3924.放射性物質の流出と事態への対応



放射性物質の流出対応について。

堀田です。情報提供します。放射性物質は花粉のような動きをする
そうで、水で落ちるそうです。コンクリートも通さないそうです。
外出時にはマスク、眼鏡、帽子、手袋、コートなどで体を覆い、玄
関に水で絞ったタオルを置いて外出から帰ってきたら拭き取りまし
ょう。そしてコート類はビニールの袋にいれて玄関に置いて下さい。

換気扇を止めて暖房も止めて外気を室内に入れないでください。

ワカメの味噌汁を朝夕飲むことも有効だそうです。

ご存じの通り、国の対策本部は50キロメートル回避移動しました。
フランス政府は、在日フランス人に帰国するよう無料で片道切符を
出している様子です。可能であれば海外や西日本に避難した方がい
いそうです。

東京から仕事などで離れられない私達は、助け合いながら生き抜く
他ありません。

落ち着いて、でも危機意識は持って行きましょう。]
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皆様

こんにちは。
東日本巨大地震、その後余震が続きましたが、ご無事でしょうか?
私はグラスが1個欠けただけで、妻ともども無事です。

福島原子力発電所の事故で放射能被害が心配かと思いますが、先程
知人からメールをいただきましたのでお伝えします。

工藤
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放射性物質に関して情報を添付します.東大の上昌広教授が主催者
です.

緊急被ばくの事態への対応は冷静に
(独) 国立病院機構 北海道がんセンター 院長(放射線治療科)
西尾正道
2011年3月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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 3月11日の大地震により、福島県の東京電力福島原子力発電所で放
射性物質の放出という深刻な事態が発生した。マグニチュード9.0と
いう大地震と津波による悪夢のような大災害の現実に対して被害者
の救出が全力で行われている。

 一方、原発事故も大きく報じられているが、国民が放射線被ばく
について不安が強いという現実に対して上 昌広編集長の依頼で、13
日14時現在までの情報をもとに放射線被ばくについての基本的な考
え方を報告し、冷静な対応を期待したいと思う。

 12日午後1時に原発の敷地境界で1015μSv(マイクロシーベルト)/h
の放射線量が計測されており、放射性物質が放出されたことは確か
である。

 Sv (線量当量)とは、人体への放射線の影響を考慮して設定された
線量を示す単位である。放射線障害防止法などの法令が定める一般
人の年間の被曝線量限度は1000μSv(=1mSv)とされているので、確か
に大きな線量である。なお医療従事者や原発従業員などの職業被ば
くの年間線量限度は最大50mSv(100mSv/5年)である。この事態にたい
して、原因や問題点などに関して今回は論じることは控え、健康被
害についてのみ論じたいと思う。

 なお日本の緊急被ばく医療対策はJCO臨界事故の教訓を踏まえて、
かなり整備されている。平成12年6月に「原子力災害対策特別措置法
」が施行され、事故時の初期対応の迅速化、国と都道府県および市
町村の連携確保等、防災対策の強化・充実が図られてきた。今回も
早期に避難勧告が出された。

 人類は宇宙や大地から、自然放射線を受けており、日本では年間
2.4 mSvの被ばくを受け、医療被ばくを加えると日本人一人平均約5mSv
(5000μSv)の被ばくを受けている。また東京・ニューヨーク間一往
復では宇宙からの放射線が多くなり 0.19 mSvの被ばくを受けると
言われており、低線量の放射線被ばくは日常的なものなのである。

 しかし放射線は被ばくしないことにこしたことはないので、テク
ニツクとして放射線防護の3原則がある。(1)距離・(2)時間・(3)遮
蔽(しゃへい) がある。

(1) 距離は放射性物質からできるだけ離れることであり、これは遠
くへ避難することである。放射線の量は距離の二乗に逆比例するの
で、原子力発電所から1Kmの地点での放射線量を1とすると10Kmの地
点では1/10x10=1/100 となり、百分の一の被ばく量となる。20Kmの
距離に避難すれば、四百分の一となる。

