3980.将来の日本をどうするか?



この東日本大震災で、日本の国家体系や経済、思想の大転換期を迎
えたことが分かる。 2011年5月6日人民日報日本語版に、「日本震災
後の「三位不一致」、平均素養が高い国民の対応は一流、効率の低
い官僚の対応は二流、決断力がなく互いに腹を探り合い政争を続け
た政治家は三流」という記事がある。残念ながら中国からの指摘は、
正しいと認めざるを得ない状況である。これを何とかしないと、世
界に生き残れないことになる。       津田より

0.はじめに
震災後の日本の大きな設計図がないことが問題で、その前提として
、日本の政治と政府機関を何とかしないといけないと思うのと同時
に、もう1つ、大きな課題が出ている。

それは、奥山さんが指摘する、米国の覇権が将来のいつか終焉を迎
えることである。これはつまり、日本が米中の間を両天秤にかけて
きた「ヘッジング」という大戦略が通用しなくなることを意味する
ことだ。このときに日本は究極の選択を迫られることになる。

このように国内国外の2重の政治課題が存在しているが、今の政治
状況では震災後の復興計画作成も十分ではないが、今後も大きな地
震が起こると予測されている状態で、日本全体の見取り図を書く必
要がある。

ということで、3つの課題が現時点、日本に存在している。1つは
今後の震災をも見据えた日本復興計画、2つめは政治・政府組織の
危機対応能力を高められる組織変更、3つめには米国覇権崩壊後の
安保体制の整備である。

この3つの課題を同時に解決していくべきで、日本の進路を大きく
変える分岐点に来ている。日本は保守的な空気が支配しているので、
一度決めたことを変えるのは容易ではない。このため、切羽詰らな
いと変革行動ができない。が、とうとう変化を起こす時期が来た。
日本は、貧乏になるかどうかという非常に切羽詰って状態になって
きた。しかし、ここで戦略を間違えると日本は衰退してしまう。

1.日本復興計画
復興計画の中心は、福島第一原発事故で、原子力発電をどうするか
が重要であり、この方向性でエネルギー不足などを引き起こす可能
性が出てくる。産業界は、エネルギー不足やエネルギー料金が高い
となると日本脱出を積極的に進める事になる。

急速な空洞化は、日本経済を急速に縮小させてしなうので、国民全
体が貧乏になり、対応する時間がないという問題が出る。しかし、
危険な原発を止めるとか補修などが必要である。原発のストレステ
ストを行い、その結果を国民に見せる必要がある。

日経によると、EUでは原発の「ストレステスト」を行い、福島並
みの災害想定し、地震、洪水などの自然災害が起きる場合の耐久性
能を点検するという。そして、非常時に冷却機能を確保できるかな
どを重点的に調べるようだ。原発事業者が9月15日までに検査を実
施して、12月のEU首脳会議で結果報告とのことである。

これと同じことを日本もするべきで、反原発の学者を含めて行うこ
とで公平性を確保することである。経産省原子力安全の保安院だけ
の調査では国民が信用しない。それだけ、国民は保安院の技術的な
能力を疑問視しているのである。

復興計画では多くの費用が必要になる。この費用をどうするかとい
う問題が起こっている。消費税や所得税の増税や国債を発行して日
銀が直接買い取るなどの意見がある。まず、消費税増税であるが、
大震災で多くの企業は、販売不振で弱っている。このため、倒産が
増えている。ここで、増税は企業倒産をより一層、増やしてしまう。
このため、反対である。

日銀直接買取は賛否が割れて国会で日銀法の改正が必要になり、時
間が掛かるので、時間的な問題で反対である。しかし、間接的な買
取は日銀法で認めているので、大手銀行の手持ち国債を買い取り、
復興国債を大手銀行に買ってもらうことである。通貨量の規制があ
るので、金融庁の通達で通貨量はカードを含むとしてしまえば、国
会審議さえいらないことになる。この件は、時間が優先だ。この処
置で50兆〜80兆円程度の国債は発行できる。

2.政治改革・政府組織改革
今回の原発事故で、民主党政権が政権前に、自民党を批判していた
ことを全部反故にした。SPEEDIの情報開示をしなかったことは、法
律違反でもあり、かつ情報開示を民主党が常に言っていたことで、
国民を信用しないと自民党政権をいつも批判していたことである。
それと同じことをやったので、重罪であるし、政権交代の意味が全
て消滅したのである。一番大事な情報公開を破棄したことは大きい。

もう1つの問題は、夏に向けての電力問題でも、総量規制というフ
ァシズム的、社会主義的な統制経済にしたことである。資本主義社
会の経済は、値段の調整で需給バランスを取るということが中心で
、その後に規制があるという経済の基本が、民主党政権はできてい
ないことがわかったことである。企業活動のベースは政府に対する
信用がベースにあるが、それを失ってしまった。日本経団連の米倉
弘昌会長が、菅首相は海外に行って日本に戻る必要がないと批判し
たことで、企業が政府に愛想を突かしたことがわかる。それほど今
の政府の行為は重症なのである。

