3876.実りなき米中首脳会談



今週に行われた米中首脳会談を見よう。   Fより

中国の胡錦濤国家主席が18日、専用機でワシントンに到着し、国
賓として初めての公式訪米を始め、同日夜にはホワイトハウスで、
オバマ大統領との非公式夕食会に招かれた。しかし、ここで米国は
中国を脅したことが明らかになっている。

中国が北朝鮮への圧力を強めなければ、アジアで米軍を増強せざる
を得なくなると警告していたのだ。中国は19日の首脳会談後の共
同声明で、北朝鮮によるウラン濃縮に対して初めて懸念を表明した。
オバマ氏の強い姿勢が、朝鮮半島の安定を最重視する中国の背中を
押した。

このように、少人数で行われた今回の最初の非公式夕食会では、北
朝鮮問題が話題の中心になったという。

この中国の北朝鮮懸念の表明で、南北高級会談を2月上旬の開催と
1月末の予備会談開催を北朝鮮は提案してきた。韓国の要求も入れ
る内容であり、韓国は了承した。

米ホワイトハウスのギブズ大統領報道官も、「韓国が北朝鮮との対
話に十分な確信を持って乗り出す条件が整った」との認識を示した。 

また、米中首脳会談は、オバマ米大統領が人権問題を主要議題に取
り上げ、中国の民主活動家、劉暁波氏の釈放やチベット仏教の最高
指導者、ダライ・ラマ14世との対話を要請した。これに対して、
中国の胡錦濤国家主席は、共同会見で「人権の普遍的な原則を尊重
する」と発言したが、中国外務省が中国主要メディアに対し、「強
調しすぎないように」と報道に自制を求める内部文書を出した。

このため、胡氏の人権関連発言について中国の主要メディアは、ほ
とんど報じていない。このように来年に辞める胡主席のレームダッ
ク化が明確化して、中国の中央政治局宣伝部の力と軍部の力が大き
くなっていることを見せつけた。

また、米中共同声明から、「相互の核心的利益の尊重」という言葉
が消えた。東シナ海や南シナ海での海洋覇権拡大を狙う中国を警戒
する米国が、明記を求めた中国側を押し切った。胡主席は、ワシン
トンで、共同声明後の講演会で、「相互の核心的利益の尊重」は中
国にとって、非常に重要であると述べているが、米国は認めなかっ
た。クリントン国務長官が「G2というのは存在しない。」と胡主
席の訪米前に発言しているが、米国は中国との友好関係を維持しよ
うではないことが明確化したように感じる。

米政府は、航空機大手ボーイングの航空機200機を含む総額
約450億ドル(約3兆7千億円)の米国製品を中国が購入するこ
とで合意したと発表し、また、中国人民銀行(中央銀行)は人民元
の基準値を2005年7月の切り上げ後の最高値としていた。

巨額の対中貿易赤字に対する米国の不満を和らげる狙いだが、中国
は胡主席の訪米では、得るところがなかったようだ。

ドル金融緩和は、世界の流動性や資本の流れに大きな影響を与える
と胡主席は訪問前に発言していたが、その防止は今回の訪米では、
できなかった。また、この胡主席の訪米に合わせて、中国国家統計
局は、2010年の国内総生産(GDP)が、39兆7983億元
(約5兆8812億ドル)で、日本を抜き、米国に次いで世界2位
になったと発表した。

しかし、GDP2位の経済大国の今後の経済国家計画がよく分から
ない。中国は、米国3億人に対して、13億人と4倍の人口を持つ
ので、米国の半分の生活レベルになっても、米国の2倍の規模の経
済になる。

この生活を支えるための資源・エネルギーは現在の世界には無い。
このため、中国の経済発展は、世界に資源不足を起こし、かつ食料
不足を起こすことになる。既に、アフリカでは食糧価格の高騰で政
情が不安定になっている。

しかし、中国は世界から資源をかき集める必要があり、かつその資
源を中国に持って帰ることが必要になる。このような経済は世界経
済の構造が変化することになるし、世界政治が不安定になる。

これへの対応を平時的な方法で行う計画の青写真がないと、世界は
大きな試練に陥ることになる。米国は中国の軍事拡大への対応に対
して、不信感を持っているので、徐々に海軍力を西太平洋に移すこ
とが必要になっている。

これに対して、中国もフィジーなどに海軍基地を設けるなど太平洋
に出てくる方向であり、一層、米中が激突する可能性が増している。

日本も近い将来に起こる資源不足、食料不足などに備える準備をす
ることが重要になっている。

さあ、どうなりますか??

