3847.中国の成長モデルは持続不可能



中国の著名なエコノミストで前中国社会科学院世界経済政治研究所
所長(1998-2009)である余永定氏の発言である。  Fより

中国が1人当りGDP3800ドルで、日本は39000ドルであり、10分の1
であるが、10億人という人口から米国の1年間石油消費量以上の石
油を消費しているし、いろいろな資源・食料をどんどん消費してい
る。このため、世界最大のとうもろこし生産国でありながら、とう
もろこしも輸入に転じている。

しかし、米国の1人当たりのGDPは46000ドルであり、中国はまだ
11分の1の状態で、今後も発展する中国の資源・食料消費は拡大する
ことになる。S&Pは、中国の長期国債の格付けを「Aプラス」か
ら「AAマイナス」に1段階引き上げたように、中国の発展は確実
視している。

このため、中国は資源確保に余念がない。中国最大手の国有石油会
社・中国石油化工集団は、米石油大手オキシデンタル・ペトロリア
ムのアルゼンチンの石油・ガス資産を24億5千万ドルですべて買
収したと発表した。同集団傘下の中国石油化工(シノペック)の今
年9月までの取引額は前年比59.8%増の1500億ドルに達し
ており、中国のほかの2つの大手国有石油会社と手を組んで、世界
石油の新たな配分図を構築することを目論んでいる。しかし、それ
は自国消費分を確保するだけで、世界で確保した石油を他国に供給
する余裕はない。

アジア最大手の石油会社でもある中国石油化工集団は、世界各地か
ら油田を買収し、グローバル戦略を展開している。同社は今年、世
界中から388億ドルの資産を買収しており、収益は11.5%増
の84億ドルに上っている。

一方、中国商務省は輸出関税の引き上げを通知したレアアース(希
土類)の一種、ネオジムに加え、これまで非課税だったセリウムや
ランタンなどにも来年から25%の輸出関税を課すと業界に通知し
た。中国の資源は他国には出さないことにシフトしている。

このように13億人が豊かになると、世界の資源を中国は必要とな
るが、残念ながら、中国人全員が満足できる量の資源は世界に存在
しない。このため、食料も資源も価格が上昇して、インフレになる。

しかし、中国など新興国以外は、現時点不況であり、価格を上昇で
きないために、中国だけがインフレになるが、しかし、それ以上の
原因もある。

中国の最新統計資料によると、今年10月における野菜価格は前年
同期比で31%増、果物価格は17.7%増、11月の住民消費価
格指数は5.1%増と、いずれも25カ月ぶりの「高水準」を記録
しているという。インフレが非常な勢いで中国を駆け巡っている。

 中国政府の統計によると、2009年末時点で33兆5400億
元に達した中国GDP規模は1978年の3645億2000万元
の約92倍だが、広義マネーサプライ(M2)は1978年の
859億4500万元から09年の60兆6千億元と、31年間で
約705倍に膨らんだ。金融緩和で、資金が大量に供給されている。

 つまりこの31年間で、経済の規模が92倍に増大したのに対し
て、供給された通貨、すなわち札の量は、経済規模の増大の約8倍
に膨らんだわけである。

このため、中国共産党と国務院(政府)の「中央経済工作会議」が
12日に閉幕し、緩和的な金融政策を2011年は引き締め方向に
転換することを正式に決めた。これを受けて、中国人民銀行(中央
銀行)は、金融機関の預金準備率を20日から0・5%引き上げる
と発表した。引上げ後の預金準備率は18・5%と過去最高を更新
し、新たに約3000億元(3兆8000億円)の資金が吸収され
る。

もう1つが、ドルペッグ制を取っているために、相対的に中国の商
品は安いために、中国の貿易黒字は今年も高水準で、欧米から新興
国まで各国との貿易摩擦が多発。このため、輸入促進に向けた全国
規模の「輸入工作会議」を開くが、経済問題だけではなく領土問題
も中国のモデルに暗い影がさせている。

中国国家が発展してきて、中国ナシュナリズムも台頭して、「平和
的台頭」という中国のうたい文句に新たな汚点を残した。中国政府
は近隣諸国とのさまざまの領土問題に巻き込まれた。また、政府に
反対する者に対し、手厳しい表現を用いるようにもなっている。こ
れは軍部・保守派が力を持ってきたことによる。

