3843.ユーロは体制強化ができるのか?



ユーロ危機については、NO.3817とp0111「再度のEU
金融危機」のコラムで記述したが、再度、この問題を取り上げる。

米国の金融緩和で、必需品のインフレになり米国の中心産業のヘッ
ジファンドが利益を確保し、かつ新興国の外需で米国の食料・資源
などの必需品輸出が活性化し、その上にブッシュ減税の効果で米国
経済は徐々に持ち直している。

新興国も大量の資金が流れ込み、活況の状態が続いているが、大幅
なインフレで、今後はどうなるかわからないが、現時点は非常にう
まくいっている。この中で朝鮮危機のような戦争危機以外では、
EUの金融危機が世界経済で一番問題である。このユーロ危機では
EU内ではドイツだけが得し、EUの他国は損をする構造である。

ドイツはユーロが自国通貨にした時に比べて、通貨価値が低く抑え
られるために輸出競争力を強めることができることで大きなメリッ
トがある。しかし、経済力が弱い国は、自国通貨に比べて通貨価値
が高くなり、経済力を高めることが出来ず、経済危機の調整手段が
ないことになる。

ところが、ユーロ諸国の国債デフォルト危機がEU全体に波及して
いるが、その危機を止めることができるドイツが資金供出を渋ると
いう状態が続いている。この危機でユーロは低く抑えられているの
で、ドイツのメルケン・マジックと見たが、メルケン首相の自国利
益中心の考え方であると、ユーロ全体が危機に陥るユーロ・ジレン
マになりそうである。
            津田より

0.アイルランドの状態
11月上旬にアイルランド国債の金利が上昇して、ユーロ諸国の国
債危機になる。そして、アイルランドの大手銀アライド・アイリッ
シュ銀行は11月19日、今年初めから今月16日までに、顧客預金が130
億ユーロ(約1兆4800億円)減少したと発表した。このようにアイル
ランドから資金が流出していることが分かった。

このため、ドイツと英国がEU会議で支援を仕掛けたが、当初アイ
ルランド政府は拒否していたが、資金流出が明確になり、アイルラ
ンドのカウエン首相もEUとIMFからの救済を求めた。

そして、アイルランド政府は、2011年から4年間の財政再建策
を発表した。現行21%の付加価値税(消費税)率を23%に引き
上げ、公務員を約2万5千人削減することで、国内総生産(GDP
)の9%にあたる150億ユーロ(1兆7千億円)を圧縮する。 
これにより、財政赤字のGDP比は、今年は32%になるが、14
年に3%以内に抑える。

2011年予算案としては、支出削減と増税で60億ユーロ(6600億
円)の財政赤字削減を盛り込んでいる。

そして、この予算案が成立したら、下院(定数166)を解散し、
来年初頭にも総選挙を実施し、国民に信を問う考えだという。

EUは、アイルランドに対しIMFと合同で最大850億ユーロ(
約9兆4千億円)の金融支援を実施することで合意した。今年5月
のギリシャ救済で7500億ユーロの基金を設けたが、この基金から拠
出する。この支援の850億ユーロのうち、350億ユーロは銀行
部門支援、500億ユーロは向こう3年間にわたるアイルランドの
借入コストの支援に充てられる。

しかし、国際通貨基金(IMF)は、アイルランドが緊急融資の返
済能力に影響を及ぼす可能性のある深刻なリスクに直面しており、
2015年までに財政赤字を対国内総生産(GDP)比3%に削減
することは困難との見方を示した。この結果を受けて、ムーディー
ズはアイルランドの格付けを「Aa2」から「Baa1」に引き下
げた。また見通しも「ネガティブ」とした。

このような中に、財政再建中のギリシャで12月15日、官民2大労組
が政府の財政緊縮策に反対して24時間の一斉ストライキを行った。
大幅な緊縮財政は、公務員に大きな犠牲を強いることになる。

参考資料:
3817.再度のEU金融危機
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/221121.htm

1.EUの対策
ヨーロッパのソブリン危機の伝染が大まかに言って以下の流れでド
ミノ倒しとなる可能性がある。

ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス

そして、ポルトガルもEUに支援を求めることにした。ドミノは、
3ケ国まで進行している。

欧州では2012-13年に「第2のデフォルト(債務不履行)の波」が
押し寄せる可能性があると、米格付け会社スタンダード・アンド・
プアーズ(S&P)が発表した。ソブリン危機のほかに、レバレッ
ジド・バイアウト(LBO)向け融資が危ないという。 