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南北予備会談、韓国が2月中旬開催を提案へ

 【ソウル=仲川高志】北朝鮮の朝鮮中央通信は21日、韓国側に
提案した南北高位級軍事会談(国防相会談)について、北朝鮮の金
永春(キムヨンチュン)人民武力相が20日付の書簡で、2月上旬の
同会談開催と今月末の予備会談開催を提案したと報じた。

 これに対し、韓国国防省報道官は21日午前、予備会談を2月中
旬に開催することを北朝鮮側に提案する方針を明らかにした。

(2011年1月21日11時51分 読売新聞)
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米報道官「南北対話の条件整った」 実務接触の動き評価
2011年1月21日10時36分

 【ワシントン=村山祐介】米ホワイトハウスのギブズ大統領報道
官は20日の会見で、中国が19日の米中共同声明で北朝鮮のウラ
ン濃縮に初めて懸念を示したことで、「韓国が北朝鮮との対話に十
分な確信を持って乗り出す条件が整った」との認識を示した。 

 ギブズ氏は「北朝鮮による攻撃に対して米中の足並みがそろった
ことを韓国に示せた」と強調。北朝鮮が20日に南北軍事高官協議
開催を提案し、韓国が実務接触に応じる検討に入るなどの動きも出
ており、こうした流れを「明らかに前向きなステップ」と評価した。 
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北朝鮮に圧力強めないなら米軍増強 米、中国主席に警告
2011年1月21日13時13分

. 【ワシントン=村山祐介】オバマ米大統領が中国の胡錦濤(フー
・チンタオ)国家主席に対し、18日のホワイトハウスでの非公式
夕食会の際、中国が北朝鮮への圧力を強めなければ、アジアで米軍
を増強せざるを得なくなると警告していたことが分かった。米紙ニ
ューヨーク・タイムズ(電子版)が20日、政府高官の話として報
じた。 

 中国は19日の首脳会談後の共同声明で、北朝鮮によるウラン濃
縮に対して初めて懸念を表明した。オバマ氏の強い姿勢が、朝鮮半
島の安定を最重視する中国の背中を押した可能性がある。 

 オバマ氏は夕食会で、北朝鮮が昨年11月に公開したウラン濃縮
施設が、これまでのプルトニウム型核爆弾製造と長距離弾道ミサイ
ル開発に続く「三つの脅威の一つ」との認識を示し、北朝鮮と関係
が深い中国の協力を得られなければ、米国はアジアでの兵力の再配
置や防衛体制の見直し、北東アジアにおける軍事演習の強化といっ
た長期的な措置をとらざるを得なくなる、と伝えた。米政府当局者
は「先制攻撃を示唆したものではない」と同紙に語ったという。 

 同紙によると、オバマ氏は北朝鮮軍による韓国・大延坪島(テヨ
ンピョンド)砲撃事件後の先月6日、胡主席との電話会談でもこう
した考えを伝達。少人数で行われた今回の夕食会では、北朝鮮問題
が話題の中心になったという。 
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米中首脳会談 「核心的利益」声明に盛らず
産経新聞 1月21日(金)7時59分配信

 【ワシントン=佐々木類】米中首脳会談の直前まで発出が危ぶま
れていた米中共同声明から、「相互の核心的利益の尊重」という言
葉が消えた。東シナ海や南シナ海での海洋覇権拡大を狙う中国を警
戒する米国が、明記を求めた中国側を押し切った形だ。

 今回消えたのは2009年11月のオバマ大統領訪中で出された
共同声明に明記された「米中両国が相互の核心的利益を尊重するこ
とは、両国関係の着実な進展を確かなものにするために極めて重要
だ」という一文で、中国側は「対米外交での大きな勝利」としてい
た。

 核心的利益とは、中国の安全保障問題上、譲歩できない国家利益
のことで、台湾やチベットが主な対象とされてきた。しかし中国側
は昨年春、南シナ海についても「核心的利益」だと米国側に主張し
始め、米国の強い反発を招いていた。

