3958.311後の経済的な側面



311後を考えるのに、1923年(大正12年)の関東大震災と
、その後1929年の世界的な大恐慌が、今の状況に似ていると見
る。        津田より

0.はじめに
関東大震災の復興が一段落した時点で大恐慌に会い、日本は急速に
経済的に行き詰まり、このため、高橋是清蔵相による積極的な歳出
拡大(軍拡を含む)や1931年12月17日の金兌換の停止により、イン
ドなどアジア地域を中心とした輸出により、1932年には欧米諸国に
先駆けて景気回復を遂げたが、欧米諸国との貿易摩擦が起こった。

1932年8月にはイギリス連邦のブロック政策で「満州は日本の生命線
である」と言った言葉の通り、1937年(昭和12年)日本は大
陸進出し統制経済を引き、太平洋戦争へと向かうのである。日本が
立てた自国生存圏拡大という海外戦略で、生存権が英米などと競合
したことで、英米との戦いになったのである。

2008年のリーマンショク後、やっと立ち上がり景気回復が見え
た時点で、急転直下3.11の東日本大震災が起こり、電力不足に
より景気が急激に落下した。その上、福島第一原発事故で日本全体
が風評被害に会い、輸出も大きな影響を受けている。この事故で経
済的な影響を多大に受けている。

ここで、日本の国家戦略を間違えると、日本沈没になる。その時、
戦前の関東大震災後の戦略失敗を肝に銘じて、日本の政治は戦略を
構築する必要がある。

供給不足になった時に、日本は統制経済化していく方向で議論が進
むが、欧米資本主義経済では値段の調整で需給バランスを取る仕組
みが普通である。計画停電といい、夏には1974年以来となる「
電力使用制限令」で割り当て制度を復活するが、本来の形は料金制
度の見直しで行うべきである。

全供給量には割増料金を取り、25%削減企業は、割安料金にして、
企業や個人に選択させるのが資本主義経済であるが、日本は料金制
度を見直さずに、一律的な調整になる。絶対必要な病院や半導体工
場など高くても必要な所も大きな影響を受けて、日本の競争上でも
強い部分も弱める結果になっている。ピーク時電力カット契約には
凄く安くして、中国企業と安値競争をしている企業も戦える仕組み
にすることである。

もう1つが、成り行きに任せる国家経営であり、問題分析とその上
での目標設定が全然ない。戦略がないということである。後手後手
になる原因は成り行き任せであることだ。そうすると、戦前のよう
な英米との対立などで太平洋戦争に突入するという戦略的な失敗を
しでかすことになる。

しかし、今回も後手後手になっている。日本の福島第一原発事故の
評価も米NRCは非常に深刻と受け取っていたが、日本政府はレベ
ル5として、その深刻度を隠蔽していたように取られている。1ケ
月後にレベル7にして、今度は輸出が出来ない事態になってしまっ
た。

今後もいろいろな国際的な不都合が日本政府の後手後手の対応で、
出てくるように思う。戦略的な志向をしない政府にあきれていると
いうのが、世界的な評価ではないかと見る。

日本政府は、無能であると韓国首相が言ったが、その通りと私も
同意する。このような危機的な状況を取り仕切る40歳代の若いリ
ーダが出てくる必要がある。

どうか、戦略思考と世界的な動向が読めるリーダーを日本は一刻も
早く首相にして、日本の戦略を構築しないと日本経済は立ち直れな
いし、企業倒産が増え、民力が衰えることになる。大企業は日本か
ら出て行くことになる。どうか、戦略的な思考ができる若い指導者
が出てきてほしいものである。

1.日本人の問題点
日本は、化学薬品テロも起こり、原発テロに参考になる事故を起こ
し、原発テロ対策部隊の演習の場を提供したり、この面ではテロの
先進国のようである。安全を掲げる日本が一番、最先端のテロや事
故が起こっている。日本は安全という盲信で、その備えをしていな
いことになって、大事故や大テロになっている。

もう1つが、日本は大災害が多く、1995.01.17阪神・淡路大震災や
2003.09.26十勝沖地震、2004.10.23新潟県中越地震、2007.03.25能
登半島地震、2007.07.16新潟県中越沖地震、2008.06.14岩手宮城内
陸地震で、そして、2011.03.11東日本大震災と銘銘された地震だけ
でも、1995年から7つもある。

災害が多いことで、いつ全財産を失うか分からなかったり、人の助
けを借りることが多くなる。このような環境で、助け合いの精神や
物欲が少ない民族ができるようである。

今回の地震で、阪神・淡路大震災で被災した人たちが、自分を助け
てくれた恩返しとして、最大限東日本大震災の被災者を助けたいと
いう言葉がそれを示している。

しかし、地震が多い日本の問題点は、エネルギー資源も少ないこと
から原子力発電を始めて、その上に戦前と同じような心理構造から
、安全と念じていれば安全だという言霊信仰になって、安全性を犠
牲にした基準を作り、そして、大災害を生んでしまったようである。

安全という言霊を信じて安全基準を切り下げておいて、「後で割り
切りすぎた」と陳謝することになる。

このような精神も、地震が多いことで危険がいつもあるために、危
険に対して、あまり神経質にならないことで、心の安定を得ないと
いう心理なのだと思う。このため、言霊信仰になってしまうことに
なる。

論理的でない理由もここにある。米NRCは相当危険であると最初
に判断して、米国人の80KM以内立ち入り禁止処置にしたが、日
本政府は最初、安全であるとしていた。

しかし、細野副官房長官は「最初は制御不能になりそうであった」
とNRCの判断を裏付けている。日本人は言霊信仰から安全である
と言ってしまうのである。

2.日本の戦略はどうするべきか?
日本沈没が起こりそうである。この沈没を食い止められるかどうか
は、日本の今後の戦略による。

このコラムでは江戸時代のような循環型社会にするべきと、研究し
てきた。この循環型社会にすることで、低エネルギー消費社会を作
ることであると見ている。原発廃止をするとその代替エネルギーを
どうするかという問題が出てくる。しかし、国際的な安全保障を視
野に入れて、見通さないと難しい。

このためには、中東の石油消費を削減することで自国生存権を縮小
して、近隣軍事大国・中国との摩擦を少なくすることである。エネ
ルギーの自国での生産を増やして、飯館村の村長がエネルギー作物
を育てると言うように石油が取れる藻を育てて、エネルギーを自給
することが必要だ。

この藻はすでに筑波大学で発見されている。福島原発周辺の土地が
大量に人が住めなくなるので、ここで、太陽光発電や藻の生産など
を行い、エネルギーを生産すればよいのだ。

一番、石油がなくなって困るのはプラスチックであるが、これは木
質の元であるリグニンと紙の合成でできたリグパルで代替できる。
これも三重大でできている。レアメタルもリサイクルで取得して、
使えばよい。このように日本が再資源大国になれるチャンスである。

また、これらのほかに有機農法、自然農法などの農業を確立すれば
、ここにも大きな雇用ができる。

大企業は海外に移転して、日本以外で活躍してもらい、日本へは子
弟教育や観光に来ればよい。しかし、大企業で世界に出て行けるの
は、全人口の20%〜30%であるので、その他の人たちは、日本
でこのような農業やリグパルや藻などを生産して、円安の世界で、
世界に資源を供給していくことである。

このような形で、日本拡大戦略になろうとは思わなかったが、今、
日本の大中企業は日本から出て行くべきである。世界で活躍してほ
しい。しかし、日本に本社と研究所・母工場は残してほしいが。

さあ、どうなりますか??

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