3986.東電技術者は福島第一原発事故をどうみるか?



昨日、栄Gと園遊会Gの2Gの3回目の政策検討会があった。この
政策検討会の栄Gに東電の原子力技術者がいた。その人からいろい
ろと原子炉と炉の運転の難しさを聞いた。     Fより

まず、今回の事故で、いろいろと言われているが、1、4号機は日
立で2、3号機は東芝の技術者と会話して、問題を特定している。

1号機はGE製であるが、ブラックボックスではなく、必要な情報
は日立経由で手に入っている。米国が情報を出さないということで
はなく、GEの優秀な技術者はあまりいなく、日立の技術者がGE
を助けているのが現状だそうである。

アレバも来ているが、その技術者が優秀かというと、そうではない
ようだ。東電を含めた日本の技術者が一番優秀であり、この日本の
技術者を米国は失いたくないということで、米国の政治家などが、
日本の原子力政策を継続してほしいという注文をしてくるとお話を
伺っていて、私Fは思った。

当初、炉内圧力を下げるために、ベントを空けることができなかっ
たと批判されているが、ベントを空ける為には、コンプレッサーを
動かして、暗い中で手動で弁を開ける必要がある。この時点で原発
内の電気が喪失していて、蓄電池からの電気しかなかった。この電
気がわずかの中、免震棟と現場での通信も途絶えがちの中で、作業
が難しかったようだ。

菅首相が、ベント作業遅れで原発の現場に来たことには問題を感じ
ないが、東電本社に来て半日以上怒鳴っていて、この時間の作業を
中断させられたことが大きな障害になったと感じているようだった。
この部分は、彼の様子からこちらが想像したことであり、彼は言葉
を濁していた。

東電は現場から撤退すると言うから、菅首相は東電に乗り込んだの
ではないかという疑問をぶつけたが、東電の原発・吉田所長はその
ようなことを言うはずがないと逆にひどく怒られた。

吉田所長は彼の前上司でもあったが、サムライで苦境でも明るさを
持って指揮できる人で、このような事故の時に原発の所長であった
ことは、不幸中の幸いと見ているという。本社に対しても苦言を言
えることで、本社の言う通りにはしない。現場優先で物事を出来る
人であり、現場の士気が高いのは、この所長がいるからであると。

この事故で、炉内で何が起きているか分からない中で、いろいろな
事象が起きていることに対して、事象を確定することと、問題を解
決するためにアイデアを出すのが、彼の仕事であるようだ。また、
このような事故を起こさないための技術的なアイデアが出している
という。

そして、上司の部長や課長はほとんど休みがない状態であり、彼は
下なので、休みがあるが、休んでいても上司からいろいろとアイデ
アを出してほしいという要請が来るという。

もう少し、東電サイドから事故の情報を出すべきではないかと思い
彼の話を紹介したが、原発を止めるのはよいが、今後のエネルギー
政策を、どうするのか民主党政権も国民も良く考える必要があると
いう点では、意見が一致した。

原発は、いろいろな問題点はあるが、エネルギーとしては一番安い
電力を供給している。コストには補助金や火力発電所より多くの雇
用などが含まれているので、火力と同じか高く見ているが、そのよ
うなコストがなくなると、断然火力より安いことになるという。

最後に、トリウム原発や東芝とビルゲイツが研究しているカセット
型原発については、そう簡単は出来なく、今後実用化するまでには
20年以上、30年程度は掛かるはずという。

彼と私の2者で、皆の話から離れて、非常に面白い会話ができた。

また、彼に福島第一原発で作業をさせてもらうために行きたいと言
ったら、どうぞというので、この続きは福島第一原発からの報告に
なる可能性が出てきた。


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