3893.エジプト情勢について



エジプト情勢について

Mohamed Hussein Tantawi Solimanが、エジプト軍の司令官であるが
、副大統領のスレイマン氏をも下に見ている。タンタウィ氏が裏で
指揮を取っているはずであるが、ムバラク氏の意向を背にしたスレ
イマン氏が権力を掌握しようとすれば、エジプト軍はクーデターに
出る可能性もある。

軍は、軍評議会でムバラク大統領を事実上の解任にしたが、オバマ
米大統領が、エジプトのムバラク大統領が発表した権限委譲につい
て、「即時かつ有意義で十分なものかどうか明確ではない」と不満
を示したということは、米国はエジプト軍の意向をアナウンスして
いる可能性があり、まだエジプト情勢は流動的である。軍とスレイ
マン氏の間に隙間風が吹いているようにも感じる。

ムスリム同胞団は、9日次期大統領選には候補者を立てないと明言
した。

どうも、米国とムスリム同胞団の取引が出来ているように感じる。
米国がエジプト軍、ムスリム同胞団と自国利益、イスラエルの意向
を組した収拾案を模索している。

しかし、エジプト国民の熱情は、その思惑を乗り越えて激しくなる
可能性があり、まだ予断を許さない情勢である。どちらにしても、
タンタウィ・ソリマン軍司令官の動きを予測するしかない。
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エジプトの反政府運動を見守りたい

From: SUGIURA 
 エジプト情勢はますます「革命」的展開、ロシア革命のような雰
囲気を出し始めた。共産党のような運動を組織化できる勢力が存在
しないままにである。

 これは、ある意味できわめて危険である。南アフリカがアパルト
ヘイト廃止後、白人と黒人の間で内戦の危機を乗り越えられたのは
、卓越した指導者であるマンデラ大統領がいたからである。エジプ
トにはそうした人物が存在しないのである。

 いずれにしろ、どうして日本のマスコミはこうした深刻な国際問
題への具体的な関心を持ち続けられないのか。反政府運動が始まっ
たときは結構報道したのにもう息切れしてしまった。
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現在、エジプト民衆革命はスレイマン副大統領が軍事クーデターの
可能性をほのめかしたりアブルゲイト外相が国軍の介入を発言した
りと一触即発の状態に入りつつあります。一方で、エジプト全土で
数万人の基幹産業労働者が待遇改善と政権打倒を掲げてストライキ
に突入、首相府をデモ隊が包囲するなど革命的な状況に入っていま
す。

 こうした情勢に対して、日本の社会運動が「エジプト革命連帯!
」「軍による流血の弾圧反対!」「エジプト政府による人権侵害即
時中止!」「スレイマン・アブルゲイト発言糾弾!」「エジプト労
働者のストライキ断固支持!」「日本政府は『軍事クーデター』発
言を批判し、ODA中止で軍事弾圧を抑止せよ!」という声をエジプト
大使館、日本政府に対してあげることが決定的に重要です!

 ぜひ、緊急声明をあげるよう提案します。 
  内富@ジュビリー関西
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権限委譲、「不明確」と不満=ムバラク演説で米大統領

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は10日、エジプトのムバラ
ク大統領が発表した権限委譲について、「即時かつ有意義で十分な
ものかどうか明確ではない」と不満を示した。(2011/02/11-10:14)
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ムバラク氏、エジプト副大統領に権限移譲と表明
2011年2月11日7時12分

 【カイロ=貫洞欣寛】エジプトのムバラク大統領は10日夜(日
本時間11日朝)、テレビ演説し、大統領としての権限をスレイマ
ン副大統領に移譲する、と発表した。 

 即時退陣を求めるデモの要求に対し、事実上の辞任に応じた形だ
。ただ、大統領の地位には引き続きとどまる意向を示したため、デ
モ側は強く反発している。 

 エジプトでは30年にわたり強権支配を続けてきたムバラク氏に
対し、即時退陣を求める市民デモが3週間近く続いている。ムバラ
ク氏は「市民の要求は正当である」と述べ、一連のデモの犠牲者と
その家族に哀悼の意を示した。 

 一方、「外国の圧力には屈しない」と述べ、政権の早期移行を求
める米国に反発。「私はこの国で生まれ、この国で死ぬ」と述べ、
国外出国についても否定した。続いて演説したスレイマン副大統領
は、野党勢力との対話を継続すると約束。デモ隊には帰宅し、職場
に戻るよう呼びかけた。 

 退陣要求デモの拠点となっているカイロ中心部タハリール広場で
は、かつてない数の人々が集まってムバラク氏のテレビ演説を待っ
たが、即時辞任でないことを知ると「ムバラク出て行け」の大合唱
となった。権限を移譲されたスレイマン副大統領に対しても、「強
権支配を支えてきた張本人」としてムバラク氏と同時の辞任を求め
る声が相次いだ。11日は金曜礼拝後の大規模デモが計画されてお
り、激化する可能性が高い。 
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大統領選候補者立てない ムスリム同胞団
2011.2.10 08:30サンケイ 

 エジプトの穏健派イスラム原理主義組織、ムスリム同胞団報道官
のエサム・エリアン氏は9日の記者会見で、同胞団が次期大統領選
には候補者を立てないと明言した。各候補の主張を精査し、同胞団
としての対応を決めるという。

