3829.北朝鮮の現状打開で



北朝鮮がなぜ、突然砲撃したのか。この検討と今後の予測。
                 Fより

米韓軍事演習を北朝鮮は激しく非難したが、期間中に目立った挑発
には出なかった。これで終わりではない。原因を明確化しないと
どうしようもない。

北朝鮮ウォッチャーの重村智計さんの説によると、石油が底を尽き
崩壊に直面する北朝鮮軍の危機と、強硬派軍人の台頭、軍内部の主
導権争いが原因であるという。さらに、中国による6ケ国協議主席
代表の緊急会合の提案は、国連安保理での問題処理を回避するため
の作戦であったと。

もう1つが、北朝鮮で昨年11月にデノミネーション(通貨呼称単
位の変更)が実施された後、コメの販売価格が1年間でほぼ4000%
暴騰したことで、住民の不満があったということであろう。

金正日総書記の後継に決まった三男の正恩(ジョンウン)氏名で「
敵の挑発的行為に対し、いつでも反撃できる準備を整えろ」とする
趣旨の指令が北朝鮮軍幹部に対して発せられていたようである。し
かし、この砲撃で、住民が不満を爆発させていると。

咸鏡北道消息筋によると、北朝鮮は砲撃2日前の先月21日、党中
央軍事委員会の名義で緊急命令を出し、軍部隊や軍需施設に電力を
供給するとして住民居住地の電力供給を完全に遮断した。冬季に優
先供給してきた工場稼動に要する電気も大半が遮断され、延坪島の
砲撃が戦争につながるのでは、という不安が高まっているという。

そして、戦争に備えるために北朝鮮陸軍が最近放射砲(多連装ロケ
ット砲)を100門余り増強し、約5200門を配置して、韓国の
首都圏に奇襲の集中射撃を行うことが可能だという。

このような北朝鮮の準備に対して、韓国は李明博大統領の訪日を延
期して、北朝鮮軍の砲撃への対応をしている。

韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)次期国防相が3日、国会の人事
聴聞会に出席し、「万一、追加挑発が起きれば、航空機で爆撃する
」と明言した。今回の韓国軍の対応射撃の着弾痕が敵の建物を直撃
したように見ないため、航空機による爆撃しか敵に被害を与えられ
ないことが分かった。韓国のK−9自走砲は威力がないことと判明
した。

韓国軍は西北島しょ周辺の海上での射撃訓練を近く再開する。また
これに対する北朝鮮のさらなる挑発の類型別シナリオや対策の再点
検を行うという。この一番の焦点は北朝鮮向けの宣伝放送に使うた
め軍事境界線(MDL)11か所に設置した拡声器を北朝鮮が攻撃する可
能性を念頭に置いているようだ。

また、韓国の情報機関、国家情報院の元世勲(ウォン・セフン)院
長は、今年8月に北方限界線(NLL)近くにある同島を含む島々
に対する攻撃の兆候を把握していたとした。さらに、「(北朝鮮が
)新たな攻撃に出る可能性が高い。韓国内の国論分裂を画策してい
る」との見方を示した。

北朝鮮の狙いについて、「3代世襲に対する内部の不満が高まって
いる上、経済事情が悪化したため、突破口が必要となり、無謀な行
動を強行したのだろう」と分析した。そして、北朝鮮の人民武力省
偵察総局幹部が「年が明ける前に、京畿道(韓国北西部)を目標に
新たな砲撃があるだろう」との見通しを示したという。ソウルや仁
川(インチョン)もその範囲に入ることになる。

中国はどうかというと、中国のナンバー2である呉邦国・全国人民
代表大会常務委員長は、訪中している北朝鮮の代表団に対し、両国
は「戦略的対話の強化」にコミットしており、友好的な協力関係の
普遍的な発展を促進させていくと伝えたという。

これを受けて、中国の楊潔チー外相は北朝鮮の砲撃について「責任
を負う大国として、問題の是非に照らして自身の立場を決めており
、特定の国に肩入れするようなことはしていない」と述べ、中立の
立場を守る考えを示した。これでは韓国は自分の身を自分で守るほ
かないと中国に突き放されたとのと同じである。

国連安全保障理事会は、北朝鮮の新たなウラン濃縮施設について懸
念する内容の声明を出す方向で調整したが、中国が反対してできな
くなった。友好国を守るために、中国は拒否権を使う意向である。
このため、攻撃を受けた韓国は、国連安全保障理事会に事件を提起
していないとした。しても中国の反対で「実益少ない」と。

