3967.企業分散を国際戦略で



東日本大震災で多くの工場が被災して、その生産ができずにいる。
そして、関東・東北は電力が不足して、思い通りに生産ができない
という二重の苦しみを産業界は受けている。

トヨタは、産業界の苦悩を体現している企業であり、かつこの企業
の動向を見ると、日本企業の将来が見える。

今までコスト削減のために、在庫を極力持たないトヨタ独自の「カ
ンバン方式」が強化されたが、今回、この弱点を突かれ、東日本大
震災前の生産水準に戻る時期を大幅に遅れた11〜12月となり、
日本からの部品が欠乏して、海外工場も通常から7割減となるとい
う。このため、将来的に海外でも現地調達率を上げたいという。

しかし、2次、3次下請けまでは分散しているが、素材や電子部品の
ようなものは、最先端で優秀なもののところに集中し、このため、
1つの工場で作っている場合が多かった。このため苦しんでいる。

地震国日本でビジネスをきちっとやっていくためには、トヨタ1社
だけでどうなるというレベルの問題でなく、日本の産業界全体が考
えるべきであるとした。

このように、日本企業は海外生産を素材から電子部品までワンセッ
トで世界に分散させることがトヨタの号令で始まろうとしているよ
うである。

この動向をいち早く聞きつけて、国務省のナイズ副長官は、東日本
大震災からの復興に向けた官民一体の「日米パートナーシップ」構
想について、調整を加速化させていくこととしたし、米戦略国際問
題研究所(CSIS)も有識者や経済人に呼びかけて発足した東日
本大震災の復興支援プロジェクト「復興と未来のための日米パート
ナーシップ」の初会合を開いている。

オブザーバー参加したキャンベル国務次官補は「米政府は長期的に
日本を支える覚悟だ」と強調し、官民一体で日米連携を強める考え
を示した。 

この動きで、全米商工会議所会頭ドナヒュー氏も訪日して、「米国
は日本企業が世界のサプライチェーンの中での地位を保持するよう
協力を惜しまない。日本の地政学上の役割を維持。中国が台頭して
いるが、米国が信頼するパートナーは日本だ」と最先端部品や素材
を作る日本企業への米国進出を全面的に支援すると宣言している。

現在、財政赤字で発行した米国債の買い先であるFRBが景気回復
で、米国債の買取を6月にも中止する方向であり、米国ドルは今年
の中頃にも危機的状況に陥る可能性が高い。米国の貿易収支を大幅
に改善する日本企業の最先端工場が米国にできることは、米国とし
ても国家を挙げて取り組むべき問題である。

日本は指導者の能力が低く、日本一般人の能力が高い。逆に米国は
指導者の能力は高く、一般人の能力は高くない。工場経営には多く
の能力が高い中間層が必要であるが、それを日本人でするのが最強
の工場運営になる。

また、政治の世界でも同様なことがいえる。この動き全般を見ると
。アメリッポンの動きと見えてしまう。

このため、第7艦隊や海兵隊などの在日米軍が最大限の働きをした
し、このため兵員が足りなくなるので米国のオバマ、クリントン、
ゲーツなど指導者は、苦渋の決断をしてリビア攻撃から撤退したの
である。

しかし、これでは終わらない。オーストラリアのギラード首相が、
急遽来日して、日本企業のエネルギーサポートをするとしている。
日本企業の進出を豪州でもしてほしいということだ。

また、台湾も144億円という義捐金を日本復興のために集めたが
、日本の中小企業の資金繰りが今後、苦しくなる。台湾は技術力が
ある日本企業を支援することを考えているようである。資本参加が
できるチャンスであるし、これは韓国、中国も狙っている。

日本は、日米豪印越と中国軍事増強の包囲網を暗黙の内に作る必要
があり、このような国に企業を分散して経済の一体化も進めること
である。経済と軍事の同盟は同じような方向で考えるべきなのであ
る。

そのマップを作る必要があるが、日本の政治家でどれだけ気がつい
ているのか、心配である。

さあ、どうなりますか??
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パートナーシップ構想、調整を加速=日米
 【ワシントン時事】藤崎一郎駐米大使は22日、国務省でナイズ
副長官と会談し、東日本大震災からの復興に向けた官民一体の「日
米パートナーシップ」構想について、調整を加速化させていくこと
を確認した。同構想は先の松本剛明外相とクリントン国務長官の会
談で合意された。(2011/04/23-06:54)
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米の復興支援プロジェクト発足 国務次官補「日米連携を強化」 
2011/4/21 10:38日経

 【ワシントン=大石格】米戦略国際問題研究所(CSIS)が有
識者や経済人に呼びかけて発足した東日本大震災の復興支援プロジ
ェクト「復興と未来のための日米パートナーシップ」の初会合が20
日、開かれた。オブザーバー参加したキャンベル国務次官補は「米
政府は長期的に日本を支える覚悟だ」と強調し、官民一体で日米連
携を強める考えを示した。 

