3877.新環境問題とは?



環境問題の捕らえ方が変化している。アメリカでは、シカゴ気候取
引所(CCX)がCO2排出権取引を12月末で中止した。

11月の中間選挙で連邦議会の下院では共和党が過半数を占める結果
となり、民主党が進めてきた環境問題関連法案の可決は事実上困難
になった。このため、カンクン会議でも米国は消極的な対応になっ
ていた。     津田より

0.はじめ
11月の国連の気候変動枠組み条約第17回締約国会合(COP17
)カンクンの会議でも、京都議定書の延長も新議定書もできずに、
CO2排出量を規定する環境問題は、世界的に暗礁に乗り上げてい
る。来年の南アフリカでの会議でも新しい議定書ができる可能性は
小さくなっている。

日本は単純な京都議定書の延長には反対であり、中国・インドや米
国は自国の削減を義務化する新しい議定書には反対というので、両
方の主張が対立しているので、2012年以降は議定書がないこと
になる。

CO2排出権取引で大儲けしているEUは、大量のCO2買い入れ
をする日本が参加しない議定書ではCO2排出権取引が成立しない
ために、日本を引き入れる議定書を作ろうとする。今年の南アの会
議でもEUと日本のつば競り合いが起きることになる。しかしEU
の主張が無理になっている。CO2量が増加したことが温暖化の原
因という根拠がなくなりつつあるためである。

このように環境問題をCO2排出量削減という観点での取り組みは
縮小してくることになる。

世界がCO2量増加による温暖化という気候変動を疑問視し始めた
のは、クライメイトゲート事件であり、イースト・アングリア大学
の気候研究ユニットでIPCCの地球温暖化のグラフを捏造したこ
とを明かすメールが外部にもれた事件である。

この後、気候学者・宇宙学者などは、温暖化の原因は太陽の黒点活
動により温暖化していて、その結果CO2が増加したとか、黒点活
動が不活発になって、今後寒冷化するなどの議論が起きている。

事実、今年の冬は欧州、北米、アジアなど北半球で、記録的な雪や
低温になっている。10年ぶりの大雪を各地で観測している。

このクライメイトゲート事件を日本の新聞は報道しないことで、民
主党政権は、CO2削減を規定する温暖化対策基本法を国会で通し
そうであったが、ねじれ国会で無理になっている。現在、徐々に世
界の動向が、民主党も分かり、排出量取引制度の答えは「慎重に検
討を行う」と事実上の導入の先送りにした。

しかし、この国際的なCO2排出量問題だけが環境問題ではない。

1.新しい環境問題へ
このようにCO2排出量削減という国際的な取り決めで実施する環
境問題は遠のいてきたが、次のより深刻な環境経済問題が押し寄せ
ようとしている。

それは中国、インドなどBRICS諸国の資源消費や食糧消費が大
きくなっているために、資源価格、食糧価格の高騰が起きているこ
とである。今までは、資源・食糧の消費より供給の方が多くて、資
源・食糧価格は低く抑えられていたが、今後需要が増大して、供給
が追いつかないことになる。それとロシアなどは天候不順で小麦が
不作になると、自国民優先になり輸出禁止をするので、国際価格が
その分高騰することになる。

また、中国のように、自国の生産シェアが高いレアメタルを戦略的
な資源として、輸出量を削減したり、輸出する国を選択したりとい
うことを行う。このため、日本などは、製品の生産ができなくなる
という事態が起こる可能性があることになる。

このように工業が欧米日から世界に分散して、世界の国民が豊かに
なるとその人口を支える環境が資源・食糧的にないという問題が出
てくることになる。

このため、資源・食糧価格が高騰して、経済的に弱い国に襲い掛か
ることになる。それがチェニジアの政権が倒れた根本原因である。
チェニジアの政権は腐敗していたが、国民の食糧が確保できていた
ら、政権が倒れることはないが、国民に食糧が行き渡らないと、そ
れが国民暴動が起きる事になり、政権が倒れることになる。

2.アフリカ問題へ
このような経済的に弱い国は、アフリカには多い。また、独裁国家
が多く、その様な国家は、国民運動が軍と結びつくとクーデターに
なり、政権は崩壊することになる。この様な弱い国を中国は援助し
て、資源を得ている。

しかし、今後中国支援のアフリカ諸国が食糧を求めて、欧米寄りに
なる可能性がある。アンゴラなどは中国人労働者が大量に流入して
、自国民の労働者を使わないことで、徐々に中国から離れる方向で
ある。しかし、それを中国は許すのかどうかだ。

軍部の要人にワイロを送り、政権の中国離れを防止するクーデター
を起こす可能性がある。このようなことを行うと中国の本性が明ら
かになると見ている。中国は資源をより高く買うことで、アフリカ
諸国の支持を得てきたが、徐々に国民を豊かにすることが重要と政
権が思い始めると、中国流の自国労働者を大量に送り出す方法は、
反発を食らう可能性がある。