この意向を大して、ASEAN会議で楊潔チ外相が、南シナ海での
領土紛争の解決交渉の助けとして米国の関与を望む中小東南アジア
諸国に対し、「中国は大国であり、ほかの諸国は小国である。それ
は単なる事実だ」と不吉にも念押しした。中国指導部は、9月の中
国漁船衝突事故にからみ日本を厳しく非難しただけでなく、今月10
日の劉暁波氏へのノーベル平和賞授賞式への中国政府の対応ぶりに
穏やかに異を唱えた者も罵倒した。オスロでの授賞式に出席しない
よう一部の国々に圧力をかけた。 

いろいろな問題が、2011年に向けて中国の成長モデルは持続不
可能なことを証明しそうな予感がする。

さあ、どうなりますか?
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中国、輸入促進へ初の「工作会議」 全国規模で輸入奨励
2010年12月24日0時38分

 【北京=吉岡桂子】中国商務省は2011年に初めて、輸入促進
に向けた全国規模の「輸入工作会議」を開く。商務省が主管する中
国紙国際商報が23日、同省幹部の発言として伝えた。中国の貿易
黒字は今年も高水準で、欧米から新興国まで各国との貿易摩擦が多
発。対外的に輸入奨励の姿勢を示す狙いもある。 

 同紙によると、輸入にあたっての保険といった金融面での優遇政
策などを整備する。重点は新エネルギー、素材、環境・省エネ、バ
イオ、鉄道、航空などの分野で、先端設備や部品の輸入に特に力を
入れる。中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶ東南アジア諸国連合
(ASEAN)や米国など対中赤字の多い国などを念頭においてい
る。 

 中国の貿易黒字は1〜11月で1704億ドル。中国は今年上半
期、世界貿易機関(WTO)加盟の19カ国から69件の反ダンピ
ング(不当廉売)調査の対象とされた。その数は通年で16年続け
て世界トップを維持しそうだという。 
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オピニオン】中国の国家的不安
ジョン・リー
2010年 12月 22日 16:51 JST 
WSJ
 ここ一年間に起きた数々の出来事は、「平和的台頭」という中国
のうたい文句に新たな汚点を残してきた。中国政府は近隣諸国との
さまざまの領土問題に巻き込まれている。また、政府に反対する者
に対し、手厳しい表現を用いるようにもなっている。 

 7月の東南アジア諸国連合(ASEAN)会議では、楊潔チ外相
が、南シナ海での領土紛争の解決交渉の助けとして米国の関与を望
む中小東南アジア諸国に対し、「中国は大国であり、ほかの諸国は
小国である。それは単なる事実だ」と不吉にも念押しした。中国指
導部は、9月の中国漁船衝突事故にからみ日本を厳しく非難しただ
けでなく、今月10日の劉暁波氏へのノーベル平和賞授賞式への中国
政府の対応ぶりに穏やかに異を唱えた者も罵倒した。オスロでの授
賞式に出席しないよう一部の国々に圧力をかけた節まである。 

人権活動家の陳光誠氏
 多くの中国ウォッチャーや外国当局者は、中国政府が、非政府組
織のノーベル賞委員会の判断にこれほど猛烈に反応することで、15
年間にわたる「微笑外交」で培ったものを台無しにする気でいるこ
とにあぜんとした。その一方で中国は、1978年に共産主義的イデオ
ロギーを破棄し、東アジアや欧米の最も成功を収めている経済政策
を選択・採用するという経済的プラグマティズムを採ったことで、
世界的に称賛されている。とはいえ、諸外国との30年にわたる経済
的接触とは裏腹な、中国政府の逆上的な反応ぶりは、中国共産党が
依然、きわめて不安定かつ偏執的でさえある体制であることを物語
っている。 
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空虚マネー…中国、水増し経済成長の悲惨な行く末 
2010.12.16 09:02サンケイ

 中国では今、食料品を中心に物価の急速な上昇が深刻な問題とな
っている。最新統計資料によると、今年10月における野菜価格は
前年同期比で31%増、果物価格は17.7%増、11月の住民消
費価格指数は5.1%増と、いずれも25カ月ぶりの「高水準」を
記録しているという。

 インフレの高進がそれほど深刻なのはなぜか。最近、中国人民銀
行(中央銀行)の元副総裁で、現在全国人民代表大会財政経済委員
会の呉暁霊副主任の口から実に興味深い発言があった。彼女いわく
、「過去30年間、われわれはマネーサプライ(通貨供給量)を急
増させることで経済の急速な発展を推し進めてきた」という。