中国が核開発問題より体制崩壊をより差し迫った問題ととらえてい
るとクリントン米国務長官は認識しているという。

上海東アジア研究所地域安全保障研究室の張祖謙主任は、南北朝鮮
間で戦争が起きた場合に中国軍は中朝国境を越え、北朝鮮領内に幅
20〜30キロの緩衝地帯を設けて、北朝鮮から大量の難民を緩衝
地帯で収容し、情勢が安定してから撤兵すればよいと述べた。

北朝鮮の行動は、公的な指標を常識的な手法で読み解いても予測す
ることは不可能と中国も認識していて、朝鮮半島の戦争では中国は
韓国が朝鮮を統一することを認めているという。しかし、あくまで
韓国の自力で北朝鮮を圧倒する必要があるということだ。

しかし、韓国としても、ソウルやインチョンは火の海になる覚悟が
必要であり、韓国としては、このままの維持が一番快適であろうが
、北朝鮮は今のままが一番不快であり、現状の打開を図ろうとして
いる。そこが今までとは違うが、中国も韓国も惰性で北朝鮮対応を
変えられないことが、次の紛争を起こす原因になっている。

さあ、どうなりますか??
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北朝鮮がロケット砲100門余り増強、政府筋

【ソウル3日聯合ニュース】政府筋は3日、北朝鮮の陸軍が最近放
射砲(多連装ロケット砲)を100門余り増強したと伝えた。現在
、約5200門が配置されており、韓国の首都圏に奇襲の集中射撃
を行うことが可能だという。
 北朝鮮の240ミリ多連装ロケット砲は射程距離60キロメート
ルで、韓国軍はソウルを含む首都圏を狙う中核脅威と判断している
。12〜22本の発射管から、長さ約5メートルのロケット砲弾を
35分間に22発発射できる。

 北朝鮮はまた、戦車も200台余り増強し、機械化軍団所属部隊
の一部を前方に配置したとされる。政府筋は、北朝鮮は旧ソ連が開
発した「T72」を模した新型戦車を開発し作戦配置しており、老
朽化した戦車は後方部隊で運用していると伝えた。
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「正恩のせい」緊張継続で北朝鮮住民が不満爆発

【ソウル3日聯合ニュース】米政府系放送局のラジオ自由アジア(
RFA)は3日、北朝鮮当局が仁川・延坪島砲撃の直前から軍事的
緊張を高め、住民が金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者に
決まった三男・正恩(ジョンウン)氏(朝鮮労働党中央軍事委員会
副委員長)への不満を爆発させていると報じた。

 RFAが咸鏡北道消息筋の言葉として伝えたところによると、北
朝鮮は砲撃2日前の先月21日、党中央軍事委員会の名義で緊急命
令を出し、軍部隊や軍需施設に電力を供給するとして住民居住地の
電力供給を完全に遮断した。冬季に優先供給してきた工場稼動に要
する電気も大半が遮断され、延坪島の砲撃が戦争につながるのでは
、という不安が高まっているという。

 消息筋はまた、労農赤衛隊や教導隊などの民間武力が今月1日か
ら冬季訓練に入っており、赤衛隊の非常召集や灯火管制訓練が毎日
続くようだと話した。この場合、住民は明かりもつけられず、非常
に不便を感じることになる。
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韓国大統領、訪日を延期 北朝鮮砲撃への対応挙げ
2010年12月3日19時57分

 前原誠司外相は3日の記者会見で、12月中に予定されていた韓
国の李明博(イ・ミョンバク)大統領の訪日が延期されたことを明
らかにした。韓国政府は、大延坪島(テヨンピョンド)への北朝鮮
軍の砲撃事件への対応を挙げ、「現時点では難しい」と連絡してき
たという。 
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「北朝鮮の追加挑発あれば、空爆」韓国次期国防相が明言
2010年12月3日22時13分

 【ソウル=牧野愛博】韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)次期国
防相が3日、国会の人事聴聞会に出席し、北朝鮮軍による追加挑発
が起きた場合、先月の砲撃戦で実施しなかった航空機による爆撃を
行う考えを表明。政府の対応方針を事実上、修正した。強硬論に傾
く世論に対応する意図がありそうだが、日米の一部から事態の緊迫
化を懸念する声も出ている。 