その反発に中国がどう対応するか、中国が本当の経済大国になれる
かどうかの岐路になるはずである。

3.日本はどう対応するか?
今後は、農業問題を解決するとともに、養殖漁業やヤクルト菌やミ
ドリムシのユーグレナなど大量生産が可能な藻類を食糧にすること
や、藻類「オーランチオキトリウム」やススキをバイオ燃料すると
か、メタンハイドレード・電気自動車化など必要な食糧・資源を日
本で生み出すことが必要になっている。

藻類「オーランチオキトリウム」では、日本の現在必要としている
石油量を確保するのに、東京ドーム2つ分の体積で済むという。
このように徐々に資源問題を乗り越える研究が成果を出し始めてい
るのだ。石油が無くなると一番問題なのが、プラスチック製品であ
るが、それも「りぐぱる」という木からできるプタスチック代替品
ができている。

日本は、石油高騰など資源問題に対応する解決方法の研究が、それ
が起こる前に間に合ったようである。後は日本政府が本腰でそれに
取り組みかどうかである。今までの環境問題から新しい環境経済問
題に早くシフトして対応することが重要である。

しかし、政治状況は泥沼である。この状況では超党派で、この経済
環境問題に取り組んでほしいと感じるがどうであろうか??

さあ、どうなりますか??
==============================
京都議定書の延長回避、産業界は評価 日本批判に懸念も
2010年12月11日21時50分

 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)で、日本が反
対していた京都議定書の延長がひとまず避けられたことについて、
産業界では評価する見方が広がっている。ただ、地球温暖化に対す
る先進国の責任を重くみる途上国が、延長論を取り下げたわけでは
ない。来年のCOP17の交渉次第で再燃する可能性がある。低炭
素社会に向け、産業界の温室効果ガス排出削減の姿勢も問われてい
る。 

 1997年に採択された京都議定書では、米国と中国の2大排出
国や、採択後に経済力を増したインドなどが削減義務を負っていな
い。産業界はこうした枠組みでは温暖化に歯止めがかからず、京都
議定書が2013年以降も延長された場合、日本は国際競争で不利
な立場に追い込まれると懸念してきた。 

 日本経団連の米倉弘昌会長は11日夜、「米中を含む方向で次期
枠組みが検討されることは評価できる。京都議定書の延長論にくみ
しない政府の交渉姿勢に敬意を表したい」とするコメントを発表し
た。 

 日本政府の交渉関係者は「COP17に向けて議論は別のステー
ジに進むだろう」とみる。産業界も「すべての主要国の参加による
実効ある枠組み」(電気事業連合会の清水正孝会長)への機運が高
まることを期待する。 

 とはいえ、日本が京都議定書延長の「絶対反対」を唱え続けたこ
とが、議定書の扱いを来年に先送りすることにつながったとの批判
も根強い。13年以降に法的拘束力のない「空白期間」が生じる事
態になれば、批判を一身に浴びるおそれもある。 

 このため、産業界は「京都議定書から離れても、途上国支援など
で世界の温暖化防止に貢献できる」(日本鉄鋼連盟)と強調。経団
連はCOP16の期間中、議長国メキシコの経済団体と会合をもち
、日本の環境技術を普及させることが世界の低炭素化に有効だとし
て、両国経済界の協力関係を深めることで合意した。 

 経団連が6日発表した米倉会長版の将来構想「サンライズ・レポ
ート」では、低炭素型の都市を民間企業主導で開発し、成功事例を
国外に「輸出」する目標を掲げている。 
==============================
COP16:新合意案採択し閉幕へ 途上国支援基金盛る

 【カンクン(メキシコ)足立旬子、國枝すみれ】京都議定書に定
めのない13年以降の地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組
み条約第16回締約国会議(COP16)は最終日の10日、議長
国メキシコが、気候変動がもたらす災害対策などで途上国を支援す
る「グリーン気候基金」の設立などを盛り込んだカンクン合意案を
各国に提示した。先進国と途上国の対立を反映し、注目された温室
効果ガス排出削減の新たな枠組みは先送りしている。今後、各国が
協議し採択する見通しだ。

 案では、09年12月のCOP15の「コペンハーゲン合意」を
踏まえ、途上国と先進国が自主的に提出した排出削減目標や削減計
画に留意するとした。ただし、これらの目標や対策を将来的に法的
拘束力のある枠組みにするかどうかは明記していない。

 また、京都議定書延長について、批准国は引き続き、どの国も削
減義務のない「空白期間」が生じないよう早く結論を出すとしたが
、合意の時期は明記しなかった。さらに、議定書延長に反対する日
本の要請で、13年以降の削減目標に同意しなくて良い権利のある
ことが脚注に書き込まれた。先進国全体では、国連の報告書に基づ
き、温暖化被害を軽減する目安とされる「先進国は20年までに
90年比25〜40%削減する」と盛り込んでいる。

 11月29日に開幕したCOP16で、途上国は引き続き先進国
だけが削減義務を負うよう議定書の枠組み継続を主張。日本などは
世界全体の排出量の約4割を占める中国と米国に削減義務がなく、
すべての主要排出国が参加する新たな国際ルールを作る必要がある
として反対。全体が玉虫色の表現となった。

毎日新聞 12月11日 13時02分
==============================
中国、GDP世界2位へ 前年比10.3%増で日本抜く
2011年1月20日11時13分