ギリシャとアイルランドは比較的経済規模の小さな国であるが、ス
ペインがドミノ倒しとなれば問題は大きいなり、総額7500億ユーロ
(83兆円)の救済資金「欧州金融安定制度(EFSF)」では足り
ないことになる。

このため、欧州連合(EU)は12月16日、ブリュッセルで開いた首
脳会議で、EU基本条約に限定的な改正を加え、財政危機に陥った
ユーロ導入国の支援に向け、2013年半ばまでに欧州版「国際通
貨基金(IMF)」と称される常設枠組みを創設することを正式決
定し、「一加盟国の金融上の混乱が、さまざまな経路を通じてEU
全体のマクロ的な金融政安定を急速に脅かし得ることが、最近の出
来事により明らかとなった」とした。

 欧州版IMFの正式名称は「欧州安定メカニズム(ESM)」と
なり救済資金「欧州金融安定制度(EFSF)」を引継ぐ。

しかし、現行基金の上積みや、ユーロ圏諸国による共通債券(欧州
共通債)発行など、抜本的な対策の導入については合意できなかっ
た。抜本策が先送りされたのは、欧州最大の経済大国・ドイツが、
自国の負担増につながる政策に反対したため。

メルケル独首相は、「まだ、(基金の)10%をアイルランドに使
ったにすぎない」と、増額に消極的な考えを示した。また、ドイツ
の主張で「ユーロ全体の安定のため不可欠と判断された場合のみ」
発動するとESM創設に向け条項を追加した。

このため、バークレイズは「市場を安心させる機会を再び逃した」
とした。

IMFのストロスカーン専務理事は、スペインは外部支援を受けず
して欧州債務危機の最悪期を脱することができると述べた。しかし
、反対にスペイン危機でEU支援が必要になったら、欧州金融危機
は大変なことになるということだ。

このため、資金不足の場合に期待されるのが、欧州中央銀行(EC
B)の役割である。

2.ECBへ期待
ドイツが資金拠出を反対し続ける限り、債務危機の沈静化に向けた
闘いの負担のほとんどを欧州中央銀行(ECB)が背負うことにな
る。このため、欧州中央銀行(ECB)は12月16日の定例理事会で
、ユーロ危機に対応するため、自己資本を現行の約2倍の107億
6000万ユーロ(約1兆2000億円)に増強することを決めた。

ドイツ政府当局者も12月14日、ECBが資本金増強を要請した場合
、政府としてそれを支持すると発言したことで、ECBにむしろ注
目が集まった。

しかし、それはドイツからの資金の拠出は反対であるが、ECBの
ユーロの増刷はOKということのようである。何のことはないユー
ロの通貨安政策を支持するということだ。あくまでの自国利益を優
先するということである。

このため、危機防止でギリシャとアイルランド、ポルトガルの国債
をECBが大量に買い入れたように見られている。ECBのトリシ
ェ総裁は批判していたが、米国のFRBと同じような金融緩和を使
うしかないことになっている。

その効果は直ぐに出た。ベンチマークのドイツ国債に対するこれら
の国債の上乗せ金利は縮小。危機拡大の懸念が和らいだ。しかし、
ECBははったりをかけていただけで、実際にはそれほど多くの国
債を購入していなかったかもしれない。

しかし、ドイツのショイブレ財務相は、近隣諸国との経済統合の深
化を含め、欧州の共通通貨の保全に向けて、ドイツは思い切った措
置を取る覚悟ができていると述べ、ドイツ政府のユーロ防衛への決
意を見くびるべきではないとの警告を市場に向けて発した。ECB
金融緩和ではなくて、ドイツはユーロ圏の政治を一体化する財政同
盟実現に向けた措置を受け入れる可能性があるようだ。今回の危機
では欧州は一段の統合に向けた手段を見いだすだろうという。

さあ、どうなりますか??
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アイルランド、5段階格下げされる-見通しも「ネガティブ」
2010年12月18日 07:56IBTimes
 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、
財政難に苦しむアイルランドの格付けを5段階引き下げた。金融セク
ターの救済問題を抱えているほか、経済見通しや国家の財政力が不
確かであることなどが主因だ。