 ブレジンスキー元大統領補佐官(国家安全保障担当)は中国の台
頭を指摘。「日本は最も近い仲間だ」と述べ、東アジア安定のため
にも日本支援が重要だと訴えた。 

 日本を代表して出席した藤崎一郎駐米大使はクリントン国務長官
の訪日に謝意を伝えるとともに「日本はひ弱な花ではない」と復興
への決意を表明した。 

 自由討議では「日本経済の再建には為替の安定が必要で、国際通
貨基金(IMF)などの役割が大事」「放射線汚染を口実にした非
関税障壁を日本製品に設けてはならない」などの発言が出た。 

 委員長にボーイングのマクナーニー最高経営責任者(CEO)を
選出。6月に代表団を東京に送り経団連の復興委員会などと意見交
換する。秋にも日米両政府に復興行動計画などを提言する。

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日豪関係 震災後も協力深めたい
2011年4月23日中日新聞

 オーストラリアのギラード首相が来日し、資源とエネルギーの安
定供給を約束した。日本は懸念される電力不足を改善し経済を立て
直すために、提供される資源を有効に活用したい。

 ギラード首相は日豪首脳会談で火力発電に使う液化天然ガス(L
NG)と石炭、さらに鉄鉱石やレアアース(希土類)についても安
定供給を続けると明言した。

 福島第一原発の事故が引き金となって不安が拡大し、日本の原発
は定期点検中だったものも含め、五十四基のうち半数以上が運転を
停止している。当面は火力発電によって電力不足を補うしかなく、
豪州からの申し出は心強い。

日豪両国はともに主要な貿易相手国であり、最近は米国も含めた三
カ国での安全保障協力が進んでいる。豪州が支援に積極的なのは、
日本の経済回復の遅れがアジアの不安定要因になりかねないという
判断もあったからだろう。
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トヨタ:部品調達、綱渡り 業績に痛手か

 トヨタ自動車の豊田章男社長は22日、東日本大震災前の生産水
準に戻る時期を11〜12月と表明したが、半年以上も先になるこ
とに加え、その間は部分的に生産を続けながら、調達難の約150
種類の部品の調達体制を再構築するという綱渡りを強いられる。生
産計画の大幅な下方修正は避けられず、業績への打撃は必至。在庫
を極力持たないトヨタ独自の「カンバン方式」の弱点を突かれた格
好だ。【工藤昭久、米川直己】

 「なかなか先が読めない」。会見した豊田社長は繰り返した。ト
ヨタは07年の新潟県中越沖地震でエンジン部品メーカー「リケン
」の被災で1週間操業停止。だが、今回は東北から関東まで多くの
部品メーカーが被災。トヨタ幹部は「07年に比べ、ネックとなっ
ている部品がけた違いに多い」と嘆く。

 とりわけ「マイコン」と呼ばれる制御系電子部品で世界首位のル
ネサスエレクトロニクスの主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)
の被災が痛手。在庫活用のほか代替品調達も急ぐが「マイコンは個
別の車ごとの受注品も多く代替調達のハードルが高い」(トヨタ幹
部)。トヨタは自動車他社などとともに2000人規模で応援部隊
を送って復旧を支援。那珂工場再開は当初の7月から6月15日に
前倒しできる見通しになったが、フル生産のめどは立たない。

毎日新聞 2011年4月22日
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トヨタ、生産正常化は11〜12月頃に 
2011年4月22日発表CARWATCH 

「停電時に、エスティマ・ハイブリッドでみんなの携帯電話を充電
したとか、ちょっとした非常食を食べることができたというお言葉
もいただき、こうしたときにクルマから給電するのも重要と感じた
。エスティマ・ハイブリッドには1500Wの発電機能があるので、今後
はプリウスやプラグイン・ハイブリッドに、緊急時に電源車両とし
て使える機能を追加するよう、検討を進めている」と述べた

「海外でも基本的には現地調達率を上げたい。現地調達している部
品の中にも、中身は日本から送っているものが多いと今回はっきり
した。本当に現地で完結したモノづくりを進める必要があると感じ
てる。仕入れ先にも海外への進出を考えていただけるよう、検討を
進めていきたい」とした。 

「それが無理なら、設計とも関わる話だが、なるべく部品を共通化
して、リプレースできる設計の方向に持っていくことで、日本と世
界に分散していくビジネスの基盤をサポートしたい」とした。

「素材や電子部品のようなものは同じところに集中しているケース
があった。材料や電子部品は、国際的な競争力の観点でこうならざ
るをえなかったという宿命もあるので、我社1社だけでどうなるとい
うレベルの問題でない。日本の産業界全体が今回のケースをレビュ
ーして考えるべき。地震国日本でビジネスをきちっとやっていくた
めには、避けられない課題」(佐々木副社長)と述べた。 
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トヨタ、北米での生産7割減へ 日本からの部品供給滞る
2011年4月20日10時31分

 トヨタ自動車は19日、北米での操業停止を拡大すると発表した
。全工場で4月26日〜6月3日の間、生産台数を通常から7割減
らす。日本からの部品供給が滞っているためで、トヨタは今年の米
国内での販売台数の見通しを引き下げる検討に入った。 



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