 ムバラク大統領が次期大統領選に出馬せず退陣すると表明したこ
とを受けて、政府は8月か9月に行われる大統領選に向けて、立候
補資格を緩和する憲法改正を検討。同胞団はこうした手続きそのも
のを批判している。

 ただ、エリアン氏は将来の政権参加の可能性は排除しなかった。
(共同)
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ムバラク大統領、近く辞任か エジプト軍が最高首脳会議
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2011021001000980_Main.html

 【カイロ共同】エジプトの与党、国民民主党の幹事長は10日、
共同通信に対して、ムバラク大統領が辞任を表明する可能性がある
と述べた。AP通信は10日、軍や与党幹部の話として、ムバラク
大統領が間もなく国民向け演説をすると報じた。中東の衛星テレビ
、アルジャジーラによると、エジプト軍は同日、反政府デモへの対
応を協議する最高首脳会議を緊急開催した。エジプト情勢は重大局
面を迎えた。

 エジプト各地で10日、国営企業やバス、医療など幅広い業種で
賃金引き上げや待遇改善を求めるストライキやデモが拡大した。首
都カイロ中心部のタハリール広場の反政府デモには同日も数万人が
結集。11日にはイスラム教の金曜礼拝後に大規模なデモが再び予
定されており、緊迫している。

 ストが広がれば、社会全体がまひ状態に陥る恐れもある。スレイ
マン副大統領はこうした動きについて「非常に危険で、容認できな
い」と強調。政権側は、これまで中立を維持してきた軍が介入し戒
厳令を布告、デモを強制排除するなど強硬手段に訴える可能性を警
告している。

 8日ごろから始まった労働者のストやデモにはこれまで、国際海
運の大動脈であるスエズ運河関連企業の労働者も参加。鉄道や国営
の電話会社、繊維、鉄鋼会社などに広がってきた。

(初版:2月10日23時36分)
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エジプト大統領、即時辞任しない意向を再度表明:識者こうみる
2011年 02月 11日 10:55 JST

 [カイロ 10日 ロイター] エジプトのムバラク大統領は
10日、国営テレビを通じて演説し、即時辞任しない意向をあらた
めて表明。憲法に基づき、スレイマン副大統領に権限を委譲するこ
とを明らかにした。次期大統領選に出馬しないことを確認し、エジ
プトは平和的な権限委譲に日々向かっていると語った。
 ムバラク大統領のテレビ演説に関する識者の見方は以下の通り。

 ●エジプトは爆発する
 <エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長、ツイッ
ターで>
 エジプトは爆発する。今となっては軍が国を救うしかない。

 ●エジプトの初期の民主主義を心から望む
 <サルコジ仏大統領>
 イランで起きたような別の形の独裁や宗教的独裁ではなく、エジ
プトが民主主義への道を見つけ、時間をかけて体制や理念を作る初
期の民主主義を心から望む。

 ●平和的かつ民主的な方法による相違解決を望む
 <ヘイグ英外相、BBCテレビで>
 われわれはエジプトの大統領と副大統領の発言を詳しく精査して
いる。何の権限が委譲されるのか、どういうことになるのかすぐに
は分からない。この解決策はエジプト国民自身に委ねられなくては
ならない。英国が望むのは、彼らが平和的かつ民主的な方法で相違
点を解決できることだけだ。

 ●内部分裂の可能性も
 <センター・フォー・アメリカン・プログレス(CAP)の中東
専門家、ブライアン・カトリス氏>
 現時点の最も重要な問題は、民衆がどう反応し、軍がどう対処す
るかだ。軍は別のサインを送っているようにも見える。先ほどは、
軍幹部が市民に対し、要求はすべて満たされることになると語った
と報じられた。ムバラクとスレイマンの演説を聞く限り、そうでは
なかったことは明らかだ。内部分裂の可能性もあるように思える。

 ●エジプトにとって悲しい歴史的瞬間
 <米海軍大学院のロバート・スプリングボーグ教授(安全保障問題)>
 非常に挑発的な一歩だ。個人の利益のために国の命運をギャンブ
ルに賭けようとする捨て身の男たちがいる。エジプトにとって、非
常に悲しい歴史的瞬間だ。
 今夜の演説は危機を平和的に終わらせるのではなく、事態を煽る
ことが目的であり、軍に直接統治を押し付けるのを正当化させるも
のだ。

 ムバラク政権がエジプトの未来を放棄しているということを、他
国の政府は明確にしておく必要がある。エジプトは経済危機にある
。救済が必要となるに違いないが、ムバラク氏やスレイマン氏など
現政権の誰かと関係のある軍事政権では救済されないだろう。

 ●軍幹部も事態を把握できていない
 <戦略国際問題研究所(CSIS)のアンソニー・コーズマン氏>
 ムバラク政権下の権力構造のトップにいる軍幹部でさえ、次に何
が起こるか把握できていないことはほぼ間違いない。権限移譲がど
う機能し、誰が去り、誰がとどまり、結果がどう安定するのか、分
かるようになるには時間がかかるだろう。

 ●デモは今後も継続
 <ブルッキングス研究所の中東専門家、スティーブン・グラント氏>
 極めて現実離れしている。デモは続き、民衆は引き続き彼の追放
を要求し、いずれはそれに成功するだろう。



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