3941.脱原発の道筋を考える



政府や自民党なども「原子力政策の推進は難しい」との考えを示し
たが、原子力に代わる電気供給システムを構想する必要がある。そ
うだったら、日本は、自然の摂理とは違う原発は、いつか廃止して
、自然エネルギーを中心とした電気で暮らせる社会を目指すことだ。
           津田より

0.はじめに
しかし、この道筋を考える必要がある。欧州では風力発電が盛んで
あるが、残念ながら、それだけでは石炭やLNGなどの火力発電所を減
らすことはできない。

なぜなら、風力発電の問題点は、風が不安定で、その風力発電の不
安定性から予備として火力発電所が必要になっている。これは、潮
流発電や太陽光発電でも同様で自然エネルギー社会にするためには
、この不安定性を安定化する仕組みを作る必要がある。

この仕組みとして(条件1)は、風、太陽などの気象予測が重要で
あり、発電能力が下がると予測されたら、他の発電を動かせばよい
が、ガスタービンなどの発電機は、安定まで15分から20分の時
間が掛かるので、その時間を見て起動することになる。

もう1つ(条件2)が、電気のバファー機能である。風力発電では
風が揺らいでいる。太陽や水でも同じであるが揺らぎがある。この
揺らぎを安定させるためには、発電装置か発電所全体で蓄電装置を
置き、その揺らぎを取る事が必要になる。

もう1つ(条件3)が、需要サイドが太陽光発電などの自然エネル
ギー発電をしている場合には、需要サイドの需給バランスを知るこ
とが重要になる。

このように自然エネルギーでの発電には、燃料代はゼロであるが、
予測システム、需給バランスシステムと大規模な蓄電池が重要にな
ってくる。

このような仕掛けが必要ない、メタンハイドレードや藻からの石油
を利用すればよいという人たちがいるが、実用化になるまで20年
から30年はまだ掛かる。将来的な見通しとしてはよいが、それで
は今から始められない。

しかし、自然エネルギー利用のスマートグリッド実証試験は、すで
に日本で4箇所行っているし、経産省・総務省が工程表を作り、
2020年までに実用化するとしている。このため、NEDOから
の補助金も多数出ている。

インドのスマートシティ構想にも参加して、シェンドラ、ダヘジ、
マネサール、チェンゴダルの4都市で、日本のスマートグリッドを
利用した電気供給システムを作ることが決まっている。

日本の強みは、日本碍子と東電が開発したNAS電池である。安価
であり、かつリチウム電池と同程度の電荷を蓄電できるからである。
しかし、ナトリウムを使用するために、セラミック(瀬戸物)が必
要で重いことと、反応温度が600度と高いために、自動車などに
は搭載できない。このNAS電池とリチウム電池の2つを持ち、装
置にもリチウム電池を搭載して揺らぎを防ぐことができる。

気象予測システムを電気事業者は今も電気給電予測システムで利用
しているし、NAS電池は、ビルでの非常用電源として利用されて
いる。確立されたシステムがある。

このため、条件3の電気需給バランスを見るシステムを構築すれば
よく、非常に多くのものができていることで道筋が他国に比べて、
短いことになっている。

しかし、今までは、東電など電気事業者が原子力発電を電気供給の
柱にしていたことで、この電気需給バランスの必要性を感じていな
かったのである。逆に言えば、需要家が発電することをあまり喜ん
でいなかったのだ。

このため、東電はスマートグリッドにあまり乗り気ではなく、政府
が言うから付き合い程度に乗るという感じであった。このため、宣
伝もされなかったのである。

しかし、原発を廃止するとなると、今後のエネルギーをどうするか
の議論があり、石油やLNGなどは2006年がピークオイルとい
われて、今後高価になることが分かっている。そうすると、不安定
であるが、風力や太陽光、マイクロ水力、地熱、潮流などの自然エ
ネルギーを利用するしかない。

1.自然エネルギーの比較と構想
自然エネルギーのコスト比較をすると、1キロワット時当たり、
風力が9〜15円、潮流7〜15円、水力10円、太陽熱10円、
地熱16円、太陽光40円と風力や潮流が安いし、太陽光が高い。

