3882.エジプト混乱で世界は



ムバラク大統領の辞任を求めるエジプトの反政府デモは、同国東部
のイスマイリアやスエズなど各地で衝突が続いた。デモの主催者は
、イスラム教の金曜礼拝が行われる28日にも大規模な抗議行動を
呼びかけて、28日のカイロを中心とした大規模なデモには同胞団
メンバーが積極的に加わってきた。伝統的な宗教ネットワークを持
つ同胞団の参加がデモの規模拡大につながった。 

各地で大規模な反政府デモと同胞団の参加で、エジプトのムバラク
大統領は現地時間:29日午前0時10分(日本時間同7時10分
)すぎ、「内閣の全閣僚を更迭する。新内閣はあす発表する」と述
べが、自身の辞任は拒否した。

エジプト政府は、反政府デモ鎮圧のためにカイロ、アレクサンドリ
アなど3都市で夜間外出禁止令を、エジプト全土に拡大した。カイ
ロなどでは、外出禁止令を無視した市民と警官隊との衝突が起きて
警察車両などが炎上している。緊迫した情勢が続いている。 

国際原子力機関(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏が、滞在
先のウィーンから帰国し、カイロ国際空港で「エジプトは危機的状
況にある。政権は人々の声を聞くべきだ。変革は後戻りできない」
などと述べ、ムバラク大統領の退陣を求めるデモを支持した。

ムバラク大統領は、1981年サダト大統領暗殺で、後継大統領に
就任。1982年には国民民主党総裁として、30年近くにわたり、安定
政権を維持してきたが、非常事態令で反体制勢力を排除し、形の上
では複数政党制だが、与党の国民民主党が常に圧勝する体制を築い
た。

しかし、一番力があるイスラム教同胞団を弾圧してきたことで、熱
心な若いイスラム教徒からの反発を招いている。このため、一部若
者はアルカイダなどに走っている。しかし、エジプトの同胞団は穏
健であり、エジプト国民からの支持も高い。

この同胞団がデモに参加すると、米国の民主化要求して、エルバラ
ダイ氏を民主化した後の後継大統領にしようとしても、エジプトは
イスラム勢力が強くなり、同胞団系の大統領になる可能性が高いこ
とになる。

そして、息子のエジプトの次期大統領候補、ガマル・ムバラクが、
家族を挙げてロンドンに脱出したことで、次期大統領にはならない
ことが確定した。

イスラム教勢力が拡大して、トルコやチェニジアなど徐々に非宗教
主義の国家が宗教主義国家になっている。非西洋化の方向である。
このため、米国覇権の基盤が失われることにもなり、イスラエルの
周りに友好国がなくなり、不安定になる可能性もある。

もう1つが、中東地域は石油産出地域でもあり、この地域では独裁
国家が多く、たとえば、サウジなどに飛び火すると大変なことにな
る。日本はこの地域から石油の90%程度を輸入している。

さあ、どうなりますか??

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中東デモ、石油相場に影響も=米エネルギー長官
時事通信 1月29日(土)5時57分配信

 【ワシントン時事】チュー米エネルギー長官は28日の電話会見で
、エジプトなど中東諸国で反体制デモが激化していることに関連し
、中東からの石油供給が著しく混乱すれば、相場に大きな影響が及
ぶとして、「情勢を緊密に監視する」と語った。
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米国株大幅反落、エジプト情勢緊迫でリスク志向後退
2011年 01月 29日 08:37 JST

 [ニューヨーク 28日 ロイター] 28日の米国株式市場は
大幅反落して終了した。エジプトで反政府デモが広がっていること
を受けて、リスクの低い資産へ資金を移す動きが強まった。

 クリスティアナ・バンク・アンド・トラストのポートフォリオマ
ネジャー、トーマス・ニューハイム氏は「市場は不透明要因、特に
地政学的な不透明性を嫌う。週末に(エジプトをめぐる)不透明性
がどうなるかによって来週の相場に影響が出る」と語った。

 この日の下落により、週間ベースでダウ工業株30種は9週間ぶ
りの下落となった。また、S&P総合500種は2カ月ぶりに14
日移動平均を割り込んだ。
ダウ工業株30種は166.13ドル(1.39%)安の1万1823.70ドル。

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外出禁止令、全土に拡大 エジプト反政府デモで 
2011年1月29日2時53分

 【カイロ=貫洞欣寛】エジプト国営テレビによると、エジプト政
府は28日夜、反政府デモ鎮圧のためにカイロ、アレクサンドリア
など3都市で同日発令されていた午後6時から翌朝午前7時までの
夜間外出禁止令を、エジプト全土に拡大した。カイロなどでは、外
出禁止令を無視した市民と警官隊との衝突が起きて警察車両などが
炎上。緊迫した情勢が続いている。 
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エルバラダイ氏帰国、デモ支持 エジプト、ネット遮断も
2011年1月28日12時8分

 【カイロ=北川学】エジプトの民主化を訴える国際原子力機関
(IAEA)前事務局長のエルバラダイ氏が27日夜、滞在先のウ
ィーンから帰国した。同氏はカイロ国際空港で「エジプトは危機的
状況にある。政権は人々の声を聞くべきだ。変革は後戻りできない
」などと述べ、ムバラク大統領の退陣を求めるデモを支持する考え
を改めて強調、自身も参加する意向を表明した。 

 30年にわたって権力の座に座るムバラク氏の退陣を求めるデモ
がエジプト各地に拡大する中、28日にはイスラム教の金曜礼拝後
に大規模な抗議活動が予定されている。民主化指導者として市民の
支持を集めつつあるエルバラダイ氏の帰国で、抗議活動が一層勢い
づく可能性がある。 
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エジプトデモ、最大イスラム団体も動く 政府は幹部拘束
2011年1月29日7時39分