 実はこの発言こそ、中国が直面しているインフレ問題の根本的原
因と、今までの中国経済成長の「秘訣(ひけつ)」の両方を明かし
ている。

 そう、中国は今までの30年間、まさに「通貨の過剰供給」、す
なわち札の乱発によって「経済の急速な発展」を無理やりに維持し
てきた。そして、無理したツケは、今のインフレ問題となって回っ
てきているわけである。

 中国政府の統計によると、2009年末時点で33兆5400億
元に達した中国GDP規模は1978年の3645億2000万元
の約92倍だが、広義マネーサプライ(M2)は1978年の
859億4500万元から09年の60兆6千億元と、31年間で
約705倍に膨らんだ。

 つまりこの31年間で、経済の規模が92倍に増大したのに対し
て、供給された通貨、すなわち札の量は、経済規模の増大の約8倍
に膨らんだわけである。

 今までの中国の経済成長はまさに札の乱発によって作り出された
水増しの経済成長であることが分かるが、すさまじいインフレがそ
こから生じてくるのも当然の結果であろう。実体経済の裏付けのな
い「空虚のマネー」がそれほどに乱発されると、当然、貨幣の価値
が大幅に落ちてしまうことになる。それがインフレ、物価の上昇と
なって表れてくるのである。

 そういう意味で、中国のインフレはそう簡単に収まりそうもない。
過去30年のツケが回ってきたわけだから、それを時間をかけて払
わなければならない。インフレはこれからも、かなり長い期間にわ
たって中国全土を席巻することになるだろう。

 こうした中で、いかにしてインフレの高進に対処するのかは中国
政府にとっての緊急課題となりつつある。中国人民銀行は10月に
2年10カ月ぶりとなる利上げを実施し、11月に預金準備率を過
去最高水準に引き上げたのもまさにインフレ退治策の一環であるが
、12月3日、中国共産党は政治局会議を開き、「適度に緩和的」
だった金融政策を「穏健的(慎重)」に変更すると決めたことも注
目すべきであろう。

 中国指導部はそれで、インフレ退治のための金融引き締め策へ転
じるそぶりを見せはじめているが、彼らには依然、思い切った金融
引き締めへ舵(かじ)を切る覚悟ができていない。本欄がかねて指
摘しているように、本格的な金融引き締め策を採ってしまうと、そ
の副作用として不動産バブルの崩壊と経済の急落が避けられない。
インフレの高進を恐れているのと同じ程度に、中国政府は経済の急
落も非常に危惧している。

 中国政府がこの深刻なジレンマからどう脱出するのかが「お手並
み拝見」である。少なくとも、今まで30年間、貨幣の過剰供給に
よって支えられてきた高度成長が終焉(しゅうえん)を迎えること
は確実ではないだろうか。
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中国石油化工集団、世界の油田を買い込む 石油再配分への野望

 【大紀元日本12月17日】中国最大手の国有石油会社・中国石油化
工集団は10日、米石油大手オキシデンタル・ペトロリアムのアル
ゼンチンの石油・ガス資産を24億5千万ドルですべて買収したと
発表した。同集団傘下の中国石油化工(シノペック)の今年9月ま
での取引額は前年比59.8%増の1500億ドルに達しており、
中国のほかの2つの大手国有石油会社と手を組んで、世界石油の新
たな配分図を構築することを目論んでいると、13日付のフランス
の主要経済紙トリビューヌ(La Tribune)が報じた。

 中国は、経済の発展に伴い、エネルギーへの需要も年々膨らんで
きている。そんな中、アジア最大手の石油会社でもある中国石油化
工集団は、世界各地から油田を買収し、グローバル戦略を展開して
いる。同社は今年、世界中から388億ドルの資産を買収しており
、収益は11.5%増の84億ドルに上っている。

 今回、中国石油化工集団がアルゼンチンと調印した契約には、日
量5万1千バレルの22鉱区の生産権が含まれる。また同じ南米で
10月に、スペインの石油会社レプソルYPFのブラジル部門に71億
ドルを出資し、持ち分は同部門の40%となったという。