 【北京=吉岡桂子】中国国家統計局は20日、2010年の国内
総生産(GDP)が、物価上昇分を除いた実質で前年と比べて
10.3%増えた、と発表した。前年の9.2%を上回り、3年ぶ
りに2けた成長を回復した。10年の名目GDPは39兆7983
億元(約5兆8812億ドル)で、日本を抜き、米国に次いで世界
2位になることが確実になった。日本は1968年に西ドイツ(当
時)を追い抜いて手にした「世界2位の経済大国」の看板を下ろす
ことになる。 

 日本の10年10〜12月のGDPは2月14日まで出ないが、
10年1〜9月段階で、日本と中国は3兆9千億ドル台で横一線に
並んでいた。20日発表された中国の10〜12月が前年同期比
9.8%増と高かったことで、日中逆転となる。国際通貨基金
(IMF)の予測を基にした内閣府の試算では、日本の10年は
5兆4023億ドルとなる。 

 世界銀行によると、中国の11年の実質成長率は8.7%に減速
するものの、世界平均(3.3%)を大きく上回る成長が予測され
ている。 

 IMFは、15年には中国の名目GDPが日本の1.5倍、米国
の半分を超えると予測している。英国の銀行などは、20年には米
国も抜いて世界首位となる、と予測している。 

 ただ、人口で割った1人当たりのGDPをみると、中国は日本の
約10分の1で、順位は世界100位以下になる。貧富の格差や資
源の浪費、公害など成長のひずみも目立つ。 

 中国政府は、いずれも成長の継続を妨げるばかりか、社会不安に
つながりかねないとして、11年からの5カ年計画では、経済成長
と同じペースで家計の増収をはかるとの目標を盛り込むほか、省エ
ネや環境保護への対応も急ぐ方針だ。 

 10年で4倍という急速な「大国化」も、波紋を呼んでいる。軍
事力の増強、地球温暖化ガスの排出問題やレアアース(希土類)の
輸出問題での対応には、日本を含む国際社会から反発も出る。 

 輸出競争力を維持するため人民元の対ドル相場を安く据えおいた
ままにする通貨政策や、石油や穀物を獲得するための買収攻勢は、
新興国との間でも摩擦を生み始めている。 

 中国の名目GDPは20年前、日本の1割強だった。90年代以
降、トウ小平(トウは登におおざと)氏が外資を呼び込み、民間企
業の設立を認めるなど市場経済をとり入れる「改革開放政策」を本
格化させ、成長を軌道に乗せた。 

 01年には世界貿易機関(WTO)に加盟し、日系を含む外資系
企業を引きつけ、輸出力をつけて成長を加速。07年にドイツを抜
き、世界3位となっていた。 

 08年の金融危機後も、景気回復が遅れる先進国を尻目にいち早
く高成長に戻し、途上国への援助だけでなく、経済不安で信用が揺
らぐ欧州の一部の国の国債へ投資するなど、国際政治の舞台でも存
在感を強めている。
==============================
コーヒー、油…身近な品に値上げの波 原材料高騰影響
2011年1月22日13時10分

 食料や資源価格の高騰が、消費者の財布に影響を及ぼし始めた。
まずはコーヒーや食用油、タオルといった商品で、値上げの表明が
相次いでいる。産出国での天候不順や投機マネーの商品市場への流
入に加え、新興国での需要増もあって幅広い原材料が高値圏にある
ためだ。 

 キーコーヒーは、喫茶店向けと家庭用のレギュラーコーヒーの出
荷価格を3月1日に平均15%上げる。味の素ゼネラルフーヅ(A
GF)は2月17日から2品の中身を減らす。価格は据え置くので
実質的な値上げとなる。UCC上島珈琲も値上げの方向だ。 

 日清オイリオグループは1月4日、食用油の出荷価格を平均で
15%ほど引き上げた。J―オイルミルズも1月、スーパー向けの
特売用を15%ほど値上げした。 

 相場の動きが商品価格に波及しやすいコーヒー豆は、ニューヨー
クの先物取引市場で昨年6月ごろから値上がりが目立ち、いまは前
年の1.6倍を超える水準。食用油は、原料となる大豆がシカゴ商
品取引所で、先物価格がこの1年間に約1.5倍になった影響を受
けた。 

 食品以外では、大阪や四国産のタオルで値上げに向けた動きが出
始めた。ドラッグストアなどにガーゼや脱脂綿、綿棒を納めるメー
カーも値上げを検討中。アパレル業界では、秋・冬向けのシャツや
肌着の価格引き上げが取りざたされている。綿花のアジア市場での
平均取引価格は、この1年で約2倍になった。国際価格が史上最高
値の水準になっている。 

 このほか、原油をはじめトウモロコシや砂糖、鉄鉱石、銅といっ
た原材料が高値となっており、今後は食品や家電製品への影響が懸
念される。ブラジルなど資源国自体が成長しており、原材料を国内
に回す。今回の高騰には、そんな新しい側面もある。
(内藤尚志、福山崇) 


コラム目次に戻る
トップページに戻る