 ムーディーズはアイルランドの格付けを「Aa2」から「Baa1
」に引き下げた。また見通しも「ネガティブ」とした。

 ムーディーズによると、「アイルランドの見通しをネガティブと
したのは、同国の経済成長が現在の見通しよりも弱い場合、また金
融システム再建のコストが予想を上回る場合、アイルランドの財政
力が低下するリスクを考慮したもの」だという。
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アイルランドは債務返済リスクに直面=IMF
2010年 12月 18日 05:49 JST

 [ダブリン 17日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は、
アイルランドが緊急融資の返済能力に影響を及ぼす可能性のある深
刻なリスクに直面しており、2015年までに財政赤字を対国内総
生産(GDP)比3%に削減することは困難との見方を示した。
 17日発表した最新のスタッフ報告で、IMFは「景気回復ペー
スは緩やかなものになるとみられる。デフレ傾向、バランスシート
の過剰な拡大、財政・金融両面の悪循環といった状況から生じる下
向きリスクは大きい」との認識を示した。

 アイルランドは向こう4年間に150億ユーロの赤字を削減する
方針を表明。2011年には歳出削減と増税により60億ユーロ削
減するとしている。
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EU首脳会議が閉幕、市場は安心感得られずとの声も
2010年 12月 18日 06:07 JST

 [ブリュッセル 17日 ロイター] 欧州連合(EU)首脳会
議は17日、2日間の日程を終え閉幕した。ギリシャ、アイルラン
ド問題の波及阻止に向けた当面の対応策は打ち出されなかった。
 欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模拡大や、債券買
い入れに向けた同基金の弾力的な運用、ユーロ圏の共同債券(Eボ
ンド)構想といった問題については進展はなかった。

 会議後に出された最終声明では、「一加盟国の金融上の混乱が、
さまざまな経路を通じてEU全体のマクロ的な金融政安定を急速に
脅かし得ることが、最近の出来事により明らかとなった」とした。

 議長を務めたファンロンパイEU大統領は「ユーロ圏首脳は、共
通した経済戦略があり、ユーロ圏の安定確保に向け、あらゆる措置
を講じる必要があることを強調した」と語った。

バークレイズのファビオ・フォワ氏は「市場を安心させる機会を再
び逃した」との見方を示した。

今回の会議では、2013年半ば以降の欧州安定メカニズム(ES
M)設置に向けEU基本条約の改正で合意したほか、欧州中央銀行
(ECB)が債務危機への対応強化として増資を決定した。

 ESM創設に向け条約に2文を追加することを承認した。ESM
設立は、ドイツの主張を受け入れ「ユーロ全体の安定のため不可欠
と判断された場合のみ」発動するとした。
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ファイル:欧州中銀が自己資本を2倍に

 欧州中央銀行(ECB)は16日の定例理事会で、ユーロ危機に
対応するため、自己資本を現行の約2倍の107億6000万ユー
ロ(約1兆2000億円)に増強することを決めた。主にユーロ圏
(16カ国)に加盟する各国の中央銀行が出資額を増やす。残りは
欧州連合(EU)加盟国の中央銀行が負担する。ECBの資本増強
は98年の設立以来、初めて。【ロンドン】

毎日新聞 2010年12月17日 東京朝刊
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スペイン、支援なしで債務危機の最悪期脱却可能=IMF専務理事
2010年 12月 17日 07:51 JST

 [ワシントン 16日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)の
ストロスカーン専務理事は16日、スペインは外部支援を受けずし
て欧州債務危機の最悪期を脱することができると述べた。また、欧
州単一通貨ユーロの存在は危ぶまれていないとの考えを示した。

 同専務理事はトムソン・ロイター・ニューズメーカー主催のイベ
ントに出席した際にインタビューに応え、スペインが、欧州連合
(EU)/IMFによる大規模支援を受けざるを得なくなったギリ
シャやアイルランドのような危険な状態に直面するとの懸念を否定。

 「スペインのリスクが、2011年にそれほどまでに高まるとは
考えていない」とし「リスクがまったくないわけではないが、スペ
イン経済に対しそこまで悲観的な見方はしていない」と述べた。
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ギリシャ国債さらに格下げへ 緊縮に国民反発、債務削減困難に
2010.12.17 08:28サンケイ
 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日
、ギリシャ国債の長期信用格付けについて、投機的とされる現在の
「Ba1」からさらに引き下げる方向で見直すと発表した。

