原子力発電は、非常にベース電力供給という意味では非常に良い方 法である。安定的に同じ電力を供給し続けてくれるために、その魅 力は大きい。ウラン鉱石は現状では、それほど高くない。 しかし、その魅力と引き換えに絶対安全運用できないと、放射能拡 散という大きなダメージがある。それなら、火力発電がよいかとい うと、石炭やLNGガスは資源の奪い合いが起こり、徐々に上昇し ていくことが確実である。 ということで、自然エネルギーとなるが、水力と地熱以外は不安定 で通常ではあまり良い電力供給源ではないのだ。この余り良くない 電力源を使うためには、それなりの覚悟が必要である。 太陽光発電は、昼の太陽が出ている時間しか発電しない。このため 、発電できない時には、予備電源が必要になり、風力は5M/S以 上にならないと電力を生み出さない。日本での適地は、洋上と山の 上しかないし、揺らぎがあり、急に電力が変化することも考える必 要がある。 現在原子力発電で、年間3000億Kwh程度の電力を生み出している が、日本の全部の水力資源を合せても1360億Kwhで現時点900 億Kwhは開発済みである。地熱発電は1700億Kwhであり、まだほ とんど開発されていない。温泉等の需要もあり、半分程度の利用が できたとして、850億Kwh。 2つの電気で1550億Kwhで原子力を半分しかカバーできない。 しかし、最初に安定的な中小水力発電は行う必要がある。後の半分 を不安定な太陽光と風力で行うしかない。大型の風力発電機は1基 2000KW程度であり、原発の半分として1652万Kwが必要であ り、8260基が必要である。1基2000万円程度。この風力は 洋上でも風の強いとこしかできない。これも分散志向でしょうね。 太陽光発電は、1.5m×0.8mの太陽光パネルで1枚210Wであり 47枚で10KWで、東京では1年間で1万kwhしかできない。これで 原発の半分1500億Kwhをしようとすると、10KWの太陽光パネル群 が1500万必要であり、70500万枚のパネルが必要になる。並べる と40KMの正方形になる。210Wパネルは、10万円/枚でパネルだ けで70兆円にもなる。このため、ここの部分が分散で置かれる必 要がある。 しかし、安定電源ではないので蓄電して使うことが必要であり、鉛 蓄電池60Whで1万円である。膨大な金額が必要になるが、鉛はその 他の蓄電池では、一番安い。寿命が3年程度と短い。システム価格 は別である。 これより、120万KWの揚水型水力発電設備で2400億円の方が 安いことになる。いかにも大変ことになりそうである。 どちらにしても原発を廃止して、水力などの自然エネルギーで賄う のは、大変であるが、今運転中の火力を廃止するには、それ以上の 手を使う必要が出て来る。これは砂漠での太陽熱発電しか方法がな いことになる。それも友好国で距離が近い国の砂漠というと、オー ストラリアしかない。 ここから、直流送電で給電することが必要になる。もう少し大変に なる。 しかし、日本の電力需要の70%が産業需要である。この産業需要 が無くなる可能性が出ている。タンポポ・ジャパンであり、タナバ タ・ジャパンである。工場が日本脱出となると、火力分の電力がい らなくなる可能性が出てくる。 このように今後の需要状況で、日本の電力確保の方法は変化すると 見る。