3884.中華人民共和国興亡論・小論



中華人民共和国興亡論・小論 缶中楽器 
   
 中華人民共和国興亡論・小論

1.はじめに

 これから中華人民共和国の興亡について考察する。
  基本的アイディアは”歴史は繰り返す”である。
 まず中華人民共和国の寿命を歴史から帰納的に推測する。
 次に版図拡大を地理的に過去の王朝から類推し、興隆と崩壊過程を推定する。
 今回は清王朝をモデルとする。

2.中華人民共和国は西暦2249年までに滅亡する。

 過去の王朝を総覧すると、中国史では300年が王朝寿命の限界である。
 中華人民共和国の建国は1949年であるから2249年までには中華人民共和国は滅亡する
ことになる。
 ちなみに、同じく共産党独裁国家だったソ連程度の寿命で中国版CIS(独立国家共同体)へ
中華人民共和国が崩壊・移行すると仮定すると、西暦2018年頃である。ベルリンの壁が38度線
(朝鮮半島)となるのは想像に難くない。朝鮮戦争は米中戦争だからである。

3.長期パターンからすると、中国史は分裂時代へ入る。
 
 長期的パターンからすると、中国史は分裂時代へ入る。これは中華人民共和国が
比較的短命であることを意味する。
 中国史の長期的パターンを探るため安直に中国史を「分裂期」「統一期」の二つに分けよう。
 そして400年毎に交互に「分裂期」「統一期」が来ると見立てよう。もちろんぴったりとは実際と
当てはまらない。”2.”で述べた300年限界のせいであるが、100年程度前後する。
 だが面白いことに「分裂期」「統一期」は400プラスマイナス100年で繰り返すのである。
 100年毎の区切りで簡略に見てみよう(かなりザックリと)。
 紀元前200年までの春秋・戦国時代                  =分裂期1
 西暦200年までの前漢・後漢                       =統一期1
 西暦600年までの『三国志』、五胡十六国、隋            =分裂期2
 西暦900(=1000-100)年までの唐                    =統一期2
 西暦1400年までの五代十国。北・南宋、西夏、金、元、北元   =分裂期3
 西暦1900(=1800+100)年までの明、清                 =統一期3
 西暦2100〜2300年までの中華民国、中華人民共和国、蒙古人民共和国、もしかしたら中華人民
共和国から将来独立する自治区、または中華人民共和国内戦後の分裂国家群X,Y,Z,・・・、共産党独裁体制
崩壊後の”中華連邦国”、大統領制導入なら”中華合衆国”?

4.中華人民共和国版図拡大の想定。

 米英がイラクへ侵攻し、イランをも狙っているように、侵略は相手が核武装する前にせねばならない。
 これは核拡散が世界史の潮流だとしたら当然である。
 中華人民共和国が日中戦争の復讐を考えるなら対日戦は急ぐ必要があるかもしれない。北朝鮮が
核を持ち、日本でも核武装論が市民権を得てきている。また、先年度の尖閣事件後米国は尖閣も日米安保
の適用内とした。核の傘をかけ直した訳である。日本が核武装するまで、米国が介入するまで、瀬戸際戦術を
とりながら日本の領土を併呑していくとしたら後どのくらい猶予があるだろうか。
 日米安保は冷戦時代、宗谷・津軽・対馬海峡を守ってきた。日本列島はこれらチョークポイントを守る
「不沈空母」(1983.中曽根首相)であった。米中対決ならマラッカ海峡に焦点が合わさってくるのではないか。
 中国海軍が空母を保有し運用を開始しても米国の制海権が後退するものではない。しかし日本としては
公海の安全を保障するため、米海軍と共に中国海軍と交戦する覚悟は必要となってこよう。
 中国からするとむしろ台湾での”キューバ危機”に備えることが課題となろう。いささか冒険的ではあるが
台湾の大陸反攻能力を引き上げ、独立を強化することは中国への有効な揺さぶりとなろう。中国軍には
台湾上陸・占領作戦の能力はない。核の傘で台湾へのミサイル攻撃・核使用を抑止すれば中国海軍の
台湾封鎖を突破するだけとなる。台湾封鎖を牽制する米原子力空母が中国潜水艦に先制攻撃を受ければ
9.11並みの米国民が死亡する。中国軍が挑発に乗ってくれば真珠湾、9.11に続く米国の自作自演の成功である。
  もっとも米国にとってより良い結果は中国軍部が台湾へミサイル攻撃し、米海軍は中国と交戦しないことである。
 なぜなら米中戦争は核保有国同士なので避けるべきであるし、中国軍のミサイル着弾で台湾国民に死傷者が
出ることにより中台の友好的統一は不可能になるからである。シナリオ上の困難は米国がキューバ危機を
台湾で起こす動機作りである。これこそ米シンクタンクPNACあたりの次の出番かもしれない。アフガニスタン・
イラクを攻めるのに彼らは新たな”真珠湾奇襲”が必要だと考えた。9.11はそのための自作自演、陰謀であったとも
言われる。台湾危機では何が必要であろうか。私は例えば”大韓航空機撃墜事件(1983.9)”であると考える。
 米国国民が旅客であれば中台危機に介入できるであろう。
 ところでソ連成立は1922年であることを思い起こしてみよう。中華人民共和国の成立は1949年。
 計算してみよう。
 1983-1922=61年目。
 1949+61=2010年。
 歴史は繰り返す、なら・・・ 今年は2011年。そろそろなのだ。

