3830.新・江戸時代に向けて



日本では、「デフレを何とかしろ!」という要求が声高に言われて
いるが、その原因として需給ギャップということが指摘されている。
日本は膨大な供給力があり、とても国内の減っていく需要では賄う
ことができない。これが構造的な物余り、売れ残りを誘発して物の
値段が下がる。

15−64才までの生産年齢人口(いわゆる稼ぐ、使う現役世代)
の人口の減少は特に著しく、またこの世代の収入も大きく減ってい
るので予想以上の需要の減少が起こっている。

しかし、「インフレに備える!」必要がもう待ったなしである。こ
れはドルの金融緩和と中国やインドの需要増加で、石油・資源や食
料の価格が高騰しているからだ。日本は円高で価格の上昇を吸収し
ているので、見えないだけである。
          津田より

0.はじめに
必需品の国際的な価格上昇の動きが国内のデフレを超えてくること
は確実になっている。そろそろ物価高、それも必需品の高騰が目の
前に迫ってきている。早急に備える必要がある。

新興国の発展に伴って、人間の基本欲求である衣食住などは新興国
だろうが、先進国だろうが同じように消費するようになるわけで、
しかし、衣料品を作る原料や穀物などは急には増産できない所では
なく、綿花も粗糖もゴムも小麦もトウモロコシも大豆もコーヒーも
そばの実も野菜も、不作になっている。これは異常気象が原因で、
干ばつと異常な降雨が交互に世界中で起っているからだ。そして、
これらは世界共通の価格である。供給量が減って、需要量が増えて
いるので、世界的に高騰することになる。

2011年に危機が起こることになると見る。これに備えることで
ある。日本は江戸時代、自給自足をした経験から、国内でほとんど
の有効な植物はできる。綿花、砂糖、小麦、トウモロコシ、大豆、
そばなどは日本国内に適地か準適地を持っている。ゴムとコーヒー
はできないが、ゴムはエタノールからできる。エタノールはすすき
やトウモロコシの茎などから発酵してできる。コーヒーも江戸時代
にはなかったが、沖縄、小笠原などでできるし、今でも小規模に生
産している。もし、適地がないなら植物工場を作ればよい。

石油価格も1バーレル=90ドルになり、2008年の147ドル
/バーレル後、リーマンショックで値下がりしたが、国際エネルギ
ー機関(IEA)が、在来型石油の生産量が2006年にピークを迎えた可
能性が高いと発表したことで値が上がり始めている。

小麦はウクライナなどの異常気象で不作になり、ロシアが輸出を禁
止して値上がりして、これも2008年にピークをつけたが。再度
大幅に上がり始めている。その小麦の値上がりで他の穀物類も値上
がりしている。

また、中国はレアアースだけではなく、リン・カリウムなど肥料の
原料も輸出制限するという。自国の農業を守るためには仕方がない
処置であるという。このように資源も徐々に買えなくなる事も見越
す必要がある。

1.地球温暖化は破綻
しかし、温暖化問題がCO2というのは破綻している。カンクンで
開催されているCOP16でも米中はCO2削減義務の枠組みに入
ろうとしないため、単純な京都議定書の延長が議論されている。
しかし、米国などの科学者たちは、地球の温暖化の原因がCO2の
影響ではなく、太陽活動ということが徐々に明らかになり、米国の
政策は変わって来ている。そして、IPCCの地球温暖化のデータ
に嘘があり、CO2犯人説が大きく失われている。

このように温暖化問題から、次世代産業を構築するという企ては破
綻している。日本の企業も単純な京都議定書の延長には反対であり
、日本は次の議定書には参加してはいけない。日本の富が無意味に
失われるだけである。得をするのは中国であるという構図はおかし
い。日本も米国と同じように単独主義になることである。

2.金融資本主義
このため、本当の問題に日本は取り組むことだ。小麦や石油など必
需品の値上がりに、ドルの金融緩和でワールドダラーの量が増えて
、その影響からも値上がりしている。しかし、日本は円高でこの必
需品の値上がりを相殺しているが、2008年と同じような状況に
なってきている。米国は住宅バブルの次に必需品バブルを仕掛けて
いるように感じる。

金融資本主義経済ではバブルが必要であり、米国は実需が増えない
ので、バブルで実需の変わりに仮需を増やして取引金融量を増やす
ことを考えている。このため、ITバブル、住宅バブルを起こし、今
、新興国バブルを起こそうとしたが、それは新興国の反発を招いた
ので、必需品バブルを起こそうとしているようだ。