 歳入不足が深刻化していることに加え、財務当局が債務を計画通
りに削減できるか不透明なことを理由に挙げ、数段階の格下げもあ
り得るとしている。
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ギリシャで官民労組一斉スト 社会機能マヒ
2010年12月15日23時43分

 【ローマ=南島信也】財政再建中のギリシャで15日、官民2大
労組が政府の財政緊縮策に反対して24時間の一斉ストライキを行
った。空港や鉄道など主要交通機関はストップし、社会機能は終日
マヒした。首都アテネでは約2万人が抗議デモや集会を行い、暴徒
化した若者が財務省が入るビルに火炎瓶を投げるなどして警官隊と
衝突。官公庁や病院、学校も休みとなった。 
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アイルランド議会、EU/IMF支援策を承認
2010年 12月 16日 05:02 JST

 [ダブリン 15日 ロイター] アイルランド議会は15日、
850億ユーロ規模の欧州連合(EU)/国際通貨基金(IMF)
支援策の採決を行い、賛成81票、反対75票で承認した。
 一方、野党・統一アイルランド党は同国銀行のシニア債をめぐる
支援策の内容を不服とし、再交渉を求める姿勢を示している。

 議会での承認を受け、IMFは同支援策のIMF拠出分について
今週中にも承認する見通し。

 850億ユーロのうち、350億ユーロは銀行部門支援、500
億ユーロは向こう3年間にわたるアイルランドの借入コストの支援
に充てられる。
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「いつか見た光景」ギリシャ救済前夜か−ドイツの抵抗が招くこう着 

12月15日(ブルームバーグ):ドイツは欧州各国政府が資金を拠出す
るユーロ圏高債務国への支援の拡大に反対する姿勢を強めている。
ドイツが反対し続ける限り、債務危機の沈静化に向けた闘いの負担
のほとんどを欧州中央銀行(ECB)が背負うことになる。 

  ドイツのメルケル首相は欧州金融安定基金を現行の7500億ユー
ロ(約84兆円)から拡大する可能性を否定している。ドイツ政府当
局者が14日、ECBが資本金増強を要請した場合、政府としてそれ
を支持すると発言したことで、ECBにむしろ注目が集まった。 

  欧州の債務危機の第一段階で、ドイツはギリシャ向けの緊急融
資の承認を渋って2カ月以上にわたって抵抗した。欧州連合(EU
)首脳会議の直前にメルケル独首相とトリシェECB総裁、ユーロ
圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク
首相兼国庫相)との間の不協和音が表面化し、緊張を引き起こした。 
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ECB、国債買い入れを本当に増額か
2010年 12月 13日 20:40 JST 
WSJ 
 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁が手の内を見せる時が来た。 

 ギリシャとアイルランド、ポルトガルの国債をECBが大量に買
い入れた、との12月初めのリポートを受け、ベンチマークのドイツ
国債に対するこれらの国債の上乗せ金利は縮小。危機拡大の懸念が
和らいだ。 

 ECBはこの時点で、国債を大量に購入しているとの観測を抑え
るための策を何も講じていない。さらに、トリシェ総裁による2日の
月例会見の間にさえも、ECBが国債を買っている兆しがみられた。
象徴的な力の誇示と言えよう。 

 しかし、ECBははったりをかけていただけで、実際にはそれほ
ど多くの国債を購入していなかったかもしれない。ECBは毎週月
曜日に前週分の国債買い入れ額を発表しており、先週の購入額は13
日明らかになる。 
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【インタビュー】共通通貨を何としても防衛する=ショイブレ独財務相
2010年 12月 13日 13:57 JST 
WSJ
【ベルリン】ドイツのショイブレ財務相(68)は、近隣諸国との経
済統合の深化を含め、欧州の共通通貨の保全に向けて、ドイツは思
い切った措置を取る覚悟ができていると述べ、ドイツ政府のユーロ
防衛への決意を見くびるべきではないとの警告を市場に向けて発し
た。 

 ショイブレ財務相は本紙とのインタビューで、現在のユーロ圏の
ガバナンス(統治)改善に向けた試みが昨年来の債務危機を終わら
せるのに不十分であると立証された場合には、ドイツは財政同盟実
現に向けた措置を受け入れる可能性があることを示唆した。 

