3981.東電に巨大災害での免責を認めると



下記の原子力損害賠償法を見ていただきたい。この法律では3条に
規定されている東電の巨大災害での免責を認めると、16条、17
条から政府も損害賠償の責任がなくなる。このため、損害賠償請求
の民事で東電が勝つと、政府も賠償しないことになる。

どうも、その方向で東電は弁護士と進めている可能性がある。弁護
士が社長に免責を言わしている。この法律と東電の動きに他の原発
自治体も注意が必要である。国民感情的には非常に怒りを感じるが
、法律的な基準とするとそうなることになる

自治体が原発を認めるということは、地震や津波で原発が重大事故
になった時、賠償請求ができないことである。このため、安全を十
分確認しないと、原発を運転させてはいけないことになる。この法
律を忠実に運用すると原発を今後、立地させる自治体はなくなる。

しかし、原発推進派や財界は東電の免責を主張している。その主張
が認められると、2度と原発はできなくなるし、現状の原発でも定
期点検した後の炉が運転できなくなる。自治体が恐ろしくなり拒否
する可能性がある。東電を守る法律が、自治体から原発を排除する
法律になる。

ということで、この免責を認めさせることが原発反対と同程度の効
果がある。しかし、逆に免責を認めないと、東電の値上げ、増税が
必要で国民全員が負担することになる。電力会社も原発の存続を図
り、政府が決めた基準しかできない。今後も、電力会社の自由裁量
で基準を決めることは出来ない。賠償は、電力料金の値上げで対応
するしかない。しかし、自治体も原発を立地しても事故時賠償があ
るので、賛成しやすい。

現在の政府のロジックは、事前に津波の危険を指摘する国家審議も
あったわけで免責が認めないと言うが、保安院が認める安全基準で
設備をしていたことであり、認可もしていたので、それ以上は想定
外であり、企業責任ではできないことになる。

東電は賠償請求を免責されると、東電は役員などの報酬値下げも料
金値上げも国有化もしなくて済む。国は法的な根拠を無くすことに
なる。

民主党政権は、脱原発とは言わない。自治体が原発事故に警戒して
原子炉を止めさせる方向になる。新しい原発建設は絶対に出来ない
ことになる。
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原子力損害の賠償に関する法律

第二章 原子力損害賠償責任 
(無過失責任、責任の集中等) 
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損
害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその
損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天
災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限り
でない。 

第四章 国の措置 
(国の措置) 
第十六条  政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業
者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定に
より損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、
この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力
事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を
行なうものとする。 
2  前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範
囲内において行なうものとする。 

第十七条  政府は、第三条第一項ただし書の場合又は第七条の二第
二項の原子力損害で同項に規定する額をこえると認められるものが
生じた場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため
必要な措置を講ずるようにするものとする。 


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