3818.現時点、文明の転換点にある



現時点、文明の転換点にある

現時点、文明の転換点になっている。西洋文明から東洋文明の論理
に置き換わる時代である。「坂之上の雲」は、日本が東洋から西洋
に転換する過程であり、坂本龍馬の偉大さは東洋文明を転換させた
ことである。そして、今、西洋から東洋に文明を転換させられる位
置に日本はいる。それが日本の役割である。 

東洋文明は自然との共生、自然との融和という命題を持っている。
自然の全体バランスを考える。西洋文明は、自然界から良いものを
選び、その成分だけを人間のために役立たせるという志向で、バラ
ンスという感覚がない。このため、全体バランスが必要な自然農法
などの考え方ができない。それは実証的方法でしかできない。

日本人が自分達に与えられた文化・文明を気がつけば、世界企業と
日本企業・産業は差別化できる。このため、西洋文明の中にいる今
の日本人の自信のなさはわかるが、早く転換してほしいものだ。
自然主義+実証研究+実験計画法などの方法論も日本人が発明した
。発想法も全体的な構想に役立つ方法が多い。 

石油文明からの脱出を図らないと、中国海軍力が増強して不安定な
中東シーレーンからの離脱が出来ない。藻、すすき、りぐぱるなど
石油の頚木から脱出する方法は、全て植物の発酵や加工でできたも
のである。石油は西洋文明の大きな原動力であったが、その頚木か
らとき離れるためには植生加工への道を開くしかない。この基礎は
江戸の本草学だ 

また、今後、中国などの新興国の生活水準が上がると、資源・エネ
ルギーは需要が増えて高騰してくる。そのためにも植物由来の資源
を開発することが急務である。今までの延長上では生きていけない。

西洋科学は部分分析とその部分の組立てが中心、東洋文明は総合的
な観察が中心である。今までは分析が重要であったが、相互作用、
自然界での多様な共生関係など全体的な相互作用という分析が必要
で、今までは西洋科学の方法で無視していた効用が見えてきた。東
洋的な考えを西洋科学も無視できないことになっている。 

このような全体観察という実証的な研究で自然界を見ないと、分か
らないことが多い。この分野は総合の観点から分析するという総合
と分析の2つを同時に行うことであるが、その方法論は日本の実験
計画法(田口メッソド)しかない。まだその意味では学問方法が整
備されていない。

経済学でも、経済を分析してもバーナンキさんも当たらない。金融
緩和をすれば景気が良くなるというが、そのような単純な政策で景
気が回復するわけがない。経済全体を総合的に見る必要があると思
うが、西洋経済学では、経済活動の一部分の理論の集合体である。
これで経済学もおかしいことになっている。西洋科学の分析だけで
はダメな証拠である。 

要するに、西洋科学を否定はしないが限界がある。東洋的な総合的
に見るという観点も重要になっているということである。 

日本では全体を総合的に見る方法として、川喜多二郎が生んだ発想
図法や田口メソッド(実験計画法)など全体を統合的に見る方法は
、戦後生まれている。東洋の見方を現代化している。このため、日
本企業の強さは、統合的(インテグレート)な解決であり、その他
世界は、部分(コンポーネント)化だ。 

現時点、今までに生み出された製品をコンポーネント化したことで
、日本企業の利点である統合化が無くなってきたことで、衰退した。
しかし、植生文明の方法論は、日本が生み出した親和図、実験計画
法など戦後QC活動で必要として生み出した方法である。この有効な
分野が複雑な植生系の研究だ。 

西洋文明は、1つの部分が効くと言うことでそれだけを行うが、統
合化の知恵があれば、複数の部分の関係を見て、施策を打つことに
なる。その統合化の方法が西洋科学にはない。インレグレートとコ
ンポーネントの違いがある。コンポーネント化すると誰でも出来る
が、分野によっては、それだけでは無理なこともある。 

日本で徐々に認められていた和漢方をみれば分かる。慢性病や体力
減退などには漢方の有効成分の複合体(ツムラが有名)を使い、急
性病には西洋医学のクスリを使うという複合医療である。このよう
に西洋と東洋の複合体で問題を見ることである。 

現時点、西洋文明が大きく、東洋文明が小さいが、それを東洋的な
見方を復活する必要にある。解く問題が複雑化状態でもそのまま統
合的な見方で研究をおこなう必要がある。

東洋はインド哲学+アミニズムが広まった地域である。しかし、中
国は共産主義と言う一神教時代が長く、東洋ではなく西洋的な文明
になってしまった。ヒンジー協・仏教地域+民主国が現在の東洋で
ある。インド、台湾、日本、モンゴル、タイ、スリランカ、ブータ
ン、ネパールなどである。

西洋と東洋を両方持つということで、日本文明は足し算の文明であ
り、何でも今まであるものに足していく。その集積が3000年以
上積みあがっている。中国や欧州では何度も焚書坑儒が行われて、
前文化が失われている。多神教から一神教に代わるときに前文化を
否定して、壊している。イスラム教地域では仏教遺跡の破壊で現在
でも行っている。

インド哲学とは仏教、ヒンズー教など脳構造に根ざした哲学を持つ
。この哲学は人間と自然界とは繋がっているという。この基礎はア
ーリア人のウパニシャドから出ている。アーリア人は、ギリシャに
も広まり、インド哲学と同様なギリシャ哲学を持っている。このギ
リシャ+アミニズムの地域は、東洋と同じような雰囲気がある。ケ
ルトなどであり、アイルランド人、英ウエールズ人は日本文化を理
解できる。

C.W.ニコルさんはケルト系だそうです。小泉八雲、グラバーさ
んもケルト系かもしれない。日本人を理解できる。ケルト系の人た
ちは、日本の中にケルトの伝統を見ている可能性がある。だから、
日本に親近感を持ち、日本文化を西洋的なフレーズにできるのだ。

このことから、禅は中国南部で生まれたが、日本が世界に広めるこ
とになる。中国が禅を深く極めることができない社会になり、その
理論化ができなくなっている。共産主義思想に馴染まない思想は表
現も出来ないために、知恵の蓄積ができない。日本は思想的には自
由なので、どんどん、東洋の知恵の蓄積ができる。 

漢方も同様である。和漢方という西洋と東洋を融合した医療体系を
生み出すことになる。西洋文明を日本は否定しない。西洋文明(理
論+分析)+東洋の文明(アミニズム+自然と融合した精神)を融
合した考え方がでてくる。 

親和図法(川喜多先生の発想図法)+企画図法など全体を融合的に
現す図法や田口メソッドなどの手法ができた。しかし、西洋文明社
会でも受け入れ可能な理論である。東洋的な全体の統合的な見方+
西洋の論理で構成させているから、西洋でもOKなのである。 

自然主義、心理学でも、西洋は仏教やアミニズムの考えを取り入れ
始めているが、まだ異端視した状態である。西洋での漢方医療の普
及をみれば分かる。うけいれていない。しかし、クスリの開発では
、伝統的な薬草から成分を抽出する方向である。1つの有効成分を
取り出して薬にしている。しかし、この方法は複合的ではない。


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