3942.暗闇の思想を



暗闇の思想を
From: tokumaru

皆様

明かりが減った街を歩いていると、日比谷公園での年越し派遣村の
ことを思い出します。暗いところにおにぎりと味噌汁をもっていっ
て、黙々と食べていた、あの光景を思い出します。

暗いところでたべてもおいしいと思えたらそれでいいじゃないか。
本を読むのは昼間読めばいいじゃないか。夜が暗いほうが、桜の開
花も平年並みだし、みんな健康になる。

そんなことを思っています。
今こそ、脱原発して、暗闇の思想を!

経済産業省は、真逆な発想みたいですが。

得丸久文
==============================
得丸さま

いつもながら、考えることがらをつぎつぎと載せてくださって、有
り難いと思います。

今日の12チャンネルのWBSで、常識に適った発言をする解説者
(エコノミストですが)が、
■原発の防護を高めるべく高いコストをかける
■高いコストをかけて自然エネルギーを開発する
■思い切ってライフスタイルを改める、という3択を
提示しておりました。

我々は、3割の電気は最早ないもの、と考えて掛かるべきではない
でしょうか。そもそも、成長なくして生活なし、みたいな呪文に掛
かっている我々を叩き直さないと、この「転換の好機」は永遠に失
われてしまいはしますまいか。

トヨタの社長は入社式で「復興の先に更なる成長を」と力んでおり
ました。そういう考え方自体が、転換を迫られているのではないか
、と思われてなりません。

そこで思い出すのは、鈴木孝夫先生の『新・武器としてのことば』
pp31〜33です。相当の覚悟を覚悟しなくてはなりません。

岩村立郎
==============================
Re: 暗闇に向かって
From得丸公明    

岩村さま、

まさに同感です。暗闇に住めというのが神の思し召しなのでしょう。
それをありがたく受け入れるべきときだと思います。

桜も平年並みの開花となりました。
夏にクーラーをかけない生活が始まれば、きっと涼しくなるでしょう。

40年以上も前に建設された原子力発電所の事故に対応するため、
線量計ももたされずに決死隊として送り込まれる作業員たちの勇気
と痛みを思えば日本中の原発の電力をすべて止めてもいいと思います。

石油がなくなったら、それも止めればいいと思います。

パソコンとネットワークを動かして情報共有、情報伝達するための
ミニマムな電力さえあれば、人類の英知も共有できるでしょう。

成長しか考えられないトヨタの社長の発想こそが、心の病気なのだ
と思います。
脱原発と脱成長神話を自主的にあかるくできればいいですね。

得丸久文
==============================
危険な日常

皆様

合気道の稽古から外国人の姿が見事に消えました。フランス人もイ
タリア人もどこへ行ったのか、稽古に出てきません。

今の状態は危険なのかと日本人から聞かれてあらためて考えたので
すが、危険とは被害が出る出ないとは関係ない概念だから、はっき
り今は危険と答えるのが正しいのではないでしょうか。

つまりビルの屋上に登ることが『危険』であり、実際に落ちること
は危険とは別の概念なのです。

福島第一原発事故によって我々の日常は大変に危険な状態になって
いるということに気付きました。

得丸
==============================
ロンドン便り:暗闇に向かって
From: 木野 勇人

皆様
 
ご無沙汰しております。岩村さまのコメントを拝読して最近感じた
ことと関連しておりましたのでご参考にお届けします。
 
-暗闇のロンドン
 霧のロンドンといわれることも多いですが、実際に暮らしている
と霧もさることながらいたるところに暗闇があることに気づきます。
先般東京からの出張者の方がこのようにコメントしていました。
 「東京では節電のため駅や街で夜、暗くなったように感じていたが
ロンドンに来て、なんだロンドンと同じだなと感じた」
 ロンドンでも24時間営業のスーパー(テスコ)やマクドナルド
など 強烈で明るい照明を夜通しつけているところもありますし、
ピカデリーサーカスなど主要な商業地域では明るいイルミネーショ
ンがまばゆいばかりにあたりを照らしています。ただ駅とか、駅の
すぐそばの街角とか結構照明がふと途切れたり弱い箇所があります
し、コンビニ、自動販売機が普及しておらず街灯はそもそもあまり
強くないので夜家に帰るときなど怖くなったりするほど暗いです。
暗闇の力を、日本以上に感じます。これは裏返せばそれだけ日本で
は電気を使って夜明るくしていたんだろうなと推測します。
 
-報道の違い
 今回の地震に関しすでにいろいろなところで指摘されていますの
で、私からは皮膚感覚的なことをコメントします。
 先の「暗闇のロンドン」の背景とも関連しますが、別に暗闇なの
はロンドンが意図的に節電しようとしているのではなく、単に「デ
ィテールに思いを馳せるにはめんどくさがりや」であるからだと感
じています。暗い夜道や駅周辺をインフラとして明るくするにはど
ういう照明がどの程度の感覚でどの程度の電力で。。。など気の遠く

 なるような企画力、想像力がディテールにわたって必要だと思い
ますが、ロンドンではそんなことするなら5時にオフィスを出てビ
ール飲んだり、家に帰って子供のめんどう 見ます。

 今回、NHKの24時間報道、CNNやBBCの24時間報道を
地震発生以後見比べてみるといろいろな事情はあると思いますが、
NHKの報道のディテールさに驚きます。
 「単に9日間たって救助された方がいた」ですまさず、「冷蔵庫
にあったヨーグルト」それも単なるヨーグルトでなく「飲むヨーグ
ルト」であるといった報道は状況をつぶさにつたえる効果はありま
すが、リアルであるがゆえになにか本質的なことを見失う怖さを感
じます。

欧米のスタッフと話して感心するのはこうしたディテールから離れ
たところで本質はどうなんだ、とやりあう姿勢です。どちらがいい
とか言うのではなく、ディテールに強い日本、本質論に強い欧米、
このバランスが求められている気がします。

 あと声の調子です。もともと日本語は、それもアナウンサーの言
葉は静かに落ち着いて抑揚のないスタンスなので、地震も、原発も
プロ野球も、全部あの「行く年来る年」のアナウンスと同じ感じが
します。海外報道が感情的とはいいませんが、文節ごとにたたみか
けるように発話されるアナウンス(しかも重要な言葉は強く言う)
は結構伝える力を感じます。
 
木野
==============================
得丸さん

被災地、とりわけ福島第一原発の周囲は、危機(クライシス)の状
態で、危機管理(クライシスマネジメント)が必要です。
一方、日本全国は、日常的にリスクの高まっている状態なので、
リスクマネジメントが必要です。
国民ひとりひとりのリスク耐性は違うのですから、リスクへの対処は
個人、家庭、企業の判断にゆだねるべきだと思います。
つまり、政府は正確な情報の発信に徹すべきで、国民を「指導」しようと
してはならないし、リスクの過小評価を発信すべきではないのです。
いつまでも「ただちに問題はない」と「冷静な」コメントを続けていると、
世界の国々から総スカンを食うと思います。
すでに、食物の安全供給、製造部品の安定供給を保証できなくなって
いるのですから。

南
==============================
南さん

今の日本は危機管理が行われなければならない状況ですね

もちろんいたずらに危機を煽ればよいわけではありませんが、国民
や国土や生きとし生けるものの生命を守る努力が危機管理の手法に
基づいて行われなければならない。

法華経に家が火事になったときに、子供たちを安全に救い出すため
の方便を使う話がありましたね。

今の日本の状況がそれと同じとはどうにも思えません。

得丸


コラム目次に戻る
トップページに戻る