 金氏は聴聞会で「万一、追加挑発が起きれば、航空機で爆撃する
」と明言。「確実に対応すれば、これ以上挑発はできない」とも主
張した。先月23日の砲撃戦の際、追加挑発がなかったため空爆を
思いとどまったとした金泰栄(キム・テヨン)国防相の24日の国
会答弁から、一歩踏み込んだ。 
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韓国軍の対応射撃、建物直撃せず 
毎日
 北朝鮮による韓国・ヨンピョン島砲撃で、韓国政府の衛星が撮影
した北朝鮮側の衛星写真が報道陣に公開されました。韓国軍の対応
射撃の着弾痕が見えますが、建物を直撃したあとは見えません。 

 この衛星写真は、韓国政府の多目的衛星が砲撃2日後の先月25
日に撮影したもので、北朝鮮側の「ムド」にある砲兵部隊の陣地に
対する韓国軍の反撃の着弾痕を捉えたものだということです。15
発ほどの着弾痕がありますが、周辺の軍事関連施設を直撃したあと
は見えません。(03日15:03)
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韓国軍、北朝鮮のさらなる挑発に備え対策を再点検 
2010年12月3日16時5分配信 (C)YONHAP NEWS 

【ソウル3日聯合ニュース】韓国軍は先月23日の北朝鮮による延坪島
砲撃を受け中断した西北島しょ周辺の海上での射撃訓練を近く再開
する予定で、北朝鮮が再び挑発行為を行う可能性に神経をとがらせ
ている。このため、北朝鮮のさらなる挑発の類型別シナリオや対策
の再点検を行う予定だ。

軍関係者は3日、「射撃訓練は早期に再開する。訓練再開に先立ち、
北朝鮮の挑発の可能性に備え対策を点検する一方、訓練期間中には
有事の際に対応打撃できる手段を配置する」と述べた。

軍は、北西島しょ周辺の艦艇や北朝鮮向けの宣伝放送に使うため軍
事境界線(MDL)11か所に設置した拡声器を北朝鮮が攻撃する可能性
を念頭に置いている。黄海上の軍事境界線と位置付けられる北方限
界線(NLL)付近の韓国軍高速艇や哨戒艦などに対し、北朝鮮が海岸
砲や地対艦ミサイル、艦砲などを発射する可能性もあるという。
また、北朝鮮側が黄海一帯に配置した地対艦ミサイル「シルクワー
ム」(射程95キロ)の攻撃を事前に探知できる対砲兵レーダーを黄
海の西北島しょに緊急配置した。最大60キロメートル離れている海
岸砲や地対艦ミサイルなどを探知するこのレーダーは1月に陸軍に納
品され、来年まで計6台が導入される予定だ。
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中国と北朝鮮の高官が会談、「戦略的対話の強化」にコミット
2010年 12月 2日 14:48 JST

[ソウル 2日 ロイター] 中国の呉邦国・全国人民代表大会常
務委員長は、訪中している北朝鮮の代表団に対し、両国は「戦略的
対話の強化」にコミットしており、友好的な協力関係の普遍的な発
展を促進させていくと伝えた。2日付の人民日報が伝えた。
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北朝鮮崩壊の可能性「中国への中期的脅威」 米国務長官
2010年12月3日10時11分

 【ワシントン=村山祐介】クリントン米国務長官は2日、北朝鮮
の金正日(キム・ジョンイル)体制の崩壊の可能性が隣国・中国に
とって「中期的な脅威」を与えているとの認識を示した。核開発な
どは「長期的な脅威」と位置づけており、体制崩壊をより差し迫っ
た問題ととらえていることを示唆した。 
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黄海地域の北軍部隊が坑道内で警戒態勢突入、RFA
2010/12/02 14:20 KST
【ソウル2日聯合ニュース】米政府系放送局のラジオ自由アジア(
RFA)は2日に消息筋の話として、先月23日の仁川・延坪島砲
撃事件後、北朝鮮・朝鮮人民軍総参謀部の指揮官らが「西海(黄海
)部隊」に赴き、非常警戒態勢の下で戦闘力の点検を行っていると
伝えた。坑道内部で兵士らと寝食をともにしながら、戦意などを確
認しているという。
 砲撃を主導したとされる第4軍団の部隊に所属していたという北
朝鮮脱出住民(脱北者)も、現在のような「準戦時」状況になれば
、最前方の部隊はすべて坑道に入り、寝るときも軍靴を脱がないと
説明した。坑道の中で戦闘食糧の干したコメを食べながら、1カ月
を過ごしたこともあったと伝えた。
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「南北どちらにも肩入れせぬ」 砲撃めぐり中国外相
2010年12月1日20時50分