 「欧州各国はこの欧州通貨の安定を維持する決意であり、そのた
めの手段はある。欧州の発展は、時に危機を伴う。今回の危機では
欧州は一段の統合に向けた手段を見いだすだろう」 
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欧州債務問題は包括的対策を=IMF専務理事
2010年12月8日9時6分

 【パリ時事】ギリシャを訪問した国際通貨基金(IMF)のスト
ロスカーン専務理事は7日、パパンドレウ首相との会談後の共同記
者会見で、ユーロ加盟国の債務問題から来る信用不安の拡大阻止に
関し「(危機が生じた)国ごとの断片的な対応は望ましくない。包
括的な解決策が必要だ」との認識を示した。 

 専務理事はこの中で「欧州の経済成長率が高ければ、誰も債務危
機を口にしなかっただろう」と指摘。ギリシャ政府が進める財政構
造改革を評価する一方、経済成長に向けて取り組む必要性を強調し
、「(同国が)2012年にはプラス成長に回復すると信じている
」と述べた。  
[時事通信社]
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アイルランド、6600億円赤字削減策 11年予算案
2010年12月8日10時32分

 【ダブリン=有田哲文】アイルランド政府は7日、2011年予
算案を発表した。支出削減と増税で60億ユーロ(6600億円)
の財政赤字削減を盛り込んでいる。アイルランドは欧州連合(EU
)と国際通貨基金(IMF)から緊急融資を受ける方針だが、実施
には、こうした緊縮財政が前提になる。予算案の審議がこの日から
始まり、一部が下院で2票差で可決された。 
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ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス?
globalresearch.ca
【11月27日 by Washington's Blog】

 今や、ヨーロッパのソブリン・デットの伝染が大まかに言って以
下の流れでドミノ倒しとなる可能性があることが常識的な認識とな
っている。
ギリシャ→アイルランド→ポルトガル→スペイン→イタリア→イギリス

 もう1年以上前からこのことを書いてきている人々がいたが、今や
多くの人々がこの問題を議論しているサイトに参加している(60万
以上のヒット)。
 
 ギリシャとアイルランドは比較的経済規模の小さな国であるが、
スペインがドミノ倒しとなれば問題は大きいだろう。

 アイスランドは世界では112番目の経済規模で、アイルランドは38
番目、ポルトガルは36番目である。これに比べて、スペインは9番目
に大きい経済を持ち、イタリアは7番目、そしてイギリスは6番目で
ある。最後の3カ国の内の1カ国でも経済崩壊すれば世界経済にたい
しては破壊的な影響がある。

 ヌリエル・ルビニは今年2月に以下のように書いている:しかしド
ミノの真の悪夢はスペインだ。ルビニはスペインの負債問題は「家
の中の象」と表現している。
 「スペインをフェンスで囲むことはできる。アイルランド、ポル
トガル、ギリシャに3年ほどの財政支援を正式に行うことはできる。
彼らを市場から抜けさせるのである。おそらくは彼らの負債を可能
なラインにまで再編して減らすことになる」
 「しかしスペインが崖から落ちればスペイン救済に必要な公式な
資金はヨーロッパには充分に存在しない。スペインは大きすぎるか
ら倒すわけには行かないが、救済するにも大きすぎるのだ」
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2012年に欧州で「第2のデフォルトの波」も、金利上昇で−S&P 

12月2日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド
・プアーズ(S&P)によると、金利上昇と借り換えリスクの高ま
りで、欧州では2012-13年に「第2のデフォルト(債務不履行)の波
」が押し寄せる可能性がある。特にレバレッジド・バイアウト
(LBO、買収先の資産を担保にして資金を調達する買収)向け融
資が危ないという。 

ポール・ワッタース氏(ロンドン在勤)率いるS&Pのアナリスト
がまとめたリポートによると、2012年に欧州でデフォルトが発生す
る確率は最高で7.5%と、今年年末までの4%から上昇が予想されて
いる。2009年第3四半期末は14.8%のピークをつけた。 

同アナリストらは、過剰なレバレッジにより、高利回りの「B−」
や「CCC」格付けを付与されているローンの大部分が引き続き不
安定なことから、デフォルト率は「大幅に」上昇する可能性がある
と指摘する。 

リポートによると、デフォルト率は9月末で5.9%に低下したが、
2012年には5.5−7.5%に再び上昇する可能性がある。2011年には3.8
%に「緩やかに」低下するとみられている。 
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ECB理事会、新たなユーロ圏安定化策への期待高まる
2010年 12月 2日 10:07 JST