金融資本主義の限界にあり、欧米流金融資本主義時代は終わってい
る。今後、再度、石油なしの実体経済の時代である。この時代への
準備が必要である。

3.新江戸時代への準備
必需品がある程度、値が上がると日本での生産ができることになる。
特に石油の価格が上昇したときの対応を今から準備しておくことで
あり、農産品を日本の有機農法で生産することやそれを輸出するこ
とを視野に入れて、農業政策を考えることである。藁や茎など今ま
で捨てていた部分を有効に使うことも必要である。発酵してエタノ
ールにできるし、耕作不能な土地には荒地でも育つすすきなどを生
産してエタノールを作ることである。

また、リンなどは下水道の残渣処理から生産可能である。リサイク
ルすると、日本は明治から現在までに大量の資源を輸入して、日本
国内に溜め込んでいる。この溜め込んだ資源を再利用することで需
要が減少するとみられる日本の将来需要量では十分である。問題は
コストであったが、世界の価格が上昇すると、そのリサイクルがで
きることになる。

そして、そのリサイクルの方法も金属を溜め込む微生物を発見して
いるので、その微生物の利用すれば、低コストで回収可能になる目
処がたち始めている。専門家は「微生物の生体機能を利用する金属
の回収をミネラルバイオプロセッシングやバクテリアリーチング」
と言うようである。

微生物利用ということは発酵ということでもある。セルロースを分
解する微生物・菌を利用して、すすきなどの発酵が可能になってい
る。また、藻で油の生産が可能になり、石油の代わりも可能になっ
ている。

プラスチックの代わりに、「りぐぱる」ができて完成した。木の構
造体を保持させているのはリグニンであるが、このリグニンの取出
しが可能になり、紙などで形を作り、その形が出来た後にリグニン
の溶液に浸すと、木の同じような硬さの構造体ができる。これは大
発明であるが、この発明も日本人で三重大学大学院の舩岡正光教授
である。

ペットボトルの再生でまたペットボトルができる技術を確立したの
が、ウツミである。固相重合を確立した。

有機農業も徐々に明らかになっている。エンドファイトという生物
の共生関係で、その種が持たない性質を持つことが分かっている。
このエンドファイトを高度に使って生産性を上げるのが有機農業で
あるのだ。このため、それぞれの地域で違う生物環境なので、地域
地域で違う解があり、それを見つける必要がある。EM法もそれぞ
れの地域で変える必要があるようだ。構成微生物を変えた方がよい
結果が出ている。

このように日本での自給自足ができる技術が徐々に確立してきてい
る。この芽をどう育ているかが問われているのが現在の日本の政治
の役割である。

もちろん、食糧輸入が止まるわけではなく、安価な食料は諸外国か
ら買うが、日本国内でも生産可能な状況にしておくことである。

4.新・江戸時代の金融経済
欧米の金融資本主義は、おかしい。カネがカネを産む金融のために
金利分の生産規模が縮小することになる。この仕組みは石油を原料
とした大量生産大量消費の経済では、大規模工場が必要であり、一
時に大量の資金が必要になるために、どうしても必要な制度であっ
た。

しかし、今後、新江戸時代の自給自足的な経済では、その地域に最
適な植物が原料になり、このため少量生産で少量消費になる。この
ため大資本が必要なくなる。それより、最適な植物の育成を経験的
に見つけることが一番重要になる。資本より知恵が重要になる。こ
のため金利はほとんどないことになる。ゼロ金利で資本参加して、
その配当を分配することになると見る。イスラム金融的な制度にす
るべきである。

また、日銀の当座預金に手数料を取り、外銀などが円の値上がりな
どを狙って、滞留させることを事実上禁止するべきである。マイナ
ス金利を取ることだ。これはゲゼル経済にすることと同化である。

金融資本主義を蔓延させないことだ。銀行業務を決済機能、為替交
換機能などにして、蓄積機能を制限することだ。

5.新・江戸時代の企業
世界に工場を作るパナソニック・トヨタなどのAV・自動車会社や
世界の資源を世界に取引する三菱商事などの総合商社と素材などの
研究をする第一三共や東レなどの薬品資源会社などが世界的に活躍
するとことで日本のプレゼンスを高め、かつ安全保障上に必要な
SM3ブロック2Aなどの作る三菱重工などの大企業と、国内で自
給自足の食料・資源リサイクルする中小企業の2つに乖離すること
になると見る。

大企業は少数なエリートが高給で雇われ世界を駆け回り、中小企業
が国内をベースに多数の日本人を雇い、食料やエネルギーなどの必
需品を生産する。その中小企業も技術を確立して世界に飛び出す企
業もあると思うが、基本は国内がそのベースである。