 【北京=峯村健司】中国の楊潔チー(ヤン・チエチー、チーは竹
かんむりに褫のつくり)外相は1日、北朝鮮の砲撃について「責任
を負う大国として、問題の是非に照らして自身の立場を決めており
、特定の国に肩入れするようなことはしていない」と述べ、南北朝
鮮のどちらにもくみせず、中立の立場を守る考えを示した。北京市
内で開かれたフォーラムに出席した際に明らかにした。
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砲撃、8月に兆候把握 韓国情報機関トップ
2010年12月1日23時46分

 【ソウル=牧野愛博】韓国の情報機関、国家情報院の元世勲(ウ
ォン・セフン)院長は1日、国会情報委員会での北朝鮮軍による大
延坪島(テヨンピョンド)への砲撃を巡る答弁で、今年8月に北方
限界線(NLL)近くにある同島を含む島々に対する攻撃の兆候を
把握していたと説明した。関係議員が明らかにした。 

 北朝鮮の通信を傍受した結果、攻撃の可能性が高いと分析した。
関係議員は、政府が対応措置を取らなかった理由について「北の似
た行動が多いため、同程度に考えたようだ」とした。民間人を巻き
込む無差別攻撃も予測できなかったという。8月9日には、北朝鮮
軍がNLLから1〜2キロ離れた韓国側の海上に向けて十数発を砲
撃する事件が起きていた。
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中国反対、北朝鮮への声明見送り ウラン濃縮めぐり国連
2010年12月1日23時44分

 【ニューヨーク=丹内敦子】国連安全保障理事会は11月30日
、北朝鮮が米専門家に公開した新たなウラン濃縮施設について懸念
する内容の声明を出す方向で非公式に調整したものの、中国が反対
したため、まとまらなかった。複数の安保理筋が明らかにした。
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『韓国本土に砲撃も』 再挑発で北朝鮮軍幹部
2010年12月2日 東京新聞朝刊

 【ソウル=城内康伸】北朝鮮に詳しい消息筋は一日、韓国・延坪
島(ヨンピョンド)への砲撃が行われた後の十一月下旬、北朝鮮の
人民武力省偵察総局幹部が「年が明ける前に、京畿道(韓国北西部
)を目標に新たな砲撃があるだろう」との見通しを示した、と明ら
かにした。

 一日に終了した米韓合同軍事演習の実施が決まった後の発言とさ
れる。具体的な計画を前提にした発言かどうかは不明だが、韓国本
土への追加挑発の可能性について言及したことは波紋を広げそうだ。
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米韓軍事演習が終了=北朝鮮の挑発なし
 【ソウル時事】北朝鮮による韓国・延坪島砲撃事件を受け、米韓
両軍が11月28日から黄海で実施していた合同軍事演習が1日、
終了した。米韓は、北朝鮮が新たな挑発に出る可能性があるとみて
引き続き警戒し、年内にも韓国沖で再び合同演習を実施する方針だ。
 4日間の演習には、米原子力空母「ジョージ・ワシントン」も参
加。韓国のイージス艦「世宗大王」からの情報を得ながら、艦載機
が敵機や敵地を攻撃する訓練や、大量破壊兵器の積載が疑われる船
舶を捜索する訓練などが行われた。韓国軍合同参謀本部は1日、「
北朝鮮の挑発に断固として対応する米韓の強い意志を示した」と強
調した。
 北朝鮮は「全面戦争の危機をはらんでいる」などと連日、演習を
激しく非難したが、期間中に目立った挑発には出なかった。
(2010/12/01-14:44)
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新たな攻撃「可能性高い」=世襲不満かわす狙い−韓国情報機関
 【ソウル時事】韓国の元世勲国家情報院長は1日、非公開の国会
情報委員会で、北朝鮮の延坪島砲撃事件に関し、「(北朝鮮が)新
たな攻撃に出る可能性が高い。韓国内の国論分裂を画策している」
との見方を示した。聯合ニュースが同委に出席した国会議員の話と
して報じた。
 元院長は北朝鮮の狙いについて、「3代世襲に対する内部の不満
が高まっている上、経済事情が悪化したため、突破口が必要となり
、無謀な行動を強行したのだろう」と分析した。
(2010/12/01-21:01)
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北の砲撃に安保理提起なし…韓国「実益少ない」

 北朝鮮による韓国・延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件から11月30
日で1週間たったが、攻撃を受けた韓国は、国際の平和と安全を担
うはずの国連安全保障理事会に事件を提起していない。