(2) 時間はそのまま加算されるので、同地点に1時間滞在よりも一
日滞在すれば、24倍の被ばく量となる

(3) 遮蔽は放射線の種類やエネルギーによっても異なるが、密度の
高い建材で造られた室内に退避することにより、外部からの放射線
をより多く遮蔽することができる。屋外にいるよりも木造建築の室
内にいれば建造物が遮蔽体となりより少ない被ばく線量となる。
さらにコンクリート造りの室内では低減する。

 さらに空気中に含まれている放射線物質からの被ばく量の低減の
ために皮膚を露出しない服装と帽子の着用、内部被ばくを避けるた
めにマスクの着用などを心掛けることである。

 また、現場で考えることは放出された放射性物質は風によって運
ばれるので、風上方向への避難が重要であるが、時間的経過で風向
きも異なるし、現実的に海の方向へ逃げることはできないので、と
にかく(1)距離と(2)時間の原則を考えて対応することとなる。

 また放射線防護剤(内容はヨード剤)の配布が緊急被ばく医療の対
応マニュアルに記載されているが、現実的にはヨードを多く含む昆
布などの食品を食べながら避難することが現実的である。ヨウ素は
甲状腺に取り込まれるが、事前にヨウ素を摂取し、甲状腺のヨウ素
量を飽和させることにより、放射性ヨウ素が環境中にあっても、甲
状腺に取り込まれないようにする対応である。

 今後の対応として、放射線被ばく者の対応であるが、まず正確な
被ばく線量を把握することである。被ばく線量によって対応が大幅
に異なるからである。また衣服の上から測定器で計測して被ばくし
ていると判定された人でも衣服に付着した放射性物質の汚染と人体
の被ばく線量は異なるものであり、衣服の汚染と人体の被ばくは区
別する必要がある。

 また放射線の種類やエネルギーによっても人体に与える影響が異
なるため、実際に人体の被ばく線量の把握は容易ではないのである。

 なお放射線が人体に与える影響は被ばくの時間的・空間的(被ばく
範囲)な違いも考慮することも重要である。(1)急性被ばくか、慢性
被ばくか、(2)全身被ばくか、局所被ばくか により人体への影響は
異なる。(1)の時間的な問題としては、例えば日本酒1升を一晩で飲
むのと、毎日晩酌で少量づつ1カ月間で飲むのとでは人体への影響
は異なる。放射線の影響も同ようなものと考えられる。(2)の問題と
しては、厳密には全身被ばくの場合と同一ではないが、胸部単純写
真の撮影では0.06mSv(60μSv)、胃のバリウム検査では0.6mSv(600μSv)
、胸部CT 検査では6mSv(6000μSv)の局所被ばくを受ける。今回の
被ばくは急性の全身被ばくであるが、極めて低線量であると考えら
れることから問題となることはない。

 全身の急性被ばく時の人体への影響は、250mSv(250,000μSv)以下
では臨床的な症状は出現せず、影響はない。また500mSvで白血球の
一時的な現象が見られ、1000mSv以上で吐き気や全身倦怠感が見られ
ると言われている。こうした医学的な見地から見れば、今回の被ば
く者の健康被害は深刻なものではない。

 避難住民に対し放射線被ばくによる健康影響について説明を行な
い冷静に対応し、また汚染の程度に応じて、適切な除染処置や予測
被ばく線量を把握して必要ならば医療機関への搬送が望まれる。

 本日、国立病院機構本部から要請により、緊急被ばく医療の助っ
人として当院からも放射線治療科の医師を派遣する予定となった。
最後にこうした事態に対して分析・指揮・対応指示などを行うオフ
サイドセンターがどこなのかが報道されておらず、情報開示の不手
際が気になるところである。

 最後に原発事故への対応に全力をあげて働いている原発施設の従
業員をはじめとする方々の健康被害が極めて深刻なものとなる可能
性があるが、致命的でない被ばく量であることを祈るばかりである。

MRIC by 医療ガバナンス学会



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