6.新・江戸時代の政治
変革期は、政治的な安定が必要であり、今の民主党単独政権では不
安定である。ここは民主党と自民党の大連立政権を希望する。その
上で、新・江戸時代を目指して戦略を作り、それを目指すという政
策協定を作ることである。

どうか、そのような政治環境を揃え、新しい日本を作りたいと願う。

さあ、どうなりましか??
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京都議定書めぐる攻防激化=日本、延長反対を堅持−COP16
 【カンクン(メキシコ)時事】国連気候変動枠組み条約第16回
締約国会議(COP16)で、新興国や途上国による京都議定書の
延長論が日増しに強まっている。先進国のみに温室効果ガスの削減
を義務付けた議定書の延長は「いかなる条件でも受け入れられない
」と明言した日本の姿勢が、途上国などの態度を硬化させたようだ
。日本も譲らない構えで、延長をめぐる攻防はさらに激化しそうだ
。(2010/12/04-15:26)
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NY原油、2年2カ月ぶり高値
時事通信 12月4日(土)6時5分配信

 【ニューヨーク時事】週末3日のニューヨーク商業取引所(NYMEX
)の原油先物相場は、市場予想を下回った米雇用統計に圧迫された
ものの、その後対ユーロでのドル安などを眺めて買いが優勢となり
、3日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日終値比
1.19ドル(1.35%)高の1バレル=89.19ドルで終了。終値ベース
では、2008年10月7日(90.06ドル)以来、約2年2カ月ぶりの高値。
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“石油ピーク”は2006年に過ぎた?
ナショナルジオグラフィック11月10日(水)18時28分配信

 国際エネルギー機関(IEA)は11月9日、在来型石油の生産量が
2006年にピークを迎えた可能性が高いとオーストリアのウィーンで
明らかにした。

 IEAは年に1度、「世界エネルギーアウトルック」という報告書を
発表している。最新の2010年版に掲載された今後25年の見通しによ
ると、石油生産量は1日あたり6800万〜6900万バレル前後で停滞する
可能性が最も高いという。

 このシナリオでは、「2006年に記録した史上最高の7000万バレル
に再び並ぶことはない」と書かれている。

 生産量が停滞するからといって、乗用車やトラックの燃料がすぐ
に不足するわけではない。IEAの予測でも、いわゆる「石油系燃料」
の総生産量は右肩上がりに増加し、2035年までには1日約9900万バレ
ルに達する可能性が最も高いとしている。

 こうした液体燃料の増加はすべて、「天然ガス液(NGL)」など非
在来型の資源によるものだ。NGLは天然ガスの副産物として産出される。

 当面はNGLをはじめとする非在来型資源をあてにするとしても楽観
はできない。「石油が安い時代は終わった」とIEAのチーフエコノミ
スト、ファティ・ビロル氏は言う。「消費国サイドで需要増加の抑
制に努力しなければ石油価格は上昇する。消費国の経済にとっても
好ましい状況ではないだろう」。
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肥料争奪戦、レアアース並み 中国、リン輸出を突然制限
2010年12月2日2時11分

 世界の人口増や新興国の経済発展で肥料の需要が増え、原料のリ
ンやカリウムをめぐる国際的な争奪戦が起きている。鉱物資源なの
で採れる国が偏っているうえ、供給側が寡占化し価格決定に力を持
つ。とくにリン鉱石の産出量は中国がトップでレアアース(希土類
)と似て輸出制限を強める。日本も農業は縮小傾向とはいえ、肥料
は欠かせず、安定確保が課題だ。 

 中国は1日、リン酸アンモニウムなど化学肥料の輸出関税を31
日まで110%に引き上げると発表した。ここ数年、国内の肥料の
需要期に高関税を課したことはあったが、突然の表明。実質的に輸
出が止まることになりそうで、大手商社で肥料を扱う部署の幹部は
「レアアースと状況が似てきた。中国は長期的には国内分を確保す
るつもりだろう」と漏らした。 
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米上院、排出ガス削減含んだ温暖化対策法案の成立断念
2010年 7月 23日  9:54 JST 
WSJ
  ハリー・リード上院民主党院内総務(ネバダ州)は22日、記者団
に対し、温暖化ガス排出量削減の規制対象を電力会社に絞った法案
でさえ、成立に必要な60議員の支持を集めることができなかったと
明らかにした。その上で、民主党指導部がメキシコ湾の原油流出事
故をめぐって石油大手の英BPの責任を明確化した、さらに限定し
た法案を推進する方針を示した。


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