しかし、自然エネルギーには、それぞれ特徴がある。風は夜が昼よ
り強いが、太陽光は昼しか発電しない。地熱と水力はいつでも安定
的に発電するが、適地が少ない。このため、ある程度、自然エネル
ギーを組み合わせて使うことになる。

今、太陽熱発電が注目されているが、コストが安く、かつ夜・昼の
発電が可能で、これの適地が砂漠地帯であり、この砂漠の利用価値
が今までなかったが、今後広大な砂漠地帯で大面積を使用でき、原
発の数十個分の大量発電が可能であるからだ。

これがないと原発廃止が出来ないほど、重要で大きな産業になる可
能性がある。しかし、この砂漠から電気を都市に持ってくる距離が
長い。このため、この電力送電システムとして、超高圧直流送電が
注目されている。

風力発電は、日本では日本海サイドの冬の落雷で適地ではなく、北
海道の留萌しかない。あとは風力適地が、太平洋サイドの海上にし
かない。

大規模な水力発電は、日本では適地がなくなっている。水力では中
規模や小規模なマイクロ水力発電しかない。

このため、太陽光発電や地熱発電、マイクロ水力発電は、非力であ
る。というように、日本では、家庭にマイクロ水力や太陽光電池を
置いてもらい、産業用に太陽熱発電で砂漠から電気を持ってくるこ
とになりそうである。

日本の近くで砂漠というと、同盟関係を考慮すると人口が少なく、
電気使用量も少ない豪州の砂漠で発電して日本に超高圧直流送電で
持ってくるしかないように思う。

2.今後の蓄電池技術・直流給電など
蓄電池技術を日本は開発している。金属空気電池などリチウム電池
の10倍程度の電荷密度がある電池を研究しているし、マグネシウ
ムを利用した多イオン価電池など、いろいろな最先端な電池が研究
されている。今後も日本が蓄電池の電荷密度を上げていくと思う。

また、利用機器としてTV、LED、PC、インバータエアコンな
ど直流電源で動く製品が家の中に多い。また、太陽光発電も直流で
発電するし、蓄電池も直流で動作するので、家の中には洗濯機など
少数の機器しか交流電源で動くものがなくなっている。このため、
家の中での直流化が必要になる。しかし、高い電圧の直流電気では
、接触事故を起こすと死亡する危険性もあるので、電圧は低くする
ことである。

こうすると、交直の変換を機器の中でやらずに、家の中に入って直
ぐに直流に一回変えれば済むことになる。

電気を無駄にしないで使う工夫が、これから必要になる。もったい
ない精神で日本人は、電気を考えていくことである。それが次の時
代を築くことになる。

さあ、どうなりますか??

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電力使用制限令、今夏発動で調整 大口需要者の企業対象
2011年4月2日5時10分

 菅政権は1日、今夏の電力不足に伴い大停電を避けるため、第1
次石油危機の1974年以来となる「電力使用制限令」を発動する
方向で最終調整に入った。電気事業法27条に基づく強制措置で、
電気の大口需要者である企業に対し、ピーク時間帯の電力の使用制
限を求める。 
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停電、小型発電機大もて メーカーは部品不足に苦慮
2011年3月26日14時12分

 東日本大震災後の電力不足で、小型発電機の需要が急増している。
製造する各社は増産を急ぐが、部品不足で思うに任せず、輸入を増
やすことも検討している。 

 小型発電機は、ガソリンやガスでエンジンを回して電気を起こす。
キャンプなどレジャー用のほか、工事や消防用の照明など業務用に
も使われる。2010年の市場規模は国内で8万台程度で、ホンダ
やヤマハ発動機、富士重工業などが製造している。 

 普段はそれほど売れないが、震災後は一変。「通常の5倍程度の
注文が来ている」(ホンダ)。各社はまず、被災地向けに多く寄付
したが、計画停電が始まった関東地方でも需要が急増した。 
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枝野長官、原子力推進政策を見直す可能性に言及
2011年3月18日11時35分

 枝野幸男官房長官は18日午前の記者会見で、自民党の谷垣禎一
総裁が「原子力政策の推進は難しい」との考えを示したことについ
て「政府としては現時点で確定的なことを申し上げるべきではない
が、谷垣総裁の発言は至極当然だと思っている」と述べ、原子力推
進政策を見直す可能性に言及した。 



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