しかし、これでは自民党政権に戻せば、よいかというとどうも違う。
自民党も今後将来の政策をまともに提案していない。谷垣総裁が、
原子力発電見直しを言った途端に、その発言を撤回している。将来
ビジョンを財界や地域住民とのしがらみで提出できないのであろう。

日本のビジョンをハッキリさせた政党が、政権を取ることが必要に
なる。そして、この政党の中心に次の吉田茂が必要である。多くの
反対があっても将来を見通したビジョンを成し遂げるような胆力が
ある政治家が、日本に必要な時期であると見る。

政府組織はもう少し、根が深い。人事権に絡むので難しいが、それ
を乗り越える必要がある。専門的な知識が必要な組織に専門的な素
養がある人物を据えることができる組織に作り変えることである。
それと推進機関とチェック機関を明確に分けて、相互チェックがで
きることが重要だ。賛成派と反対派の学者をそれぞれの機関に割り
当てることで、日本全体でチェックできる。このようなことをどう
してできないのであろうか??

3.米国覇権崩壊後の安保体制の整備
日本は、中国の近傍に位置している。この中国が次の覇権国家を目
指して活動することになる。この活動を止めることはできない。そ
うすると、民主主義国は結束する必要がある。拡大NATOなどが
米国から権力機能を継承しようとしているが、欧州諸国の国防費は
減少している。国防費がなくて英仏は、両軍を統合するという案ま
である。

このため、アジア諸国で、直近にいる中国に対応できる安保連合が
できるかどうかである。もちろん、中国と問題を起こさないことが
重要であり、このためには、日本の生存権を縮小することを志向し
ていく必要がある。石油のシーレーンは防衛不可能と見て対応策を
立てることである。LNGガスはロシアからの輸入が増加していく
が、これを行うなら、ロシアとの北方四島問題を解決するべきであ
る。

中国と敵対関係にある日越印豪と米国は連携して動く必要が出てく
る。フィリピンも日米に期待というので、この仲間である。
日米・日豪のシーレーンだけは確保していく戦力を日本も持つ必要
がある。この2つのシーレーンを死守すれば、日本は生きていける。
豪州の資源、米国の食糧が確保できるので、大丈夫である。食糧と
資源での中国への依存度は徐々に中国国内優先でできなくなる。石
油シーレーンも米海軍がいなくなり、コンロトールできなくなる。

中国の息が掛かった無法国で中国製の軍艦を使った海賊などが、こ
のシーレーンで大活躍することになる。日本のタンカーは良い餌食
である。レーン全体が無法な海賊出没地域となると、拡大NATO
軍でも足りなくなる。日本独自では守れないことは明白であるので、
中東石油が手にできないことを見越すことである。

オサマ・ビン・ラディンが殺害されたが、今後もイスラム教原理主
義は衰えない。貧困な人たちがイスラム教地域にはいる。オサマを
殺害したので、この地域から米国は撤退することになる。そうする
と、反米ではなく、この人たちは民主化要求をしている。中国は、
現地政府を支援し、民衆を民主国が支援することになる。

もう、米国は石油産出のイスラム教地域を必要としない。米国国内
でシェールガスが大量に出て、石油からシェールに移り、かつ自動
車も石油から電気に移行して、石油の需要が必要なくなるからであ
る。

これにより、世界エネルギーの中心は、石油の中東から太陽熱発電
が有利なリビアなど砂漠地帯になる。このため、仏英伊は、リビア
の反政府組織を応援するのである。

この電気の時代になることで、エネルギーのあり方も代わることに
なる。世界経済体系も変化してくる。それまで見越したビジョンを
作るべきである。

さあ、どうなりますか??

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浜岡原発:停止要請「正しかったのではないか」スズキ会長

 浜松市南区の自動車大手スズキの鈴木修会長兼社長は7日、浜岡
原発の運転停止要請について「国の最高決定権者として正しかった
のではないか。自分がもしそういう立場だったら、同じようなこと
をしたと思う」と述べ、菅直人首相の決定を支持した。一方で「国
民に生活の様式をもっと質素なものに変えてくださいと強く要望す
べきだったと思う」と注文を付けた。

 また、運転停止による操業への影響は「仮定の問題には答えられ
ない。大きな問題にならないよう、みんなが協力し合う生活をやっ
ていくことだ」と語った。【沢田均】

毎日新聞 2011年5月7日 20時57分
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関電 中部電力への協力表明  シェアする 

 政府が浜岡原発の運転を休止するよう求めたことを受け、関西電
力は電力の融通などについて中部電力に協力する姿勢を示しました。

 関西電力によりますと6日夕方、海江田経済産業大臣から八木社
長に電話があり、電力の融通に関する協力要請があったということ
です。

 関西電力は周波数が中部電力と同じ60ヘルツで電力の融通はし
やすく、「中部電力から正式な要請があれば最大限の協力をしたい
」としています。

 しかし、定期点検中の原発3基が安全対策の見直しで運転再開の
メドが立っておらず、夏場は電力供給の余裕が少なくなる可能性も
あります。

 一方、原発11基が立地する福井県の西川知事は「全国の原発に
ついての基本的な姿勢を示さないまま部分的に対応していては国民
の理解は得られない」とコメントしています。
(05/07 12:15) 

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