 【カイロ=貫洞欣寛】各地に広がったエジプトの反政府デモで、
最大の野党勢力、ムスリム同胞団の動きが目立ち始めた。これまで
のデモ参加者はネットでつながった若者たちが中心とされてきたが
、28日のデモには同胞団メンバーが積極的に加わったとみられる。
伝統的な宗教ネットワークを持つ同胞団の参加がデモの規模拡大に
つながった。 

 エジプト治安当局は27日夜から28日朝にかけ、同胞団の政治
局員や元国会議員ら幹部少なくとも20人を拘束。さらに各地で末
端活動家の拘束にも乗り出した模様だ。エジプト最大のイスラム団
体である同胞団は、イスラムの伝統的価値観に沿った穏健な社会改
革を求めており、テロによる政権転覆を図るアルカイダなどのイス
ラム過激派を強く批判している。 

 同胞団の活動を支えるのは、貧しい人々への生活支援など幅広い
社会活動を通じた草の根の組織網だ。病院なども独自に経営してお
り、福祉団体としての側面も持っている。エジプトでは憲法で宗教
政党の結成が禁止されているため、「無所属」のかたちで団員を立
候補させる戦略を採り、2005年の総選挙では88議席を獲得し
た。 

 ムバラク政権側の同胞団への警戒心は強く、昨年11月の総選挙
では、治安機関による同胞団系候補の団員らの拘束が相次いだ。同
胞団は選挙戦途中から「政権側に抗議する」として選挙をボイコッ
トし、全議席を失うことになった。結果的に議会は与党・国民民主
党(NDP)がほぼ独占した。 

 エジプトでは各野党や市民団体などは発達しておらず、まともな
大衆組織を持つのは自由に活動できるNDPと、宗教ネットワーク
を通じた草の根組織を持つ同胞団しかないとされる。その同胞団が
議会での足場を失ったことで、政治に今後どう関与していくのかも
注目されていた。 
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エジプト大統領、全閣僚の更迭を表明 テレビで演説
2011年1月29日7時45分

 【カイロ=貫洞欣寛】各地で大規模な反政府デモが続いているエ
ジプトのムバラク大統領は29日午前0時10分(日本時間同7時
10分)すぎ、およそ8分間テレビ演説し、「内閣の全閣僚を更迭
する。新内閣はあす発表する」と述べた。 
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若者の怒りが爆発 言論封殺の代償
2011.1.29 01:35 サンケイ

 【カイロ=大内清】「アラブの盟主」を自任するエジプトで拡大
した反政府デモは、強権支配と引き換えにとりあえずの安定を保っ
てきた長期政権の土台を大きく揺さぶっている。しかし、チュニジ
アの政変に触発されて、既存の体制にノーを突きつける多くの市民
、とりわけ若者の怒りが体制打倒に行き着いたとしても、その後の
受け皿を持たず、爆発したエネルギーがもたらす結果は不透明さを
増している。
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米国務長官、エジプトのデモ禁止を批判 政治改革求める
2011年1月28日1時35分

 【ワシントン=望月洋嗣】クリントン米国務長官は26日、反政
府デモが拡大するエジプトでムバラク政権がデモや抗議集会を禁じ
たことについて「平和的な抗議活動や、ソーシャルメディアを含む
通信を妨害しないよう求める」と述べた。 

 ヨルダン外相との会談後、米国務省で記者団に語った。クリント
ン長官はデモ参加者と政府の双方に暴力の自制を呼びかけるととも
に、「エジプトの人々の集会や表現の自由を含む権利を支持する」
と表明した。エジプト政府に対し、市民の抗議に従って政治、経済
、社会の改革を進めるよう求めた。 
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エジプト反政府デモ続く エルバラダイ氏、退陣促す
2011年1月27日22時52分

 【カイロ=北川学】ムバラク大統領の辞任を求めるエジプトの反
政府デモは発生から3日目の27日、同国東部のイスマイリアやス
エズなど各地で衝突が続いた。デモの主催者は、イスラム教の金曜
礼拝が行われる28日にも大規模な抗議行動を呼びかけており、緊
張が高まっている。 

 また、エジプトの民主化を求める国際原子力機関(IAEA)前
事務局長のエルバラダイ氏は27日、滞在先のウィーンでロイター
通信に「ムバラク氏は30年も国家に尽くした」と述べて退陣を促
し、自らも帰国して28日の抗議行動に加わる意向を明かした。 

 ロイター通信によると、スエズでは27日朝、デモ隊が警官の詰
め所に火を放つなどした。イスマイリアでは600人ほどのデモ隊
と治安部隊が衝突。中東の衛星テレビ、アルジャジーラはこの3日
間で6人が死亡、全国で1200人が拘束されたと伝えた。 

 首都カイロでは、これまでのところ大きな衝突は報じられていな
いが、デモを主催するグループ「4月6日運動」は、28日の金曜
礼拝後に大規模な抗議活動を予定。「フェイスブック」を通じて参
加を呼びかけている。 

 エルバラダイ氏は2005年にノーベル平和賞を受賞し、国内で
も知名度が高まりつつある。国民の反応は未知数だが、大統領選へ
の意欲もにじませており、同氏がムバラク大統領の退陣を口にして
帰国することで、反政府デモが勢いづく可能性もある。 

 一方、27日はイエメンの首都サヌアでも長く政権にとどまるサ
レハ大統領の退陣を求める反政府デモがあり、ロイター通信による
と約1万6千人が参加した。治安部隊との衝突は伝えられていない。 


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