3928.米軍の災害対応策を見習え



米軍のトモダチ作戦を見ていると、情報収集と兵站線の確保を最初
に行う。これに対して、日本政府(官邸)がやったことは、情報の
一元管理で、各所の情報交換を止めてしまった。この違いで初期対
応での日本の兵站は止まり、米軍の兵站に頼ることになる。

米軍の行ったことは航空機で、災害があった全地域の写真を撮り、
生存者とSOSの印を見ることから始まっている。情報連絡手段が
ない孤立した地域を見つけることを優先した。

もう1つが、仙台空港の利用を可能にするために、重機を運び整備
した。また、米艦船でも入港できる港を探し、そこに荷物を運んだ。
とうとう、海上自衛隊、海保などのヘリは、米揚陸艇を基地にして
そこから荷物を被災地に届けることになっている。海外からの支援
物資も横田が受け入て窓口になっている。

しかし、本格的に動き始める最初は、日本政府の指示を待ったので
3日ほど時間を浪費している。その後、日本政府の体制がなく、情
報もないことをルース駐日大使が、確認して米軍は自立的に動き始
めたのである。岩国の在日米軍に問い合わせたが、やはり3日間待
機命令が出て、そのままであったと証言している。

一方、日本政府は体制が遅れて、痺れを切らした経団連災害本部と
東北各県対策本部が個別に連絡して、全体調整を経団連が行って、
タンクローリーや物資の輸送を手配し始めた。ヤマト運輸、日本通
運などが体制を整えることができたのは、経団連と自民党の力であ
り、民主党政権は混乱して邪魔であったという。

自民党が経団連と県を繋いだのである。菅首相はそれに気が付いて
自民の谷垣さんを震災復興相として入閣を打診したが、その前に、
このようなことが起こっていたのである。

民主党政権は、官僚が準備している危機管理マニュアルの手順も無
視したが、米軍は災害マニュアル通りに行っている違いが出たよう
だ。

小宮山厚生相副大臣が、危機対応ができていないので、何も出来な
いということ事態が、この政権の実力であり、神戸地震などの教訓
を生かしていないことを明確にしている。官僚組織では、危機マニ
ュアルがあり、官僚に任せれば、そのマニュアルに従った運用がで
きるのに、官僚が勝手に動くことを初期段階で禁止し、官邸の判断
が必要となったので、日本政府の大きく機関が動けなかったのであ
る。

今回の人災は、菅首相の采配ミスが大きいし、各組織の細かい問題
と原発事故という大きな問題を切り分け、ある程度大きな問題に対
応する必要があった。このため、大きな問題でも決断ができずに、
陸自に丸投げしたようである。



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