メタンハイドレートとは、「燃える氷」とも言われ、天然ガスの主 成分であるメタンが、高圧・低温の海底下や凍土下でシャーベット 状に固まったもの。 1990年代には日本の領海内に、日本で消費される天然ガスの約90年 分に相当する埋蔵量があることが分かった。これは日本が埋蔵量世 界一であることだ。 しかし、ここへ来て、経済環境の変化、豊富な資源量、技術の進歩 の3点で、希望が出てきた。フェーズ1として2008年カナダで行なわ れた実証実験では、従来の石油・天然ガス採掘技術の応用である「 減圧法」による採取に成功。その技術で3月上旬にはロシアのバイカ ル湖で清水建設が、北見工業大学やロシアの研究機関と共同で、湖 底(水深400メートル)の表層面から連続回収する実験に成功するな ど、実用化へ向けて着々と開発が進んでいる。 フェーズ2として、2012年度と2014年度に計画されている 東部南海トラフでの海洋産出試験に向けて試験場所の選定などの準 備を進めている。産出試験では、減圧法の有効性を確認する。 2016年度以降のフェーズ3では、商業化に向けて具体的な調 整に入りたい考え。併せて、環境リスクがどの程度の規模になるの かを見極める。「この技術を完成させ、日本のエネルギー自給率を 高めたい」と研究・開発を進めている石油天然ガス・金属鉱物資源 機構(JOGMEC)メタンハイドレート研究チームの長久保定雄 氏は力を込める。 国は2018年度をメドにメタンハイドレートの実用化技術を確立し、 2019年からは商業生産を開始する方針を打ち出した。