 「核心的利益」が消えた代わりに、声明には両首脳が「(09年
の)共同声明をより強く再確認した」との文言が明記され、中国側
への配慮も示された。

 また、「米国をアジア太平洋の国として中国が歓迎する」という
文言が新たに盛り込まれ、米国のアジアへの関与が鮮明に打ち出さ
れた。
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米中首脳会談 「国民を冷遇」胡氏に“洗礼”
産経新聞 1月21日(金)7時59分配信

 【ワシントン=佐々木類】19日に行われた米中首脳会談は、オ
バマ米大統領が人権問題を主要議題に取り上げ、中国の民主活動家
、劉暁波氏の釈放やチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14
世との対話を要請した。人権問題に関する踏み込んだ姿勢は、対中
強硬派が主要ポストを占める米議会を意識したためとも指摘されて
いる。

 会談後、ホワイトハウスのイーストルーム(東の間)で開かれた
共同記者会見は、一般的な同時通訳ではなく、米国人通訳が英語を
中国語に、中国人通訳が中国語を英語に訳す逐語通訳方式が採用さ
れた。

 「共同会見を嫌がっていた」(米メディア)という中国側の希望
で、会見慣れしていない胡氏が回答する時間を稼ぐ狙いもあったと
みられる。

 「大統領! 国民を冷遇していることで知られる国とどうしたら
協力していけるのか米国民に説明してほしい」

 会見の冒頭、AP通信の記者がこう質問すると、会場の一部に陣
取った中国人記者団が凍り付き、胡氏の顔も引きつった。報道の自
由を掲げる民主国家の“洗礼”だ。

 オバマ氏は、「米国はすべての人々にとって人権が普遍的な権利
であることを再確認した」と強調。国賓である胡氏を横目に見なが
ら、中国が最も嫌がる人権問題でここまで踏み込んだのは異例だ。

 一方の胡氏は、冒頭の人権問題に関する質問に答えなかったこと
を別の米国人記者から指摘された際、「通訳の技術的な問題で質問
が聞こえなかった」と釈明した。

 アジア関係のシンクタンク「プロジェクト2049」のケリー・
カリー上級研究員は「胡氏は2年後に国家主席を退くレームダック
(死に体)状態で、オバマ氏は再選を目指す立場。会談では、その
差が如実に出た」などと語った。
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胡主席の人権発言「強調しすぎるな」 中国、報道に指示
2011年1月21日3時0分

 【ワシントン=峯村健司】中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家
主席が19日の米中首脳会談後の共同会見で「人権の普遍的な原則
を尊重する」と発言したことについて、中国外務省が中国主要メデ
ィアに対し、「強調しすぎないように」と報道に自制を求める内部
文書を出していたことが分かった。中国同行筋が明らかにした。 

 中国では最近、人権や民主主義がどの国にも共通する「普遍的な
価値」であるかどうか、指導部内や世論で激しい論争が起きており
、胡氏が公開の場で明言するのは異例。今回の発言が国内で波紋を
呼び、極端な民主化運動などにつながることを警戒しているものと
みられる。 

 「メディア報道参考内部資料」と題されたこの文書は、首脳会談
直後に中国の主要メディア各社に示された。A4用紙7ページにわ
たり、共同声明の各項目の説明と、報道すべき部分について指示が
書かれている。「成果のみを積極的に報道し、世論を正しく誘導す
る」よう求め、「指示を厳格に守り報道に当たること」という注意
書きもあった。 

 胡氏の人権関連発言について中国の主要メディアは20日、ほと
んど報じていない。会見のテレビ中継はなく、国営新華社通信も国
外向けの英文記事で伝えただけで、国内向けの中国語記事では触れ
なかった。中国で放送されていたNHKの夜のニュースも人権発言
部分で遮断され、画面が真っ暗になった。 
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中国、GDP世界2位へ 前年比10.3%増で日本抜く
2011年1月20日11時13分

 【北京=吉岡桂子】中国国家統計局は20日、2010年の国内
総生産(GDP)が、物価上昇分を除いた実質で前年と比べて
10.3%増えた、と発表した。前年の9.2%を上回り、3年ぶ
りに2けた成長を回復した。10年の名目GDPは39兆7983
億元(約5兆8812億ドル)で、日本を抜き、米国に次いで世界
2位になることが確実になった。日本は1968年に西ドイツ(当
時)を追い抜いて手にした「世界2位の経済大国」の看板を下ろす
ことになる。 
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米中で3兆円超の大型商談成立 中国、航空機200機購入
 【ワシントン共同】米政府は19日、航空機大手ボーイングの航
空機200機を含む総額約450億ドル(約3兆7千億円)の米国
製品を中国が購入することで合意したと発表した。胡錦濤中国国家
主席の公式訪米に合わせた大型商談は、巨額の対中貿易赤字に対す
る米国の不満を和らげる狙いがある。