  [ブリュッセル 1日 ロイター] ユーロ圏の債務危機が米
国やアジアに波及することへの懸念が高まるなか、欧州中央銀行(
ECB)は2日開く理事会で、ユーロ圏安定化に向けた新たな措置
を打ち出すよう迫る圧力を受けている。

 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による850億ユーロ
規模のアイルランド支援策が先週末に決定し、欧州当局者はユーロ
を必ず防衛することを公約したが、ポルトガルやスペイン、イタリ
アに対する市場の不安は解消されず、スペインとイタリアの国債の
リスクプレミアムは30日にユーロ導入以来最大となった。ただ翌
1日には、ECBが債券の買い入れ規模を拡大することで合意した
可能性があるとの見方が広がったほか、米当局者がIMFの資金拠
出枠拡大による欧州救済基金の拡充を米国は支援する用意があると
の見解を示したことで、市場は落ち着きを取り戻した。
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欧州危機が中核国へ浸透、景気堅調のベルギーも国債利回り大幅上昇 

12月1日(ブルームバーグ):欧州の債務危機がユーロ圏16カ国の
中心へと浸透しつつある。景気が好調なベルギーも、ユーロ圏で3
番目に大きな公的債務が注目され、国債利回り上昇に見舞われた。 

  ベルギーの10年物国債の同年限のドイツ国債に対するプレミア
ム(上乗せ利回り)は11月30日、139ベーシスポイト(bp、1bp
=0.01%)に拡大し、少なくとも1993年以来の最大となった。CMA
によれば、ベルギー国債の保証コストを示すクレジット・デフォル
ト・スワップ(CDS)スプレッドも同日、過去最高を記録した。 
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アイルランド支援に850億ユーロ EUとIMF合意
2010年11月29日10時4分

 【ブリュッセル=井田香奈子】欧州連合(EU)は28日、ブリ
ュッセルで臨時財務相会合を開き、財政難のアイルランドに対し、
国際通貨基金(IMF)と合同で最大850億ユーロ(約9兆4千
億円)の金融支援を実施することで合意した。5月にギリシャへの
緊急融資を決めた際、EUとIMFが設けた基金を初めて使う。 

 支援はアイルランドが求めた。信用不安の拡大が懸念されるなか
、29日の金融市場が開く前の合意へと急いだ。850億ユーロの
金融支援には、アイルランドと関係が深い英国、スウェーデン、デ
ンマークのユーロ圏外3カ国がそれぞれ融資する額も含まれる。 
==============================
ユーロ圏の債務危機懸念が深刻化
2010年 11月 27日 5:08 JST 
WSJ
 【ベルリン】スペインが次にユーロ圏の国債危機の焦点になると
の見方が一部で広がるなか、26日にはスペイン市場で投資家の懸念
が強まり、同国高官らは投資家の不安を鎮めるため躍起になってい
る。 

 スペインのサパテロ首相はこの日、同国の財政状況に関して高ま
る懸念の一掃に尽力し、ユーロ圏4位の経済国であるスペインが欧州
連合(EU)に支援を求める可能性は「全く」ないと言明した。し
かし、市場を鎮めようとする同首相の試みはほとんど効果を発揮せ
ず、ユーロの大幅安とスペインとポルトガルの国債の売りが続いて
いる。 
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欧州の銀行システム「ほぼ崩壊」、ユーロ消滅なら−エボリューション 

 11月25日(ブルームバーグ):共通通貨ユーロが放棄されること
になれば欧州の銀行システムは「ほぼ崩壊」するだろうと、エボリ
ューション・セキュリティーズは指摘し、従ってユーロの消滅を許
すことはできないし、してはならないと論じた。 

  エボリューションの銀行調査責任者、アルテュロ・デフリアス
氏は25日の投資家向け文書で、「ユーロが放棄されペセタやリラ、
エスクード、ドラクマに逆戻りすれば、直ちに切り下げが実施され
るだろう」とし、通貨切り下げは「欧州の銀行システム全体を完全
に支払い不能に陥れる規模」の償却を発生させると指摘した。 

