3931.現在の原発の状態は?



外部電源が通電して、冷水系システムが動き始めれば、危機的な状
況が改善して、ある程度の定常状態になると見ていたが、放射線量
が大きくなるので、作業が出来ない状況である。

もう1つ、1号機の燃料棒の破損が大きく、半分程度が壊れている
と原子力安全委の委員長が言っている。そして、それを裏付けるの
が、中性子線が出ていることを確認している。ウランの核分裂反応
があることをあらわしている。

このような状態で、孫崎さんによると、来日中の米国原子力専門家
団は「冷却作業が成功しなければ、日本側は来週、深刻な決定に直
面せざるをえない」と日本側に伝えた模様であるという。 

この意味は何か?を考えることである。このままの状態が続くと、
1〜3号機のいずれかが臨界状態になることであろうと見る。

中性子線も観測されているので、現時点でもウラン核分裂反応は起
こっているが、臨界状態ではないのであろうが、来週には臨界に達
するという意味であろう。

この中性子線が大量に出ると、現場に立ち入ることもできなくなる
ので、重大な結果になるということであろう。ココから先は米国核
専門家450名のアドバイスを受けて、作業は日本人という体制に
なるしかない。東電の原子力専門家は、ほとんどいないのか??

GEが設計しているので、詳しい内容は米国の技術者しか分からな
いということのようだ。

どちらにしても、時間と放射線との戦いが剣が峰に差し掛かってい
るようだ。

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放射能漏れ、どの部分から? 特定遅れれば放出長期化も
2011年3月24日0時38分
     
 東京電力福島第一原発では、爆発が起きて以降、人体に有害なレ
ベルの放射線が敷地内で観測され続けている。放射性物質は、どこ
からもれているのか。考えられるのは使用済み核燃料の貯蔵プール
と、原子炉やその周辺部分の破損だ。漏出部分を突き止めるのが遅
れれば、放射性物質の放出は長引くことになる。 

 同原発4号機では15日に核燃料プール付近で火災があった。プ
ールの水位が下がって使用済み核燃料が露出し、水素が発生して爆
発したとみられている。このとき外部に放出された放射性物質が、
敷地内にとどまって放射線を出し続けている。これが考えられる一
つのシナリオだ。 

 プールでなく、原子炉からもれている可能性もある。 

 東電は、水素爆発が起きて建屋が壊れた1、3号機について、「
格納容器の健全性は保たれている」との説明を続けている。格納容
器につながる圧力抑制室で爆発が起きた2号機も、大きく壊れてい
るとは考えにくいとの立場だ。損傷が大きければ「放射線量はこん
なものではすまないはず」(東電)だからだ。 

 だが、部分的な破損の可能性を示すデータはある。その一つが、
核燃料のウランが核分裂してできる放射性のセシウムが外部で検出
されていることだ。 

 内部の圧力が高まった格納容器が壊れないよう、蒸気を外に逃す
措置もとられている。ただ蒸気はいったん水の中をくぐっているた
め、この措置でセシウムが外部に出た可能性は低い。 

 では、破損部分はどこなのか。可能性が高いのは、検査の際など
に人間が内部に出入りするときにつかう「パーソナルエアロック」
というドアだという。関係者によると、ドアと格納容器のすきまを
埋めるパッキンが「一番弱い」とされているからだ。 

 東電はこのほか、接続部分などの小さな箇所が破れている可能性
も認めている。たとえば、圧力容器や格納容器から外部へ通じる配
管だ。配管には弁があり、地震を感知して発電が自動で止まると同
時に、弁は閉じられる。仮に弁から先の配管が破れても、炉内部と
外部が直接つながるわけではないが、もともと配管の中にあった放
射性物質を含む水などが、漏れだした可能性はあるという。 
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中性子線検出、12〜14日に13回

 東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の約1・5キ
ロ・メートル西にある正門付近で、これまでに2回だけ計測された
としていた中性子線が、12〜14日に計13回検出されていた、
と発表した。

 観測データの計算ミスで見落としていたという。

 中性子は検出限界に近い微弱な量だった。東電は、「中性子は、
(核燃料の)ウランなど重金属から発生した可能性がある。現在は
測定限界以下で、ただちにリスクはない。監視を強化したい」とし
ている。

(2011年3月23日13時10分  読売新聞)
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孫崎享さんの3月23日のツィートから 

米国友人への私の連絡  

1:地震が起き、発電所に被害が及んだ時に東京電力と経済産業省(原子力保安 
院管轄)はこの事故は敷地内で処理できるし、処理すべきであると判断した。 

2:しかし事故発生当時から米国は深刻な事態を察知、日本政府に危機回避のた 
めの具体的支援を提言した。しかし、1の方針を持つ政府は米国の支援を不要と 
した。ここから本処理に対する米国政府の対日不信が始まる。 

3:菅総理は東工大卒でもあり、次第に事態の深刻さを認識。現在では如何に危 
機回避できるかにかかりきりという位に対応、 

4:しかし東電の対応は異なる。あくまで操業の可能性を追求、したがって炉を 
だめにする処置には消極的。かつ危機が敷地内で処理できないことが明確になっ 
た時に、これへの対応に極めて消極的。外部から見れば逃げをはかっているとし 
か見えない状況、 

5:米国この状況観察。このままでは東京をも巻き込む危機回避できないと判 
断。これが国際的判断に。 

6:この時点で菅総理対策の必要性認識。しかし、敷地内での放射線量あまりに 
大きくここでの作業ほぼ不可能。この時点で国際的に日本には危機対応能力なし 
と判断。多分米軍も同様。総理自衛隊に依頼。自衛隊、人的犠牲認識しつつ任務 
引き受け。当面の危機回避の唯一の策である炉と使用済み保存のプールに放水。 
これによって西側関係者が当然起こると見た危機回避、米軍の家族避難、あるい 
は西側大使館の自国民への避難勧告は自衛隊出動前の情勢判断によるもの、 

7:現在最大の危機は一応回避。しかし炉内で何が生じているかも把握できない 
状況。今後も何が起きるか不明。したがって政府は新たな危機がでると一つ一つ 
対処する必要あり。この状況今後も長期化。しかし、当初予測された東京が住め 
なくなるような危機がくる状況は回避。「こちら(米国)にきてもいいよ」との 
提言は感謝。しかし東京まだまだ大丈夫と思っています(期待も込めて)。 



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