3913.リビアは部族間内戦に



リビア情勢を1週間、見てきたが、リビアは内戦が激化することに
なりそうである。東部は反体制派で、中部は政権側であり、西部は
反体制と政府側の混在という図式である。

特に首都トリポリの周辺都市を反体制派が占めていたが、徐々に政
権側に奪還されている。首都近郊のザウィヤは政府側に奪還された。
というようにトリポリ周辺都市は、装備が優秀なカダフィ軍が優勢
である。

それに対して、反体制派はゲリラ戦に向かう必要があり、ここでア
ルカイダが必要になる。正規軍同士では、カダフィ軍に負けるため
に、ゲリラ活動にシフトするしかない。ゲリラの基盤はそこに住む
住民であるがワルファラ部族であり、カダフィ政権に不満を持って
いる。また、カダフィがこの部族を大量に殺したので、反感が増し
ている。

最初の予想通りに内戦になったら、リベリアと同じようにリビアも
部族間戦争になり、そのうちにアルカイダの居場所になると見たが
、徐々に、その方向になってきた。しかし、欧米はそれを阻止する
ために大量の軍事顧問団を東部に送り込んだのである。石油がある
かどうかで欧米の対応がまるで違う。

しかし、錬度の高いイスラム教ゲリラを呼び込みたい西部ワルファ
ラ部族反体制派も安易に欧米の支援を求められない。このため、西
部で活動する欧米メディアは少なく、イスラム教のアルジャジーラ
の特派員しかいないことになる。アルジャジーラも英語の情報は要
約であり、情報が少なくアラビア語での情報とは大きく量が違う。

しかし、東部には軍事顧問団が反体制派の軍事教練を開始して、正
規軍を育成するし、その正規軍の装備を援助し始めている。この効
果で、中部ラスラヌフをカダフィ派軍から奪うことになる。このラ
スラヌフには、東部を爆撃する軍用機の空港があるが、そこを奪っ
た。というように中部では反体制派が徐々に拡大している。

大体の勢力範囲は、西部ではトリポリ周辺だけがカダフィ派、中部
ではシートなどザウィーア部族が抑えている都市、カダフィ氏の出
身部族であるカダドゥファ族の住む南部の砂漠地帯であり、傭兵と
カダドゥファ族とザウィーア部族の一部がカダフィ政権支持である。
空軍は全てカダドゥファ族で占めているので、離反はしないはず。
ということで空軍対応が反体制側に必要になっている。

カダドゥファ族の居住地域はエジプト国内にも広がっているので、
エジプト中部ファイユームから若者らがカダフィ軍に参加したとい
う情報もある。カダドゥファ族はリビアでは少数部族である。

リビアは部族社会であり、その部族長の意向が支配する国である。

東部アル・アワキール族がカダフィ支持であったが離脱したようで
ある。そして部族数100万人と最大を誇る西部ワルファラ族が、初期
の段階で離反してトリポリ周辺で反政府活動したことで、初期段階
にカダフィ政権は窮地に追いやられた。

マガリハ部族はリビアで二番目に大きな部族であるが、とうとうカ
ダフィから離脱のようである。東部のアブ・ルライル、ミスラタ部
族は、当初から反体制派であり、カダフィ政権に批判的である。

この東部のアブ・ルライル、ミスラタ部族を欧米は援助している。

リビアを1つの国ではなく、部族連合国家と見て、内戦を見ないと
間違えそうである。

さあ、どうなりますか??
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リビアで政府側と反体制派の衝突が拡大、危機が深刻化
2011年 03月 5日 05:39 JST 

[トリポリ 4日 ロイター] 反体制派による蜂起が続くリビア
で4日、反体制派と政府側による衝突が拡大し、危機が深刻化して
いる。
 首都トリポリのタジュラ地区では、イスラム教の金曜礼拝を終え
た数百人がカダフィ政権終えんを叫びながらモスクから繰り出し、
それを退散させるため武装集団が発砲した。

 西部ではカダフィ政府陣営が、首都近郊のザウィヤ奪還に向け反
体制派を攻撃。住人によると民間人30人が死亡した。ザウィヤは
反体制派が制圧する首都に最も近い領域で、石油精製施設がある。

 また東部では、石油港湾があるラスラヌフ郊外の軍基地を反体制
派が攻撃。カダフィ陣営は砲兵射撃やヘリコプターからの機関銃発
射で応戦した。

 反体制派側の兵士がロイターに対し電話で明らかにしたところに
よると、反体制派がラスラヌフを掌握した。兵士は「ラスラヌフを
完全掌握した。カダフィ側はすべて退散した」と述べた。

 半面、副外相はトリポリで記者団に対し、政府陣営が引き続きラ
スラヌフを掌握していると述べた。

 また、アルジャジーラによると、ベンガジの南にあるZueitinaの
石油施設は攻撃を受け出火し、火が燃え広がっている。
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西部要衝で最大50人死亡か=ベンガジ近郊では爆発―リビア
時事通信 3月5日(土)7時11分配信

 【トリポリ時事】内乱が続くリビアの首都トリポリ西方約50キロ
の要衝ザウィヤで4日起きた最高指導者カダフィ大佐派と反体制勢力
の衝突で、地元住民はロイター通信に対し、30〜50人が死亡したと
語った。国営テレビは、カダフィ大佐側がザウィヤを奪還したと報
じたが、反政府勢力が局所的な抵抗を見せているもようだ
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リビア介入、改めて否定=NATO事務総長
時事通信 3月4日(金)5時23分配信

 【ブリュッセル時事】北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事
務総長は3日の記者会見でリビアへの武力介入の可能性について、「
国連安保理の対リビア制裁決議は武力行使を含んでおらず、NATOは
リビアに介入する考えはない」と述べ、現時点で否定的な考えを改
めて示した。
 同事務総長は「NATOは防衛組織として、あらゆる事態を想定した
計画の立案を進めている」と指摘。ただ、どういう対応を取るにし
ても、安保理決議の枠組みの中で行動すると述べた。
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米英仏がリビアに数百人の軍事顧問団派遣
http://pakobserver.net/detailnews.asp?id=78009
【3月2日 Akhtar Jahmal ? Pakistan Observer】

 アメリカ、イギリス、フランスは反カダフィ勢力を支援し訓練を
施すために数百人に上る「防衛顧問団」を反乱武装勢力が占領した
石油の豊富な東リビアに派遣した。

 この地域のリビア外交官によって確認された特別なレポートによ
れば、この地域で親カダフィ勢力に対する抵抗を続けている反乱勢
力を強化するため、「欧米の三カ国は特殊部隊をシリナシアに上陸
させ、基地と訓練センターを造成しつつある」

 匿名希望のリビア高官は、アメリカ、イギリスの軍事顧問らは、
2月23日から24日の夜に掛けて、アメリカ、フランスの軍艦と小艦艇
で、リビアのベンガジとトブルク港に到着したという。

 欧米のこの勢力は、石油の豊富なこの地帯を効果的に統治し、ト
リポリの親カダフィ勢力による進行に反撃できるようにするために
、リビアの反乱勢力でできている民兵のための訓練基地を造成する
準備をしている。

 その他の報告では、カダフィの支配を完全に根絶できずとも、す
くなくとも制限するためにリビア空軍を「骨抜き」にする試みがな
されているという。



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