 韓国にとっては哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没事件を巡って安
保理が無益、無力だったことの後遺症だが、砲撃は沈没事件と異な
り、北朝鮮による攻撃が明白なだけに「安保理不在」が一層、際立
つ事態となった。

 聯合ニュースは30日、韓国政府当局者の話として、12月上旬
に米国で開催予定の日米韓3か国外相会談で、「砲撃を安保理に提
起する方向性が打ち出される」と見通しを伝えた。だが、別の韓国
政府筋は同日、「関係国が手続きを進めるのに反対しないが、原則
的に韓国は(提起を)求めない」と言い切る。
(2010年12月1日11時09分 読売新聞)
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正恩氏名で「態勢整えろ」 11月初旬から砲撃準備か
2010年12月1日11時57分

 【瀋陽=西村大輔】北朝鮮が11月23日に韓国・大延坪島(テ
ヨンピョンド)を砲撃する前の同月初旬、金正日(キム・ジョンイ
ル)総書記の後継に決まった三男の正恩(ジョンウン)氏名で「敵
の挑発的行為に対し、いつでも反撃できる準備を整えろ」とする趣
旨の指令が北朝鮮軍幹部に対して発せられていたことがわかった。
中朝関係筋が明らかにした。 

 関係筋によると、北朝鮮軍関係者は砲撃事件について「予定の行
動だ。ずいぶん前から準備していた」と説明したという。同軍が正
恩氏の指令を受けて韓国軍に対する攻撃の機会をうかがい、韓国軍
の射撃訓練を口実に砲撃を行った可能性がある。 
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半島有事なら中国軍出兵を=緩衝地帯設置が必要−専門家
 【香港時事】30日付の中国系香港各紙によると、上海東アジア
研究所地域安全保障研究室の張祖謙主任は朝鮮半島の軍事的緊張が
高まっていることに関連して、南北朝鮮間で戦争が起きた場合に中
国軍は中朝国境を越え、北朝鮮領内に幅20〜30キロの緩衝地帯
を設けるべきだとの考えを示した。
 張主任は、南北間の武力衝突が拡大すれば、北朝鮮から大量の難
民が中国領内に逃げ込む可能性があると指摘。緩衝地帯を設置して
難民を収容し、情勢が安定してから撤兵すればよいと述べた。
(2010/11/30-17:48)
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「北朝鮮、常識では予測不能」 中国側、09年の米会談で
 内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」がインターネット上に
公開した米秘密外交公電によると、中国共産党の王家瑞対外連絡部
長が2009年12月にバーンズ米国務次官(当時)と北朝鮮情勢
について会談した際、「北朝鮮の行動は、公的な指標を常識的な手
法で読み解いても予測することは不可能」と述べていたことが29
日、分かった。
2010/11/29 12:48 【共同通信
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北朝鮮コメ価格4千%の急騰、デノミ効果「水の泡」

【ソウル30日聯合ニュース】北朝鮮で昨年11月にデノミネーシ
ョン(通貨呼称単位の変更)が実施された後、コメの販売価格が1
年間でほぼ4000%暴騰したという。
 北朝鮮専門インターネット媒体のデイリーNKが30日に明らか
にしたところによると、平壌市場で取引される現在のコメ価格は1
キロ当たり900ウォン程度で、デノミ直前の昨年11月下旬に比
べ、3990%値上がりした。

 北朝鮮は昨年11月30日、通貨単位を100分の1に切り下げ
るデノミを実施した。この1年間で物価変動がまったくなければ、
新通貨の100ウォンは旧通貨で1万ウォンの価値を持たなければ
ならないが、約4000%という極めて深刻なインフレで、その価
値は現在、旧通貨の250ウォンにすぎない。デノミ効果がわずか
1年でほぼなくなったことになる。
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北朝鮮軍が砲撃に踏み切った真の理由は石油の払底
米韓軍は北朝鮮軍の崩壊を狙う
重村 智計 【プロフィール】2010-12-01 日経BP

 北朝鮮は11月23日、北朝鮮からわずか12キロメートルしか離れて
いない、韓国領の延坪島を砲撃した。この砲撃で、韓国海兵隊の兵
士2人と民間人2人が死亡し、南北関係と米朝関係の緊張が高まった
。なぜ、北朝鮮は民間人の居る島を突然砲撃したのか。この背景に
は、石油が底を尽き崩壊に直面する北朝鮮軍の危機と、強硬派軍人
の台頭、軍内部の主導権争いがある。また、中国による6カ国協議主
席代表の緊急会合の提案は、国連安保理での問題処理を回避するた
めの作戦であった。