  欧州ソブリン債危機はスペインにまで飛び火する様相を見せ始
め、5月に設立されたユーロ圏救済基金の規模が不十分との懸念も
浮上している。デフリアス氏は、ユーロが崩壊し、復活した個別通
貨が30%切り下げられたと仮定した場合、フランスとドイツ、英国
の銀行に3600億ユーロ(約40兆1000億円)の損失が発生し得ると試
算した。 

  ユーロ消滅による打撃はあまりに大きいため、そのような結果
は不可能であり、欧州が取り得る「唯一の進路」は財政統合だと同
氏は分析。「欧州では国境をまたぐ投資が多くなりすぎ、各国の個
別通貨に戻るにはもはや遅すぎる」と書いている。 
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ドイツ、ユーロ圏救済資金の拡大に反対
2010年 11月 26日 7:34 JST 
WSJ
 【ベルリン】関係筋が25日明らかにしたところによると、欧州連
合(EU)の執行機関である欧州委員会が24日、債務危機に陥った
ユーロ圏諸国向けの総額4400億ユーロ(49兆円)の救済資金「欧州
金融安定制度(EFSF)」を倍増することを提案したのに対し、
ドイツが直ちに反対した。 

 金融市場では、ユーロ圏参加国であるスペインが危機に陥った場
合に現在の資金規模で十分なのかどうか不安視する声が聞かれる。
救済資金の最大の出資国であるドイツの支援は、基金規模の拡大に
は不可欠だ。 

 今年5月のギリシャ救済のあと、EUは国際通貨基金(IMF)と
ともに7500億ユーロの基金を設け、その中心となっているのが最大
4400億ユーロのユーロ圏諸国が拠出するEFSFの資金だ。残りは
IMFと欧州委員会が拠出する。 

 欧州の当局者によると、欧州委員会はポルトガルとスペインは救
済資金を必要とせずに乗り切れるとの見解だ。欧州委の広報担当者
は、資金の倍増や拡大を委員会が提案しているというのは「絶対に
真実ではない」と述べた。 
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ユーロ圏分裂「可能性はゼロ」=欧州金融安定ファシリティー責任者
2010年 11月 25日 16:28 JST

 [ベルリン 25日 ロイター] 欧州金融安定ファシリティー
(EFSF)の責任者であるレグリング氏は、独ビルト紙とのイン
タビューで、ユーロ圏が分裂する可能性はゼロとの見解を示した。
 25日付の同紙によると、レグリング氏は、ユーロ圏が分裂する
可能性があるかとの質問に対し「その危険はゼロ」と答えた。

 メルケル独首相が、ユーロ圏が極めて深刻な状況にある、との認
識を示したことについて「もちろん状況は深刻だ」と述べた。
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アイルランドが4年間の財政再建策 消費増税や公務員減
2010年11月25日0時56分

 【ロンドン=有田哲文】欧州連合(EU)と国際通貨基金(IM
F)から緊急融資を受けるアイルランド政府は24日、2011年
から4年間の財政再建策を発表した。現行21%の付加価値税(消
費税)率を23%に引き上げ、公務員を約2万5千人削減すること
で、国内総生産(GDP)の9%にあたる150億ユーロ(1兆7
千億円)を圧縮する。 

 財政赤字のGDP比は、今年は32%になるが、14年に3%以
内に抑える。政府債務のGDP比は13年に102%と最大になる
が、14年には100%に落ちる見通し。こうした再建策を前提に
EU・IMFが緊急融資を決める方向で、総額は約850億ユーロ
(9兆5千億円)になる見通し。 
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アイルランド、来年解散総選挙へ 金融支援対応民意問う
2010年11月23日19時43分

 【ダブリン=伊東和貴】アイルランドのカウエン首相は22日、
2011年度予算案を成立させた後に下院(定数166)を解散し
、来年初頭にも総選挙を実施する考えを示した。欧州連合(EU)
と国際通貨基金(IMF)からの救済を求めることになった財政運
営への批判が高まり、政権維持が難しくなったためで、財政危機が
政治に飛び火した形だ。
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1兆4800億円の預金流出=信用不安で―アイルランド大手銀
時事通信 11月20日(土)5時55分配信

 【ロンドン時事】一部国有化されているアイルランドの大手銀ア
ライド・アイリッシュ銀行は19日、今年初めから今月16日までに、
顧客預金が130億ユーロ(約1兆4800億円)減少したと発表した。同
国の債務・金融をめぐる信用不安拡大により、多額の預金が流出し
た格好だ。

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