 中国石油化工集団の油田買収は2004年ころから加速しており
、現在は世界20カ国で業務展開をしている。昨年、同集団は75
億6千万ドルで、スイスに本部を置く石油会社アダックス石油の全
株を買い取り、中国企業として海外企業買収の最高額を記録した。
この取引きにより、中国石油化工集団はアダックス石油が所有した
ナイジェリア、ガボン、イラクなどの油田を手にした。
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中国、レアアース課税拡大 セリウムやランタンなども
 【北京共同】中国商務省が、輸出関税の引き上げを通知したレア
アース(希土類)の一種、ネオジムに加え、これまで非課税だった
セリウムやランタンなどにも来年から25%の輸出関税を課すと業
界に通知したことが16日、新たに分かった。日本の商社関係者が
明らかにした。

 中国は2010年のレアアースの輸出枠を前年比で40%減らし
、11年も削減するとみられる中で、さらなる供給減につながる輸
出関税を課す動きが広がり、日本の自動車、電機メーカーに影響が
及ぶのは必至だ。

 セリウムは液晶テレビのガラス基板やレンズの研磨剤として、ラ
ンタンはカメラレンズの材料に使われる。
2010/12/16 23:54 【共同通信
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中国の国債、1段階格上げ S&P
2010年12月17日7時23分

 【ニューヨーク=山川一基】米格付け会社スタンダード・アンド
・プアーズ(S&P)は16日、中国の長期国債の格付けを「Aプ
ラス」から「AAマイナス」に1段階引き上げたと発表した。見通
しは「安定的」としている。 

 中国の経済、金融の安定性が向上したことを理由に挙げている。
「将来、金融不安が起きても中国金融当局が適切な処置をとると見
込まれる」とも指摘した。構造改革が成功すればさらに格上げする
可能性もあるという。 

 香港の長期格付けも「AAプラス」から最上級の「AAA」に1
段階引き上げた。
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中国、金融政策を引き締め方向に転換へ

 【北京=幸内康】中国共産党と国務院(政府)が北京で10日か
ら開いていた「中央経済工作会議」が12日に閉幕し、緩和的な金
融政策を2011年は引き締め方向に転換することを正式に決めた。
国営の新華社通信が伝えた。

 2008年秋のリーマン・ショック後の金融危機に対応するため
に「適度に緩和的」だった金融政策を、11年はインフレを抑える
ために平時の「穏健な」政策に戻す「出口戦略」を本格化させる。

 会議ではインフレ抑制について、消費者物価指数(CPI)の前
年同月に比べた上昇率が11月に5・1%に達したことなどを念頭
に、「物価安定を最優先する」方針を表明した。「穏健な金融政策
」が意味する中立的なスタンスに向け、今後、10月に次ぐ金利の
再引き上げや銀行に対する融資規制など、中国政府が打ち出す政策
が注目される。

(2010年12月13日11時08分 読売新聞)
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中国人民銀:預金準備率引き上げへ 18.5%に
 【北京・共同】中国人民銀行(中央銀行)は10日、金融機関の
預金準備率を20日から0・5%引き上げると発表した。人民銀行
は預金準備率を11月に2度引き上げたばかり。市中に出回る資金
を吸収する効果があり、インフレ抑制に向け金融引き締めへの姿勢
を強く打ち出した。

 新華社によると、引き上げ後の預金準備率は18・5%と過去最
高を更新し、新たに約3000億元(3兆8000億円)の資金が
吸収される。

毎日新聞 2010年12月11日 東京朝刊
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A different road forward 
By Yu Yongding (China Daily) 
2010-12-23 14:27 chinadaily.com.cn

Painful adjustments needed to sustain advancement in the face 
of anemic innovation, slow tech upgrades and social tensions 

China's per-capita income, at $3,800, has surpassed 
the threshold for a middle-income country. 

But even as economists and strategists busily extrapolate 
its future growth path to predict when it will catch up to the United States, 
the mood in China became somber and subdued in 2010. 
Indeed, Premier Wen Jiabao sees China's growth as 
"unstable, unbalanced, uncoordinated and ultimately unsustainable". 

Economic growth, of course, has never been linear in any country. 

Throughout history, there are countless examples 
of middle-income countries becoming stuck in that category 
for decades or eventually falling back to low-income status. 
The Nobel laureate economist Michael Spence has pointed out 
that after WWII, only a handful of countries were able to grow 
to a fully industrialized level of development. 

China's progress over the past three decades is a successful variation 
on the East Asian growth model that stems from the initial conditions created 
by a planned socialist economy. That growth pattern has now almost exhausted 
its potential. So China has reached a crucial juncture: 
without painful structural adjustments, 
the momentum of its economic growth could suddenly be lost. 



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