米韓軍の常識:北朝鮮軍が使える石油はわずか30万トン
 北朝鮮軍には、もう石油が無い。これが、今回の事件の軍事的背
景である。北朝鮮の軍は、年間どのくらいの量の石油を使用できる
のか? 想像できないほど少ないのだ。日本ではこの事実を、専門
家はもちろん政治家、外交官もまったく知らない。これを知らずに
砲撃事件を考えると、判断を誤る。

 いっぽう、韓国軍と在韓米軍の幹部の間では、これは常識である
。韓国軍と在韓米軍の司令部はこれを正確に把握しているから、今
年の7月以来、軍事演習を断続的に継続してきた。これは、北朝鮮軍
に石油を消費させ、干上がらせて軍事力を低下させる作戦であった
。この作戦が、成果を上げたことになる。

 北朝鮮の軍は、年間わずか30万トンの石油しか使用できない。こ
れがいかに少ない数量かは、石油を扱ったことのない人には実感で
きないかもしれない。例えば、成田空港で1年間に使用するジェット
燃料の量は、380万トンである。日本の自衛隊が、1年間に使用する
石油は150万トンである。また、日本の都道府県で石油消費量の最も
少ない自治体でも200万トン弱である。北朝鮮の石油確保量は、最大
で年間80万トン程度だ。

 こうして見ると、北朝鮮軍が保有する石油が、いかに少ないかを
理解できるだろう。これは、ウソではなく本当なのだ。どうして分
かるのか? 北朝鮮が中国から輸入する年間の原油量は、約50万ト
ンである。これは、事実上中国の援助である。本当は代金を払う約
束だが、払えないので支払いが遅れている。中国は、北朝鮮が市場
価格で代金を支払わないと、これ以上の量は供給しない。

 中国の大慶油田で採れた50万トンの原油から、軍事用の石油はど
のくらい生産できるのか? わずか30%である。つまり、ガソリン
や軽油、ジェット燃料など、軍用に使える石油製品は15万トンしか
生産できないのだ。この他に、ロシアから20万トン前後の石油を輸
入している。外貨が無いから、これ以上は買えない。つまり、北朝
鮮軍が使える石油は年間30万トン程度にすぎないのだ。備蓄もある
が、100万トン程度と言われる。備蓄施設は、小規模だ。

米韓軍が演習を行えば、北朝鮮軍は石油を使わざるを得ない
 だから、北朝鮮軍を疲弊させ、軍事力と士気を低下させるには、
軍用石油を枯渇させればいいのだ。それを知っている韓国軍と米軍
は、韓国海軍哨戒艦への爆撃の報復として、軍事演習を継続した。
韓国と米軍が軍事演習をすると、北朝鮮はそれを「同国を攻撃する
口実」だと考える。だから、北朝鮮も同じように軍事演習を行い「
侵略」に対峙せざるを得なくなる。戦闘機を飛ばし、艦艇を走らせ
、戦車を動かすと、たちまち石油は底をつく。

 韓国軍と米軍は、今年7月から年末までに10回の軍事演習を計画し
、実施している。さらに来年も、多数の演習を計画している。これ
が続くと、北朝鮮軍は石油ばかりでなく軍用の食料、装備品も事欠
くようになる。軍崩壊の危機に直面するのだ。

 この危機を避けるため、北朝鮮は韓国に軍事演習の中止を呼びか
けた。しかし、韓国軍と在韓米軍は応じなかった。このため、10月
には今回の延坪島より北にある白?島の沖合に砲弾を落とすと「警告
」した。しかし、韓国側は、これも受け入れなかった。

 北朝鮮軍がこの“石油危機”を回避するためには、米軍と韓国軍
の演習を中止させるしかない。その最後の手段として、民間人が住
む島の攻撃という手段に出たのだ。北朝鮮軍は、民間人に被害が出
るのを恐れて米韓軍が演習を取りやめる、と読んだのだろう。

 だから、北朝鮮軍の行動はしかたがない、と言っているのではな
い。事件の背景にある真実を、知ってもらいたいために、説明した
のである。つまり、北朝鮮がどれほど深刻な危機に直面しているか
、北朝鮮に対する制裁が効果を生んでいる事実を説明したのである
。こうした現実を無視し、あるいは無知で勝手な分析や解説を行う
のは危険である。国際問題の判断を誤るからだ。



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