 米国は中国に対し、さらなる人民元相場の切り上げを求めるなど
、貿易不均衡是正は首脳会談の主要議題になっていた。米側も「約
23万5千人の雇用が維持される」と歓迎する考えを表明した。

 商談は自動車部品や農業、機械、化学などに及ぶ。米電機・金融
大手ゼネラル・エレクトリック(GE)と中国企業による合弁会社
設立など、米企業は計32億ドルの対中出資契約にも署名した。

2011/01/20 07:08 【共同通信】
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人民元の対ドル基準値は1ドル6.5885元、切り上げ後の最高値
    =人民銀行2011年1月19日10時45分

 [上海 19日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)は19
日の人民元の基準値を1ドル=6.5885元と発表した。2005
年7月の切り上げ後の最高値となる。 

 前営業日の基準値は6.5891元。市場終値は6.5829元
だった。 

 人民元の対ドルでの1日の許容変動幅は、基準値の上下0.5%。 
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中国の胡主席が米国入り さっそくオバマ大統領と夕食会
2011年1月19日10時17分

 【ワシントン=峯村健司、村山祐介】中国の胡錦濤(フー・チン
タオ)国家主席が18日、専用機でワシントン近郊のアンドリュー
ス空軍基地に到着し、国賓として初めての公式訪米を始めた。同基
地ではバイデン副大統領が出迎えた。同日夜にはホワイトハウスで
オバマ大統領との非公式夕食会に参加。米国が中国の国家主席を国
賓として迎えるのは1997年の江沢民氏以来。 

 胡主席は今回の訪問について「オバマ大統領との相互信頼を増進
させ、重大な国際問題について突っ込んだ議論ができることを期待
する」との声明を発表した。北朝鮮の核問題や、人民元の切り上げ
問題などについて意見交換をするものとみられる。 

 ドニロン大統領補佐官(国家安全保障担当)によると、非公式夕
食会はホワイトハウス居住棟のダイニングルームで行われ、米側は
オバマ大統領とクリントン国務長官、ドニロン氏の3人のみ、中国
側も胡主席と側近数人のみが参加する「異例に小規模」な形式を選
んだ。今後10〜20年にわたる長期的な米中関係のあり方につい
て「通例よりかなりくだけた雰囲気で、率直に意見を交わす機会」
(ドニロン氏)とするのが狙いという。 
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ドル基軸の体制「過去の産物」 中国の胡主席、米紙に
2011年1月17日11時47分

 【ワシントン=尾形聡彦、村山祐介】胡錦濤(フー・チンタオ)
中国国家主席は18日からの訪米を前に、米ウォールストリート・
ジャーナル紙とワシントン・ポスト紙の書面インタビューに応じた。
胡主席は、ドルを基軸通貨とする現在の国際通貨体制を「過去の産
物」とし、新たな通貨体制を構築する必要性を示唆した。北朝鮮問
題については、南北朝鮮の対話を呼びかけた。 

 胡主席は米国の金融政策について、「世界の流動性や資本の流れ
に大きな影響を与える。米ドルの流動性は、合理的かつ安定的な水
準に保たれるべきだ」と述べ、米連邦準備制度理事会(FRB)が
昨年11月に実施した大規模な追加緩和に不満を示した。 

 一方、中国・人民元の将来については、「人民元を国際的な通貨
にするのは、かなり長い過程になる」とした。 
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「G2はない」クリントン国務長官演説 対中圧力路線を象徴  
2011.1.15 19:26サンケイ

 【ワシントン=佐々木類】14日に行われたクリントン米国務長
官の対中演説は、米中両国の協調的な関係発展の重要性を訴える一
方で、日本や韓国との同盟を強調するなど、融和路線から圧力路線
にシフトしつつある米政府の対中姿勢を象徴する内容となった。

 「(米中2国による指導的な枠組みである)G2というのは存在
しない。米国には日本、韓国、タイ、豪州、フィリピンという強固
な同盟国がある」




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