3962.ピーク電力時の発電方法は



自然エネルギーでも太陽光発電の余剰電力は48円/Kwhで電力会社
は購入するが、風力発電などの余剰電力は24円とか32円/Kwhで
しか購入しない。

この理由は、ピーク時しか使わない揚水式水力のコストが単独では
100円/Kwhであり、このピーク時電力であれば、揚水式のコスト
より少ないことになるため、太陽光発電は、電力会社としても割に
合う。

夏のピークは、午後1〜3時の日差しがキツイ時間であり、この時
間が、一番太陽光の発電量が多いので、電力会社としては、都合が
良いのである。しかし、風力発電の電力は、夜や朝に発電量が多い
ので、原子力や水力よりコスト的には大幅に高いことになるので、
自然エネルギーでも48円にはできないのだ。

揚水式水力のコストは、普通、原子力と揚水式水力の加重平均にし
ているが、それでも33円/Kwhになる。それと水力10円/Kwhの
中に揚水式が含まれているので、本来のコストより、相当悪く見え
ている。

本来はコスト的に優位にある中小水力の開発をしない理由として、
このコストを使っているのは、犯罪的でもある。しかし、もう1つの
理由は交流送電のロスが多く、中小水力ではロスが大きすぎたこと
にもよる。

中小水力発電を開発するためにも、ロスの少ない直流送電をしない
とロスが多すぎることになる。

エネルギー政策を転換することで、電力体系も根本から見直しが必
要になる。このため、長い時間がかかりそうである。

水野情報:
浜岡原発は、3号機の定期点検後の運転再開を見送っているので、
現在4号機、5号機のみが運転中だが、嫌でも来年から13ヶ月定
期点検に順次入る。そこで一旦止めざるを得ない。その後運転再開
できるか否かは微妙だそうである。

中電の電力量における原子力発電の割合は10-15%程度しかないので
直ぐに止めても代替電力はあるが、静岡県内に限ると現在100%近く
が原子力発電の電力で、配電関係の切り替えに時間が掛かるという。

来年の定期点検期までには、配線換えを行うと中部電力は言ってい
るという。
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「揚水発電」をカウントすれば原発なしでも夏の電力間に合う
2011.04.18 07:00

菅直人・首相は震災発生から1か月と1日後の記者会見(4月12日)で
、こう力を込めた。

「原子力事故が起きて以来、政府の責任者である私が知ったことで
、都合が悪いから隠すようにといったことは一切ありません」――
震災以降、批判を恐れて滅多に会見しようとしなかった「国を操る
人」の言葉は、真っ赤な嘘だった。

本誌『週刊ポスト』はそのことを示す1枚の極秘資料を入手した。
しかし、それが示す事実は国民には公開されていない。

資料には、『東京電力の設備出力及び地震による復旧・定期検査等
からの立ち上がりの動向』と表題が記されている。東京電力のすべ
ての原子力、火力発電所や水力発電の出力、被災状況、7月末までに
どの発電所の何号機が復旧するかの見通しが一覧表にまとめられた
ものだ。資源エネルギー庁が官邸や政務三役、与党幹部などへの電
力制限の説明資料として作成したもので、右肩に「厳秘」と入って
いる。

資料からは、大地震前後の東電の発電能力の変化が一目でわかる。
震災前には5200万kWの供給力があったが、地震と津波で原発3か所を
はじめ、7か所の火力発電所が全基停止し、3月14日時点では供給力
は3100万kWに下がった。首都圏で計画停電が実施され、電車の大幅
減便で通勤難民があふれたあの時である。

電力需要がピークを迎える7月末に向けて、定期点検のために休止し
ていた東扇島や姉崎などの火力発電所はすでに運転を再開し、震災
の被害により停止していた鹿島や常陸那珂の火力発電所も復旧して
立ち上がる見通しだが、それでも供給力は4650万kWにとどまると記
されている。

記録的猛暑だった昨年の電力消費量のピークは7月23日の5999万kW。
東電の需給見通しによると、今年のピーク時電力はそれより低い
「5500万kW程度」と予測されるものの、供給力が850万kWも不足する
計算になる。政府や東電が「このままでは真夏の大停電が起こる」
と喧伝するのは、この数字を根拠にしている。

ところが、資料を詳細に分析すると、7月の供給力には盛り込まれて
いない“隠された電力”がある。「揚水発電」の出力が計算されて
いないのだ。

「揚水発電」は、夜間の余剰電力を利用して下貯水池から上貯水池
にポンプで水を汲み上げ、日中の電力消費の多い時間帯に水力発電
をする仕組み。発電時間は上貯水池の水が空になるまでの数時間だ
が、首都圏の夏の最大電力は午後2時を中心とした5〜6時間である。
揚水発電の役割は、まさにピーク時の電力を補うための非常用電源
といえる。今のような停電危機にこそ有効に活用すべき設備なので
ある。

東電は日航機墜落事故現場で知られる御巣鷹山の地下500mをくり抜
いた世界最大の揚水発電「神流川発電所」(現在は1号機47万kWが完
成)をはじめ、多くの大型揚水発電所を持ち、資料によると出力は
全部で1050万kWに上る。東電は「揚水発電を発電量に織り込めるか
どうかは精査中です」(広報部)というが、エネ庁がこの揚水発電
を使わないことにしているのは不可解すぎる。

ちなみに、通常、揚水発電は原発の夜間電力を使って水を汲み上げ
ていると説明されているため、原発の多くが停止してしまえば使え
ないと誤解されている面があるが、それは違う。電気事業連合会も
「原発でなくても、夜間の余剰電力があれば揚水は稼働できます」
(広報部)と認めている。

そこで、東電の7月末の4650万kWに加え、揚水発電の1050万kWをフル
稼働させると計算すると、7月末に使える東電の供給力は5700万kWに
なる。これならばピーク需要を賄うことが可能なのだ。

他にも、7月末までの稼働予定に入っていない鹿島共同火力発電所1
号機(17.5万kW)、常磐共同火力発電所9号機(30万kW)などの復旧
が進んでおり、供給力がもっと増える可能性も出てきている。

また、長期停止中の横須賀火力発電所も、8基中4基は稼働させる予
定だが、残りの4基も早期に再開できるという指摘がある。

5500万kWというピーク時電力も毎日続くわけではない。1年のうち数
日であり、東電の夏場の平日の平均最大電力は4800万kW(需給見通
し)とされている。揚水発電を合わせた供給力なら900万kWも余裕が
ある。

資源エネルギー庁電気・ガス事業部の電力基盤整備課の担当者は、
資料の存在を認めたうえで、「このデータは開示しているものでは
ない。どこで入手したのか」と逆質問してきた。

――揚水発電を供給すれば、ピーク時の需要もまかなえるのではな
いか。

「使用を考えていないわけではない。が、揚水の出力1050万kWとい
うのは最大値で、貯水池の水量の変化などによって、ピーク時に最
大出力が使えるかは状況によって変わる。電力が足りない日が1日も
あってはいけないと対応しているので、確実な電力だけしか供給力
に計算していない」

官僚答弁の典型だ。だが、資料にはさらに目を疑う数字もある。東
電の総供給能力は7800万kW。そのうち原子力は1820万kWだ。つまり
、原発をすべて停止しても最大5980万kWの供給力があることになる。

現在、東電の原発は柏崎刈羽の1号機と5〜7号機が稼働(出力は4基
で491.2万kW)しているが、停止中の火力が復旧すれば、柏崎刈羽の
全炉を停止しても、「停電」はしないですむことを示すデータだ。

※週刊ポスト2011年4月29日号 


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