3933.原発事故で日本の問題点が暴露



日本は危機的状況での官僚・政治家の対応能力が昔から弱い。
               Fより

第2次大戦では陸海軍の優秀なるエリート、秀才達と政治家が日本
を敗戦に導き、今も同様に政治家、官僚、東電が原発事故で多大な
被害を引き起こしている感じがする。

これらの組織は、ジェネラリスト重視で、2年毎に人事異動をさせ
て昇格していくシステムがあるためで、最初はスペシャリストであ
っても、営業や違う技術分野に回して、ジェネラリストにしていく。

長年のスペシャリストとは、同じ職場で同じ地位でいるので権限が
なく、技術的におかしいと思っても経営的、政治的な視野から言わ
れると、反対できないようになっているし、偉くなれないので、勉
強もしない。これが、昔から日本の問題点と思っている。

それに比べて、米国のこれらの組織では、民間との交流があるので
スペシャリストが多いし、重要視されている。反対にジェネラリス
トが少なく、総合的な計画があまりできない。このように日米とも
に問題点がある。しかし、この弱点をカバーするために、米国は危
機状況対応マニュアルを作り、それに基づいた訓練を行うというこ
とで、ジェネラリストの不足を対応している。

日本は、技術的にそれほど難しくない問題では速やかに全体的に的
確に対応できるが、一度、技術的専門的に深い問題が起こると、対
応が後手になってしまうことになる。専門性が高いスペシャリスト
もいないという状況になる。この専門性が高いスペシャリストを探
すと、結局米国に行き着くということが何回もあった。

今回は、この悪い状況になって後手後手になってしまったようであ
る。そして、それが今も継続している。

このように専門性が高いために、米国からのアドバイスはありなが
ら、それを大事とは思わず問題が解決されずに、原発から約30キ
ロ北西の地点で、約24時間の積算放射線量を調査し、一般人の年
間被ばく線量限度1000マイクロシーベルトを超える1.4ミリ
シーベルトを計測した。この地域は避難指示を出し、全員を避難さ
せる必要があるが、それを政府は自主避難勧告としている。ここで
も後手に回っている。

もう1つが、原発から40キロの福島県飯舘村では土壌1キログラ
ムあたり16万3千ベクレルのセシウムが出たとの報道あり。1平
方メートル当たりに換算して326万ベクレルになるという。チェ
ルノブイリ事故では、1平方メートルあたり55万ベクレル以上の
セシウムが検出された地域は強制移住の対象となった。

このため、ここからの避難指示も必要になっているはずであるが、
この指示も出されない。飯舘村は風下であったことでそうなったの
で、風の方向を考えると原発から50KM程度を現時点でも避難指
示地域にするべきである。

炉の損傷はないと言っていた東電、安全保安院は、原子炉につなが
る配管などに何らかの損傷が起き、炉内の水が漏れ出た可能性が高
いとした。

とうとう、米国が勧告していたように真水へ切り替えを行うことに
なった。緊急的に海水を入れて原子炉などを冷却したが、このまま
では、塩で水の流れが悪くなると真水への切り替えを行うが、米海
軍は米横須賀基地から約2650トンの真水を積んだ台船2隻を自
衛隊に供与した。とうとう、日米合同司令部機能が有効に働き始め
た。日本の自衛隊は中央即応集団が、福島第一原発事故の指揮を取
っているが、この中央即応集団こそ、座間にある日米両軍の共同指
揮所所属の部隊である。日米集団自衛的な行動を福島原発事故で行
うことになる。

この日米中央即応集団を米国の原子炉専門家がサポートする体制が
やっとできた。それと日米合同委員会で、防衛省、米軍、東電が会
議できる体制になっている。米国のスペシャリストが登場した。

しかし、この体制を作るまで遅すぎた。このため、原発事故の被害
規模が拡大したように感じる。

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米軍、原子炉冷却に真水提供へ 水注入による腐食懸念
2011年3月25日16時23分

 北沢俊美防衛相は25日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第
一原子力発電所の原子炉冷却のため、米軍から真水の提供を受ける
方針を明らかにした。

日本側の受け入れ方針を受けて米海軍は25日、米海軍横須賀基地
(神奈川県横須賀市)から大量の真水を台船に積み込んで発送した
。台船は2隻になる予定で、最大で計約2650トンを積載できる
。自衛隊の艦船が現場海域まで引っ張っていく予定。途中でポンプ
の使い方などの訓練を行うため、到着まで3日程度かかる見通しだ。
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冷却作業 真水へ切り替え急ぐ
3月25日 4時17分NHK

深刻な状態が続いている福島第一原子力発電所では現在、海水を入
れて原子炉などを冷やそうとしていますが、このままでは、原子炉
内に塩がたまって水の流れが悪くなるおそれがあることなどから東
京電力は、海水から真水への切り替えを急いでいます。

原子炉などの冷却機能が失われ、深刻な状況が続く福島第一原子力
発電所では、外部からの電源を復旧させる作業と同時に、原子炉や
使用済み燃料プールに海水を入れて冷やす作業が続いています。と
ころが、原子力安全・保安院によりますと、このまま原子炉に海水
を入れ続けた場合、海水に含まれるゴミでポンプや弁などが目詰ま
りしたり、配管がさびたりするおそれがあるということです。また
、原子炉内で海水が蒸発して炉内に塩がたまると、今後、燃料棒を
冷やす水の流れが妨げられ、十分冷やすことができなくなる危険性
もあるということです。
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炉の水漏れ、可能性高く…核燃料損傷か

 東京電力福島第一原子力発電所3号機の作業員被曝(ひばく)事故
で、経済産業省原子力安全・保安院や東電は25日、被曝の原因と
なった水たまりができたのは、原子炉につながる配管などに何らか
の損傷が起き、炉内の水が漏れ出た可能性が高いとの見方を示した
。核燃料が損傷しているとみられる。1号機でも高い放射性物質濃
度の水たまりを確認。今後の復旧作業に大きな影響を与える恐れが
出てきた。

3号機タービン建屋地下1階で被曝した3人の足元にあった水たま
りには、セシウム137など、核燃料の内部にあるものの、通常の
状態では冷却水中に漏れ出すことはない放射性物質が含まれていた。
(2011年3月26日03時03分 読売新聞)
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福島第1原発:北西30キロの地点で高い放射線量…文科省

 文部科学省は25日、東京電力福島第1原発から約30キロ北西
の地点で、約24時間の積算放射線量を調査し、一般人の年間被ば
く線量限度1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)を
超える1.4ミリシーベルトを計測したと発表した。
毎日新聞 2011年3月25日 14時41分(最終更新 3月25日 14時59分)
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福島も「石棺」必要 ロシアの原子力専門家
2011.3.26 00:53サンケイ 
 ロシア科学アカデミー原子力エネルギー安全発展問題研究所の副
所長ラファエリ・アルチュニャン氏は25日、福島第1原発事故に
ついてモスクワで記者会見し、同原発は今後、放射性物質漏れを防
ぐためのコンクリート製の「石棺」で覆う必要があると述べた。ロ
シア通信が伝えた。

 石棺は1986年に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブ
イリ原発事故の際、爆発した4号機を覆う形で建設された。副所長
は「日本はその(石棺の)ようなものを造り、その中に放射性物質
を閉じ込める必要が出てくるだろう」と指摘。ただ、核燃料からの
発熱が続くうちは、流し込んだコンクリートはひびが入ってしまう
ため着工ができないなどと説明した。(共同)


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