 中国のシーパワーに関しては、周辺国の衛星化、属国化はともかく征服はない。米海軍は今後も
公海航行の安全を守る国際的公共財となろう。
 なお、海上自衛隊としては米海軍の作戦に一つクギを差して置いた方がよい。
「海南島に米海兵隊が上陸するのは結構。しかし香港上陸はやめなさい」、と。

 ランドパワーとしての中国の版図拡大を検討しよう。
 まずはチベット、ウイグルへの漢族入植である。歴史的に過去の王朝も侵略しているので順当と
いえよう。諸外国としては人権問題として干渉するしか手はないであろう。
 問題はその後である。ユーラシア大陸で領土を広げるとして、国境を接する国が核保有国、または、
ロシアと対立する破目になる国へはおいそれと侵略できない。これが現代と、元や清の時代とは異なる
点である。結局アフガニスタン侵攻か、ミャンマー併合に向かうのではないか(北朝鮮併合は
米国の衛星国・韓国と直接国境を接することになりよろしくない。)。
 カザフスタン侵略はロシアが反対するであろうし、パキスタンには攻められない。
 アフガニスタン侵攻であれば、イラン・パキスタンの協力を取り付ける構想が立てられよう。
 親中化できるだけでも興味深い戦略条件が実現できる。イラン・アフガニスタン・中国の
反米英同盟が結べれば中国のランドパワーを中東へ投入できる。すなわち中国軍をカスピ海・
黒海・ペルシア湾方面へ展開し易くなる。これは1隻2の空母保有では実現しないことである。
 アフリカ大陸ではリビアと結べれば地中海への足がかりとなろう。中東に目を向けるなら
スーダン・やエチオピアも欲しい。ソマリアもいいだろう。属領にする必要はもちろんない。
軍港・航空基地がもてればそれでいいのだ。
 アフリカ大陸の資源奪取。欧米とのアフリカ大陸
争奪戦で優位に立つためには人権などと七面倒な条件をつけず武器、資金を援助することである。
 成果は上がっているとのことで、かなり有効とか。
 一番面白い戦略はソ連の様にエジプトの後ろ盾になることだ。エジプトを反米・親中国・親イラン
国家にする。シリア・イラクも誘ってイスラエルを包囲する。もしくはリビアを軍事援助してエジプトを
圧迫させる。エジプトはイスラエルとコトを構えないと選択するに違いない。背後が安全であれば
イスラエルは他国と戦争しやすくなる。すると米英など欧米は中東情勢に注力するに違いない。
シリア、イラク、イランとイスラエル近い国から順に交戦させるのがミソとなる。
21世紀の十字軍をペルシア湾に釘付けにし、かつロシアの関心地域に戦火を惹きつける
ためである。ロシアを引っ張り出してイラン以東は安全圏とする。ペルシア湾へ米機動部隊を
集中させれば太平洋方面で優位を築けよう。イランが米英イスラエルに攻撃されても一向に
構わない。石油は武器援助・小麦など食料と引き換えに手に入るからである。イランの核が米英
などに武装解除されても核保有国として中国の地位が高まるだけである。
 金属弾頭弾による全地球的即時攻撃能力の開発で中国が遅れをとることは間違いなく、
中東諸国に米中の代理戦争を画策することは重要性を増してこよう。

 もし中国が世界帝国を目指すとして、興味深い戦略はミャンマーを侵略してベンガル湾へ
抜けることである。よってこのような事態に対してはインドは徹底的に介入する必要がある。
 日本も石油タンカーの航路からして重大な決意が求められる。
 もっとも歴史的に、失敗しそうな予感は誰もが抱くところ。清の様に属国化するのみで済むかも
しれない。ミャンマーに中国軍の軍港があるだけで済むなら日本等、この共産国家と対峙する
国家にはまだ幸いといえる。ミャンマーが中国に編入されるとタイ防衛が難しい。カンボジア・
マレーシアに米軍が(核を含めて?)展開すればいいだけかもしれないが。
 中華人民共和国はどうやってミャンマーを蹂躙したら良いのだろう。比すべき事例はプラハの春
ではないだろうか。

5.未来史歴史年表作図

 清王朝をモデルに中華人民共和国の未来の歴史年表を作図してみよう。
(明や元、唐などでも面白いだろう。残念ながら『三国志』は使えないが、共産党独裁崩壊で内戦
が始まれば可能である。黄巾の乱が『三国志』ファンには待ち遠しい(?)。)

 それでは・・・
西暦2055年   チベットで中国軍、大規模作戦。反乱鎮圧。
西暦2074年   ミャンマーへ侵攻作戦始まる。
西暦2086年   イスラム教徒弾圧。
西暦2095年   ミャンマーと和平成る。ミャンマー属国化完了。アフガニスタン侵攻。
西暦2145年   米英と交戦。以後ロシア等と武力衝突。国際的摩擦増加。
西暦2155年   大規模内乱。
西暦2216年   革命起きる。中華人民共和国解体、滅亡。
西暦2217年〜 CCIS(中華独立国家共同体発足)。台湾に参加呼びかけ。韓国、北朝鮮の
CCIS参加に反対。モンゴル、内モンゴル自治区併合。香港独立、台湾承認宣言。・・・


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