3888.日本郵便、危機的



日本郵便は、11年3月期に純損失が500億円と危機的な状況にある。
この原因は、「ゆうパック」遅配の影響で顧客が離れていることに
よる。この当時、西川前社長の甘さとの報道があったが、事故後の
対応に問題があり、特に事故の数週間後にしか記者会見をしない斎
藤次郎社長で大丈夫かと心配したが、どうも、その後にも対応処置
が取られていないように感じる。

もう西川前社長の責任範囲ではない。斉藤社長の行動を見ると、民
間会社の社長のセンスとは違うように思う。これだったら、正直、
西川さんの方がよかったと見えてしまう。

郵政民営化委員会の田中直毅委員長も、郵便事業会社(JP日本郵
便)について「路線ごとの利益を把握していなかったJALに似て
おり、危機的な状況だ」と述べ、経営破綻(はたん)した日本航空
になぞらえて早急な経営立て直しが必要だとの認識を示した。
そして、斉藤社長に対して、「実績が伴わなければ経営責任が問わ
れる」と厳しい。

亀井前大臣の指示で、「非正規社員の正社員化」を進めているが、
コストUP要因になる。このコストUPに見合った経営の合理化・
効率化が必要であるが、1つに、年功序列の給与体系を成果主義に
改めるとした。しかし、郵政組合は反対のはず。民主党政権では無
理がある。もう1つが、新卒採用12年度中止として非正規社員の正
規化を優先するとした。

政治主導の改革は失敗することがこの亀井さんの指示で分かる。

しかし、郵政事業は郵便貯金の預金残高は減少傾向であり、郵便物
は減少し、増加が期待できた「ゆうパック」は遅配のために、取扱
数が減少している。

郵政民営化を元に戻し公社化するという亀井前大臣の野望は、残念
ながら、赤字になったことでできないことになる。国民の税金を郵
政事業につぎ込むことは、この財政状況では無理である。

それより、郵政事業の効率化を図り、民営化した会社として黒字化
させることの方が重要になっている。激動の時代は、経営の良し悪
しで会社は倒産もし、会社は隆盛にもなる。

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「日本郵便、JALに似て危機的」民営化委員長が指摘
2011年2月4日22時6分

 郵政民営化委員会の田中直毅委員長は4日、経営が悪化している
郵便事業会社(JP日本郵便)について「路線ごとの利益を把握し
ていなかったJALに似ており、危機的な状況だ」と述べ、経営破
綻(はたん)した日本航空になぞらえて早急な経営立て直しが必要
だとの認識を示した。 

 郵政民営化の進み具合を点検する委員会はこの日、赤字の一因と
なった昨年7月の「ゆうパック」統合と遅配問題に対して日本郵便
がまとめた経営改善策について、所管する総務省から状況を聴いた。 

 田中氏によると、委員からは月ごとの荷物数や売り上げなどの業
績の把握や情報開示が同業他社に比べて不十分、との指摘が相次い
だ。 

 10年3月末に2269億円だった同社の自己資本が9月末に
1676億円と、約600億円減少していることも問題視され、「
債務超過に陥るおそれもある」との懸念が出たといい、宅配便事業
からの撤退を検討すべきだ、との意見も出た。総務省に対しても
「国民の資産が損なわれているのに、株主である国は国民に代わっ
て厳しく監督する努力を払っていない」として、監督責任を問う声
が上がった。 

 田中氏は「実績が伴わなければ経営責任が問われる」とし、次回
以降、同社の経営陣から事情を聴く考えを示した。 
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日本郵便、年功改め成果主義へ 年500億円削減見込む
2011/1/18(火)

日本郵政グループの郵便事業会社(JP日本郵便)は17日、国営
時代の名残である年功序列の給与体系を民間企業なみの成果主義に
改める意向を労働組合に伝えた。早ければ新年度から導入する。昨
夏の宅配便統合と遅配問題などに伴う業績悪化を受け、人件費の見
直しを検討していた。導入で年間500億円程度のコスト削減効果
を見込む。 

 2007年10月に民営化した日本郵便は、非正規を含め約18
万人の社員を抱えるが、給与体系は現在も旧郵政省時代の年功序列
型がベースになっている。これを改め、基本給に加え、配達の個数
などに応じた歩合制を上乗せする。成果を上げた人は従来より給与
が高まる体系を導入する。 

 日本郵便は、年間約1兆円の人件費を5%程度抑制できるとみて
いる。今月28日までに総務省に提出する経営改善策にも盛り込む
方向だ。 
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日本郵便、新卒採用12年度中止 亀井前大臣の「正社員化」と矛盾
J-CASTニュース 1月12日(水)18時2分配信

 日本郵政グループの郵便事業会社(日本郵便)が2012年度の新卒
採用を中止した。一方で、郵政グループといえば、当時の亀井静香
・郵政改革相の肝いりで「非正規社員の正社員化」が進んでいる。
結局、新卒世代にしわ寄せがいっているだけなのだろうか。

 2011年1月11日、日本郵便は12年度新卒者の採用を全職種(総合職
・一般職)で中止すると発表した。新卒採用中止は8年ぶりで、07年
の民営化後では初めてだ。

■「ゆうパック」遅配による顧客離れが響く

 11年春は約1250人(例年は1300〜1600人程度)が入社するものの
、これが12年春にはゼロになってしまうわけだ。厳しさが指摘され
ている新卒就職戦線への影響が懸念される。

 採用中止の理由は、10年夏の宅配便「ゆうパック」遅配問題を受
けた顧客離れなどにより、11年3月期に純損失が500億円を超える見
込みとなるなど業績が悪化しているためという。

 ほかの日本郵政や郵便局会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険は
、12年度も新卒採用を続ける方針だ。しかし、他社はすべて安泰、
というわけではなさそうだ。

 グループを統括する日本郵政の社長、斎藤次郎・元大蔵事務次官
は11年1月7日、記者会見を開き、給与カットや人員配置見直しの検
討方針を表明した。給与カットの対象となる会社については、報道
各社によってばらつきがあるが、日本経済新聞は、「グループ他社
も含め、経費の大半を占める人件費の削減が不可欠として(略)」
と報じている。

 ちなみに斎藤社長の会見は8か月ぶり、と久々のもので、会見を報
じた朝日新聞は「姿を隠す戦略から窮状を訴える戦略に転換したと
みられる」と皮肉った。

■10年度は前年の4倍8400人を正社員化
 日本郵政グループと人件費というキーワードで思い出されるのは
、10年3月に当時の亀井郵政改革相がぶち上げた「非正規社員の正規
登用」方針だ。規模について「10万人が上限」との見方を示したこ
ともあった。当時、「人にやさしい政治」と評価する向きもあった
が、「『民営化』企業の経営をしばるだけの愚行」との反発もあっ
た。

 同グループは亀井発言前から、勤続年数などの条件を満たした月
給制契約社員について審査の上、正社員化を実施していた(09年は
約2200人が合格)が、10年は対象を時給制契約社員にも広げ、計約
8400人(うち、日本郵便は約6500人)と前年の4倍近い人数が合格し
た。応募者は計約3万4000人だった。

 日本郵政によると、11年度も日本郵便を含め10年度と同様の対象
で正社員登用を募る予定だ。合格者の人数規模は未定で、「人数枠
を最初から決めるものではなく、応募があった中から審査の結果ど
うなるかだ」と説明している。日本郵便が新卒採用をやめる12年度
については、実施するかどうか未定という。


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