、政府発表のほう
がウソであった、という可能性もあるでしょう。いま世間は、マス
コミも一般市民も、東電批判が圧倒的多数です。しかし、その根拠
は、政府発表によって伝えられた話です。東電側の反論が、現場の
反論が、一つもないのです。 

今はここで少し冷静になり、封殺されている少数意見や、現場の反
論に、じっくり耳を傾けるべき時期であると思います。 

淵 
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3986の記事:全体として面白く読みました。失敗原因に関心を持って
いるので、ベントの初動遅れに触れた箇所ですが、「首相が東電本社
に来て半日以上・・・」の話は、何かの誤りでは無いですか。略時間単
位で出ている新聞の行動説明にも「東電本店に行った」とありません
し、メディアに見付かぬよう裏口からの隠密行動だとしても、滞在
は半時間が、せいぜいと思いますが。 

黒川


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